クレジットカードのチャージバックとは?
クレジットカードのチャージバックとは、カード利用者が不正な取引や商品の品質不良などの理由で、カード会社に対して利用金額の返金を要求する制度です。チャージバックはクレジットカードユーザーを保護し、不正利用や詐欺などから守るために設けられています。
チャージバックの主な原因
チャージバックは主にクレジットカードの不正利用によって起こりますが、ほかにもいくつかの原因があります。チャージバックが起こる4つの原因を紹介します。
クレジットカードの紛失や盗難
チャージバックが起こる1つ目の原因は、「クレジットカードの紛失や盗難」です。
クレジットカードの紛失や盗難により不正な取引が行われた場合、カード所有者はその取引を認めていないことを主張し、返金を要求することができます。紛失や盗難が原因で発生した不正利用に対しては、チャージバック制度が迅速な解決手段となるでしょう。
クレジットカード情報の漏えい
チャージバックが起こる2つ目の原因は、「クレジットカード情報の漏えい」です。インターネット社会の現代では、カードの紛失や盗難がなくても、不正利用が起こることがあります。
たとえば、ショッピングサイトやデータベースがハッキングされ、カード情報が不正に入手された場合、その情報を悪用して不正取引が行われるかもしれません。このような場合にも、チャージバックを利用して返金を求められます。
購入者による申請
チャージバックが起こる3つ目の原因は、「購入者による申請」です。不正なものでなく、購入者自身によるカード利用でも、商品やサービスに不満がある場合などにチャージバックを申請することもあります。
たとえば商品が到着しなかった、商品の品質が低かった、サービスが提供されなかったなどの理由で、カード利用者は返金を要求することができます。
ただし、すべての申請が認められるわけではありません。その申請が正当な理由であることなど、一定の条件を満たす必要があります。
事業者側の原因
チャージバックが起こる4つ目の原因は、「事業者側の原因」です。ときには事業者のミスや詐欺行為などが原因でチャージバックが発生することもあります。
たとえば商品が説明や画像などと明らかに異なる場合や、明示されていない追加料金が請求された場合などです。こうした場合には、カード会社が事業者に対して返金を求め、ユーザーを保護します。
チャージバックの申請~返金までの流れ
カード利用者がチャージバックを申請してから実際に返金が行われるまでの流れを紹介します。
STEP.1 名義人がカード会社に連絡・申請をする
チャージバックを申請するためには、まずはカードの名義人がカード会社に連絡し、その理由や起こった問題などを報告する必要があります。
もちろん、チャージバックの申請がすべて認められるわけではありません。チャージバックを行うかどうか判断するために、カード会社は詳細な情報や証拠を提供するよう求めることがあります。
事態をきちんと説明できるよう、事前に状況を整理しておきましょう。
STEP.2 カード会社が対応を決定
カード会社はカード名義人からの連絡を受けた後、チャージバックの申請内容を審査し、どう対応するかを決めます。審査の結果、不正利用や問題のある取引などが確認された場合、カード会社は返金手続きを進めることになるでしょう。
一方、情報が不十分だと判断された場合や異議申し立てがある場合などには、返金が保留されることもあります。
STEP.3 チャージバックの実行
カード会社がチャージバックを認めると、返金手続きが実行されます。返金の方法や期間はカード会社や地域により異なります。一般的には、元の取引に使用した支払い方法に応じて、クレジットカード口座に返金されることが多いです。
チャージバックの申請が認められた場合、引き落としの前後でそれぞれどのような対応が取られるのかも確認しておきましょう。
引き落とし前の場合
引き落とし前の取引でチャージバックが行われる場合、カード会社は対象となる利用情報を削除し、引き落としがかからないようにします。
ただし、この処理に時間がかかり引き落としがかかった後に返金がされる可能性もあります。
引き落とし後の場合
引き落とし済みの取引でチャージバックが行われる場合、カード会社は問題のある取引を調査し、返金手続きを行います。異議申し立てがある場合には、返金が遅れることもあります。
ただし、カード会社がチャージバックを認めた場合、それを受け入れる加盟店がほとんどです。加盟店側の異議が認められ、チャージバックを取り消しできる可能性は低いでしょう。
チャージバックや不正利用を防ぐためにできること
チャージバックは主にクレジットカードの不正利用や不正な注文により起こります。チャージバックが起これば一度上がった売上が取り消しになります。不正利用が起これば売上取り消しだけでなく、自社の信用ダウンにもつながるでしょう。
チャージバックや不正利用を防ぐためにできることを紹介するので、できればすべてを、少なくとも3Dセキュア2.0とセキュリティコードは導入しましょう。
3Dセキュア2.0
不正利用を防ぐためにもチャージバックによる売上取り消しを防ぐためにも、3Dセキュア2.0を導入しましょう。クレジットカード決済の際、不正利用の可能性がある場合のみ本人認証が行われます。
本人認証が行われるのは不正利用の可能性があるときのみなので、ユーザビリティをあまりそこなわずに済むでしょう。
また、3Dセキュア2.0を導入していれば、仮に不正利用によるチャージバックが起こっても補償が受けられます。これは3Dセキュア2.0のみに対する補償で、ほとんどのクレジット会社は、3Dセキュア1.0への補償を終了しています。
セキュリティコード
クレジットカードの裏面には、「セキュリティコード」と呼ばれる3~4桁の数字が記載されています。オンライン取引時には、このセキュリティコードを入力することで本人認証を行います。
クレジットカード情報と異なり、セキュリティコードは端末などに記憶されず、決済のたびに入力が求められます。カードそのものを盗難されたり紛失したりした場合は別ですが、クレジットカード情報だけでは不正利用されにくくなるでしょう。
不正検知システム
不正利用を検知するための「不正検知システム」を導入することも重要です。不正検知システムは、特定のパターンや異常な取引を検知し、不正利用のリスクを低減します。
カード会社は不正検知システムをはじめとするさまざまなセキュリティ対策を講じていますが、加盟店側もこれらのシステムを活用し、磐石なセキュリティ体制を築くことが重要です。
不正注文の防止
オンラインショッピングでは不正注文が発生するリスクがあり、これによるチャージバックも生じやすいです。事業者側は、不正注文を防ぐために詐欺検知ツールや顧客情報の正確な確認手続きを導入することが重要です。
不正注文・チャージバックが起こりやすい商材は?
不正注文やチャージバックのリスクが高い商材として、ゲーム機やブランド品などの「転売されやすい商材)が挙げられます。いわゆる「転売ヤー」はこれらの商品を買い占め、正規価格を大きく上回る価格で再販することで、その差額を利益として得ているのです。
しかし、転売がうまくいくかどうかは正規販売されている商品の在庫状況や、ほかの転売ヤーの動向などにより変わってきます。転売をあきらめたとき、転売ヤーがチャージバック申請をすることもあり得ます。
いずれにしても、転売は商品価格を不当につり上げる行為です。転売ヤーから購入した商品には当然保証もありません。事業者とユーザー双方の不利益になるため、転売自体を防ぐことが重要です。
異常な大量注文などは転売目的の可能性があるため、注文内容をよく確認し、対応を慎重に決めましょう。
チャージバックや不正利用には万全の対策を
チャージバックは、クレジットカード利用者を不正利用や詐欺から守るための重要な制度です。ただ、チャージバックが起こると事業者は一度立てた売上が取り消されることになり、資金繰りが狂ってしまうかもしれません。
3Dセキュア2.0やセキュリティコード、不正検知システムなどを活用し、不正利用を防ぐことが大切です。
特に3Dセキュア2.0は確実に導入しておきましょう。不正利用のリスクを抑えられるだけでなく、不正利用によりチャージバックが発生しても、その金額を保証してもらえるからです。
こちらの記事では3Dセキュア2.0とは何か、導入することにどんなメリットがあるのかを詳しく解説しています。導入や、3Dセキュア1.0からの切り替えがまだの企業はぜひお読みください。
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