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店舗・接客業のクレーム対応は初動が大切!最低限抑えたい4つの基本とNG例、店長が気をつけたいこと

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店舗・接客業でのクレーム対応で初動が大切な理由

店舗・接客業におけるクレーム対応では、初動がとても大切です。初動が悪いと、お客さまは「自分の不満を理解してくれていない」「店側が悪いのに何でこんな態度を取られるんだ」と感じ、不満や怒りがさらに大きくなってしまいます。第一印象が悪ければ、後からどんなに良い対応をしても効果は薄いでしょう。

インターネットとスマートフォンが普及し、いつでも誰でも情報発信ができるようになった現代において、クレーム対応の重要度は高まりました。クレームへの対応が悪いと、そのお客さまや周りで対応を見ていたお客さまからの印象が悪くなるだけでなく、そのことをインターネットに書き込まれてしまうかもしれません。

SNSでお店の悪評が拡散されたり、口コミサイトにネガティブなレビューと低評価が付いたり、店舗にとってさまざまなリスクが考えられます。特に口コミサイトの平均レビュー(星の数)が小さくなれば、それだけで来店候補から外されてしまうこともありえます。

クレーム対応が悪いと、新規・リピーターともにお客さまを獲得しづらくなり、経営に悪影響を及ぼすでしょう。

【業種別】店舗・接客業でよくあるクレーム事例と対応・防ぎ方

接客業ではどんなクレームが発生するのか、業種別のよくあるクレーム事例を紹介します。

飲食店

飲食店では次のようなクレームがよく起こります。

  • 異物混入
  • 食器やテーブルの汚れ
  • 味に対する不満、違和感
  • 食中毒
  • 接客態度
  • オーダーミス
  • 金銭授受のミス など

異物混入や食器やテーブルの汚れ、接客態度などは、普段から気をつけることでクレームの発生数自体を抑えられるでしょう。オーダーや金銭授受のミスはただ気をつけるだけでなく、仕組み化やITツールの活用で大幅に数を減らせます。

食中毒はクレームに留まらず、治療費や慰謝料の請求、営業停止などにまで発展することもありえます。そもそも発生しないよう気をつけることはもちろん、迅速に、適切な対応を取らなければなりません。決してごまかすようなことはせず、お客さまから症状や来店日時などを聞き取り、医療機関の受診を促しましょう。

小売店

小売店では次のようなクレームがよく起こります。

  • 接客態度
  • 金銭授受のミス
  • ラッピングに関するクレーム
  • 商品に関するクレーム など

特にアパレルや宝飾店などの「販売員が積極的に接客するタイプの店舗」では、単純な態度の良し悪しはもちろん、「押し付けがましい接客」をしないよう気をつけなくてはなりません。

商品を押し売りするような態度・提案はもちろん、会員カードの無理なおすすめにも気をつけましょう。販売金額や会員獲得数(特に会員カードにクレジット機能が付いている場合)によるインセンティブがあるお店では、押し売りのようなことが起こりやすいです。

商品に関するクレームでは、商品の不具合や壊れなどに関するものがよく見られます。入荷時にしっかり検品を行い、クレームを未然に防ぎましょう。

サービス業(サロン、教室など)

サロンや教室などのサービス業では、次のような接客がよく起こります。

  • 予約に関するクレーム
  • 受付に関するクレーム
  • 施術に関するクレーム など

予約に関するクレームでは、「電話がなかなかつながらない」「予約が取りづらい、なかなか取れない」「予約が入っていなかった」などがよく起こります。

予約電話が殺到するのはお店にとってありがたいことですが、いつ電話しても話中でつながらないようではお客さまの不満は募るばかりです。予約の取り逃しによる機会損失も起こります。Web予約システムや予約電話の受付代行サービスなどを活用し、予約しやすい環境をつくりましょう。

Web予約システムや予約電話の受付代行サービスについては、下記の記事で紹介しています。

Web予約システムが気になる方はこちら

予約電話の受付代行が気になる方はこちら

受付に関するクレームでは接客態度や情報共有に関する内容がよく見られます。スタッフ間で接客態度の差をなくすこと、ITツールを活用して情報共有の抜け漏れが起こりづらい環境をつくることが大切です。

施術に関するクレームでは、「力が強すぎる」「オイルなどの拭き取りが甘い」「担当者の手が冷たい」などがよく見られます。細部にまで気を配ることで、これらのクレームを防ぎましょう。

また、サロンにしろ教室にしろ、これらのサービス業ではお客さまとスタッフの距離が近いです。スタッフは「お客さまと仲良くなろう」「少しでも楽しいと感じもらいたい」という気持ちでお客さまに話しかけたくなるものですが、中には「静かに、リラックスして施術を受けたい」「人と話すのが苦手」というお客さまもいます。お客さまの様子をよく見て、適切な距離を保つことが大切です。

店舗・接客業におけるクレーム対応・4つの基本

業界・業種別のよくあるクレームと、その対応・防ぎ方を紹介してきましたが、店舗におけるクレーム対応の基本は業界を問わず同じです。店舗・接客業におけるクレーム対応で最低限覚えておきたい、4つの基本を紹介します。

基本1.お客さまの話を傾聴し、真摯に受け止める

店舗・接客業におけるクレーム対応の基本1つ目は、「お客さまの話を傾聴し、真摯に受け止める」ことです。

クレームを出すとき、お客さまには「不満を解消してほしい」という気持ちと、「不満を受け止めてほしい」という気持ちがあります。まずはお客さまの話にきちんと耳を傾け、真摯な態度で受け止めることが大切です。

ここでは「傾聴」を意識するといいでしょう。傾聴とは、相手の立場や気持ちを想像しながらその話に深く耳を傾けることです。耳だけでなく、目線や身振り手振りなど、全身を使って話を聞いていることを表します。

オーバーなリアクションは禁物ですが、お客さまの気持ちになり、話を聞いていることを態度で示すことが大切です。

基本2.内容にかかわらず、まずは「不快な思いをさせたこと」を謝罪する

店舗・接客業におけるクレーム対応の基本2つ目は、「内容にかかわらず、まずは不快な思いをさせたことを謝罪する」ことです。

クレームの中には理不尽なもの、誤解によるものもあるでしょう。しかし、どんな内容のクレームであっても、お客さまが不快な思いをしたことは事実です。そんな気持ちにさせたことを、まずは謝罪しましょう。

たとえクレームがお客さまの誤解によるものだったとしても、不快にさせたことに対する謝罪がないと、「言い訳ばっかり」と感じられてしまうかもしれません。

基本3.具体的な解決策や対応を提案する

店舗・接客業におけるクレーム対応の基本3つ目は、「具体的な解決策や対応を提案する」ことです。

クレーム対応では、まずは何よりも謝罪することが大切です。しかし、謝罪ばかりを延々とくり返していても仕方ありません。お客さまは「平謝りばっかりで何もしてくれないんだな」「謝り続ければ、そのうちこちらが折れると思っているのかな」と感じ、逆効果になってしまうでしょう。

具体的な解決策や対応がすぐに思いつかない、自分では判断できないなら、マニュアルを確認したり店長やアルバイトリーダーに相談したりしてください。

この際、いきなりその場から立ち去らないよう気をつけましょう。まずは不快な思いをさせたことに対する謝罪をし、お客さまの言い分をよく聞き、必要に応じてメモしてください。聞き忘れ・メモし忘れで何度も確認をするようでは、お客さまの不満や不安は膨らんでいってしまうでしょう。

基本4.最後にもう一度謝罪し、意見を伝えてくれたことに感謝する

店舗・接客業におけるクレーム対応の基本4つ目は、「最後にもう一度謝罪し、意見を伝えてくれたことに感謝する」ことです。

クレーム対応が無事終了したら、最後にもう一度お客さまに謝罪し、「意見を伝えてくれたこと」に対する感謝を伝えましょう。

クレームを伝えることには勇気がいります。お客さまは「こんなことで文句を言うなんて面倒くさい人だな、と思われたら嫌だな」「行きつけのお店なのに、通いづらくなったらどうしよう」といった不安を乗り越え、貴重な意見をくれたのです。「もっと良いお店にしてほしいから」という気持ちでクレームを伝えてくれるお客さまも少なくありません。

お客さまからのクレームは、より良いお店づくりをするためのヒントになります。感謝の気持ちを忘れず真摯に対応し、意見(クレーム)を取り入れ改善することが大切です。

中には悪質なクレーマーのような人もいるかもしれませんが、真摯な対応を続けることで、このような人も心を開いてくれるかもしれません。もちろん、理不尽なクレームをすべて受け入れる必要はありませんが、「悪質クレーマー」だと思っていたお客さまが「お店のファン」へと変わることは、スタッフにとってもオーナーにとっても嬉しく、お店の利益にもなることです。

こんな対応はNG!クレーム対応でやってはいけない4つのこと

クレーム対応の基本と併せて覚えておきたい、「絶対にやってはいけない4つのこと」があります。お客さまの不満や怒りをヒートアップさせないためにも、クレーム対応を見ている周りのお客さまを不快にさせないためにも、しっかり頭に入れておきましょう。

NG例1.大前提として、勝手な対応をしてはいけない

大前提として、クレーム対応で勝手な判断をしてはいけません。オーナー自ら対応をする場合は別ですが、アルバイトは正社員や店長の指示に、店長はオーナーや本部の指示に従わなければなりません。

もちろん、これら上長にあたる相手に何でも確認しなければいけないわけではありません。マニュアルで決まっていることは、それに沿って対応するといいでしょう。

しかし、自分では判断できないこと、店長やマネージャーといった役職の裁量を超えた対応が必要になることもあります。

クレーム対応中はパニックに陥りやすいですが、それが自ら対応・判断していいことなのかを冷静に考えましょう。

NG例2.理不尽な内容でも反論してはいけない

クレームの中には理不尽な内容のもの、お客さまの誤解によるものもあります。しかし、だからといって反論するのは避けた方がいいでしょう。

それがどんなに正しい意見でも、お客さまの頭に血が上っていれば「口答えされた」「わかってもらえない」と感じてしまいます。まずはお客さまの気持ちを受け止め、不快な思いをさせたことを謝罪してから、お客さまが嫌な気持ちにならない言葉でお店側の言い分を伝えましょう。

ここでは「でも」「だって」「ですが」などの「D言葉」を避け、「失礼いたしました」「そのとおりです」「承知しました」などの「S言葉」を心がけるといいでしょう。

NG例3.「たらい回し」と感じさせてはいけない

クレーム対応では、店長やオーナー・本部などへの確認が必要になることもあります。これらのマネジメント・経営層が直接対応しなければならないこともあるでしょう。クレーム対応で勝手な判断・対応をしてはいけないのは先述のとおりです。

しかし、お客さまに「たらい回し」と感じさせるような対応もまた、してはいけません。たらい回しはお客さまをさらに不快にさせてしまいます。対応する人が変わるたび、伝言ゲームのように情報が間違って伝わっていき、話がこじれることも考えられます。

お客さまからのクレームを受けたら、まずはクレームを受けた本人が話をしっかり聞くこと。自分で判断・対応できる内容なら自分で対応することが大切です。クレームを受けた本人で判断できないことでも、店長やオーナーなどの上長に判断と対応方法を仰ぎ、最後まで同じ人が対応するのがベストです。

本人だけでの対応が難しいようなら、対応できる人に同席してもらう(または本人同席で別の人に対応してもらう)か、確実に対応できる人に対応を代わってもらうといいでしょう。一番良くないのは、「担当者がころころ代わること」です。

NG例4.少なくとも店内では「クレーム」という言葉は使わない

クレームが発生し、店長やマネージャーなどに相談するとしても、「クレームがありました」などと言ってはいけません。最低でも、お客さまのいる店内ではクレームという言葉を使わない方がいいでしょう。事務所であっても店舗スペースに声が漏れる恐れがあるなら、クレームと言ってはいけません。

クレームという言葉にはネガティブな印象があります。お客さまは「クレーマー扱いされている」と、さらに嫌な気持ちになってしまうでしょう。周りで対応を見ているお客さまも同じで、「あのお客さんの意見は正しいのに、クレーマー扱いする店なんだな」と感じてしまいます。

「クレーム」という言葉は、「ご意見」「ご指摘」などと言い換えましょう。

店舗・接客業におけるクレーム対応で、店長が気をつけたいこと

店舗・接客業におけるクレーム対応は、多くの場合、アルバイトスタッフが対応することになります。最終的には店長やオーナーが対応するとしても、お客さまは店内にたくさんいるアルバイトスタッフの誰かに声をかけるでしょう。

先述のとおり、クレーム対応では初動が大切です。店長・オーナー・本部の判断・対応が必要になることもあります。これらのマネジメント・経営層が気をつけたい3つのことを紹介します。

アルバイトにクレーム対応を任せない

何よりもまず、クレーム対応をアルバイトに任せきりにしてはいけません。アルバイトで対応できることなら任せても構いませんが、そうでないケースもあります。そんなとき、勝手な判断で対応をされてしまってはクレーム拡大の恐れがあります。勝手に特別対応をされ、それ以降も同じ対応をしなければならなくなることも考えられます。

クレームは受けた本人が最後まで対応するのがベストですが、本人にすべてを委ねてはいけません。アルバイトが対応できる範囲を明確にすること、そのための判断基準を設けることが大切です。

事前に対応マニュアルを作っておく

クレーム発生に備え、あらかじめ対応マニュアルを作っておきましょう。同じ業界・業種でよくあるクレームをピックアップし、それぞれへの対応をマニュアルにまとめます。マニュアルにないクレームが起きたら、その都度マニュアルに追加しましょう。複数の店舗があるなら、店舗間での情報共有も大切です。

マニュアル対応ではスピード感も重要です。スタッフが覚えやすく確認しやすいよう、クレーム対応用のマニュアルは通常業務のマニュアルと分け、取り出しやすい場所に保管おきましょう。必要な情報をすぐに見つけられる、どう対応すればいか一目でわかるよう、目次をつけたりチャートマップや箇条書きを使ったりするのもおすすめです。

必要に応じて電話をしたり謝罪文を送ったりする

アルバイトスタッフでは対応できないクレームが、店長やオーナーがいないときに起こることもあるでしょう。対応が数日にわたり長引くケースもあります。

お客さまにひとまず帰ってもらうようなケースでは、お客さまに再び店舗まで来てもらわなくて済むよう、電話やメールを活用しましょう。

規模の大きなクレーム、お客さまの怒りがヒートアップしてしまったケースでは、後日謝罪文を送るのも有効です。

店舗・接客業のクレーム対応は初動が大切!マニュアルを作り、スタッフが冷静に対処できる環境を

店舗・接客業では、誰がクレーム対応をするかがわかりません。その日入社したばかりの新人に、お客さまが偶然声をかけることもあるでしょう。

クレーム対応ではとにかく初動が大切です。店舗では電話のように保留をしたり、メールやチャットのようにじっくり確認してから返信をしたりすることはできません。店舗におけるクレーム対応では、とかくパニックが起こりやすいです。

スタッフが冷静に対処できるよう、見やすくわかりやすい「クレーム対応マニュアル」を作っておきましょう。特におすすめなのがITツールを活用したデジタルマニュアルです。紙と違って「検索」ができるデジタルマニュアルなら、必要な情報をすぐに見つけられるでしょう。

実店舗・接客業におすすめのマニュアル作成ツールはこちらの記事で紹介しています。ツール導入のメリットや便利な活用方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社に入社し、事業企画として業務を担う。また、兼務でグループ会社であるマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月よりこれまで副業で経営していたステップ・アラウンド株式会社を独立させる。
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