決済代行会社の選び方の軸となるのは、決済手段や手数料だけではありません。継続課金への対応、管理機能や入金サイクルは自社に合っているかなど、さまざまな要素を比較することが必要です。決済代行会社の選び方を7つのポイントに分けて解説します。
決済代行会社を活用するメリット
決済代行会社を活用する主なメリットは次の通りです。
- 複数の決済手段を少ない手間で導入・運用できる
- 決済機関の比較や手数料の交渉を代行してもらえる
- 1つのシステムで入金や契約を一元管理できる
- セキュリティやシステムの保守を代行してもらえる
決済機関と個別契約していたのでは、決済手段を導入するたびに手続きをくり返さなければなりません。締め日や入金日、管理システムもバラバラで、管理や状況把握が煩雑になるでしょう。
決済代行会社を活用すれば、契約も管理も一本化できます。複数の決済手段をスムーズに導入・運用できるため、「集客や客単価アップ」「未回収リスクの軽減」などの決済手段を充実させることによるメリットも享受しやすくなります。
決済代行会社を活用するデメリット
決済代行会社を活用するデメリットは、決済機関と代行会社で費用が二重にかかることです。
ただし、決済機関と個別契約をする場合、手続きや管理が煩雑になります。その分人件費も膨らみやすく、代行会社に支払う費用以上のコストがかかることもあり得ます。
先述の通り、決済機関の比較や手数料の交渉まで代行してもらえるのも大きなメリットです。自社にとって最も費用対効果の高い決済機関を選んでもらえること、プロに手数料の交渉をしてもらえることは、コストカットにつながります。
決済代行で導入できる決済手段は?
決済代行で導入できる決済手段(オンライン決済)には次のようなものがあります。
決済手段 | 内容 |
クレジットカード | 現金以外では最も普及している決済手段。 最低でもクレジットカード決済は導入しておきたい。 |
デビットカード | 利用した金額を、紐付けられた銀行口座から即座に引き落とすカード。 |
銀行決済 | 商品の注文後に口座振込やATM払いをする決済手段。 |
キャリア決済 | 携帯キャリアのID・パスワードと連携した決済手段。 利用金額は翌月の携帯料金と合算請求される。 |
ID決済 | クレジットカードや電子マネーと連携した決済手段。 ID決済に対応した電子マネーは多く、 複数の決済手段を導入するのと近い効果がある。 |
電子マネー | プリペイド(前払い式)と後払い式がある。 スマホひとつで支払いができる、 ポイントがつくものも多いなど利用者にとってのメリットも多い |
後払い決済 | 商品の購入・受け取り後にコンビニや銀行などで代金を支払う。 利用金額は合算して翌月に支払えるため、 手元にお金がなくても利用できる。 |
自社のビジネスモデルに適した決済手段を導入することで、集客や客単価アップなどの効果が見込めます。導入すべき決済手段を見極め、それに対応した決済代行を選びましょう。
決済代行会社を探す前に考えておきたい3つのこと
決済代行会社を探す前に、そもそも代行が必要なのか、自社のビジネスモデルに合った決済手段は何なのかを考えなくてはなりません。代行会社を選ぶ軸となる3つのポイントを紹介します。
決済代行が本当に必要なのかを考える
まずは、決済代行が本当に必要なのかを考えましょう。導入したい決済手段がわずかであれば、個別契約でも管理できるかもしれません。
決済代行はオンライン決済のたびに手数料がかかります。サービスによっては初期費用や月額料金がかかることもあるでしょう。現金払いがほとんどの場合も、決済機関との個別契約が適しているかもしれません。
ビジネスがBtoCかBtoBかチェック
自社のビジネスがBtoC向けかBtoB向けかで選ぶべき決済代行は変わってきます。BtoC向けの決済代行ではクレジットカード決済やキャリア決済、コンビニ払いなど、先述の表で紹介した決済手段に対応しているものが多いです。
BtoB向けではこれらに加え、企業間取引ならではの掛け売りに対応したものもあります。このようなサービスは与信審査や請求書の発行などの付随する業務も代行してくれるため、よりスムーズな取引ができるようになるでしょう。
継続課金の必要性を考える
ビジネスモデルについてもうひとつ考えたいのが「継続課金の有無」です。継続課金は月額制や定額制のサービス、定期購入が前提となる商品などで必要になります。
継続課金を導入することで請求回りの業務を効率化できるだけでなく、解約率の軽減も期待できるでしょう。都度課金と異なりお金を支払っていることが意識に浮かびづらくなるからです。
決済代行会社を選ぶ7つのポイント
決済代行会社を選ぶ7つのポイントを紹介します。まずは自社のビジネスモデルに合った代行会社をピックアップし、これらのポイントを軸に比較しましょう。
ポイント1.決済手段
決済代行会社を選ぶ1つ目のポイントは、「決済手段」です。普及率の高いクレジットカード決済は必須、複数の電子マネーに対応できるID決済も導入できる方がいいでしょう。
ほかにもキャリア決済や後払い決済など、自社のビジネスモデルに合った決済手段がそろっているかをチェックします。
グラフは三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が調査し、消費者庁が公表した決済手段の利用比率です。ECサイトではどのデバイスからのアクセスが多いのか、一度の購入金額はどのくらいかを分析し、導入すべき決済手段を見極めましょう。
ポイント2.コスト
決済代行会社を選ぶ2つ目のポイントは、「コスト」です。初期費用や月額料金、決済ごとの手数料などとサービス内容を比較し、自社にとって費用対効果が高い会社を選びましょう。
ポイント3.管理機能
決済代行会社を選ぶ3つ目のポイントは、「管理機能」です。管理画面の見やすさや操作しやすさ、請求書や納品書の発行などの機能があると業務を効率化しやすいでしょう。
ポイント4.他システムやECサイトとの連携
決済代行会社を選ぶ4つ目のポイントは、「他システムやECサイトとの連携」です。決済代行を導入すると、各決済機関の情報を一元管理できるシステムが提供されます。このシステムと自社の会計システムが連携できると、バックオフィス業務をより効率化できるでしょう。
ECサイトで決済代行を活用する場合、ECサイトの構築ツールと連携できるかも重要です。
ポイント5.入金サイクル
決済代行会社を選ぶ5つ目のポイントは、「入金サイクル」です。翌月・翌々月の一括入金が多いですが、即日~数日ほどで入金されるものもあります。資金繰りの改善につながるような入金サイクルを設定できる代行会社を選びましょう。
ポイント6.セキュリティ
決済代行会社を選ぶ6つ目のポイントは、「セキュリティ」です。代行会社の不手際により情報漏えいが起こったとしても、顧客は自社に対応を求めるかもしれません。いずれにしても、自社もある程度のイメージダウンは避けられないでしょう。
セキュリティに関するマークを取得している会社や、セキュリティについて具体的な説明ができる会社を選ぶのがおすすめです。
ポイント7.サポート体制
決済代行会社を選ぶ7つ目のポイントは、「サポート体制」です。何か問題が起こったときにすぐに問い合わせができるか、対応は丁寧かなどをチェックしましょう。
決済関連の問い合わせやクレームが自社に直接来るとは限りません。決済代行に問い合わせ・クレーム対応まで任せていた場合、対応が雑だと顧客の不信感を増してしまうでしょう。
自社に合った決済代行会社を選び、ビジネスを加速させよう
現金払いを除けば、最も利用されている決済手段はクレジットカード決済です。
しかし、近年ではスマホ1つで支払いを済ませたり、クレジットカードのように後払いができたりといったオンライン決済が増えています。消費者はこれらの便利な決済手段に慣れ、いつもの方法で支払えるかどうかで利用する店舗を決めることすらあります。
決済手段を充実させることは、集客や客単価アップに欠かせません。
ただ、決済機関と個別契約をしていては手続きや管理に膨大な時間がかかります。ビジネスを加速させるには決済代行を活用し、複数の決済手段をスムーズに導入・運用していくことが必要です。
こちらの記事では決済代行会社を、どんなビジネスモデルに適しているかという視点から紹介しています。代行会社ごとの手数料や対応した決済手段はもちろん、業界別の選び方も解説しています。