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クリニックの人件費率の目安は?上手なコスト管理でサービス品質アップ!

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クリニックの人件費率はどのくらいが適正?

クリニックの経営において、人件費は重要なコストのひとつです。適切な人件費率を設定することで、スタッフのモチベーションを高め、サービス品質や業務効率を向上させられるでしょう。

だからといって、人件費を際限なくかけるわけにもいきません。クリニックの人件費はどのくらいが適切なのか、「人件費率」の視点より解説します。

クリニックは人件費率15%が目安

クリニックの経営コストにおいて、人件費率は15%ほどが適切といわれています。人件費率とはクリニックの収入に占める人件費の割合のことです。

たとえば年収5,000万円のクリニックであれば、「5,000万円×0.15(15%)=750万円」が人件費の目安となります。この割合を意識することで、安定した経営を保ちつつ、質の高い医療サービスを提供することができるでしょう。

初年度は人件費率30%程度になるクリニックも

クリニックの人件費率は15%ほどが目安といわれていますが、これはクリニックの置かれた状況によって変わってきます。特に初年度は人件費率が15%を大きく超え、30%前後になることも少なくありません。

新規開業のクリニックや診療科目を増やす場合、初期投資やスタッフの採用にともない、人件費率はどうしても高くなってしまうでしょう。最初から人件費を抑えすぎてしまうと「優秀な人材が集まらない」「スタッフのモチベーションを保てない」といった理由でサービス品質が低くなり、患者からの印象も悪くなってしまいます。開業当初の集客・再来院確保は特に重要で、初動が悪いとその後も患者が集まらず、売上を確保できなくなってしまうでしょう。

まずはコストを多めにかけてでも高品質のサービスを提供し、クリニックの評判を高めることが重要です。誰でも口コミやレビューを発信でき、これらを基準にクリニックを選ぶ人が増えた現代において、サービス品質の重要度はいっそう高まりました。

十分な収益を確保し経営を安定させること、収入アップにより相対的に人件費率を下げていくことを心がけましょう。

クリニックの人件費率を下げるのは逆効果

一般的にコスト削減は経営改善の有効な方法と考えられていますが、クリニックに限らず、人件費率を過度に削減することは逆効果になりやすいです。人件費率を下げるために給与を下げたりスタッフ数を減らしたりすると、サービス品質の低下や人的ミスが起こりやすくなるからです。

これは医療を扱うクリニックにとって重大な問題でしょう。クリニックは飲食店や小売店のような業種と比べ、品質低下やミスによるリスクが高いのです。

給与を下げると人材の質もモチベーションも下がる

給与を低めに設定し人件費率を抑えることは、経営コストの削減という面では魅力的かもしれません。

しかし、給与を下げすぎると、優秀な人材が集まらなくなるでしょう。たとえば同じ業務内容で月給20万円と30万円の求人があれば、普通は月給30万円の方を選びます。

月給30万円の求人に落ちてしまった人を採用することはできるかもしれませんが、低い給与ではスタッフのモチベーションが上がらないでしょう。

人員数を削るとサービス品質が下がりミスが増える

人件費を削減するために雇用する人数や人材配置を抑えることもできますが、人員数を過度に削るとスタッフひとりあたりの負担が大きくなります。これでは診療の効率が下がったり患者の待ち時間が長くなったりと、サービス品質が低くなってしまうでしょう。

負担が大きくなればスタッフの疲労も溜まりやすくなり、集中力や生産性も落ちてしまい、人的ミスにつながります。医療現場における人的ミスはときに重大なトラブルの引き金となります。患者からの信頼を失いクリニックの評判が下がるだけでなく、法的トラブルにまで発展する恐れもあります。

【結論】人件費はかける意義のあるコスト

人件費を抑えることで経営コストを削減し、利益率は高くなるかもしれません。しかし、人件費を過度に抑えようとすればさまざまな問題が起き、クリニックの存続にかかわるような事態に陥ることもあります。人件費を過度に削り利益率を多少高くするよりも、適切にコストをかけて収入アップを図る方がいいでしょう。

人材・サービスの品質向上のための人件費活用方法3つ

クリニック経営においては、人件費はかける価値のあるコストといえます。スタッフにとって働きやすい環境を整え、モチベーションを高めることで、サービス品質と患者満足度の向上が目指せるでしょう。そのためにどんな取り組みができるのか、人件費をどのように活用すればいいのか、無理なくコストを抑える方法と併せて3つのポイントを紹介します。

1.スタッフにとって働きやすい環境をつくる

サービス品質を高めるためにも優秀な人材の離職を防ぐためにも、スタッフにとって働きやすい環境づくりは重要です。これには、適切な労働条件や福利厚生の提供、ワークライフバランスの考慮などが含まれます。スタッフが安心して働ける環境をつくることは、モチベーションアップはもちろん、サービス品質の向上や離職防止の土台といえます。

特に従業員数10名以下の小規模なクリニックでは、就業規則を作ることが義務付けられていません。クリニックに限らず、法的義務がないからと就業規則を作っていない事業所はありますが、これではスタッフが安心して働けません。経営者の意向でルールが変わったり、スタッフ間で待遇に差があれば、職場の雰囲気も悪くなってしまいます。

最低限、就業規則は作成しておきましょう。

2.教育や評価制度を見直し、スタッフのモチベーションを高める

スタッフのモチベーションやスキルを高めるために、教育や研修プログラムを提供したり、評価制度を見直したりしましょう。優秀なスタッフを適切に評価し昇給や賞与などの報奨を与えることで、優秀な人材の流出を防ぎ、スタッフの学習意欲も高められます。

3.ITシステムを導入し業務の自動化・効率化を図る

人件費を無理に削減しようとするのはよくありませんが、「適切に削減すること」は大切です。業務の効率化や自動化による人件費削減には、積極的に取り組みましょう。

そのために役立つのがITシステムや各種サービスです。たとえば電子カルテや予約管理システムで受付業務や情報管理を効率化したり、電話代行サービスで電話対応そのものを外部委託したりできます。

クリニックの業務効率化のための6つのITシステムで収益アップ!

人件費を適切に削減するにはITシステムやサービスを利用した「業務効率化」が重要です。これらをうまく活用できればサービス品質も向上し、クリニックの収益アップにもつながるでしょう。

クリニックの業務効率化と収益アップに役立つ6つのITシステム・サービスを紹介します。

1.電子カルテ

電子カルテは患者の診療記録や処方箋などの情報を電子化し、データとして管理するシステムです。従来の紙のカルテに比べて情報の取得や共有がしやすく、診療の効率化につながります。

2.予約管理システム

予約管理システムは予約の受付や管理を効率化するシステムです。WebサイトやLINEなどからのオンライン予約を導入し、システムにリアルタイムで自動反映します。

中には予約日が近づくと患者にリマインドを出したり、診療時間が近づいたときに通知したりできるものもあります。特に診療時間の通知を出せるシステムを活用すれば、患者は待ち時間を外で過ごせるようになり、「待合室での長時間拘束」「予約の時間になっても順番が来ない」といったストレスが軽くなるでしょう。

このようにクリニック側にも患者側にもメリットがあるシステムを活用することで、患者数を増やし、収益アップを狙うことができます。

こちらの記事では、特に小規模なクリニックにおすすめの「LINE対応の予約システム」を紹介しています。主な機能や導入メリット、予約システムの選び方を紹介しています。

【厳選5選】クリニック予約システムはLINE対応のものがおすすめ!主な機能や選び方を解説

3.セミセルフレジ

セミセルフレジは患者自らが情報を入力し、受付手続きや会計などを行うためのシステムです。患者の待ち時間やスタッフの業務負荷を下げられるでしょう。

4.オンライン診療

オンライン診療は遠隔地からの患者とのコミュニケーションを可能にするシステムです。診療科目や症状によっては、オンライン診療が特に有効です。患者の便益向上と新たな収益源の創出につながります。

5.電話自動応答システム(IVR)

電話自動応答システムは、電話を受けた際に自動的に音声ガイダンスを流せるシステムです。「診察予約は1を、予約変更は2を、…」というように、プッシュ番号で音声ガイダンスを分岐させたり着信先を振り分けたりできます。問い合わせ内容によっては自動音声のみで案内・手続きが完結します。

予約の確認や診療時間の問い合わせなどを自動化し、スタッフの負担を軽くします。

電話自動応答システムについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。その他の音声案内システムや導入メリット、タイプ別のおすすめシステムを紹介しています。

【IVR・AI応答】電話自動応答システム6選|導入メリットや選び方、3段階の自動応答について解説

6.電話代行サービス(大病院向け)

電話代行サービスは大病院に適したサービスです。病院への電話を代理で受け、予約の受付や変更、問い合わせ対応などを代行してもらえます。電話対応の一部を外部の専門スタッフに委託することで、事務スタッフの負担を軽くしたり、人材配置を見直したりできます。

こちらの記事では電話代行サービスについて詳しく解説しています。大規模なコールセンターの外注ができるサービスも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

【目的・業態別】予約受付におすすめの電話代行サービス6選|主な対応業務や選び方も解説

人件費は抑えるよりも「適切にかけること」が大切!

クリニックの人件費は医療サービスの質を維持し、スタッフのモチベーションを高めるために適切に投資すべきコストです。

スタッフの働きやすい環境づくりや教育・評価制度の整備、ITシステムの導入など、コストの使い方に工夫を凝らすことで、クリニックの業務効率化と収益アップを目指すことができます。経営コストの見直しを行う際は、これらの要素を軸に考えることが重要です。

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この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社に入社し、事業企画として業務を担う。また、兼務でグループ会社であるマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月よりこれまで副業で経営していたステップ・アラウンド株式会社を独立させる。
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