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ジム経営は儲かる?開業資金、年収、資格、失敗を防ぐ方法を解説

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ジム経営は、月会費を中心に継続収入を確保できる事業です。ただし、開業時には物件取得費や内装工事費、トレーニング機器の購入費がかかります。開業後も家賃や人件費などの固定費を毎月支払わなければなりません。

会員を増やすだけでは、十分な利益は残りません。平均会員単価、必要会員数、固定費、退会率を開業前に計算することが絶対条件です。

小規模なパーソナルジムと大型フィットネスジムでは、必要な資金も収益の仕組みも異なります。本記事では、ジム経営の収益モデル、開業資金、資格や届出、開業までの流れ、失敗を防ぐ方法を具体的に解説します。

ジム経営は儲かる?収益モデルと黒字化に必要な会員数

ジム経営で利益を出すには、売上だけでなく、会員1人からどれだけの利益が残るかを把握する必要があります。

月会費が1万円でも、その全額が利益になるわけではありません。決済手数料や消耗品費、指導にかかる人件費などを差し引く必要があります。家賃や人件費は、会員数が少ない時期にも発生します。

ジム経営が儲かるかどうかは、月会費の金額ではなく、損益分岐点を超える会員数を維持できるかで決まります。

ジム経営の主な収益モデル

ジムの収益は、月会費を中心に、入会金や追加サービス、物販などを組み合わせて作ります。月会費以外の売上を確保すれば、会員数が同じでも店舗全体の売上を伸ばせます。

主な収益源は次の4つです。

  • 毎月発生する月会費
  • 新規入会時に受け取る入会金や登録料
  • パーソナルトレーニングや食事指導の追加料金
  • プロテイン、ウェア、トレーニング用品などの物販売上

月会費は、安定した経営を支える中心的な収益です。ただし、月会費だけに依存すると、会員数の減少や値下げ競争が売上へ直接響きます。

パーソナル指導や物販を加え、会員1人あたりの平均売上を高める仕組みを作る必要があります。

ジム経営の利益率と経営者の年収目安

ジム経営者の年収は、店舗の売上ではなく、売上から経費を差し引いた利益をもとに考えます。

個人事業主は、事業利益から税金や社会保険料などを負担します。法人では、経営者へ支払う役員報酬が会社の経費となるため、会社の営業利益と経営者の年収は別に計算します。

ジム経営者の年収は、500万~1,000万円程度が一つの目安です。ただし、この金額をそのまま事業計画へ当てはめることはできません。店舗規模、借入金の返済額、スタッフ数、経営者自身が現場に入る時間によって、残る利益は大きく変わります。

以下は、月額制の小規模ジムを想定した編集部の試算です。

月間売上月間経費営業利益年間営業利益
100万円90万円10万円120万円
150万円115万円35万円420万円
250万円170万円80万円960万円

年間営業利益からは、借入金の返済、納税、設備の更新費、予備資金を確保します。年間営業利益が960万円でも、経営者が960万円を自由に使えるわけではありません。

経営者の報酬は、最低でも6か月分の運転資金を確保したうえで決めてください。

黒字化に必要な会員数と損益分岐点

黒字化に必要な会員数は、固定費と会員1人あたりの限界利益から計算します。

損益分岐点会員数 = 固定費 ÷ 会員1人あたりの限界利益

会員1人あたりの限界利益とは、平均会員単価から、会員数に応じて増える変動費を差し引いた金額です。

以下の条件で計算します。

項目金額
平均会員単価10,000円
会員1人あたりの変動費1,000円
月間固定費850,000円
会員1人あたりの限界利益9,000円

計算結果は次のとおりです。

850,000円 ÷ 9,000円 = 約94.4人

端数を切り上げるため、黒字化には最低95人の会員が必要です。

会員数が120人まで増え、月15万円の追加売上がある場合、収支は次のようになります。

項目金額
月会費売上1,200,000円
追加サービス売上150,000円
売上合計1,350,000円
固定費850,000円
変動費120,000円
営業利益380,000円

この試算には、借入金の元本返済や税金を含めていません。実際の資金計画では、営業利益だけで判断せず、毎月の現金残高まで確認してください。

ジム経営に必要な開業資金と毎月の運営費

ジムの開業資金は、店舗の規模と業態によって大きく変わります。

目安は、小規模ジムで300万~500万円、大規模施設で2,000万~3,000万円程度です。都心部で物件を借りる場合や、大型マシン、シャワー設備などを導入する場合は、さらに費用がかかることもあります。

開業資金を計算する際は、店舗を完成させる費用だけを見てはいけません。売上が安定するまでの運転資金も、開業資金に含める必要があります。

ジム開業に必要な初期費用

ジムの初期費用は、物件取得費、内装工事費、設備費、広告費、運転資金で構成されます。

費用項目小規模店の目安金額を左右する条件
物件取得費50万~200万円家賃、保証金、礼金、仲介手数料
内装工事費100万~800万円床補強、防音、更衣室、シャワー
トレーニング機器100万~1,500万円マシンの種類、台数、新品か中古か
看板や広告制作20万~100万円Webサイト、看板、チラシ、広告
備品や安全設備20万~100万円ロッカー、AED、防犯設備、清掃用品
運転資金150万~600万円家賃、人件費、広告費の6か月分

数十坪のパーソナルジムであれば、導入するマシンを絞り、初期投資を抑えられます。一方、会員が自由に設備を利用する一般的なジムでは、複数台のマシン、床補強、更衣室などが必要です。

内装や機器を削りすぎると、安全性や顧客満足度が下がります。費用を抑える場合は設備の品質を落とさず、店舗面積と提供サービスを絞ってください。

ジム経営で毎月発生する運営費

ジムの運営費には、会員数にかかわらず発生する固定費と、売上に応じて増減する変動費があります。

以下は、小規模ジムを想定した試算です。

費用項目月額の目安費用区分
家賃と共益費15万~40万円固定費
人件費0万~60万円固定費
水道光熱費3万~15万円固定費に近い費用
広告宣伝費5万~30万円調整可能な費用
保険料と機器保守費2万~10万円固定費
消耗品や決済手数料売上の3~8%程度変動費
借入金返済借入条件による資金支出

広告費をゼロにすると、開業後の会員獲得が止まります。一方、成果を確認せずに広告費を増やしても、利益は残りません。

広告費は、支出額だけでなく、会員1人を獲得するためにかかった費用で判断してください。

ジムの経営形態を比較 個人開業、フランチャイズ、小規模ジム

ジムの開業方法は、大きく個人開業とフランチャイズ加盟に分けられます。個人開業でも、小規模なパーソナルジムと一般的な会員制ジムでは、収益の仕組みや必要な設備が異なります。

比較項目個人開業フランチャイズ小規模パーソナルジム
開業資金店舗規模による加盟金や指定設備で増える比較的抑えられる
ロイヤリティなし毎月発生する場合が多いなし
経営の自由度高い本部ルールによる制限あり高い
集客支援自分で構築本部の支援あり自分で構築
売上の上限面積と会員数によるブランドと立地による予約枠と稼働時間による
主な課題経営と集客を自ら担う契約条件と固定負担経営者の稼働に依存する

フランチャイズでは、本部のブランドや運営ノウハウを利用できますが、加盟金やロイヤリティが発生します。個人開業は自由度が高い一方、店舗設計から集客まで自ら判断する必要があります。

個人でジムを開業する場合

個人開業では、料金、営業時間、トレーニング内容、店舗デザインを自由に決められます。ロイヤリティもかかりません。

ただし、自由度が高い分、経営者が担う仕事も増えます。商圏調査、事業計画、資金調達、採用、広告運用まで、自分で判断して進めなければなりません。

トレーナーとして高い技術を持っていても、数値を管理できなければ経営は続きません。売上、経費、会員数、退会率を毎月確認する体制が必要です。

フランチャイズで開業する場合

フランチャイズでは、認知度のあるブランドや店舗設計、研修、広告素材などを利用できます。

経営経験が少ない場合でも、本部の仕組みに沿って店舗を運営できます。ただし、契約前には次の項目を必ず確認してください。

  • 加盟金、保証金、研修費を含めた初期負担
  • 売上歩合または定額で発生するロイヤリティ
  • 出店地域を制限するテリトリー条項
  • 契約期間、更新条件、中途解約時の違約金
  • 指定機器や指定業者から購入する義務

本部が示す売上モデルは、既存店舗の一例です。想定売上を20%下げても返済を続けられるか確認してから契約してください。

小規模ジムやパーソナルジムを開業する場合

小規模ジムは、店舗面積と設備投資を抑えられます。ただし、予約枠の数が売上の上限になります。

パーソナルジムの売上は、次の計算式で求めます。

月間売上 = 1日の予約枠数 × 営業日数 × 稼働率 × 1回あたりの単価

1日8枠、月25日営業、稼働率70%、1回8,000円の場合、月間売上は112万円です。

8枠 × 25日 × 70% × 8,000円 = 1,120,000円

比較項目一般的な会員制ジム小規模パーソナルジム
売上の基準会員数と月会費予約枠と指導単価
必要面積比較的大きい小さく抑えられる
設備数複数台が必要必要な機器に限定できる
人件費複数スタッフが必要になる1人でも運営可能
売上拡大方法会員数を増やす単価、稼働率、スタッフ数を増やす

経営者1人で運営する場合、営業時間を増やして売上を伸ばす方法には限界があります。一定の売上に達した後は、単価の見直し、スタッフの採用、複数店舗化が必要です。

ジム開業に必要な資格、届出、許可

一般的なトレーニングジムの経営や、スポーツインストラクターとして働くために、法律上必須となる資格はありません。

ただし、資格が不要でも、利用者の安全を守る知識と運営体制は欠かせません。特にパーソナルトレーニングでは、利用者の体力や健康状態に応じて負荷を調整する必要があります。

届出や許可は、店舗の設備、面積、以前の建物用途、提供するサービスによって異なります。物件を契約する前に、税務署、消防署、保健所、自治体の建築担当部署へ確認してください。

ジム経営に資格は必要か

資格は開業の条件ではありませんが、指導力や経営知識を第三者へ示す材料になります。

資格や講習取得義務主な内容
フィットネスクラブ・マネジメント技能検定任意店舗運営、経営管理、顧客管理
NSCA-CPT任意パーソナルトレーニングの知識と指導技術
健康運動指導士任意健康づくりを目的とする運動指導
CPR・AED講習任意心肺停止など緊急時の初期対応

フィットネスクラブ・マネジメント技能検定は、厚生労働省の技能検定制度に含まれる国家検定です。NSCA-CPTは、パーソナルトレーナーに必要な知識と技術を認定する資格です。

ただし、資格を持っているだけでは、安全な店舗運営にはつながりません。少なくとも次の項目を店舗の標準的なルールとして定めておくと安心です。

  • 初回利用時に健康状態と運動経験を確認する
  • 負荷や回数を決めた根拠を記録する
  • 痛みや異常が出た場合の中止基準を決める
  • AEDの設置場所と緊急連絡手順を共有する
  • 事故の内容と保険会社への連絡履歴を記録する

ジム開業時に必要な届出と許可

必要な手続きは、個人事業主と法人で異なります。消防や建築に関する手続きも、自治体や物件の条件によって変わります。

手続き主な提出先必要となるケース
個人事業主の開業・廃業等届出書税務署個人事業として開業する場合
青色申告承認申請書税務署青色申告を利用する場合
会社設立登記法務局株式会社や合同会社として開業する場合
防火対象物使用開始届など管轄消防署テナントで営業を始める場合
用途変更や建築確認自治体の建築担当部署建物用途や面積などの条件に該当する場合
公衆浴場営業許可など保健所浴槽やサウナなどを設置する場合
飲食店営業許可保健所店内で許可対象となる飲食物を調理、提供する場合

国税庁の2026年時点の案内では、個人事業主の開業届は、開業した年分の所得税の確定申告期限までに提出します。青色申告承認申請書の提出期限は、原則として3月15日までです。1月16日以降に開業した場合は、開業日から2か月以内となります。

法人で始める場合、株式会社は本店所在地で設立登記を行うことで成立します。合同会社も、法務局で設立登記が必要です。

消防関係の提出期限は、自治体の条例によって異なります。東京都では、防火対象物使用開始届を使用開始日の7日前までに提出します。内装工事や間仕切りの変更を行う場合は、工事前に必要な届出も確認してください。

既存物件の用途をジムへ変更する場合、用途変更部分が200平方メートルを超えると、建築確認申請が必要になるケースがあります。申請が不要な規模でも、建築基準法を守らなければなりません。契約前に建築士または自治体の建築担当部署へ確認してください。

スポーツ施設に併設する浴場は、公衆浴場法上の「その他の公衆浴場」に該当する場合があります。浴槽やサウナを設置する場合は、工事前に保健所へ相談してください。

ジム経営で加入を検討する保険

ジムでは、トレーニング中のけが、機器の故障、漏水、盗難などの事故が発生する可能性があります。

検討する主な保険は次のとおりです。

保険の種類主な補償対象
施設賠償責任保険設備不良や管理不足による利用者の負傷
傷害保険契約条件に該当する利用者のけが
火災保険火災、水災、漏水、設備の損害
動産保険トレーニング機器や備品の損害
労災保険従業員の業務中や通勤中のけが

保険は名称だけで決めず、トレーニング中の事故が補償対象に含まれるか、免責金額はいくらかを確認してください。

利用規約や免責同意書を用意しても、事業者の責任がすべて免除されるわけではありません。事故を防ぐ運営手順と、事故が起きた場合に備える保険の両方が必要です。

ジムを開業するまでの手順

ジムの開業準備は、物件探しから始めてはいけません。先に商圏、顧客層、収益モデルを決め、その条件を満たす物件を探します。

基本的な流れは次のとおりです。

  1. 商圏と競合を調査する
  2. コンセプトと事業計画を決める
  3. 開業資金を調達する
  4. 物件を選び契約する
  5. 内装工事と設備導入を進める
  6. 開業前から集客を始める

1.商圏と競合を調査する

商圏調査では、地域の人口を見るだけでは不十分です。ジムへ通う可能性がある人の年齢や生活時間、移動手段まで確認してください。

主な調査項目は次のとおりです。

  • 店舗から徒歩、自転車、車で来店できる範囲の人口
  • 年齢層、世帯構成、昼間人口と夜間人口
  • 競合ジムの料金、設備、営業時間、口コミ
  • 駅、住宅、オフィス、学校、商業施設との位置関係
  • 駐車場、駐輪場、道路状況、店舗の見つけやすさ

競合が少なくても、その地域に需要がなければ出店できません。反対に、競合が多い地域でも、既存店が満たしていない需要があれば事業は成立します。

2.コンセプトと事業計画を決める

コンセプトは、内装の雰囲気を表す言葉ではありません。誰に、どのような成果を、どの方法で提供するかを定めた経営方針です。

事業計画には、最低でも次の項目を記載します。

  • 対象とする顧客層と地域の需要
  • 提供するサービスと競合店との違い
  • 月会費、入会金、追加サービスの料金
  • 損益分岐点となる会員数と売上目標
  • 初期費用、運営費、資金調達、返済計画

売上は希望する金額から逆算せず、商圏人口、客単価、予約枠、店舗面積をもとに積み上げてください。

3.開業資金を調達する

開業資金は、自己資金、金融機関からの融資、補助金などを組み合わせて調達します。

補助金は後払いとなる制度が多く、申請しても採択されるとは限りません。補助金がなければ開業できない資金計画では、事業を続けられません。

日本政策金融公庫では、新規開業者や開業後おおむね7年以内の事業者を対象に、新規開業・スタートアップ支援資金を案内しています。創業期の対象者が、原則として無担保、無保証人で利用できる融資制度もあります。条件や金利は、申し込む時点で確認してください。

融資審査では、経営者の経験、自己資金、見積書、収支計画、返済能力が確認されます。トレーナー経験や店舗運営経験は、事業計画に実現性があることを示す材料になります。

4.物件を選び契約する

ジムの物件は、立地や家賃だけで決めてはいけません。マシンを設置して安全に営業できる建物かどうかを確認する必要があります。

特に重要な項目は次のとおりです。

  • ジムとして使用できる用途と賃貸借契約
  • マシンやフリーウエイトに耐えられる床荷重
  • 振動や音が上下階、隣接区画へ与える影響
  • 電気容量、給排水、換気、空調の能力
  • 看板、営業時間、原状回復に関する制限

契約後に用途変更や床補強が必要だと分かれば、開業費が大幅に増えます。建築士、内装会社、消防署への確認が終わる前に契約しないでください。

5.内装工事と設備導入を進める

内装は、見た目よりも安全性、利用者の動線、清掃のしやすさを優先します。

フリーウエイトエリアには、床の補強と防振対策が必要です。マシン同士の間隔や避難経路、利用者とスタッフが移動する通路も確認します。

設備は、開業時に必要なものと、売上が増えてから追加するものに分けます。

  • 営業に必要なトレーニング機器
  • 床材、鏡、照明、換気、空調
  • 更衣室、ロッカー、トイレ
  • AED、救急用品、防犯カメラ
  • 清掃用品、消毒設備、掲示物

開業時にすべてのマシンをそろえる必要はありません。利用頻度の低い設備へ投資するよりも、主な顧客が使う機器を優先してください。

6.開業前から集客を始める

集客は、店舗が完成してから始めるものではありません。物件の契約と開業日が決まった段階で、Webサイト、Google ビジネス プロフィール、SNSなどを準備します。

Google ビジネス プロフィールでは、Google検索やGoogleマップに表示される営業時間、住所、電話番号、写真などを管理できます。正確な情報を登録し、開業前から店舗の存在を知ってもらう必要があります。

開業前に行う主な施策は次のとおりです。

  • Webサイトと料金ページを公開する
  • Google ビジネス プロフィールを登録する
  • SNSで工事状況やサービス内容を発信する
  • 無料体験会や見学会の予約を受け付ける
  • 先行入会キャンペーンを実施する

大幅な値引きだけで会員を集めると、通常料金へ戻した際に退会が増えます。価格の安さではなく、受けられるサービスや得られる成果を伝えてください。

ジム経営で失敗する主な原因

ジム経営の失敗は、トレーニング技術の不足だけで起こるものではありません。

過剰な初期投資、高い家賃、地域の需要とのずれ、根拠のない料金設定、集客不足、高い退会率などが重なり、資金が減っていきます。

主な失敗原因経営への影響開業前の対策
初期投資が大きい借入返済が利益を圧迫する設備を段階的に導入する
家賃が高い会員数が少なくても固定費が発生する売上に対する家賃比率を試算する
需要とコンセプトがずれる入会数が伸びない商圏と競合を調査する
料金に根拠がない売上不足または価格競争になる損益分岐点から料金を決める
退会率が高い新規会員が増えても総会員数が残らない入会後の利用支援を設計する

初期投資と固定費が大きすぎる

高額なマシンをそろえ、広い物件を借りれば、見栄えのよい店舗は作れます。しかし、会員数が計画を下回っても、借入金と家賃の支払いは続きます。

特に危険なのは、楽観的な売上予測を前提に設備投資を進めることです。

投資額は理想の店舗から逆算せず、売上が計画の80%でも返済できる金額に抑えてください。

立地とコンセプトが顧客需要とずれている

駅前の高額な物件を借りても、地域の顧客層と店舗のコンセプトがずれていれば集客できません。

女性専用ジムを出店する場合は、地域の女性人口だけでなく、年齢層、帰宅時間、安全性、周辺施設まで確認します。シニア向けのジムでは、駅からの距離よりも、駐車場の有無や段差の少なさが重視される場合があります。

コンセプトは経営者の好みではなく、商圏内の需要をもとに決めてください。

料金設定と集客計画に根拠がない

競合より料金を下げても、入会者が増えるとは限りません。低価格で会員を集めても、必要な利益を確保できなければ経営は続きません。

料金を決める際は、次の数字をまとめて確認します。

確認項目計算する内容
平均会員単価月会費と追加売上の合計
必要会員数損益分岐点を超える人数
広告予算月間で使用できる集客費
顧客獲得単価広告費を新規入会数で割った金額
回収期間獲得費用を何か月で回収できるか

月会費1万円、顧客獲得単価3万円の場合、獲得費用の回収には少なくとも3か月分の会費が必要です。実際には運営費もかかるため、3か月で退会されると利益はほとんど残りません。

退会率が高く会員数が増えない

ジム経営では、新規入会数だけを追ってはいけません。

毎月20人が入会しても、同じ月に20人が退会すれば会員数は増えません。新規会員を集めるための広告費だけが発生し続けます。

主な退会理由は次のとおりです。

  • 期待していた成果を実感できない
  • 利用頻度が下がり、会費だけを支払っている
  • 混雑や予約状況に不満がある
  • スタッフと話す機会がなくなった
  • 設備や清掃状態に不満がある

入会後30日、60日、90日の利用状況を確認し、来店回数が減った会員には早い段階で連絡してください。

ジム経営を成功させる集客と差別化の方法

ジム経営では、集客、入会、継続利用までを一つの流れとして設計します。

広告で多くの人を集めても、料金やサービスの内容が伝わらなければ入会にはつながりません。入会者が増えても、その後の支援がなければ退会が増えます。

成功するジムは、新規会員数だけでなく、一定期間後に何人の会員が残っているかを重視します。

Webと地域施策を組み合わせて集客する

ジムは、店舗へ通える範囲が限られる地域密着型の事業です。全国からアクセスを集めるのではなく、店舗へ実際に通える地域の人へ情報を届ける必要があります。

集客方法主な役割費用効果が出る時期
SEO地域名とジム関連の検索流入制作費が中心中長期
MEOGoogle検索とマップからの来店無料から運用可能短期から中期
SNS店舗やトレーナーの雰囲気を伝える運用工数が中心中期
Web広告体験予約やキャンペーンを告知する広告費が必要短期
チラシや紹介近隣住民や既存会員から集客する印刷費や特典費短期

Webだけ、紙媒体だけに集客方法を絞る必要はありません。検索、SNS、チラシ、紹介を組み合わせ、入会者がどこで店舗を知ったのかを記録します。

広告や集客施策は感覚で評価せず、体験予約数、入会数、顧客獲得単価で判断してください。

顧客層を絞ってサービスを差別化する

「誰でも利用できるジム」は、顧客から見ると特徴が分からない店舗になりがちです。

差別化するには、顧客層、抱えている悩み、提供するサービス、利用方法を具体的に決めます。

  • 運動経験が少ない人を対象とした初心者専門ジム
  • 女性のボディメイクに特化した少人数制ジム
  • 高齢者の筋力維持を支援する地域密着型ジム
  • 忙しい会社員を対象とした短時間トレーニング
  • 競技者を対象とした専門トレーニング施設

単に「女性専用」「初心者歓迎」と掲げるだけでは、十分な差別化にはなりません。

女性専用ジムであれば、女性トレーナーの配置、外から見えない動線、女性用設備など、コンセプトを店舗全体へ反映させてください。

料金とプランを明確に設計する

料金プランが多すぎると、顧客はどれを選べばよいのか判断できません。

基本プランを中心に、利用頻度やサポート内容が異なる2~4種類へ絞ります。

料金方式売上の安定性顧客側の特徴経営上の注意点
月額制高い継続利用が前提退会率の管理が必要
回数券中程度利用回数を選べる売上発生の時期に差が出る
都度払い低い契約負担が少ない来店数が安定しない
パーソナル追加高められる個別指導を受けられるトレーナーの稼働が必要

最安プランだけを目立たせると、価格だけで比較されます。料金ページには金額だけでなく、利用回数、指導内容、受けられるサポートも明記してください。

継続率を高めて退会を防ぐ

会員の継続率を高めるには、トレーニングの成果と、通い続ける習慣の両方を支援する必要があります。

入会直後は意欲が高くても、仕事や家庭の事情で利用頻度が下がることがあります。完全に来店が止まってから連絡するのではなく、利用回数が減った段階で対応してください。

継続率を高める主な施策は次のとおりです。

  • 入会時に具体的な目標と利用頻度を決める
  • 30日ごとに体力や身体の変化を確認する
  • 来店が減った会員へ個別に連絡する
  • 初心者向け講習や会員イベントを実施する
  • 休会制度を設け、退会以外の選択肢を用意する

退会理由は必ず記録し、料金、混雑、設備、接客、成果のどこに問題があったのかを確認します。

ジム経営では、派手な設備や大規模な広告よりも、損益分岐点を超える会員数を維持し、固定費と退会率を管理することが重要です。

まずは商圏調査と収支計画を作り、売上が計画を下回っても経営を続けられる規模で開業してください。

この記事の著者

OREND FC運営事務局

OREND FC運営事務局

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