キャッシュレス決済を導入したいけれど、機器の購入費や手数料の負担が大きくて悩んでいませんか?補助金を活用すれば、費用をおさえてスムーズに導入できるかもしれません。でも「制度が多すぎてよくわからない」「申請が難しそう」と感じている人も多いはず。この記事では、2025年に使えるキャッシュレス補助金の最新情報と、初心者でも失敗しない申請方法をわかりやすく解説しています。迷っている方こそ、最後まで読んでください。
キャッシュレス決済導入に使える補助金とは?【2025年最新】
キャッシュレス補助金とは何か?
キャッシュレス補助金とは、店舗がキャッシュレス決済の仕組みを導入する際に発生する「導入費用」や「設備費」などの経費に対して、国や自治体が一部を負担する制度です。多くの補助金制度では、一定の上限額まで補助が受けられ、自己負担を抑えて設備導入ができます。
たとえば、以下のような経費が対象になります。
- クレジットカードやQRコードに対応した決済端末の購入費用
- POSレジシステムの導入費用
- 決済システムに関するクラウドサービス利用料
- インターネット通信回線の整備に関わる費用
- セキュリティ強化や運用に必要な周辺機器の費用
さらに、補助対象の範囲は年々広がっており、2025年時点ではインボイス制度への対応も強く求められているため、「インボイス対応型レジ」や「電子請求書発行システム」なども補助の対象となっています。
国がこの制度を強化している背景には、以下のような目的があります:
- 消費者の利便性向上
- キャッシュレス決済比率の引き上げ(政府目標:将来80%、2024年実績42.8%/経産省2025年3月31日発表)
- インバウンド対応(訪日外国人に向けた決済環境整備)
- 中小事業者の業務効率化支援
- 人手不足対策や非接触型接客の推進
補助金は、単に費用を浮かせるだけでなく、これからの店舗経営に欠かせない「キャッシュレスへの対応力」を強化するための重要な一歩となります。
どんな人・事業者が対象になるの?
キャッシュレス補助金の対象になるのは、主に「中小企業」「小規模事業者」「個人事業主」です。特に、サービス業・飲食業・小売業・美容業など、BtoC(一般顧客向け)ビジネスを展開している事業者に広く活用されています。
主な対象者の例:
業種 | 具体的な店舗や事業 |
飲食業 | カフェ、レストラン、居酒屋、テイクアウト専門店など |
美容・理容業 | 美容室、エステサロン、ネイルサロン、理容室など |
小売業 | アパレルショップ、雑貨屋、文具店、酒屋、青果店など |
サービス業 | クリーニング店、塾、整体院、ペットショップなど |
対象になる主な条件(補助金ごとに異なるが共通している):
- 日本国内で事業を行っていること
- 地域や業種が制度の対象となっていること
- 従業員数が業種ごとの基準を超えていないこと(例:小売業なら5人以下が小規模事業者とされる)
- 法人格の有無を問わず、個人事業主でもOK(ただし、開業届などの証明が必要)
- 過去に補助金不正受給などの違反歴がないこと
- 申請する補助金の目的に合致した計画であること(例:業務効率化、顧客満足度向上など)
新規開業者も対象になる?
はい。開業して間もない事業者でも、要件を満たせば補助金の対象になる場合があります。特にIT導入補助金や自治体の支援制度は、新規開店を支援する目的もあるため、審査項目に「開業時期」を重視しないケースも多いです。
ただし、新設法人や開業直後の個人事業主の場合は、事業の実在性を証明する資料(開業届、事業開始届、店舗の賃貸契約書、Webサイトのスクリーンショットなど)の提出が必要になることがあります。
【早見表つき】キャッシュレス補助金の種類と特徴
キャッシュレス決済を導入する際に使える補助金は、実は一つではありません。国の制度だけでも複数あり、加えて自治体独自の補助制度も存在します。事業規模、業種、導入目的によって最適な補助金は異なります。このセクションでは、2025年時点で申請できる主要な補助金・助成金を、特徴・補助上限額・対象経費とともに一覧で紹介したうえで、各制度を個別に詳しく解説します。
【2025年版】キャッシュレス補助金・助成金 早見表
名称 | 補助上限額 | 補助率 | 対象 | 主な経費 | 特徴 |
IT導入補助金 (インボイス枠) | 5~450万円 | 1/2~3/4 | 中小・小規模企業 個人事業主 | POSレジ クラウド会計 決済端末 | IT導入支援事業者と共同で申請 |
小規模事業者持続化補助金 | 50~200万円 | 2/3 (特例で3/4) | 商工会・商工会議所に 所属する小規模事業者 | 決済機器 HP作成 広告、集客など | 地域の商工会・商工会議所の支援が必須 |
ものづくり補助金 | 100~2,500万円 (従業員数で変動) | 1/2~2/3 | 設備投資により 業務改善を目指す中小企業 | セルフレジ POSシステム | 事業計画重視事業計画重視投資規模が大きい、審査厳しめ |
業務改善助成金 | 最大600万円 | 3/4など(要件により異なる) | 最低賃金引上げと 設備導入を同時に行う事業者 | キャッシュレス機器 券売機、タブレットレジ 自動釣銭機など | 賃上げ+設備投資のセット労働局または監督署に申請、事前相談推奨 |
観光・インバウンド向け補助金 | ~数百万円地域により異なる (例:100万円) | 制度により異なる | 観光地・商店街の外国人対応が必要な店舗 | 外国語対応端末 インバウンド機能 | 観光庁や都道府県が主導地域DMOや自治体と連携が必要 |
自治体の補助金 | 例:10万円~30万円前後 | 制度により異なる | 各市区町村に所在する事業者 | 決済機器 タブレット 設置工事費など | 自治体のHPや商工課などで告知 |
IT導入補助金|申請しやすく少額投資の補助におすすめ:補助額5万円~
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者向けの支援制度で、キャッシュレス決済端末やPOSレジや決済ソフト、在庫管理システムなどのITツールを導入する事業者を支援する制度です。2025年度は「インボイス枠」が新設・強化され、キャッシュレス端末や請求ソフトも対象に追加されました。
5万円〜450万円までの範囲で補助を受けられ、補助率は1/2または2/3程度。申請のサポートをしてくれる「IT導入支援事業者」と一緒に進めるため、初めての人でも安心です。
活用シーン:
補助対象としては、Square(スクエア)やスマレジなど、クラウドPOSレジを導入してレシート発行・インボイス対応を自動化する場合、機器とソフトの両方に補助が出るケースもあります。
主な対象経費:
- 決済端末(クレカ・QRコード対応)
- インボイス対応POSレジ
- クラウド会計・電子請求ソフト
- 店舗のネット環境整備や連携アプリ
注意点:
- IT導入支援事業者(登録済みの販売会社)と組んで申請が必要
- 「gBizID」の取得と「みらデジ経営チェック」が必須
- 交付決定前の契約・購入はNG
詳しくは:トップページ | IT導入補助金2025
小規模事業者持続化補助金|商工会の支援受ける方におすすめ:上限50万円(条件により枠拡大あり)
この制度は、地域の小さな店舗や事業者が「販路を広げる」ための取り組みに対して支援する補助金で、キャッシュレス決済の導入もその対象に含まれます。補助上限は50万円で、補助率は2/3が一般的です。
この補助金の大きな特徴は、「商工会・商工会議所の支援が必須」である点です。申請の書き方から書類の提出までサポートしてくれるため、書類づくりに不安がある人には最適な制度といえます。
また、条件によっては上限額が100万円に増える「成長枠」などもあり、デジタルツールや決済機器と一緒に集客の仕組みも導入したい場合に活用しやすくなっています。
活用シーン:
たとえば、地方の美容室がキャッシュレス決済に対応するためにタブレットPOSを導入し、さらにその利用を促すチラシやWeb広告を打つ・・・このような取り組みに対して、広告費と機器導入費の両方に補助が出る制度です。
対象となる経費の例:
- 決済端末(Square、Airペイなど)
- レジ周りの改装費
- キャッシュレス導入に伴う広告(チラシ・HP・SNS広告)
- タブレットや周辺機器の購入費
申請時のポイント:
- 商工会・商工会議所の支援が必須(相談しながら書類作成)
- 書類作成に時間がかかるため早めに準備
- 「インボイス枠」「成長分野進出枠」など条件に応じて上限が200万円に
※この補助金の募集は次回未定となっています。第1回〜16回(2024年5月)までが実施されており、過去は年に複数回実施されたこともありますので、注意して確認するようにしましょう。
詳しくは:小規模事業者持続化補助金【一般型・通常枠】 Top
ものづくり補助金|設備投資50万円以上の必要な方におすすめ
ものづくり補助金は、「単なる機器導入」にとどまらず、業務の革新や生産性向上に結びつくような投資を支援する制度です。最低投資額は50万円以上とややハードルは高めですが、その分、補助金額は「製品・サービス高付加価値枠」で最大2,500万円、「グローバル枠」で最大3,000万円と大きく、補助率は原則1/2〜2/3。のが特徴です。
要件として、顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発することとなっており、付加価値の高いサービス提供が前提となります。
キャッシュレス端末の導入だけでなく、POSレジとクラウド在庫管理の連携や、予約管理システム、分析機能つきのマーケティングツールなど、複数の機器やシステムをまとめて導入し、顧客へも新たな価値を提供したいというときに向いています。
新しいチャレンジや他店と差別化した設備投資を考えている法人・中規模事業者にはおすすめの選択肢です。
活用シーン:
- 自動釣銭機付きセルフレジを導入して、人件費を削減したいスーパー
- 無人店舗に対応したキャッシュレス・顔認証決済システムを導入するIoT型小売業
特徴:
- 事業計画書の作りこみが必須
- 「革新性」や「地域貢献性」が問われる
- 自己資金の準備も必要(補助率は2/3~)
補助対象経費:
- システム導入費
- 機器の設置費用、輸送費
- 専門家のアドバイザー費用
詳しくは:トップページ|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
業務改善助成金|賃金引き上げ+設備投資を合わせて実施:高額補助を受けたい方におすすめ
厚生労働省が実施するこの助成金は、キャッシュレス導入などの設備投資だけでなく、「従業員の最低賃金を改善すること」が前提となる制度です。つまり、人件費の見直し(賃金UP)とあわせて、業務を効率化するための機器導入を行うことで補助されます。補助金は最大600万円で、補助率は最大4/5で、元の最低賃金や上げた金額に応じて金額変わります。
券売機やセルフレジなどの導入によって業務がラクになり、時給を上げられる体制を整えた店舗に対して、最大600万円までの補助が支給されるケースもあります。
条件を満たせば、POSレジ・タブレット・自動釣銭機なども対象になり、費用の4/5まで補助されることもあります。従業員を雇っている店舗経営者にとっては、非常にメリットの大きい制度です。
活用シーン:
- 最低賃金+30円の昇給を実施し、それと合わせてキャッシュレスレジを導入することで業務を効率化して無駄を削減
特徴:
- 上限600万円(補助率は最大4/5)
- 賃上げが前提条件のため計画的な給与設計が必要
- 専門家(社労士など)に相談して進めるのが安全
詳しくは:業務改善助成金|厚生労働省
観光・インバウンド向け補助金|観光地・商業地の事業者の方におすすめ
観光庁や観光地域づくり法人(DMO)が推進するこのタイプの補助金は、訪日外国人(インバウンド)対応を目的としたキャッシュレス化を支援するものです。観光地に店舗がある方や、外国語対応や多通貨対応のレジ・端末を導入したい方におすすめです。
例として、地域一体となった観光地のデジタル化や、安心・安全な支払い環境を整える取り組みに補助金が出ることがあります。自治体と連携するケースも多いため、地域ごとの制度をしっかり確認することが大切です。
この制度は、地方の温泉街・宿泊施設・土産店・観光案内所など、地域密着型の事業者が活用しやすいのが特徴です。
活用シーン:
- 外国語対応のレジシステムの導入
- 多通貨対応のクレジット端末
- 翻訳アプリ内蔵タブレットによる接客支援
観光庁や都道府県が主体となって公募することが多く、地域のDMO経由で案内されることもあります。
詳しくは:「インバウンド受入環境整備高度化事業」の公募を開始します | 2025年 | 公募情報 | 観光庁
自治体のキャッシュレス補助金|対象の自治体の方におすすめ
自治体の補助金は、全国一律ではなく、市区町村によって内容・対象・申請時期が異なります。そのため、以下の方法で「最新情報」をチェックすることが大切です。
多くの市区町村でも、独自のキャッシュレス導入補助金を設けています。たとえば「〇〇市キャッシュレス導入支援事業」のように、地元の事業者に向けて、端末の購入や初期設定費用の一部を補助しています。
どの自治体が補助金を出しているかは、市区町村のホームページ、商工会、産業振興課などで確認できます。「キャッシュレス 補助金 ○○市」などで検索すると見つかるケースが多いです。
どの自治体が出している?
例:東京都北区(2025年4月現在)
- 補助内容:キャッシュレス対応端末に10万円までの全額補助
- 補助率:10/10または2/3(機器内容により異なる)
- 申請期間:毎年4月~翌年3月(予算上限に達し次第終了)
自治体の補助金はどう調べればいい?
まずは、事業を行っている自治体を調べましょう。
- 市区町村の公式サイトで検索
例)「〇〇市 キャッシュレス 補助金」「○○市 商業支援制度商業支援」などのキーワード検索
- 都道府県の経済振興課・産業政策課のページを定期チェック
市町村と連携した補助金も告知されています。
- LINEやメールでの通知を利用する
自治体によっては、登録者向けに制度情報をプッシュ通知しています。 - 商工会・商工会議所に電話 or 訪問相談
地域の補助金情報を随時更新しており、チラシや資料を持っていることも多いです。 - 業界団体・店舗機器ベンダーからの案内
また、国の補助金と自治体の補助金を「併用できるかどうか」は制度ごとに異なります。基本的には併用不可が多いですが、導入対象や補助内容が明確に分かれていれば併用可能な例もあります。申請前に必ず事務局に確認するようにしましょう。
こちらのサイトからも検索できます:補助金ポータル|使いたい補助金・助成金・給付金があるなら補助金ポータル
キャッシュレス補助金の申請方法と流れをやさしく解説
補助金を使ってキャッシュレス決済を導入するには、どの補助金を選ぶかだけでなく、正しい手順を踏むことがとても重要です。補助金は「申請すれば必ずもらえるお金」ではありません。要件を満たし、必要な書類を揃え、期限内にしっかりと申請する必要があります。
特に、初めて補助金にチャレンジする事業者にとっては「手続きが難しそう」「専門知識がないと無理かも」と不安に感じることも多いはずです。しかし、手順さえ理解していれば、意外とシンプルです。この章では、どんな準備が必要で、どうやって申請し、どのように補助金が支給されるのかを、初心者でもわかるように段階的に説明します。
申請前に準備すべき書類と情報
補助金の申請は、まず「準備」がすべてです。ここでつまずくと、その後の申請で不備が出たり、審査に落ちてしまう原因にもなります。
補助金申請に必要な主な準備リスト:
必須項目 | 内容 |
gBizIDプライム | 国の補助金申請に必須の法人・事業者認証アカウント。取得には2週間前後かかる |
開業届または登記簿謄本 | 個人事業主は税務署の開業届、法人は登記簿謄本の写し |
決算書または確定申告書 | 前年度または直近の経営状況を証明するための書類 |
導入機器の見積書 | 補助対象となるPOSレジや決済端末の見積り(2社以上が望ましい) |
事業計画書 | 「なぜこの機器が必要か?」「導入後にどう改善されるか?」を説明する |
支援機関との連携書類 | 商工会・商工会議所、IT支援事業者などとの確認書類や連携証明 |
gBizIDは、オンライン申請ポータル(jGrants)を使う場合に必要なアカウントで、発行までに1~2週間かかるため、早めに取得しておくことが重要です。
また、導入したい機器が補助対象に含まれるかどうかを事前に確認することも忘れないようにしましょう。
書類作成のポイント:
- 自分の店舗の特徴や課題を簡潔に説明すること
- 「キャッシュレス導入でどう変わるか」の効果を数値で書くと説得力がある
- 専門用語を使いすぎない(審査員は事業者目線で見る)
申請から支給までのステップ【図解あり】

補助金は種類ごとに微妙に流れが異なりますが、基本の流れは以下の通りです。
<補助金申請の一般的な流れ>
- 対象補助金制度を選ぶ
- 目的(例:キャッシュレス導入)、条件(業種・従業員数など)を確認
- 自分の店舗が該当する補助金を1~2種類に絞る
- 支援機関などに相談する
- IT導入支援事業者、商工会、社労士、観光団体など
- 書類のひな型やアドバイスを受けながら進めると失敗が少ない
- gBizIDを取得する(必要な補助金のみ)
- オンライン申請用の本人確認ID。紙の申請では不要な場合もある
- 必要書類を準備する
- 開業届、登記簿謄本
- 決算書または確定申告書など
- 事業計画・導入計画を作成する
- なぜ今キャッシュレスを導入するのか?どう効果が出るのか?
- 機器の種類、金額、スケジュールも明確に
- 補助金の申請書類を提出する
- 指定の申請フォームまたは郵送
- IT補助金や持続化補助金は「jGrants」システムを使うことが多い
- 審査→交付決定通知
- 1~2か月程度かかる。合否が出るまで契約・購入してはいけない
- 機器の導入・支払い
- 交付決定後に正式契約・納品・支払いを行う
- その証拠書類(領収書・納品書・写真など)をきちんと保管する
- 実績報告書を提出する
- 導入内容、経費、成果などをまとめて提出
- 写真や運用状況のスクリーンショットが求められることもある
- 補助金の支給(入金)
- 問題がなければ1~2か月後に入金される
- 銀行口座は事前登録しておく
注意点として、交付決定前に発注や契約をしてしまうと補助対象外になる場合があるため、必ず「交付決定通知」を受け取ってから動くようにしましょう。
審査に落ちないための4つのポイント
申請を出したからといって、必ず採択されるとは限りません。特に人気のある補助金制度では競争率も高くなります。補助金の審査では、「この設備投資は本当に必要か?」「事業に効果があるのか?」という点が厳しく見られます。審査で落ちやすいポイントを知っておくことで、採択率を高めることができます。
審査突破のコツ:
1. 目的が明確であること
o 「キャッシュレス決済を導入して、どんな課題を解決するのか」をはっきり書くことが大切です。たとえば「現金管理の手間を減らす」「インバウンド対応で外国人客を増やしたい」など、理由を具体的に示しましょう。
- 経費の妥当性があるかを見せる
- 過度に高額な機器は避け、同等品との比較なども添えると安心
- 業績向上の効果を数字で見せる
- 客単価アップ、回転率向上、時間短縮、従業員の作業時間削減など
- 地域性や社会的意義があること
- 地域密着での貢献や、雇用を守る取り組みなどがあれば、それも盛り込みましょう。補助金は「社会全体の利益」にもつながる事業が好まれます。
補助金申請のために活用できる支援は?
補助金申請は1人で行う必要はありません。制度によっては、申請をサポートしてくれる団体や専門家と一緒に進めるのが前提となっていることもあります。ここでは主な制度と、それぞれの相談窓口をご紹介します。
補助金名 | 主な支援先 | サポート内容 |
IT導入補助金 | IT導入支援事業者 | 登録ツールの提案、申請書作成サポート、実績報告まで代行可 |
小規模事業者持続化補助金 | 商工会・商工会議所 | 経営計画のアドバイス、書類のチェック、申請サポート |
ものづくり補助金 | 認定経営革新等支援機関(税理士・中小企業診断士など) | 計画策定支援、数字面の整合性チェック |
業務改善助成金 | 社労士、労働局 | 賃金計画の作成、助成対象経費の確認、報告書の作成補助 |
自治体補助金 | 市町村の産業振興課 | 制度の案内、提出書類の相談、採択事例の紹介 |
たとえば、IT導入補助金では「登録支援事業者」が制度の説明から導入の見積もり、書類の作成サポートまで行ってくれます。自分にあった支援者を見つけて、一緒に進めることが採択への近道です。
キャッシュレス補助金を利用する際の注意すべき点
キャッシュレス補助金は、導入コストを抑えながら最新の決済環境を整えるための大きな助けになりますが、「申請すれば誰でももらえる」というものではありません。むしろ、ちょっとしたミスや思い込みで補助金を受けられなかったり、最悪の場合は返還を求められるケースもあります。このセクションでは、申請前・申請中・導入後にそれぞれ注意すべき具体的なポイントを、事例を交えてわかりやすく紹介します。
審査があるため、条件をよく確認する
補助金は「申し込めば誰でももらえるお金」ではありません。書類審査や選考があるため、まずは自分が制度の対象要件に該当しているかどうかを正確に確認する必要があります。
公的な税金を使って支援する以上、本当に必要な事業か、効果が見込める取り組みかを慎重に見極めたうえで採択されます。
よくある条件の例:
- 日本で事業を行っていること
· 中小企業・小規模事業者であること(業種や規模によって従業員数や資本金の制限が異なります(例:小売業は常時使用5人以下)
- 対象設備であること:例えば決済端末でも、補助金対象外の型番や業者もある
- 導入目的が明確であること:ただ「キャッシュレスを入れたい」だけでは通りにくい
- 直近で不正受給やペナルティを受けていないこと
審査時に評価されるポイント:
- 地域のキャッシュレス推進に貢献するか(地域経済への波及効果)
- 小規模な資金でも大きな効果を出せそうな内容か
- 自社の課題を的確に捉えているか(例:人手不足→券売機導入)
さらに、制度ごとに独自の条件が加わることもあります。「直近の決算が黒字であること」や「地域に所在していること」「賃金引き上げの実施」など、細かな違いがあるので、公式サイトや支援機関に確認しましょう。
支給までに時間がかかる
交付は事業完了後、キャッシュレス導入の予算は事前に確保
交付決定前に発注できない
補助金は「先にもらえるお金」ではなく、「使ったあとに戻ってくるお金」です。多くの制度では、申請してから審査を経て交付が決まったあとに、初めて機器を発注し、導入・報告を済ませた上で振り込みが行われます。
補助金は申請→交付決定→事業実施→報告→入金というステップを踏むため、お金が実際に振り込まれるまでに数か月かかるのが一般的です。
よくあるスケジュール例(IT導入補助金):
時期 | 内容 |
5月 | gBizID取得、IT導入事業者と打ち合わせ開始 |
6月 | 申請書類作成・提出 |
7月中旬 | 交付決定通知受け取り(この後に発注) |
8月 | 機器の契約・導入・支払い完了 |
9月上旬 | 実績報告書提出 |
10月中旬 | 補助金入金(ようやく現金化) |
この流れには数ヶ月かかることが一般的で、導入時点では自己資金で立て替える必要があります。
また、交付が決まる前に端末を購入・契約してしまうと、補助対象から外れるリスクがあります。「急いで導入したら申請が無効になっていた」という失敗は珍しくありません。焦らずに、交付決定通知をしっかり受け取ってから導入作業を始めましょう。
採択率を上げるために事業計画の質が問われる
補助金は予算に限りがあるため、内容によっては「採択されない」こともあります。採択されるためには、計画書の説得力が非常に重要です。
「なぜキャッシュレス決済が必要なのか?」という部分を、どれだけ具体的に・説得力を持って伝えられるかが重要です。
事業計画書の中身でチェックされること:
· 現在の課題や問題点が明確に書かれている:「現金会計のミスが多く、閉店後の集計に時間がかかっている」
- 導入後の効果や成果が数値や事例で示されている
- キャッシュレス導入による効果:「QRコード決済により、会計時間を平均15秒短縮できる見込み」
- 数値目標の提示:「導入後3か月以内にキャッシュレス利用率30%以上を目指す」
- 「インバウンドの需要に対応するために、英語対応の決済端末とサイネージを導入し、来店客数を15%増加させる見込み」
- 補助対象経費の妥当性がある(高すぎず、現実的な内容)
- 文章が簡潔で読みやすく、図解などを活用している
数字で語れる計画は、審査員の目にとまりやすくなります。可能であれば「導入前と導入後の比較」をグラフなどで見せると効果的です。
不正受給は厳しく取り締まられる
補助金は公的なお金です。不正な方法で申請したり、対象外の経費を報告したりすると、返還命令だけでなくペナルティが科される可能性もあります。
具体的なNG例:
- 実際には導入していない機器を購入したように見せかける
- 領収書や納品書を改ざん・偽造する
- 交付決定前に発注した機器の費用を申請する
- 使っていないのに「導入済み」と報告書を出す
これらはすべて不正受給に該当し、全額返還はもちろん、今後の公的支援制度の利用停止や罰則の対象となる場合もあります。
補助金の返還とならないために押さえるポイント
「補助金が入ったから安心」と思ったら危険です。申請後に「支給されたが、あとで返還しなければならなかった」というケースも存在します。こうした事態を防ぐには、次のようなポイントを押さえておきましょう。
- 事業完了報告書は期限内に正確に提出する
- 購入した機器は実際に稼働していることを証明する(写真や設置記録など)
- 補助対象経費以外の費用を含めない
- 書類の保管をしっかり行う(5年間の保存義務あり)
特に、報告のタイミングと内容の正確さが大きく問われます。事後報告の不備で補助金が返還になるのは、非常にもったいない失敗です。支援機関と連携しながら、丁寧に進めましょう。
事後チェックや報告内容の不備があると、返還を求められるケースもあります。
よくある返還トラブル:
- レジを導入したが実際には使っていなかった → 活用されていないと判断される
- 決済端末をすぐ売却してしまった → 補助金の趣旨に反する
- 報告書に記載した内容と現場の実態が違う → 虚偽申請と見なされる可能性
補助金で導入した機器は、原則として2~3年間の継続使用が求められるケースが多いため、少なくともその期間は保管・運用し続ける必要があります。
早期終了・予算枠切れに注意
補助金には申請期限だけでなく、予算の上限も設定されています。特に「自治体の補助金」や「人気のある国の制度」では、想定より早く締切になることも少なくありません。
たとえば:
- 東京都北区の「キャッシュレス導入補助金」は、例年5月~6月で予算枠が消化される
- IT導入補助金は公募期間が年3~5回あり、1回ごとに予算枠が割り振られる
- 商工会の持続化補助金は毎回10,000件を超える申請があり、採択率が50%以下になることもある
対策:
- 補助金情報は「出たらすぐ申請」が鉄則
- gBizIDの取得や見積もり準備は、前もって済ませておく
- メルマガ登録や商工会・支援事業者からの情報をキャッチする体制を整える
キャッシュレス導入の計画があるなら、「次回でいいか」と先延ばしせずに、今すぐに動くことが最善の対策です。特に自治体補助金は1年限りで終わるケースも多いため、常に最新情報をチェックする習慣を持ちましょう。
よくある質問(Q&A)
キャッシュレス補助金に関する制度は複雑に見えるため、初めて申請する方からはさまざまな疑問の声が寄せられます。ここでは、実際に多くの事業者が抱えている代表的な質問を取り上げ、やさしく・ていねいに回答していきます。
キャッシュレス補助金はどこに申請するの?
補助金の申請先は、制度によって異なります。以下のように整理するとわかりやすくなります。
補助金・助成金名 | 主な申請先・窓口 |
IT導入補助金 | 公式ポータルサイト(https://it-shien.smrj.go.jp/)での電子申請。IT導入支援事業者と一緒に進める必要があります。 |
小規模事業者持続化補助金 | 所属する商工会・商工会議所が申請窓口。電子申請(jGrants)または郵送が選べます。 |
業務改善助成金 | 各都道府県の労働局や労働基準監督署各都道府県労働局雇用環境・均等部室。事前相談が必要です。 |
自治体補助金 | 地域の市区町村(例:産業振興課、商工課など)。自治体のHPや広報誌に募集要項が出ます。 |
観光庁・インバウンド関連 | 都道府県や観光地域連携DMOが申請窓口になっていることが多いです。 |
ワンポイントアドバイス:
初めての申請なら「商工会議所にまず相談」がおすすめです。補助金制度全般に詳しく、別の制度も紹介してくれることがあります。
赤字や開業直後でも申請できる?
はい、多くの補助金では、赤字の事業者や開業して間もない方も対象となっています。補助金の目的は「事業の成長を応援すること」にあるため、黒字経営や長い実績が必須というわけではありません。
たとえば、小規模事業者持続化補助金では、開業届を提出済みであれば、開業1年未満でも応募可能です。また、IT導入補助金や自治体の支援制度でも、事業計画がしっかりしていれば赤字でも採択された事例は多数あります。
ただし、事業の継続性や収益見込みをしっかり説明する必要はあります。開業直後でも、何を目的にキャッシュレス決済を導入するのか、どのような効果があるのかを具体的に伝えることで、十分に審査を通る可能性があります。
特に以下のような状況でも、問題なく申請できます。
OKなケース:
- 開業から3ヶ月しか経っていない個人事業主
- 前年度の決算で赤字だった法人
- 売上ゼロの月がある新設店舗
ただし、審査の際には「将来性」や「経営の見通し」などがチェックされます。そのため、以下のようなポイントを事業計画書に盛り込むと良いです。
- 開業からこれまでの具体的な実績(例:SNSフォロワー数、予約件数)
- キャッシュレス導入による改善効果(例:会計時間の短縮、顧客満足度の向上)
- 今後の販売戦略や集客施策
個人事業主でも使える補助金はある?
もちろんあります。むしろキャッシュレス補助金の多くは、個人事業主や小規模な店舗経営者に向けた制度として設計されています。
たとえば、IT導入補助金は1人で営業している美容師やカフェ経営者などにも採択実績がありますし、小規模事業者持続化補助金でも、個人経営のネイルサロンや接骨院などが多く活用しています。
「法人じゃないと補助金はもらえない」と誤解されがちですが、個人事業主でも開業届を提出していれば対象になります。自分の事業に合う制度を選んで、計画的に進めれば十分に活用できます。
以下は個人事業主でも積極的に活用されている代表的な補助金です。
補助金名 | 個人事業主の利用実績 |
IT導入補助金 | 美容室、整体院、カフェなどの導入事例が多数。SquareやAirペイなどと連携可能。 |
小規模事業者持続化補助金 | 青果店、工務店、ネイルサロンなど幅広く対応。商工会支援が得られる。 |
業務改善助成金 | 小さな飲食店やクリーニング店でも利用実績あり。少人数でもOK。 |
自治体の補助金 | 地域により制度設計が異なるが、個人事業主も対象になることが多い。 |
ポイント:
開業届を出していれば、個人でも法人と同様に申請できます。確定申告書(B様式)や帳簿、請求書類などの準備も必要です。
途中で解約したら返金になる?
はい、原則として補助金は「導入してから一定期間以上運用すること」が前提です。もし途中で機器の利用をやめたり、導入後すぐに店舗を閉めてしまったりした場合は、補助金の一部または全額を返金しなければならないケースがあります。
制度によって「○年間の使用義務」「事業の継続性」が条件として明記されていることもあるため、導入後の運営見通しが立っているかを確認した上で申請を進めるのが安全です。
また、制度終了後も帳簿や証拠書類の保管が求められるため、短期間での廃業や解約は避けるべきです。トラブルを防ぐためにも、導入前に「申請要項」や「交付決定通知書」の内容をしっかり読み込みましょう。
返金が発生するケース:
- POSレジを補助金で導入したのに、1年未満で使用をやめた
- 補助金対象の決済端末を別店舗に移した
- 契約期間を守らず、機器を途中で売却・廃棄した
返金になるかどうかは、補助金ごとのルールにより異なりますが、「導入した機器を十分に活用しなかった」と判断されると返還命令が出ることもあります。
対策:
- 補助対象の機器は、店舗にしっかりと設置・運用し続けること
- 使用状況や利用頻度を記録・保管すること(後日求められる場合あり)
- 解約・転売・移設の前には、補助金事務局に確認を取ること
まとめ|キャッシュレス補助金で導入コストを抑えて、スマートに店舗運営を!
キャッシュレス決済の導入は、いまや「やってもいい選択肢」ではなく、「やっておくべき標準装備」になりつつあります。2025年を迎え、インボイス制度や非接触ニーズの高まり、訪日外国人の増加など、時代の流れがますますキャッシュレス化を後押ししています。
その一方で、「導入コストがネック」「どの機器を選べばいいかわからない」「補助金の制度が複雑すぎる」といった悩みを抱える店舗オーナーや個人事業主も少なくありません。
そこで活用すべきが、「キャッシュレス補助金」です。
キャッシュレス補助金の3つの大きなメリット
- 導入にかかる初期費用の大幅削減
- 端末費用、レジ購入費、ソフトウェア利用料などが補助対象に
- 一部自治体では全額補助もあり、ほぼ無料で導入可能な場合も
- 業務効率の改善と人件費の最適化
- 会計スピード向上で回転率アップ、閉店後の作業時間も短縮
- 自動釣銭機やPOS連携により、少人数でも店舗運営が可能に
- 集客と売上アップへの好影響
- 「PayPay使えます」「カード対応OK」の表示だけで安心感が違う
- インバウンド・若年層・キャッシュレス派など幅広い顧客を取り込める
導入までのステップをおさらい
- 自店舗に合う補助金制度を調べる
- 業種・地域・事業規模により、対象制度が異なるため、自治体と国の両方を確認
- 事前準備をしっかりと行う
- gBizIDの取得、見積書の収集、支援機関との連携がカギ
- 丁寧に計画を練り、早めに申請する
- 審査は「先着順」でなく「内容重視」。他社との差別化を意識
- 交付決定後に発注・支払いを行う
- タイミングを間違えると補助対象外になるので要注意
- 導入後は報告と記録を忘れずに
- 機器の利用実態を示すことで、返還リスクを回避できる
いま動くことが、1年後の差になる
多くの補助金制度は「予算が尽きたら終了」「申請が集中すると早期締切」といったルールがあります。また、申請から実際に補助金が振り込まれるまでには数ヶ月のタイムラグがあるため、「あとでいいや」と先延ばしにすると、タイミングを逃してしまうことになりかねません。
現在は、国のIT導入補助金、持続化補助金、業務改善助成金に加えて、自治体の独自補助金も相次いで登場しています。特に中小・小規模事業者にとっては、これまでハードルの高かったキャッシュレス導入が、現実的な選択肢になってきました。
どんな店舗にもチャンスはある
- 新規開業のカフェでも、Airペイ導入で初期費用ゼロ
- 地方のネイルサロンが自治体補助でレジとタブレットを同時導入
- 従業員3人の美容室が、業務改善助成金で券売機と時短を両立
こうした事例が続々と生まれています。補助金を使えば、小さな個人事業主や新規開業店舗でも、最新のキャッシュレス決済環境を手に入れることができます。
最後に伝えたいこと
補助金制度は、使わなければただの制度です。
使いこなしてこそ、あなたの事業に「投資の余地」と「成長の機会」をもたらします。
これまで「面倒そう」「自分には無理かも」と感じていた方も、この記事を読んで、最初の一歩が踏み出せたなら、それはもう成功の始まりです。
いまこそ、キャッシュレス補助金を活用して、未来につながるスマートな店舗運営を実現しましょう。
次のアクションチェックリスト
✅ 自分が該当する補助金を調べる(国・自治体)
✅ gBizIDや開業届など必要書類を準備
✅ 商工会やIT支援事業者に相談
✅ 見積書や導入計画を具体化
✅ 締切に間に合うよう申請開始!