クレジットカード決済を導入する2つの方法
クレジットカード決済を導入する方法には「カード会社との直接契約」と「決済代行サービスの活用」の2つがあります。
カード会社と直接契約する
カード会社と直接契約するメリットは、費用や手数料などのコストを抑えやすいことです。
クレジットカード決済の導入では、システムの設定や利用にかかる料金、年会費などの固定費がかかることもあります。クレジットカード決済が発生するたびに、決済手数料やトランザクション費用なども生じます。
これらの費用を決済代行サービスに支払わなくて済む分、直接契約はコストを抑えやすいです。
ただし、直接契約には手間と時間がかかるというデメリットもあります。複数のクレジットブランドに対応しようとすれば複数のクレジット会社と契約しなければならず、手続きや審査に手間がかかります。導入後も、複数社からの入金を管理するためのリソースが必要でしょう。
クレジットカード決済以外の決済方法も導入するとなると、この手間と時間がさらに大きくなります。
そのため、クレジット会社との直接契約は「クレジットカード決済だけを導入したい」「導入したいクレジットブランドが限られている」といった場合に適しています。
決済代行サービスを活用する
決済代行サービスとは、クレジット会社や各金融機関との契約・管理などを代行するサービスです。これを提供する会社を決済代行会社といいます。
決済代行サービスのメリットは、業務の効率化や人件費の削減などがしやすいことです。
代行サービスを活用すればクレジット会社との契約や審査、そのための準備などを専門の業者に任せられます。
自社専用の管理システムを提供してもらえるのも大きなメリットです。クレジット会社には各社異なる管理システムがあり、直接契約では契約した会社分の管理システムを扱うことになります。
一方、代行サービスなら自社専用のシステムから各クレジット会社の情報を閲覧・管理できます。
ほかにも、「クレジットカード以外の決済方法も提供してもらえる」「未回収保証や代金回収代行などの付帯サービスがある」「クレジット会社と手数料交渉を任せられる」など、さまざまなメリットがあります。
決済代行サービスには「クレジット会社に支払う費用に加え、代行会社への費用・手数料が発生する」というデメリットがありますが、付帯サービスを活用して人件費や手数料を抑えられれば、むしろ経費は少なくなるでしょう。
クレジットカード決済はお客さまにとってのメリットが多い
クレジットカード決済はお客さまにとってのメリットが多い支払い方法です。具体的には次のようなメリットがあります。
- ポイントが付く
- 分割払いができる
- 請求を翌月以降に回せる
- 現金を持ち歩かずに済む
- 端末にカード情報を記憶させ、情報入力を簡略化できる など
これらのお客さまにとってのメリットは、事業者にとってはマーケティング強化のメリットにつながります。
次からは事業者がクレジットカード決済を導入するメリットを、ネットショップ・ECサイトと実店舗に分けて解説します。
ネットショップにクレジットカード決済を導入するメリット
まずはネットショップにクレジットカード決済を導入するメリットを3つ紹介します。
集客・客単価アップにつながる
ネットショップにクレジットカード決済を導入する1つ目のメリットは、「集客・客単価アップにつながる」ことです。
先述の通り、クレジットカードの中にはポイントが付くものも多いです。特に最近は「ポイ活」に取り組む人も多く、支払いを還元率の高いクレジットカードに固定している人もいます。
クレジットカード決済に対応していないと、このようなユーザーを取り逃してしまうでしょう。
また、クレジットカードの「請求を翌月以降に回せる」「分割払いができる」などのメリットは、客単価アップにつながります。
人間には将来の支出を過小評価する心理傾向があります。そのため現金払いや前払い式の電子マネーよりも、クレジットカードをはじめとする後払い式の決済方法ではセット購入や高額商品の購入がされやすくなるのです。
分割払いではこの効果がさらに大きくなるでしょう。一括払いではなかなか購入できないような高額商品を分割払いで買う人も多いです。
リピーターを獲得しやすい
ネットショップにクレジットカード決済を導入する2つ目のメリットは、「リピーターを獲得しやすい」ことです。
ユーザーは端末にクレジットカード情報を記憶させることで、カード情報を入力する手間を省くことができます。端末ではなくネットショップやECサイトごとに情報を記憶させているユーザーもいます。
このようなユーザーにとっては、はじめて利用するショップよりも、利用したことがあるショップの方が支払いの手間が少なく利用しやすいでしょう。
未回収リスクの軽減
ネットショップにクレジットカード決済を導入する3つ目のメリットは、「未回収リスクの軽減」です。
クレジットカード決済では、クレジット会社に支払いを保証してもらえます。たとえユーザーがクレジット会社の請求を踏み倒したとしても、自社の売上分はクレジット会社がきちんと払ってくれるのです。
代金の未回収が少なくなれば、督促などの代金回収業務も少なくなります。
実店舗にクレジットカード決済を導入するメリット
実店舗の場合もネットショップ同様、「集客・客単価アップ」「リピーター獲得」などのメリットを享受できます。ここからは、クレジットカード決済を導入する実店舗ならではのメリットを3つ紹介します。
金銭授受が少なくなり、現金過不足を防ぎやすくなる
実店舗にクレジットカード決済を導入する1つ目のメリットは、「金銭授受が少なくなり、現金過不足を防ぎやすくなる」ことです。
クレジットカードや電子マネーなどの決済方法を充実させることで、現金で支払いをするお客さまは少なくなるでしょう。
現金払いには「お客さまから受け取ったお金を数え、レジに入力する」「お釣をレジから取り出しお客さまに返す」など、現金過不足につながる工程が多いです。レジ内の現金も増えやすく、管理上のリスクも大きくなりやすいでしょう。
店頭に支払い手段を掲示することで差別化ができる
実店舗にクレジットカード決済を導入する2つ目のメリットは、「店頭に支払い手段を掲示することで差別化ができる」ことです。
普段使っているクレジットカードが使えるかどうかでお店を選ぶ人が多いのは、先述の通りです。お客さまがどのお店に入るか迷っているとき、「いつも使っているカードが使えること」が決定打になることもあるでしょう。
観光客を集めやすい
実店舗にクレジットカード決済を導入する3つ目のメリットは、「観光客を集めやすい」こと、つまりインバウンド需要の獲得です。
観光客は「クレジットカードがあるから」と、現地通貨を持っていないことも少なくありません。特にインバウンド需要として大きな割合を占める中国人観光客にとって、クレジットカードをはじめとする電子決済は当たり前のものです。
観光客は客単価も高くなりやすいです。彼らが買い物しやすいよう、特に観光地のお店はクレジットカード決済をはじめとする電子決済を充実させておきましょう。
クレジットカード決済を導入するデメリット
クレジットカード決済を導入することにはデメリットもあります。メリット・デメリットを照らし合わせ、導入するか否かを決めましょう。
費用・手数料がかかる
クレジットカード決済を導入する1つ目のデメリットは、「費用・手数料がかかる」ことです。
先述の通り、クレジットカード決済の導入にはシステムの設定や利用にかかる費用、決済手数料などがかかります。もちろん、現金払いではこれらの費用はかかりません。
クレジットカード決済導入による売上アップ・コスト削減と、費用・手数料の総額、どちらが大きくなりそうか見通しを立てて導入を検討しましょう。
導入までに手間がかかる
クレジットカード決済を導入する2つ目のデメリットは、「導入までに手間がかかる」ことです。
クレジットカード決済を導入するにはクレジット会社の審査をクリアしなければなりません。審査をクリアしてもクレジット会社ごとに異なるシステムを使って管理をしなければならず、システムの構築・連携が必要になることもあります。
これらの手間が気になるなら、サポートが充実した決済代行サービスの活用がおすすめです。
実店舗ではオペレーションが煩雑になる
クレジットカード決済を導入する3つ目のデメリットは、「実店舗ではオペレーションが煩雑になる」ことです。
実店舗でクレジットカード決済を受けるには専用の端末が必要です。特にCATのような端末は操作に慣れるまで時間がかかり、スタッフの教育コストがかかります。
ただ、最近は決済代行サービスが提供する、操作性が高い端末も多いです。決済代行サービスを選ぶ際は、端末の使いやすさも重要な選定ポイントとなります。
クレジットカード決済の導入にかかる費用
クレジットカード決済の導入・運用には次のような費用がかかります。
内訳 | 内容 | 相場・目安 |
端末費用 | 決済端末の購入やレンタルにかかる費用 | 無料~数万円 |
初期費用 | 導入時に支払う費用 | 数万円 |
月額料金 | システム利用などにかかる固定費 | 1万円未満 |
決済手数料 | 決済ごとにかかる手数料 | 3%前後 |
トランザクション費用 | サーバー間の決済処理ごとにかかる費用 | 数円~数十円ほど |
これらの費用はクレジット会社と決済代行会社の両方でかかりますが、どの費用がどのくらいかかるのかは各社異なります。最近は端末費用や初期費用、月額料金が無料の決済代行サービスも増えています。
クレジットカード決済を導入し、売上アップと業務効率化を
クレジットカード決済を導入することで、売上アップや業務効率化などの効果が得られるでしょう。業務効率化は人件費の削減にもつながるため、売上アップとも合わさり、利益率の向上が期待できます。
これらの効果を高めるには、クレジット会社との直接契約ではなく、決済代行サービスの活用がおすすめです。
決済代行サービスを活用することで業務効率化の効果はより高くなります。電子マネーや後払い決済などほかの決済方法に対応したサービスも多く、集客・客単価アップの効果も大きくなるでしょう。
これらの効果を最大化するためには、自社に合った決済代行サービスを選ばなくてはなりません。
どの業務に工数がかかっているのか、どんな決済方法を導入すべきかなどは、ビジネスモデルにより異なります。そのため、自社に最適な決済代行サービスも各社異なるのです。
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