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ショールーミングとは?実店舗で起こる問題と対策、EC連動による新たなストアモデル事例3選

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ショールーミングとは

ショールーミングとは実店舗で実際の商品を確認してから、より安いお店で購入することです。ここでいうお店とは、実店舗からECサイト・通販まで、あらゆるお店を指します。

消費者は実際の商品を見ることで機能やデザイン、素材感などを確かめたうえで、より安く商品を購入できます。

しかし、ショールーミングには「店舗の売上が落ちる」「接客や商品陳列などの労力(コスト)が売上につながらない」などの問題があります。

今回はショールーミングの問題点と対策方法を解説しながら、ECサイトと連動したら新たなストアモデルの事例を紹介していきます。

消費者がショールーミングをする理由

消費者がショールーミングを行うのは、商品の機能やデザインなどのWebでは得られないさまざまな情報を集めたうえで、より安く商品を購入するためです。消費者の目的はあくまで「商品を安く購入すること」であり、ECサイトや通販で購入することではありません。そのため、ECサイトよりも安く購入できる実店舗、ポイント付与やクーポン利用などによりお得に購入できる実店舗があれば、そのお店で商品を購入することもあります。

ウェブルーミングとの違い

ウェブルーミングはショールーミングとは真逆の行動で、インターネットで商品の情報収集を行い、実店舗で直接商品を購入する消費者行動です。

統計データではショールーミング43%、ウェブルーミング69%と、実店舗で購入する消費者の方が多いという結果もあります。

インターネットとスマホが普及したことで、 消費者が得られる情報量は増えました。しかし、テキストや画像・動画などの情報だけではわからないこともあります。実際の商品を触ってみたい、色合いや素材感を確かめたいなど、実店舗だからこそ得られる情報、満たせる欲求も多いです。

ショールーミングでもウェブルーミングでも、消費者が実店舗で商品を購入する可能性は十分にあります。店舗で購入しない消費者をないがしろにするのではなく、ショールーミング・ウェブルーミングを踏まえた施策を取ること、オンラインとオフラインを融合させた顧客体験を提供することが大切です。

ショールーミングにより実店舗で起こる問題と、その対策方法

ECサイトが普及した現代において、実店舗は商品を販売するだけの場所ではありません。自分の目で商品を確認したり接客を受けたり、オンラインではできない買い物体験ができる場所でもあります。ショールーミングをする消費者の目的は「商品を安く購入すること」ですが、より良い体験を提供することで、価格が多少高くても自店で商品を購入してもらえるかもしれません。

実店舗でどんな買い物体験を提供できるかはもちろん、O2OオムニチャネルなどのWebとリアルを融合させた顧客体験を創出することが、ショールーミング問題を解決するための近道です。

ショールーミングにより実店舗でどんな問題が起こるのか、どうすればそれを解決できるのかを紹介します。

店舗内での消費者への情報提供

消費者が求める情報を提供し、満足してもらうことで、消費者は店舗で商品を購入するかもしれません。商品を触ったり試着したり、実店舗だからこそ得られる情報を提供することを心がけましょう。たとえばアパレルなら、「試着しやすい雰囲気」をつくるだけでも商品が売れる可能性は高まります。

何より、実店舗にはお客さまの様子を見ながら、1対1で接客できるという強みがあります。情報量が多すぎると、お客さまは考えることが面倒になったり、重要な情報が印象に残らなかったりするかもしれません。

目の前のお客さまがどんな情報を欲しているかを察し、提供できる実店舗することで、購入の可能性はさらに高まるでしょう。あらゆる訪問者を想定し商品ページを作るECサイトにはできないことです。

実店舗ならではの接客・買い物体験

ECサイトでは消費者が一方通行で商品の比較・検討・購入をしますが、実店舗ではスタッフが接客を行い、お客さまの意思決定をサポートできます。実店舗だからこそできる接客、商品を実際に手に取ったりスタッフと一緒に見て回ったりといった買い物体験が、購入確率を高めます。

実店舗限定の商品やサービスを提供するのもいいでしょう。たとえばアメリカNIKEの店舗では、実店舗でお客さま一人ひとりに合わせたオリジナルのカラーコーディネートシューズを提供しています。実店舗に足を運ぶ理由をつくり、店舗スタッフの提案による唯一の体験を提供することで、ショールーミングの問題に対応しています。

O2O施策の展開

O2Oは「Online to Offline」の略で、オンラインからオフラインへ集客することです。たとえばネットショップで実店舗限定のクーポンを提供したり、自社公式サイトやオウンドメディア、公式SNSなどから実店舗のお得情報を配信したり、さまざまな方法が考えられます。

最近では公式アプリを使った施策を取る店舗・企業が増えてきました。公式アプリから実店舗で使えるポイントを付与する、実店舗の位置や在庫を確認・検索できるようにするなど、公式アプリを活用することでO2O施策の幅が広がります。

オムニチャネル展開

オムニチャネルとは実店舗やネットショップ、オウンドメディア、公式SNSなどのあらゆるチャネルを連携させることです。これらのチャネルを連携させることで、より良い顧客体験を提供できます。

たとえばネットショップで購入した商品を最寄の実店舗で受け取ったり、実店舗に在庫がなかったときにネットショップから取り寄せ・購入したりなどの施策が考えられます。

ショールーミング問題を解決する「ショールーミングストア」とは

ショールーミングストアとは、商品を販売するのではなく、商品の情報やオフラインでしかできない体験を提供することを目的とする実店舗のことです。

たとえばアパレルならショールーミングストアで商品を試着したり、サイズを測ったりしてから、ネットショップで購入できるという仕組みが考えられます。家具なら実物を見たり使ってみたりしてからネットショップで注文すれば、購入した商品を店舗から自宅に運ぶ手間が省けます。

ショールーミングストアの目的は情報や体験の提供であるため、在庫を抱える必要がありません。展示用の商品だけをそろえればいいので、在庫の保管スペースや運送コストも抑えられるでしょう。

レジ打ちや商品の陳列・補充のためのスタッフも必要ありません。最小限の人員数での店舗運営はもちろん、店舗に設置したモニター越しに接客ができる「オンライン接客」を取り入れることで店舗を無人化することもできます。

ECと店舗が連動したショールーミングストア事例3選

有名店舗やブランドが実際に行っているショールーミングストアの事例を3つ紹介します。

ZARA:QRコードを活用した通販連動の仕組み

ZARAではQRコードを活用した通販連動の仕組みを活用しています。実店舗では試着や接客など実店舗ならではの良さとECサイトの利便性を合わせたシステムです。ZARAのアプリを利用することで、商品の情報を確認できます。また、事前に試着の予約ができ、準備ができたらプッシュ通知が届くため、待ち時間がありません。

詳細はこちら: https://netshop.impress.co.jp/node/5440

GU:専用アプリでアバターコーディネート

原宿にあるGUでは店舗内にデジタルサイネージが設置されており、顧客のアバターを作成して商品を代わりに試着できるサービスを展開しています。試着の手間を省け、実際に店舗に行かずにどこからでもコーディネートができる仕組みです。

詳細はこちら: https://video-academy.jp/blog/industry-news/6969/

THIRD MAGAZINE:EC購入のフィッティングルームとして考える

THIRD MAGAZINEでは大人の女性にターゲットを絞っており、店舗では試着や上質な接客を受けることができます。実店舗で試着したり接客を受けたりしたうえで、購入はECサイトで行います。実店舗で接客を行うことにより、顧客と信頼関係を築き、リピーターを増やす仕組みです。会計や在庫管理などの店舗業務をシンプル化し、スタッフは接客に集中できます。高品質なサービスを提供することで、顧客満足度とリピート率を高めた事例です。

詳細はこちら: https://lexus.jp/magazine/20181203/277/exp_third_magazine.html

ショールーミングを前提にしたマーケティング戦略を

ショールーミングには「接客が売上につながらない」「価格競争の激化」などの問題があります。しかし、O2Oやオムニチャネル展開、ショールーミングストアの設置などにより、問題を解決し新たなチャンスにつなげることもできます。

「スマホで商品の詳細やレビューを確認し、実店舗で実物を手にとって見てから購入を決める」「オンライン・オフラインの店舗を巡り、最も安く購入できるショップを探す」という行動は、今や当たり前になりました。「ショールーミング」という言葉を知らなくても、誰もがショールーミングをしているのです。

これからの市場で生き残るには、ショールーミングを意識したマーケティング戦略が欠かせません。本記事で紹介した事例を参考に、自社・自店でできることを考えてみましょう。

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この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社に入社し、事業企画として業務を担う。また、兼務でグループ会社であるマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月よりこれまで副業で経営していたステップ・アラウンド株式会社を独立させる。
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