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クリニックの人材配置の適正人数とは?人手不足の解消に役立つノウハウ解説

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クリニックと病院の違い

クリニックと病院は医療機関としての共通点が多いですが、いくつか違いがあります。その中でも特に重要な違いである「病床数」と「人材配置基準」について解説します。

主な違いは「病床数」

クリニックと病院の違いの中でも特に大きいのが「病床数」です。病床数が20未満だとクリニック、20より多いと病院として分類されます。

病院は外来診察はもちろん、多くの入院患者を受け入れ、長期の入院治療を行うことができる施設です。これに対して、クリニックは主に外来患者を診察し、診療と治療を提供します。クリニックは入院施設を持たないことが一般的です。

もちろん、入院用のベッドがあるクリニックもありますが、病院とクリニックではその数が異なります。

病院には「人材配置基準」がある

病院とクリニックのもうひとつの違いとして、「人材配置基準の有無」が挙げられます。病院では外来診察において、「医師1人に対して患者40人」「看護師および准看護師1人に対して患者30人」という人材配置基準が設けられています。これとは別に、入院患者に対する人材配置基準もあります。

しかし、クリニックでは人材配置基準がありません。クリニックは自己責任で必要なスタッフを配置することになります。

クリニックで人材配置が重要な理由

病院と異なり、クリニックには人材配置の基準がありません。クリニックでは院長の判断により自由に人材を配置できますが、基準がないからこそ生じる課題もあります。

クリニックにおける人材配置の課題、適切な人材配置が重要な理由を3つ紹介します。

スタッフの負担を軽減するため

人材配置が適切でないとスタッフの負担が大きくなります。クリニックでは医師、看護師、受付スタッフ、事務スタッフなどが連携して患者の診療とサポートを行います。スタッフの負担が過度に高い場合、スタッフ間の連携が崩れ、業務効率が落ちてしまうでしょう。

クリニックのスタッフは多岐にわたる業務を担当します。適切な人材配置はスタッフの働きやすさを確保し、業務に対する集中力やスキルアップなどの原動力となります。

サービス品質を高めるため

適切な人材配置ができていないと、クリニックのサービス品質は下がってしまうでしょう。スタッフ間の連携不足や疲労による生産性の低下、ミスの増加などが起こるからです。

人材配置が不適切でスタッフひとりあたりの負担が大きいクリニックにはピリピリとした雰囲気があり、患者にとっての居心地も悪いでしょう。

クリニックのサービス品質は患者からの信頼や満足度に直結します。適切な人材配置をすることで患者は待ち時間を最小限に抑え、スタッフから高品質な医療サービスを受けられるのです。

人材配置が不適切な場合、患者の不満が高まり、再来院率も低くなってしまうでしょう。

人的ミスを防ぐため

人材配置が適切でないとスタッフの負担が大きくなり、疲労により集中力も下がってしまいます。スタッフ間の連携も崩れやすくなるでしょう。これらは人的ミスの引き金となります。

医療業界における人的ミスは致命的な結果をもたらすこともあります。適切な人材配置により疲労やコミュニケーション不足からくるミスを防がなくてはなりません。患者の健康と安全を守るためにも、人材配置について慎重に計画すべきです。

人材配置が適切でないクリニックで起こり得る問題

クリニックで適切な人材配置が行われない場合、さまざまな問題が発生し、悪循環に陥ってしまうでしょう。具体的にどのような問題が起こるのか、具体的に紹介します。

離職率が高まり人手不足が慢性化する

人材配置が適切でないとスタッフの負担は大きくなり、過度な労働負担はスタッフの離職につながります。スタッフの離職が多くなれば、新たなスタッフの採用やトレーニングにかかるコストは増えるでしょう。

「人手が足りないから新しく採用する」「採用したはいいが満足にトレーニングができない」となると、新スタッフは「ここで働き続けてもキャリアアップはできないだろう」と感じ、すぐに辞めてしまうかもしれません。これでは人手不足が慢性化してしまうでしょう。

再来院が確保できず経営が圧迫される

患者からの信頼を失うことはクリニックにとって致命的です。特に住宅街のクリニックのような「集客範囲が限られている立地」では、再来院の確保は経営における生命線といえます。

不適切な人材配置は業務効率の低下やスタッフ間の連携不足につながります。これにより患者は診察や会計の待ち時間が長くなったり、診察に対して不安を感じたりするでしょう。

これでは患者が別のクリニックに転院してしまいます。患者が減れば収益も減り、クリニックの経営が圧迫されるでしょう。

ネガティブな口コミが広がり新規患者が集まらない

インターネットやスマートフォンが普及した現代では、誰でも情報発信ができます。情報収集の際も、クリニックの公式HPよりも、レビューサイトやSNSの口コミを重視する人が増えました。

不適切な人材配置による待ち時間の増加やサービス品質の低下は、ネガティブな口コミを生み出し、クリニックの評判を下げてしまいます。これにより新規患者の獲得が難しくなるでしょう。

質の高いサービスを提供し、信頼できるクリニックであることを客観的に証明することが、競争の激しくなった医療業界で生き残るためには欠かせません。

クリニックにおける経営改善の3つのカギ

スタッフにとって働きやすい環境をつくるためにも、患者に安心して来院してもらうためにも、クリニックでは適切な人材配置が欠かせません。

しかし、そもそも人手不足で配置する人材が足りないというクリニックもあるでしょう。クリニックの人手不足を解消し、経営を改善する3つの方法を紹介します。

1. 就業規則やルールを明確にする

まずはクリニック内でのルールや就業規則を明確にしましょう。特に就業規則のない小規模なクリニックでは、何よりもまず就業規則を作成することが大切です。

クリニックに限らず、従業員数10名以下の事業所には就業規則の作成が義務付けられていません。「義務がないから」という理由で就業規則を設けないままでいるクリニックもあるでしょう。

しかし、就業規則がなければスタッフにとって働きやすい環境をつくることはできません。待遇や教育なども不公平になりやすく、スタッフが不満を抱えやすくなります。経営側としても、問題を起こしたスタッフや勤務態度が悪いスタッフに対処しづらくなります。

就業規則やルールを明確にすることは、スタッフとクリニック経営者の両方を守るために大切なことです。不要なトラブルや誤解を防ぐ助けにもなります。

2. 教育や研修、評価制度を見直す

スタッフのスキル向上とモチベーション維持は、クリニックの成功に欠かせません。教育や研修プログラムを充実させ、スタッフの成長をサポートしましょう。

モチベーション維持のためには評価制度の見直しも必要です。優れた成績を認める仕組みをつくり、昇給や賞与などに反映させることで、スタッフは「もっとがんばろう」という気持ちになります。

評価の基準を明確にすることでスタッフのやる気を伸ばし、やる気のあるスタッフに充実した教育や研修プログラムを提供することで好循環をつくりましょう。

3. ITシステムやサービスを活用し効率化を図る

近年、医療業界ではITシステムやサービスの活用が増えています。これらを活用することは業務効率化だけでなく、患者にとっての利便性向上にもつながります。自院の課題を洗い出し、それを解決してくれるようなシステム・サービスを探してみましょう。

人材配置の見直しと併せて活用したい、4つのITシステム・サービス

クリニックの人材配置の見直しに加えて、ITシステムやサービスを導入することで、業務効率化やサービス品質の向上を図りやすくなります。クリニックの経営改善に役立つ4つのシステム・サービスを紹介します。

電子カルテ

電子カルテは患者の情報を電子的に管理するためのシステムです。患者の診療履歴や処方箋などのデータに簡単にアクセスでき、診療の効率化と精度向上に役立ちます。医療機関同士で電子カルテの情報を共有するための仕組みづくりも全国的に進んでおり、他院との連携も図りやすくなります。

予約管理システム

WebサイトやLINEなどからオンラインで予約を受け付けたり、メールやLINEで診療時間が近づいた患者を呼び出したりできるシステムです。オンライン受付の予約はリアルタイムで自動反映されます。

電話での予約が減ること、予約管理の大部分を自動化できることなど、スタッフの負担軽減に大きな効果を発揮するでしょう。

メールやLINEで患者を呼び出せる機能は、待合室の混雑や待ち時間のストレスの解消につながります。「予約しているのに、時間どおりに診察を受けられない」という患者が多いクリニックには、特におすすめできるシステムです。

小~中規模のクリニックには、特にLINE対応の予約システムがおすすめです。こちらの記事では「LINE対応のシステム」と「LINE以外にも対応できるシステム」、主な機能や導入メリットなどを紹介しています。

【厳選5選】クリニック予約システムはLINE対応のものがおすすめ!主な機能や選び方を解説

セミセルフレジ

セミセルフレジは、受付や会計業務を効率化するシステムです。患者は診察受付や会計を自分でできるようになり、スタッフの負担軽減や待ち時間の削減につながります。

電話自動応答システム(IVR)

電話自動応答システムは音声ガイダンスとプッシュ番号により、電話対応を自動化するシステムです。「診察予約は1を、予約変更は2を、…」のような音声ガイダンスに従い番号をプッシュしていくことで、適切な案内を受けたり着信を振り分けたりできます。電話の内容によっては自動ガイダンスのみで対応が完結するでしょう。

「話中でなかなか電話がつながらない」「スタッフが電話対応に追われている」というクリニックに特におすすめのシステムです。

電話自動応答システムについては、こちらの記事で詳しく解説しています。システムでどんなことができるのかを解説し、「プッシュ番号による案内ができるシステム」と「AIを活用した音声対話ができるシステム」のおすすめをそれぞれ紹介しています。

【IVR・AI応答】電話自動応答システム6選|導入メリットや選び方、3段階の自動応答について解説

クリニックに人材配置基準はないが、適切な人材配置は経営の要となる

クリニックには法的な人材配置基準はありませんが、適切な人材配置はクリニックの経営に大きな影響を与えます。スタッフの負担軽減、サービス品質向上、ミスの防止、離職率の低下など、人材配置を見直すことにはたくさんのメリットがあります。

人材配置の見直しだけでなく、ITシステムやサービスを併せて活用することで、これらの課題により効果的に対処できるでしょう。クリニック経営において、人材配置の見直しとITシステムの活用は、切っても切り離せない要素になってきています。

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この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社に入社し、事業企画として業務を担う。また、兼務でグループ会社であるマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月よりこれまで副業で経営していたステップ・アラウンド株式会社を独立させる。
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