高額商品を扱う店舗にとって、分割払いやボーナス払いは売上向上の重要な手段です。しかし、人気の決済サービス「Square」は、これらの支払い方法に対応しているのでしょうか。
この記事では、Squareの分割払い・ボーナス払い対応状況と、実質的に分割払いを実現する4つの方法を詳しく解説します。代替サービスとの比較や注意点も含めて、あなたの店舗に最適な決済方法を見つけてください。
Squareは分割払い・ボーナス払いに対応している?【結論】
Squareは対面決済で分割払い・ボーナス払いに対応していませんが、オンライン決済機能を活用することで実質的な分割払いが可能です。
対面決済は一括払いのみ
Squareの決済端末を使った店頭での対面決済は一括払いのみとなっています。お客様がクレジットカードで支払う際、分割払いやボーナス払いを選択することはできません。
これは多くの小規模事業者向け決済サービスに共通する特徴で、システムの簡素化とコスト削減を優先しているためです。店頭でお客様から「分割払いにしたい」と言われても、Square端末では直接対応できないのが現状です。
ただし、お客様側で後からクレジットカード会社に連絡して、支払い方法を分割払いやリボ払いに変更してもらうことは可能です。この場合、店舗側での特別な手続きは不要ですが、お客様に手数料が発生する点を説明しておく必要があります。
オンライン決済で実質的な分割払いは可能
一方、Squareのオンライン決済機能を使えば、実質的な分割払いを提供できます。Square請求書、Squareサブスクリプション、Squareリンク決済といった機能を活用することで、お客様の支払い負担を軽減できるのです。
これらの方法は厳密には分割払いではありませんが、お客様にとっては同様の効果を得られます。特にSquare請求書の支払いスケジュール機能は、通常のクレジットカード分割払いと違ってお客様に手数料がかからないため、お客様にとってもメリットがあります。
Squareで実質的な分割払い・ボーナス払いを行う4つの方法
Squareで分割払いのような支払い方法を実現するには、オンライン決済機能を活用した4つの方法があります。まずは各方法の特徴を比較してみましょう。
方法 | 店舗手数料 | 客手数料 | メリット | デメリット |
1. カード会社変更申請 | なし | 年率15%前後 | 店舗作業不要 | 客負担大・ボーナス払い不可 |
2. Square請求書 | 3.25% | なし | 客負担なし | 店舗手数料高・メール必要 |
3. Squareサブスク | 3.6% | なし | 自動引落 | 最高手数料 |
4. Squareリンク | 3.6% | なし | SNS対応 | 最高手数料 |
それぞれの特徴と使い方を詳しく見ていきましょう。
1. 顧客側でカード会社に分割払い・リボ払い変更を申請してもらう
最もシンプルな方法は、お客様に支払い後の変更を案内することです。多くのクレジットカード会社では、一括払いで決済した後でも分割払いやリボ払いに変更できます※3。
お客様がカード会社のWebサービスや電話で手続きを行えば、店舗側での追加作業は不要です。ただし、変更可能な期限や手数料はカード会社によって異なるため、詳細はお客様自身で確認してもらう必要があります。
この方法の注意点は、ボーナス払いには変更できないクレジットカードが多いことです。また、分割払いやリボ払いには年率15%前後の手数料が発生するため、お客様の負担が重くなる可能性があります。
2. Square請求書の支払いスケジュール機能を活用する
Square請求書の支払いスケジュール機能は、最も実用的な分割払い代替手段です。商品やサービスの総額を決めて、複数回に分けて請求書を送信できます。
例えば、10万円の商品を2回に分けて支払ってもらう場合、1回目に5万円、1か月後に残りの5万円の請求書を送信します。お客様は都合の良いタイミングで支払いができ、通常の分割払い手数料もかかりません。
この機能は本来、フリーランスや小規模事業者が契約金の一部を前払いで受け取る際に使用するものです。しかし、店頭での高額商品販売でも十分活用できます。お客様のメールアドレスさえ分かれば、その場で請求書を作成・送信できるため、対面販売でも実用性があります。
ただし、Square請求書の決済手数料は3.25%となっており、対面決済の2.5%(ディスカウントプラン適用時)よりも高くなる点は注意が必要です。
3. Squareサブスクリプション機能で定期支払いを設定する
Squareサブスクリプション機能を使えば、自動的な定期支払いが可能になります。お客様の同意を得て、指定した期間に自動的にクレジットカードから引き落としを行います。
例えば、12万円の商品を月額1万円ずつ12回に分けて支払ってもらうといった使い方ができます。お客様が毎回請求書を確認する手間がなく、店舗側も確実な回収が期待できるメリットがあります。
ただし、Squareサブスクリプションの決済手数料は3.6%と、他の方法よりもさらに高くなります。高額商品で利用する場合、手数料負担が大きくなる可能性があるため、事前に収益性を検討することが重要です。
4. Squareリンク決済のサブスク機能を利用する
Squareリンク決済は、決済用のリンクを作成してお客様に送信する方法です。メールだけでなく、SNSのDMなどでも送信できるため、連絡手段の選択肢が広がります。
この機能でも定期的な支払い設定が可能で、実質的な分割払いとして活用できます。特に若い世代のお客様には、メールよりもSNS経由の方が利用しやすい場合があるため、顧客層に応じて使い分けると効果的です。
ただし、決済手数料はSquareサブスクリプションと同じく3.6%となります。手軽さを重視するか、手数料を抑えるかでSquare請求書と使い分けることをおすすめします。
分割払い・ボーナス払いに対応しているSquare以外の決済端末一覧
Squareでは対面決済の分割払いができないため、本格的な分割払い・ボーナス払いが必要な場合は他社サービスを検討する必要があります。
主要決済サービスの分割払い・ボーナス払い対応比較
現在市場で提供されている決済サービスの中で、分割払い・ボーナス払いに対応しているのは限られたサービスのみです。stera pack、PAYGATE、STORES決済、PayCAS Mobileが主要なサービスとなります。
stera packは三井住友カードが提供するサービスで、VISA・Mastercard・JCBでの分割払い・ボーナス払いに対応しています。初年度は月額料金が無料で、決済手数料も1.98%からと業界最安水準を実現しています。ただし、2年目以降は月額3,300円がかかるため、売上条件を満たして永年無料にできるかが重要になります。
PAYGATEは豊富な支払い方法に対応しており、ボーナス払いとリボ払いの併用も可能です。端末代金が期間限定で無料になるキャンペーンを頻繁に実施しているため、初期費用を抑えて導入できます。月額料金は3,300円で、決済手数料は1.98%からとなっています。
STORES決済はVISA・Mastercardの分割払い・リボ払いに対応していますが、ボーナス払いには対応していません。月額料金0円のプランもあり、小規模な店舗でも導入しやすいサービスです。ただし、分割払いは基本的に2回払いのみとなっている点は注意が必要です。
PayCAS Mobileはソフトバンク系列のサービスで、VISA・Mastercardの分割払い・ボーナス払いに対応しています。SIMカードを内蔵した端末のため、Wi-Fi環境がない場所でも利用できる特徴があります。
一方、SquareやAirペイは分割払いに対応していません。これらのサービスは導入の手軽さや月額料金の安さが魅力ですが、分割払いが必要な業種では物足りない場合があります。
Squareに限らず分割払い・ボーナス払い導入時の注意点とリスク
分割払いやボーナス払いを導入する際は、売上の入金タイミングや手数料負担など、いくつかの注意点があります。事前に理解しておくことで、資金繰りの問題を避けられます。
入金サイクルが長くなるリスクとボーナス払いの入金タイミング
ボーナス払いで最も注意すべきは、売上の入金が大幅に遅れることです。通常の一括払いでは2-3営業日で入金されますが、ボーナス払いの場合は最大6-7か月後になります。
例えば、12月にボーナス払いで売上があった場合、実際の入金は翌年の夏(8月頃)になります。高額商品の売上が多い時期にボーナス払いの比率が高いと、資金繰りに大きな影響を与える可能性があります。
PAYGATEでは、夏季ボーナス払い(12月16日~6月15日の決済分)が8月15日、冬季ボーナス払い(7月16日~11月15日の決済分)が翌年1月15日に入金されます。stera packも同様に、ボーナス払い分は毎年1月と8月にまとめて入金される仕組みです。
対応可能な決済ブランドと制限事項
すべてのクレジットカードブランドが分割払い・ボーナス払いに対応しているわけではありません。一般的に、VISA・Mastercard・JCBは分割払い・ボーナス払いに対応していますが、American Express・Diners Club・DISCOVERは一括払いのみの場合が多くなります。
また、海外発行のクレジットカードは、対応ブランドであっても一括払いのみに制限される場合があります。外国人観光客の多い店舗では、この点を事前に説明しておく必要があります。
さらに、同じカードブランドでもカード会社によって対応状況が異なる場合があります。お客様から「分割払いができない」と言われた場合は、カードの種類や発行会社を確認することが重要です。
業種による分割払い・ボーナス払いの利用制限
業種や取り扱い商品によっては、分割払い・ボーナス払いが利用できない場合があります。特に、効果の個人差が大きいサービスや、科学的根拠の乏しいサービスは制限対象になりやすくなります。
主な制限対象業種は以下の通りです。
- エステサロン
- 学習塾
- 占い・姓名判断
- 健康食品販売
これらの業種では「期待した効果が得られなかった」というトラブルが起きやすく、分割払いやボーナス払いを認めると返金問題が複雑化するためです。
主な対応可能業種はこちらです。
- 家電量販店
- 家具店
- ジュエリーショップ
- アパレル
上記のような商品の価値が明確な業種では問題なく導入できます。自分の業種が制限対象になるかどうかは、決済サービス会社に事前に確認することをおすすめします。
分割手数料の負担者と返金処理の複雑化
分割払いを導入する際は、手数料負担と返金処理の複雑さも考慮する必要があります。通常のクレジットカード分割払いでは、お客様が年率12-15%程度の手数料を負担します。
Squareのオンライン機能を使った実質分割払いでは、店舗側が通常より高い決済手数料を負担することになります。Square請求書は3.25%、Squareサブスクリプションは3.6%と、対面決済の2.5%より1-1.1%高くなります。
また、分割払いで商品を販売した後に返品・返金が発生すると、処理が非常に複雑になります。お客様がすでに数回分を支払済みの場合、カード会社との調整や返金方法の決定など、多くの手間がかかります。
返金リスクを軽減するため、分割払いでの販売時は返品・交換条件を明確に定めておくことが重要です。「商品に不備がある場合以外の返品は不可」といったルールを事前に説明し、トラブルを防ぐ工夫が必要です。
Squareの分割払い・ボーナス払いに関するよくある質問
Square利用者から寄せられる分割払い・ボーナス払いに関する疑問にお答えします。導入前の参考にしてください。
Squareの支払方法別の対応回数は?
Squareの対面決済で利用できる支払方法は、すべて1回払いのみとなっています。
決済方法 | 対応回数 |
ICカード | 1回払いのみ |
タッチ決済 | 1回払いのみ |
QRコード決済 | 1回払いのみ |
電子マネー | 1回払いのみ |
これは対面決済に限った話で、Square請求書などのオンライン決済機能では柔軟な支払いスケジュールを設定できます。ただし、電子マネーやQRコード決済はオンライン機能でも利用できないため、クレジットカード決済のみとなります。
お客様から「なぜ分割払いができないのか」と質問された場合は、Squareはシンプルで低コストな決済を重視したサービスであることを説明すると理解してもらえるでしょう。
Square決済の明細表示とお客様から身に覚えのない請求が来たと連絡がきたときの対処は?
Squareで決済を行うと、クレジットカードの利用明細に「SQ*」に続いて店舗名(カタカナ)が表示されます。例えば、「花屋さくら」という店舗でSquare決済をした場合、「SQ*ハナヤサクラ」のような表示になります。
お客様から「身に覚えのない請求がある」と連絡があった場合は、まず利用日時と店舗名を確認してください。多くの場合、表示名が分からずに混乱しているケースです。
それでも解決しない場合は、お客様にクレジットカード会社への連絡を案内します。不正利用の可能性もゼロではないため、迅速な対応が重要です。