メールリンク決済とは、メールやSMSで決済画面のURLやQRコードをお客さまに送り、決済が完了する決済システムです。本記事ではクレジットカードの接続方式としてのメールリンク決済とほかの接続方式との違いや導入のメリット、導入できる決済手段などを解説します。
メールリンク決済とは?
現代のECサイトの代表的な決済方法はクレジットカード決済です。ECサイトにクレジットカード決済を導入するには、お客さまのクレジットカードと決済機関をつなぐ必要があり、つなぐための方式を「接続方式」といいます。
メールリンク決済は、クレジットカード決済の接続方式のひとつです。
MMD研究所の「2024年1月決済・金融サービスの利用動向調査」によれば、約半数以上の人がクレジットカードを支払方法に選択しています。クレジットカード決済と接続したメールリンク決済はますます需要が高まると見込めます。
メールリンク決済の仕組み
メールリンク決済ではお客さまが商品を購入をした場合に、自社がお客さまのメールやSNSに決済手続き画面のURLを送付します。お客さまが決済手続き画面上で情報を入力すると決済が完了します。この決済手続き画面およびURLは決済代行会社が管理・提供するものです。
メールリンク決済のメリット・デメリット
メールリンク決済のメリット・デメリットを説明します。
メールリンク決済のメリット
メールリンク決済は高セキュリティな決済方法を手軽に導入したい場合におすすめです。その理由を、メールリンク決済の3つのメリットと併せて解説します。
1.WebサイトやECサイトの用意・改修が不要
メールリンク決済の1つ目のメリットは、「WebサイトやECサイトの用意・改修が不要」なことです。メールリンク決済では、クレジットカード情報の入力を決済代行会社が管理・提供する画面で行います。
自社はお客さまに決済用のURLを提供するだけでよいため、決済機能を組み込むようなWebサイトの用意・改修が不要です。URLはメールやSMSで提供するため、「そもそもWebサイトを持っていない」という企業や個人事業主の方も活用できます。
2.クレジットカード情報を自社で保持せずに済む
メールリンク決済の2つ目のメリットは、「クレジットカード情報を自社で保持せずに済む」ことです。お客さまがカード情報を入力する画面は、決済代行会社などが管理・提供する画面です。
そのため自社でクレジットカード情報を保持するタイミングがなく、自社起因での情報漏えいが起こるリスクを限りなく削減できます。
3.さまざまな決済手段に対応できる
メールリンク決済の3つ目のメリットは、「さまざまな決済手段に対応できる」ことです。メールリンク決済はクレジットカードの接続方式の一種ですが、次のような決済手段にも対応しています。
【メールリンク型で対応できる決済手段】
- 電子マネー決済
- QRコード決済
- コンビニ決済
- 銀行振込 など
クレジットカードを持っていない人、オンライン決済に抵抗がある人に合わせて多様な決済手段に対応することで、顧客層を広げられます。
メールリンク決済のデメリット
メールを使うことで決済をより安全に、より手軽にしているのがメールリンク決済ですが、「メールを使うこと」によるデメリットもあります。
たとえばお客さまはメールアドレスの入力を間違えてしまった場合、決済用のメールが届きません。メールアドレスが正しくても、迷惑メールに振り分けられることもあります。
またメールリンク決済のURLには基本的にアクセス期限があり、期限を過ぎると無効になります。期限切れになると、新しい決済URLを発行・送付しなければなりません。
メールリンク決済が適したケース
手軽に導入でき、情報漏えいリスクも低いメールリンク決済は次のようなケースに適しています。
- 小~中規模のECサイト
- Webサイトに決済機能がない場合
- SNSを活用したオンライン販売
- 予約・見積もり後に金額が決まる場合
- 実店舗や電話でオンライン販売をする場合
- レッスン教室や会員制エステなど月謝の集金
- ECサイトを持たない場合
メールリンク決済は予約や見積もりの後に金額が決まるケースにも柔軟に対応できます。メールやSMSで決済URLを送るため、実店舗や電話、SNSなどを活用したオンライン販売でも導入できます。
メールリンク決済サービスの選定ポイント
メールリンク決済を導入するには、それを提供する決済代行会社との契約が必要です。どのようなサービスを選べばいいのか、4つのポイントを紹介します。
1.対応した決済方法や課金方式
メールリンク決済サービスを選ぶ1つ目のポイントは、「対応している決済方法や課金方式」です。
顧客層を広げるなら、クレジットカードだけでなく銀行振込やコンビニ決済などにも対応したサービスが適しています。特に高齢者向けのサービスの場合、銀行振込に対応しているサービスがおすすめです。
定期購入が前提の商品を販売する場合や、サブスクリプションのサービスを提供する場合は、継続課金(※)に対応したサービスが適しています。
※継続課金とは?
月額制や年額制など、決まったスパンで支払いが発生する課金方式です。これに対し、一般的なECサイトで見られる商品の購入時に都度料金を支払う方式は、「都度課金」と呼ばれます。
継続課金について詳しく知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。
継続課金システムとは?都度課金との違いや導入できる決済手段、適したビジネスモデルを紹介
2.操作のしやすさ
メールリンク決済サービスを選ぶ2つ目のポイントは、「操作のしやすさ」です。管理画面は自社の従業員にとって扱いやすいか、決済画面はお客さまにとって見やすく入力しやすいかをチェックしましょう。
特に、お客さまにとっての扱いやすさは重要です。決済画面が見づらい、入力しづらいことが原因で、購入や申し込みをやめてしまう場合があります。
3.初期費用や利用料、決済手数料
メールリンク決済サービスを選ぶ3つ目のポイントは、「初期費用や利用料、決済手数料」です。メールリンク型決済を導入するには、決済代行会社との契約が必要です。クレジットカード会社に支払う費用とは別に、代行会社への費用も発生します。
ただ、メールリンク決済は顧客にとっても利用しやすく、多様な決済手段に対応しています。これを導入することで顧客層が広がり売上アップが見込めるため、費用をかけてでも導入する価値があります。
中には「Squareオンラインチェックアウト」のような、初期費用・利用料・決済手数料なしで利用できるサービスもあります。
4.セキュリティ体制
メールリンク決済サービスを選ぶ4つ目のポイントは、「セキュリティ体制」です。
メールリンク決済では自社サイト内でクレジットカード情報を保持することがありません。そのため、自社起因の情報漏えいが起こるリスクは限りなく低いです。
しかし、セキュリティ対策がおざなりでいいわけがありません。自社サイトを利用したことによる情報漏えいが起これば、それが決済代行会社の責めによるものだったとしても、ある程度のイメージダウンは避けられません。
どのようなセキュリティ対策を施しているのか、セキュリティに関するマークを取得しているのかなどを基準に、安心できる代行会社を選びましょう。
メールリンク決済とその他の接続方式の比較
クレジットカードの接続方式はいくつかあります。中でも代表的な3つの接続方式を、メールリンク型と比較しながら紹介します。
1.Webに特化した「リンク型」
ECサイトやオンラインスクールなどのWebに特化した接続方式が「リンク型」です。リンク型では商品購入やサービスへの申し込み後、決済代行会社などが提供する決済画面に遷移します。
メールリンク同様、クレジットカード情報を自社サイト内で保持する必要はありません。お客さまはメールやSMSでURLを受け取る必要がなく、申し込み画面からそのまま決済画面に遷移できます。
お客さまにとってより手軽であること、事業者にとっては自社責任による情報漏えいリスクが低いことがメリットです。
ただし、申し込み画面から決済画面へ遷移しなければならないため、電話や対面での申し込みには不向きです。
2.画面遷移が少なく高セキュリティ「トークン型」
トークン型と次に紹介するデータ転送型は、リンク型やメールリンク型と異なり自社サイト内に決済機能を組み込みます。画面遷移が少なくセキュリティも高いのが「トークン型」です。
トークン型では決済代行会社などが提供するJavaScriptプログラムを自社サイトのカード情報入力画面に組み込みます。トークンとは一種の暗号のようなもので、お客さまが入力した情報を元にトークンが生成されます。トークンは決済代行会社を介してカード会社へと送信され、決済が行われます。
クレジットカード情報を自社で保持することなく、自社サイトに決済機能を組み込める点が、リンク型・メールリンク型と比べたメリットです。
3.膨大な注文件数に対応しやすい「データ転送型」
膨大な注文件数にも対応しやすいのが「データ転送型」です。自社で構築したSSL(入力された情報を暗号化すること)対応サーバーを使い、お客さまが入力したカード情報を決済代行会社へ送信します。
デザインや機能のカスタマイズ性が高いのが特徴で、注文件数が多い場合に適しています。自社サイト内で支払い手続きが完結するため、トークン型と同じく画面遷移数を少なくできるのもメリットです。
メールリンク決済は導入しやすく、さまざまなビジネスに対応している
メールリンク決済は自社サイトを用意したり改修したりすることなく導入でき、情報漏えいのリスクも低いです。
クレジットカードはもちろん、コンビニ決済や銀行振込などさまざまな決済手段に対応しています。都度課金と継続課金の両方に対応したサービスも多く、どんなビジネスモデルでも、顧客層を広げるためにぜひ導入する事をおすすめします。
メールリンク決済のおすすめサービスはこちらの記事で紹介しています。各サービスの特徴や料金はもちろん、決済サービスの活用事例も紹介しているのでぜひ参考にしてください。