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ファクタリングの7つのデメリットと、リスクを抑えて上手に活用する5つのコツ

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ファクタリングの仕組み

ファクタリング売掛債権をファクタリング会社に売却し、本来の支払期日よりも早く現金化するサービスです。

ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」があります。

2社ファクタリングの仕組み

2社間ファクタリングでは、ファクタリングの利用者ファクタリング会社の2社間で取引をします。売掛先にファクタリングの利用を知られることはありません。本来の支払期日に売掛金が振り込まれたら、利用者がファクタリング会社に「売却額+手数料」分の金額を支払います。

3社ファクタリングの仕組み

3社間ファクタリングでは、ここに売掛金の請求先(取引先)が加わります。利用者は取引先にファクタリング利用の承諾を取り、利用者・取引先・ファクタリング会社の3社間で契約を結びます。本来の支払期日がきたら、取引先は利用者ではなく、ファクタリング会社へ売掛金を直接支払います。

2社間ファクタリングには「取引先にファクタリング利用が知られない」というメリットが、3社間ファクタリングには「2社間よりも手数料を抑えやすい」というメリットがあります。

ファクタリングのメリット

ファクタリングにはほかの資金調達と比べ、次のようなメリットがあります。

  • 審査が緩やかで、自社の信用度に不安があっても利用しやすい
  • 審査にかかる時間が短く、申し込みから入金までが早い
  • 融資ではないためバランスシート上の負債が増えない など

ファクタリングの7つのデメリット

ファクタリングはほかの方法に比べ、「入金スピードが早い」「審査が緩やか」などのメリットがある資金調達です。

しかし、「調達できる資金が限られる」「手数料が割高」などのデメリットもあり、ファクタリング利用が適さないケースもあります。

ファクタリングの資金調達がベターなのかそうでないのか判断するために、まずはファクタリングの7つのデメリットを把握しておきましょう。

デメリット1.資金調達できる金額が限られる

ファクタリングの1つ目のデメリットは、「資金調達できる金額が限られる」ことです。

ファクタリングは売掛債権を売却し、現金化する資金調達です。そのため、売掛債権以上の額は調達できません。売掛債権の全額を現金化できるわけではなく、手数料や掛け目(買取率)を考えると、現金化できるのは売掛債権の7~8割ほどの額になるでしょう。

デメリット2.手数料が割高(特に2社間ファクタリング)

ファクタリングの2つ目のデメリットは、「手数料が割高」なことです。これは特に2社間ファクタリングにいえることです。

ファクタリングの手数料は、2社間ファクタリングで8~18%ほど、3社間ファクタリングで2~9%ほどが相場といわれていますが、上限がないためこれを越えるケースもあります。利率が1~6%ほどになることが多い融資と比べると割高です。

ちなみに、融資の利率は日本政策金融公庫や銀行のプロパー融資なら1~3%ほど、信用金庫なら2~6%ほどとといわれています。クレジット会社や消費者金融などのノンバンクは3~20%と高めですが、これと比べてもファクタリングはやや高いといえます。

デメリット3.分割払いができない

ファクタリングの3つ目のデメリットは、「分割払いができない」ことです。

ファクタリングは債権の譲渡であり、貸金ではありません。そのため、分割払いはできません。ファクタリングで調達した資金は、売却した売掛債権が支払われたらすぐに、一括で支払わなくてはなりません。

ただ、これは「支払いが長期化しない」というメリットにもなり得ます。融資の返済のように数ヵ月~数年にわたり支払いをしなくて済むので、その後の資金計画は立てやすいでしょう。

デメリット4.イメージ悪化の可能性がある(特に3社間ファクタリング)

ファクタリングの4つ目のデメリットは、「イメージ悪化の可能性がある」ことです。これは特に3社間ファクタリングにいえることです。

ファクタリングによる資金調達は、日本ではまだ一般的とはいえません。「自社の信用情報に不安があっても利用しやすい」「審査も入金も早い」「しかし手数料は割高」といった要素から、ファクタリングの利用が取引先に知られると、「資金繰りが悪化しているのでは…?」「融資を受けられない事情があるのでは…?」といった、ネガティブな印象をもたれるかもしれません。

デメリット5.債権譲渡登記が必要になることも

ファクタリングの5つ目のデメリットは、「債権譲渡登記が必要になるかもしれない」ことです。

3社間ファクタリングではファクタリング利用が取引先に知られ、自社のイメージダウンにつながる可能性があることは先述のとおりです。これを恐れ、2社間ファクタリングを選ぶ企業は多いです。

しかし、2社間ファクタリングだからといって、ファクタリング利用が絶対に知られないというわけでもありません。2社間ファクタリングでは「債権譲渡登記」が必要になることもあるからです。

債権譲渡登記とは、債権を譲渡した記録を法務局に登記することです。これは法人登記と同じように一般公開されるため、取引先はもちろん、それ以外の企業も参照できます。

債権譲渡登記ではそれを見られない限り、ファクタリング利用が知られることはありません。「取引先に知られるリスク」は低く、むしろ登記にかかる費用の方がネックになるでしょう。

債権譲渡登記の費用はファクタリング利用者が負担するのが一般的です。この費用として登記費用7,500円、司法書士報酬数万円がかかります。

デメリット6.「ファクタリングのループ」に陥るリスクも

ファクタリングの6つ目のデメリットは、「”ファクタリングのループ”に陥るリスクもある」ことです。

ファクタリングは売掛債権を本来の支払日よりも早く現金化するサービスです。この性質は、会社員でいう「給与の前借」に近いといえます。

会社員が給与の大部分を前借したらどうなるでしょうか。おそらくその翌月も、翌々月も、生活のために前借をしなくてはなりません。

このような「前借のループ」から脱するには、前借した給与やアルバイトなどでお金を少しずつ貯めて、給与の前借をしなくても1ヵ月生活できるだけの資金を蓄えなくてはならないでしょう。

しかし前借には手数料がかかり、受け取れる金額は少なくなるため、その分貯金にも時間がかかるでしょう。

これと同じことがファクタリングでも起こりえます。特に売上のほとんどが売掛金の事業者、売掛金の大部分をファクタリングしようという場合、この「ファクタリングのループ」に陥るリスクが高いです。

デメリット7.ファクタリングを装った違法業者もいる

ファクタリングの7つ目のデメリットは、「ファクタリングを装った違法業者もいる」ことです。

ファクタリングによる資金調達は、日本ではまだ一般的とはいえず、ファクタリングに対する理解が浅い人も少なくありません。これを逆手に取り、ファクタリングを装う違法業者もいます。

このような違法業者に引っかかってしまうと、相場を大きく越える手数料を請求されたり、現金が得られず手数料だけを騙し取られたりするかもしれません。

違法業者の見極め方、安全なファクタリング会社の選び方は、こちらの記事で詳しく解説しています。ファクタリング利用が初めての方はぜひ一読し、安全な会社を選ぶ参考にしてください。

ファクタリングのデメリットを抑えて上手に使う5つのコツ

ここまで紹介してきたとおり、ファクタリングにはデメリットもあります。しかし、すぐにまとまった資金を調達できるという点で、ファクタリングはほかの資金調達よりも優れています。

ファクタリングのデメリットを抑え、上手に使う5つのコツを紹介するので、これらを意識して自社に合ったサービスを探してみましょう。

コツ1.手数料が低いサービスを選ぶ

ファクタリングの手数料は融資の利率に比べて高いです。この割高な手数料を少しでも抑えるために、手数料が低いサービスを選びましょう。

ファクタリングの手数料相場は2社間で8~18%、3社間で2~9%と先述しましたが、中には2社間ファクタリングで手数料上限が9.5%の会社もあります。このような「手数料の安いサービス」はこちらの記事で紹介しています。

コツ2.手数料を抑える工夫をする

ファクタリングの手数料は「1~15%」「上限10%」のように、ファクタリング会社ごとにある程度決まっています。ただ、上限10%だからといって必ず10%かかるわけではありません。申し込みの条件や審査の結果によって、実際にかかる手数料は変わります。

手数料を抑えるには、ファクタリング会社にとっての「買い取った債権を回収できないリスク」を低くすることが大切です。そのために、たとえば次のようなことができます。

  • 3社間ファクタリングを選ぶ
  • 大企業や老舗企業など、信用度の高い取引先の売掛債権を売却する
  • 付き合いが長く、毎回支払期日どおりに振り込んでくれている取引先を選ぶ など

コツ3.調達したい額に併せて売掛債権を合算する

ファクタリングは一度の取引で1つの債権しか売却できないわけではありません。複数の債権をまとめて売却することもできます。大きな金額を調達したいときは、その金額に併せて複数の売掛債権を合算して売却しましょう。

コツ4.ファクタリングの知識を身につける

ファクタリングを装った違法業者に引っかからないためにも、コストを抑えて利用できるサービスを見極めるためにも、ファクタリングに関する知識を身につけましょう。

たとえば「償還請求権”あり”」のサービスは、基本的に「売掛債権の譲渡」という意味でのファクタリングではありません。このようなサービスは「売掛債権を担保にした融資」にあたるため、業者は貸金業登録をしていなければなりません。もしその業者が貸金業登録をしていないのなら、違法業者かもしれないと疑った方がいいでしょう。

このように、ちょっとした知識があるだけで違法業者から身を守ることはできます。

また、ファクタリング会社の実績や口コミなどを調べるのも有効です。

償還請求権とは何なのか、どのような会社が安心して利用できるのか、詳しく知りたい方はこちらの記事もお読みください。

コツ5.「ファクタリングのループ」に気をつける

ファクタリングの負のループ
ファクタリングの負のループ

先述のとおり、ファクタリングには給与の前借に近い性質があり、気をつけないと「ファクタリングのループ」に陥るかもしれません。ファクタリングのループに陥らないために現金化する金額を調整することが大切です。

たとえば「翌月末に支払われる100万円分の売掛債権」があるが手元に現金がない、しかし1週間後に30万円の支払いをしなければならないという人がいたとします。この場合、ファクタリングすべき金額は「30万円」です。「どの道ファクタリングするんだから、念のため70万円くらい売却しておこう」という考え方はしない方がいいでしょう。

ファクタリングの手数料は、売却する金額が高くなるほど上がります。30万円を売却するのと70万円を売却するのでは、かかるコストが大きく変わってくるのです。

何より売掛金の大部分を売却してしまうと、その翌月も現金が足りなくなり、再びファクタリングを利用することになりかねません。

もしもファクタリングのループに陥ってしまったのなら、ループ脱出のための計画を立てましょう。ループ状態を脱するにはファクタリングを利用しない月、言い換えれば「ほぼ無収入で乗り切らなければならない月」が出てきます。

一度に2倍の売上を立ててループを脱することも不可能ではありませんが、普通は難しいです。現実的に可能なプランを立て、数ヵ月計画で資金を蓄えていくことで、ループ脱出を目指しましょう。

ファクタリングが適したケース

ファクタリングは審査が緩やかで、入金までのスピードが早い資金調達です。売掛債権の譲渡であるため、融資と異なり「バランスシート上の負債」も増えません。そんなファクタリングは、次のようなケースでの資金調達に適しています。

【ファクタリングが向いているケース】

  • とにかくすぐに現金が必要
  • 金融機関の審査が不安
  • 調達したい額が小さい
  • 近い将来、融資を受ける予定がある
  • 納品から請求までの期間が長い など

ファクタリングが適していないケース

ファクタリングは手数料が割高なうえ、会社員でいう給与の前借に近い性質があります。場当たり的な利用の仕方だと、毎月ファクタリングを申し込むループに陥るかもしれません。そんなファクタリングは、次のような資金調達にはあまり適さないでしょう。

【ファクタリングが向いていないケース】

  • 新しい店舗や事業を始めるための資金調達
  • 売掛金を超える額の資金調達が必要(ファクタリングでは十分な資金を調達できない)
  • 資金の余裕がなく、売掛金の合計とあまり変わらない額の資金が必要(ファクタリングのループに陥るリスクが高い) など

ファクタリングはデメリットを押さえ、上手に活用しよう

ファクタリングは突然現金が必要になったときや、近い将来融資の審査を受ける予定があるときなどに適しています。

ただ、ファクタリングの手数料は割高で、融資と異なり分割払いはできません。会社員でいう給与の前借に近い性質があるため、気をつけないと毎月ファクタリングを利用する「ファクタリングのループ」に陥ってしまうかもしれません。

自社の状況を踏まえ、ファクタリングの利用が適しているのか、いくら分の債権を売却するのかを考えましょう。

こちらの記事ではどんなケースにどんなサービスがおすすめなのか、ケース別のおすすめファクタリング会社を紹介しています。「ファクタリングの利用がはじめて」「いろいろな会社があってどこがいいのかわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社に入社し、事業企画として業務を担う。また、兼務でグループ会社であるマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月よりこれまで副業で経営していたステップ・アラウンド株式会社を独立させる。
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