インボイス制度とは
インボイス制度は複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式で、正式名称は「適格請求書等保存方式」です。従来は、事業者が仕入時に支払った消費税を、売上時に受け取った消費税から差し引いて納税していました。しかし、インボイス制度では、仕入時に受け取った「適格請求書(インボイス)」に記載された消費税額のみを差し引くことになります。
インボイスを発行できるのは、消費税の課税事業者だけです。免税事業者はインボイスを発行できないため、取引先が仕入税額控除を受けられなくなります。そのため、免税事業者は課税事業者になるか、取引先との価格交渉などが必要です。
インボイス制度対応のPOSレジ導入がおすすめの事業者
レジで会計している方の中には、「インボイス制度対応のPOSレジに切り替えたほうがよいのだろうか」と疑問に思う場合もあるでしょう。
インボイス制度は、かならずしもすべての事業者が必要になるわけではありません。ここではインボイス制度対応のPOSレジ導入がおすすめの事業者を3つ紹介します。
軽減税率と標準税率の商品が混在する
インボイス制度対応のPOSレジは、軽減税率(8%)と標準税率(10%)の商品が混在する事業者におすすめです。例えば、スーパーマーケットのように、食料品(軽減税率8%)と日用品(標準税率10%)など、税率の異なる商品を両方取り扱っている事業者です。
従来のレジでは、それぞれの商品に適用される税率を手入力する必要がありました。しかし、インボイス制度対応のPOSレジであれば、商品をスキャンするだけで自動的に税率が判別され、正確な金額で計算されます。
インボイス制度で仕入税額控除を受けるためには、「税率ごとに区分した適用税率または消費税額」が記載された適格請求書(インボイス)が必要になります。この記載がない請求書では仕入税額控除が適用されないため注意が必要です。
領収書の発行が多い
インボイス制度対応のPOSレジは、小売店や飲食店のように日々多くの顧客に対して領収書を発行する事業者にもおすすめです。インボイス制度では、領収書も適格請求書として扱われます。そのため、従来の領収書に加えて、インボイス制度で求められる記載事項(登録番号、適用税率など)を正確に記載する必要があります。
手書きの領収書でも、記載条件を満たしていれば、適格請求書として認められます。しかし、手書きで作成する場合、件数が多いほど手間がかかります。インボイス制度対応のPOSレジであれば必要な情報を自動で印字し、簡単に適格請求書としての領収書を発行できます。
企業の取引先が多い
インボイス制度対応のPOSレジは、卸売業や製造業のように企業の取引先が多い事業者にもおすすめです。法人企業の多くは課税事業者であるため、取引先からインボイスを求められる可能性が高いといえるでしょう。
インボイス未対応のレジを使用している場合、取引先に適格請求書を発行することができません。結果として取引先の税負担が増加し、取引の見直しに繋がるリスクがあります。
POSレジであれば、適格請求書を発行することができ、取引先との良好な関係を維持することに繋がります。また、インボイス制度に対応していることをアピールすることで、新規顧客の獲得にも繋がります。
インボイス制度と飲食店の関係
飲食店は、酒類を除く飲食料品(軽減税率8%)と、店内飲食や酒類(標準税率10%)の両方を扱うことが多く、インボイス制度への対応が強く求められる業種の一つです。
従来は、食材や飲料などの仕入税額を、売上にかかる消費税から差し引いて納税していました。しかし、インボイス制度では、仕入先に適格請求書発行事業者として登録してもらい、適格請求書を受け取らないと、仕入税額控除ができなくなります。
仕入先が免税事業者の場合、特に注意が必要です。免税事業者はインボイスを発行できないため、飲食店は仕入税額控除を受けることができず、税負担が増加してしまいます。
飲食店が発行するインボイス制度におけるレシート
飲食店が発行するレシートは、必要な事項を記載すれば簡易インボイス(適格簡易請求書)として扱われ、通常のインボイスと同様に仕入税額控除に利用することができます。インボイスとして認められるためには、以下の情報が記載されている必要があります。
- インボイス発行事業者(飲食店)の氏名または名称、登録番号
- 取引年月日
- 適用税率(8%または10%)と税率ごとの税込金額
- 軽減税率対象品目がある場合は「軽減税率対象」の記載
つまり、従来のレシートに、インボイス発行事業者の登録番号と、税率ごとに区分した対価の額と消費税額などを追加する必要があるということです。
インボイス制度対応のレジであれば、必要な情報を自動で印字してくれるため、正確なレシートを簡単に発行できます。
インボイス制度に対応しているおすすめのPOSレジ5選
インボイス制度に対応しているPOSレジには、さまざまな種類があります。それぞれで特徴が異なるため、「インボイス制度に対応しているか」だけでなく、自店舗に合っているかどうかを見極める必要があるでしょう。
ここではインボイス制度に対応しているおすすめのPOSレジをいくつか紹介します。
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