ダイレクトマーケティングとは
ダイレクトマーケティングとは外部の販売・流通チャネルなどを介さずに消費者に商品を直接販売する手法を指します。具体的にはDMやラジオ・テレビ・新聞・インターネットなどを活用し、見込み顧客や既存顧客にアプローチを行うことで、直接的な反応が得られるのが特徴です。
現在は誰でもネットにつながることができる時代となっており、ダイレクトマーケティングと相性がよくなっていますので積極的に行っている企業は増えています。
マスマーケティングとの違いを比較
概念を理解するために、ダイレクトマーケティングとマスマーケティングを比較してみます。
ターゲット対象 | コミュニケーション | 効果 | |
マスマーケティング | 不特定多数 | 一方向で反応なし | 認知・ブランディング |
ダイレクトマーケティング | 特定の個人 | 反応あり | 反響・見込み獲得 |
両者は対極的な概念となり、マスマーケティングの場合はテレビや雑誌・ラジオといったマスメディアを活用した、一方向のアプローチとなります。
それに対してダイレクトマーケティングは特定の個人に対してのマーケティング手法となり、基本的にはレスポンス数が効果地点となります。両者は対極的
ただしテレビやラジオといったメディアの活用でも、現在はダイレクトな反響を獲得する手法を取る場合もあります。そのため、上記はあくまでも概念の理解として捉えましょう。
通信販売との違い
通信業界で利用されることが多く、同義として解釈される場合もありますが、ダイレクトマーケティングとは概念の階層が少し異なります。
- ダイレクトマーケティングは顧客接点の手法の1つ
さきほどの比較対象として紹介したとおり、ダイレクトマーケティングとはマーケティング手法の1つであり、顧客に対して接点する手法といえます。
そのため同様の階層には、マスマーケティング・Webマーケティング・SNSマーケティングといった言葉が並びます。
- 通信販売は顧客に製品を販売するための手法
対して通信販売とは販売手法の1つとなります。マーケティングと販売の境目が少し曖昧になりつつありますが、厳密な意味合いとしは違っています。
デジタル活用で改めて注目したいダイレクトマーケティング
冒頭でも説明したように現在はネットの普及が進み、デジタル活用されたサービスが多く登場しています。
そしてダイレクトマーケティングは現代の技術と深く結びつけることができますので、具体的な組み合わせパターンを見ながら注目の背景を見ていきます。
デバイスの多様化とSNS普及による顧客接点の増加
デバイスの多様化とSNSの圧倒的な普及は顧客接点の増加を促進させました。
とくにSNSは何億人ものユーザーが登録しておりツイッターやフェイスブック、インスタグラムなど様々な種類はありますが、どのサービスでも簡単に集客ができるポテンシャルを持っています。
たとえばFacebookのイベントページを開設した集客や、Facebook広告を使った見込み客の獲得、LINE@を使ったクーポン配信もダイレクトレスポンスが期待できます。
今後も利用者は増え続けていくことが予想されており、顧客接点の増加には非常に相性の良いチャネルといえます。
ビッグデータ活用による「個」への最適なオファー
加えてソーシャルメディアやデジタルデバイスなどのデジタル活用は、オフラインでは実現しにくかった膨大なデータを利用することも可能にしました。
ビッグデータとはその名の通り大きなデータの総称で顧客ごとの行動パターンや購入履歴など様々なデータを管理しています。
簡単に扱うことはできませんがビッグデータを活用することにより、「個」への最適なアプローチが可能となりダイレクトマーケティングをしやすくなります。
たとえばEC業界ではすでに購入履歴から顧客の好みを分析し、候補の一覧に関連商品を紹介するなどのレコメンドエンジンがありますが、データ活用といった側面ではこうしたツールも技術活用といえるでしょう。
最近の新たなダイレクトマーケティングモデル
現時点でも最新の技術が出始めており今後のトレンドとなる可能性もあります。
たとえば次のようなマーケティングツールや手法が挙げられます。
- インフルエンサー活用×SNSマーケティング
デジタルマーケティングの場合は、そのままアクセスなどの集計が可能で、そこから行動パターンを分析して最適化を実現できます。
またビーコン機能は付近の顧客、もしくは店舗に入った瞬間にクーポンの発行などを実施できますのでそれぞれの顧客へと個別にアプローチすることができます。
一方でインフルエンサー活用とは、SNSで大量のフォロワーがいる人など発言の影響力が強い人を活用する方法となります。
端的に言えば有名人に発信してもらい効果を高める方法ですね。
ターゲティングをうまくすることができれば絶大な効果を発揮してくれるでしょう。
店舗アプリ・ビーコンの詳細はこちら。
ダイレクトマーケティングを理解する4つの特徴
ダイレクトマーケティングにはいくつか特徴的な点があり、いずれもダイレクトマーケティングを活用する上では理解をしておきたいものとなりますので覚えておきましょう。
反応率を見ながら費用対効果の測定が可能
まずダイレクトマーケティングは反応率の測定などが可能でありそのまま費用対効果の測定も可能になります。
費用対効果とは「かけた費用に対してどれほどの効果があったかを」指すもので、一般的には高いほどいいと言われています。
オフラインやマスマーケティングの場合は費用対効果の測定は難しいこともありますが、、ダイレクトマーケティングは反応率と絡めて比較的簡単に測定できます。
複数のチャネルを活用
チャネルとは商品が消費者のもとに届くまでの流通経路となりSNSや紙媒体など様々なものを指します。
ダイレクトマーケティングを行う企業は多くの場合実店舗などがないと思いますが、顧客を獲得するためにあらゆるチャネル横断的に活用した集客が可能です。
商品のジャンルにもよりますが特定のチャネルにこだわらず、マーケティング展開ができる点も特徴です。
双方向のコミュニケーション
ダイレクトマーケティングではそれぞれの顧客の反応に対し、事業者側は適切な反応を返すことができます。
例えば「新規登録」、「資料請求」等の反応をした顧客には「お礼の連絡、メール」、「商品の発送」を返すことができます。
そして「リピート購入」等の顧客には「買うごとにお得な商品」、「リピーター限定のクーポンなどの発行」を返すことができます。
何でもないようなやり取りと感じるかもしれませんが、顧客それぞれに合わせた反応ができますので顧客ロイヤルティを上げることが可能になるでしょう。
データを見ながらPDCAが回せる
データを活用しビジネスにおいて重要なPDCAサイクルを効率的に回すことができます。
PDCAを回すことによりダイレクトマーケティングと費用対効果の最適化を実現することができ、現状とは比較できないほど素晴らしいものにできます。
他の方法でも回せると感じるかもしれませんがデータほど信頼性の高い情報は少ないと思いますので積極的に活用しましょう。
ダイレクトマーケティングの7つの種類・手法
それでは具体的なダイレクトマーケティングの手法や効率的に成果を出すためにポイントを紹介します。
ダイレクトメール(DM)
ポストの投函などで顧客の手に直接わたりやすいダイレクトメール(通称DM)はどの年齢層にも効果的にアプローチできる手法となります。
またダイレクトメールは反応率が高く20%を超える顧客がダイレクトメールを見てネットで調べる、もしくはSNSで検索するなどの行動を起こします。
成果を出すポイントは目を引くデザインや文章、キャッチコピーを活用することでありその他に各顧客のニーズに合わせたコンテンツを意識することです。
ダイレクトメールの反応や効果についての詳細はこちら。
FAX DM
FAX DMはダイレクトメールの中でも最も直接顧客にアプローチできる方法であり高い反応率をほこっています。
電話番号・FAX番号の入手などをしなければいけませんがアンケートなどで入手することもできますので様々な方法を考えましょう。
成果を出すポイントは主婦や高齢者などの比較的電話を使用しやすい層を狙ってアプローチをする、一目で興味を引かれるような文章キャッチコピーを意識することです。
テレマーケティング
テレマーケティングとはその名の通り電話を利用して顧客に販売を持ち掛けことであり、昔からとられている手法となります。
成果を出すポイントは時間帯の選択、悪いイメージを持たれないような会話、メリットをわかりやすく伝えるなどを意識することです。
とくに時間帯などは気を付けなければいけず朝晩以外にも食事時などにかけてしまっては非常識と思われてしまうので注意しましょう。
雑誌・新聞広告
マスマーケティングの一種では?と思われるかもしれませんがしっかりとターゲティングをしてニーズに合わせるとダイレクトマーケティングとしても利用できます。
不特定多数へのアプローチではありながらニーズに合わせた内容なので、うまく活用することができれば高い費用対効果を望めます。
成果を出すポイントはターゲティングをしっかりとすることと、ニーズに合わせた内容を意識しなおかつ目を引くようなキャッチコピーなどを盛り込むことです。
折込チラシ
こちらも昔から好まれている手法となりチラシを直接顧客の手元に届かせることができます。
大小様々なサイズがあり事業や地域によって使い分けることができ、デザインをどうしようか悩んでいる場合はデザインテンプレートなどの使用により解決を望めます。
成果を出すポイントは地域や人工などによってターゲティング、一目で興味を引かれるようなデザインと文章、そしてキャッチコピーなどをチラシに盛り込むことです。
メルマガ
ダイレクトマーケティングと聞くと最初に「メルマガ」を思い浮かべる方も多いであろう手法であり低コストで配信することができます。
会員登録などと比べるとメルマガに登録するハードルはかなり低く、URLを貼ることによりホームページとの相性もよくなっています。
成果を出すポイントは反応率を高めるような内容(お得な情報やクーポン)、そして3日1回など具体的かつ定期的な配信をすることです。
SNS
スマホの普及率は現在80%を超えておりそれに伴いSNSの普及率も上がり続けています。
SNS活用の場合はほとんどの場合無料で運用することができ、なおかつターゲティングが簡単ですので多くの企業で活用されています。(有料の広告あり)
また反応率が高くフォロワー以外の顧客にも情報が届く可能性がありますので、効率的にダイレクトマーケティングを行うことができます。
成果を出すポイントは定期的な更新と興味を引かれる投稿、そして炎上など誹謗中傷を浴びないように注意して運用することです。
SNS集客のコツ・活用ポイント詳細はこちら。
ダイレクトマーケティングのメリット・デメリット
次にダイレクトマーケティングのメリットとデメリットを紹介します。
効果測定・テストマーケティングが容易
まずダイレクトマーケティングは効果測定とテストマーケティングが容易という点があり効果を早期で感じることができます。
またどちらも容易に行えるのであれば簡単にPDCAサイクルを回すことができますし、迅速に対応していきたいと考えているのであれば非常に相性が良いです。
先ほども紹介しましたが費用対効果の測定も行えますのでありがたいですね。
見込み顧客の獲得
次に見込み顧客となる層を増やす際に効果的な点です。
見込み顧客とは「将来顧客となる可能性がある」層の顧客であり、完璧に顧客となるわけではありませんが重要なポジションとなります。
ダイレクトマーケティングではその見込み顧客を獲得するため、まだ無関心だという層に効率的にアプローチができます。
顧客の育成(ナーチャリング)
先ほどの見込み顧客を獲得できたら、次は顧客化まで育成させる必要があります。
ナーチャリングとは育成するという意味であり、よくリードナーチャリングなどと一緒に使われることが多いです。
見込み顧客を顧客に育成することを指しますので覚えておきましょう。
ダイレクトマーケティングではその育成をニーズに合わせた方法で行うことができます。
顧客活性によるリテンションマーケティング
One to Oneにより個別の顧客にアプローチすることができますので、うまく活用するとリピーターとなる顧客を獲得できます。
リピーターはそれほど必要なのかと思われるかもしれませんが、売上アップのためには新規の顧客だけでなく既存顧客のリピート率も重要となります。
そしてダイレクトマーケティングでは「○○様専用」などの特別感をうまく活用していくことができますのでリピーター獲得に有効でしょう。
チラシ・ポスティング代行会社の比較はこちら。
ダイレクトマーケティングの業界別事例
具体例があればどのようなものかイメージをしやすいと思いますので、実際のダイレクトマーケティング事例を見ていきましょう。
大手化粧品メーカー
まずはチラシを活用した事例の紹介ですが、こちらの大手化粧品メーカーでは何回もテストを実施することにより月間2,000件もの顧客を紙媒体から獲得することに成功しています。
方法も難しいものではなく何個もパターンを試してレスポンス率が高いチラシを改良していくことにより実現させています。
繰り返しの改善が成功につながっていますね。
健康食品通販会社
こちらはwebサイトの広告に力を入れており「顕在顧客」の獲得を効率的に行っていました。
またその他に「潜在顧客」を獲得するため興味を引かれやすいバナーやテキストを作成し(クイズや悩みの相談)ダイレクトマーケティングを成功させています。
様々な方法を試してPDCAを高速に回していることが成功につながっているようですね。
大手スーパーマーケットチェーン
大手スーパーマーケットでは大量のデータを活用することによりランキングの作成や在庫管理の最適化を実現させています。
ビッグデータの活用となり最新の技術の適用となりますが専用のシステムを販売している会社もありますのでそちらを利用したようですね。
また在庫管理の最適化に伴い価格の変更も行っています。
学校法人
少し特殊な例となるかもしれませんが学校法人でもオープンキャンパスの来場者、志望者数を増やすためにダイレクトマーケティングを活用しています。
主な方法はダイレクトメールやSNSでの拡散欲求の刺激、持参することにより特典をもらえる招待状を配布することであり十分に効果を発揮しています。
こちらは学校法人での施策とはなりますが企業でも活用できると思います。
デジタル時代のリテンション・One to Oneマーケティング戦略
徐々にまとめに入っていきますが現在のデジタル時代ではダイレクトマーケティングは存分に効果を発揮することができるでしょう。
### “個客”に応じたOne to Oneアプローチ
デジタル時代ではOne to Oneマーケティング戦略をとりやすくなっており、結果を見てしっかりとフィードバックができると効果を感じやすくなっています。
また個別にアプローチできるという点が顧客にとっては非常に有効なため、興味を引くデザインやキャッチコピーなどを積極的に活用しましょう。
カギを握るデータ活用
これからはデータの活用がカギを握ることになり、どの企業でも活用しなければいけない時代がくるかもしれません。
それほどデータ、ビッグデータの活用は重大であり現在でも購入履歴や行動パターンから最適化を行っている企業は多くなっています。
EC事業グロースのカギはリテンションマーケティング
既存顧客に対しての活動となるリテンションマーケティングも重要となります。
新規の顧客の獲得と既存の顧客へのアプローチですと既存顧客へアプローチする方が5倍ほどコストを低くすることができます。
もちろんその限りではありませんが多くの事業では当てはまると思われます。
またこれからもネットは普及し進化を続けていきますのでダイレクトマーケティングの可能性も広がっていくでしょう。