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リカーリングとは?現代社会にマッチする理由や適したビジネスモデルを紹介

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リカーリングとは本体+消耗品の購入や利用料の継続課金などにより、継続的に収益を上げるビジネスモデルです。剃刀本体の購入後、替え刃を購入するようなイメージです。本記事ではリカーリングが注目される背景や具体的なビジネスモデルなどを紹介します。

リカーリングとは?

リカーリングとは繰延収益が得られるビジネスモデルです。リカーリング(Recurring)には「くり返される」「循環する」などの意味があり、このビジネスモデルから得られる繰延収益をリカーリングレベニューといいます。

具体的には剃刀(髭剃り)やプリンターなどがリカーリングビジネスにあたります。どちらも本体だけでは使えず、替え刃やインクなどの消耗品を定期的に購入しなければなりません。ほかにも、毎月料金が生じる公共料金や習い事、サブスクリプションのビジネスなどもリカーリングといえます。

サブスクリプションとの違い

サブスクリプションもリカーリングも定期的に売上が上がる点は同じです。両者の違いは、その売上の性質にあります。

リカーリングは先述の剃刀の替え刃やプリンターのインクのような消耗品、公共料金などの「利用料」から売上を上げるビジネスモデルです。替え刃やインク、公共料金はどの程度使ったかにより料金額も変わるため、従量課金のビジネスモデルといえます。

一方、サブスクリプションはYouTubeプレミアムのような「権利料」から売上を上げるビジネスモデルです。プランが分かれていることもありますが、利用状況により料金額が変わることはなく、定額制のビジネスモデルといえます。

リカーリングビジネスの発祥

リカーリングビジネスはアメリカの剃刀メーカー「Gillette(ジレット)」からうまれたといわれています。ジレットは剃刀本体を無料で提供し、替え刃を定期的に購入してもらうことで、継続的な収益を得ていました。

現在では剃刀は替え刃式が主流となり、ジレットだけでなくさまざまなメーカーがリカーリング形式で販売をしています。

リカーリングビジネスが注目される背景

リカーリングは現代社会に合ったビジネスモデルといえます。リカーリングやサブスクリプションなど、多くの企業が継続的に収益を得られるビジネスモデルを採用するのはなぜなのか、3つの背景から解説します。

製品そのものの差別化が難しい

テクノロジーが発達し、技術力が研ぎ澄まされた現代において、製品そのものの差別化は難しくなってきました。

高度経済成長期の日本、特に製造業は製品の機能や品質を高めることで市場拡大と売上アップを続けてきました。そのほとんどは売り切りモデルでしたが、「サービスによるリカーリングモデル」の構築を試みてきました。たとえばガスタービンのような製品は、タービンの部品の販売およびメンテナンスにより、リカーリングモデルが成立しています。

どのメーカーも質の高い製品を出している環境では、製品そのものによる差別化には限界があります。部品の購入やメンテナンスのしやすさ、サポートの充実などのサービス部分で差別化を図ることが重要です。

中国や韓国の台頭

製品そのものの差別化を難しくした要因として、中国や韓国の台頭が挙げられます。昔からメイドインチャイナの製品は安価であることが強みでしたが、以前は「安い分質も低い」のが当たり前でした。

しかし、今では中国の技術力は高まり、「安いうえに質も高い」という認識に変わりつつあります。中国は今や数少ない社会主義国家であり、利益の上がるビジネスや将来性の高い企業を国がバックアップするような仕組みになっています。これらの国と製品の価格や機能で勝負するのは難しいでしょう。

機能から体験(CX)へ、価値観の変化

現代では製品そのものの機能や品質、価格だけで勝負をするのは難しいです。そこで注目されているのが「顧客体験(CX)」です。その製品を手にすること、使うことで顧客はどんな体験ができるかという視点でビジネスモデルを構築する企業が増えています。

顧客側の価値観も変化し、メーカーのポリシーや理念などを軸に何を買うか決める人も多くなりました。

先述の剃刀なら、よく剃れること、肌が傷つかないことはもはや当たり前です。顧客から選ばれるために、たとえば本体の持ち手を木製にして高級感を出したりメーカー・ブランドとしてのポリシーを前面に押し出したり、各社工夫を凝らしています。

2種類のリカーリングビジネス

リカーリングビジネスは売上の性質から「消耗品販売」と「継続課金」の2種類に大別できます。

消耗品販売

本体を持つ顧客に消耗品を継続的に販売するビジネスモデルには、次のようなものがあります。

  • 剃刀と替え刃
  • プリンターとトナーやインク、コピー用紙
  • 家庭用ゲーム機とゲームソフトやコントローラー など

継続課金

サービスや製品の利用料を継続課金モデルで支払ってもらうビジネスモデルには、次のようなものがあります。

  • 各種公共料金
  • インターネット回線
  • 携帯電話のキャリア回線 など

リカーリングビジネスのメリット

リカーリングは現代社会に合ったビジネスモデルであり、将来性・安定性も高いです。その理由を、リカーリングビジネスの3つのメリットと併せて解説します。

売上が安定し、収益の見通しも立てやすい

リカーリングビジネスの1つ目のメリットは、「売上が安定し、収益の見通しも立てやすい」ことです。消耗品の定期購入や利用料の継続課金が必要なリカーリングでは、ある程度決まった売上が毎月入ってきます。

ファンマーケティングとの相性がいい

リカーリングビジネスの2つ目のメリットは、「ファンマーケティングとの相性がいい」ことです。

ファンマーケティングとは、企業が提供する商品やサービスを強く支持してくれるファンを増やすマーケティングのことです。このようなファンは自社の製品を購入し続けてくれるだけでなく、ポジティブな口コミも広めてくれます。

継続購入が前提となるリカーリングビジネスでは、いかにファンを増やすかが売上アップに直結します。

CPAを下げ、LTVを高めやすい

リカーリングビジネスの3つ目のメリットは、「CPAを下げ、LTVを高めやすい」ことです。

CPAは顧客獲得単価を意味し、顧客1人を獲得するのに費用がいくらかかるのかを示します。LTVは顧客生涯価値のことで、1人の顧客が自社と契約(商品購入)してから解約(消耗品の購入をやめる)するまでに得られる利益の総額のことです。

継続的な購入や課金を前提とするリカーリングはLTVを高めやすいビジネスモデルです。ファンマーケティングとの相性もよく、ファンが増えるほど広告や営業ではなく、口コミやおすすめで商品が売れるようになっていきます。

リカーリングビジネスのデメリット

リカーリングビジネスの主なデメリットは「初期投資の回収に時間がかかる」「価格競争に巻き込まれやすい」の2つです。

継続購入を前提とするリカーリングでは、一度の購入額が低くなりやすいです。一度の購入額が高い売り切り型なら初期投資の回収も早いですが、リカーリングでは時間がかかるでしょう。

「消耗品を定期購入しなければならない」「利用料が毎月発生する」などの特性から、価格競争に巻き込まれやすいともいえます。この先ずっと消耗品を購入するとなると、顧客は消耗品がわずかでも安いメーカーを選びたくなるでしょう。「ちりも積もれば山となる」ということわざもあります。

これらのデメリットを踏まえ、初期のマーケティングには慎重になること、価格以外の価値で顧客にアプローチすることが大切です。

リカーリングが適したビジネスモデル

日用品・消耗品系

剃刀やプリンターなどの消耗品を定期的に購入しなければならない製品はリカーリングと相性がいいです。

広い意味では、シャンプーや洗剤などの「一度ボトルを買った後、使い切ったら詰め替え用を買う」ような商品もリカーリングといえます。詰め替え用のシャンプーや洗剤を、ほかのブランドのボトルに入れたくないという人は多いでしょう。

教室系

フィットネスジムや習い事などの教室系もリカーリングビジネスといえます。毎月月謝が発生すること、通える回数や教える内容などでプランを分け、アップグレードを狙う教室も多いです。

コンテンツ・サロン系

有料メルマガやオンラインサロンなども、広い意味でのリカーリングビジネスといえます。これらのビジネスモデルは毎月の会費に加え、セミナーやイベント、個別コンサルなどのプラスアルファのサービスを販売しやすいです。

根強いファンがいる領域

アイドル事務所やサブカルなど、根強いファンがいる領域もリカーリングビジネスと相性がいいです。ゲーム機本体の購入後にゲームソフトを買い、そのゲームソフトのDLC(ダウンロードコンテンツ)を買い…、というビジネスモデルも増えました。

アイドル事務所はイベントやグッズなどの販売で売上を上げ続けてきた業種です。最近ではYouTuber・Vtuberなどの事務所も増え、タレントへの投げ銭やメンバーシップに加え、イベントやグッズ販売でさらに売上を上げるという事例も多いです。

リカーリングビジネスでは決済手段の充実も重要

リカーリングビジネスにおいて、決済手段を充実させることは重要です。顧客にとって支払いやすい方法でなければ、毎回の支払いが面倒に感じて解約されたり、購入をやめたりされてしまうこともあるでしょう。

決済手段を充実させるには、決済代行会社の活用がおすすめです。

こちらの記事では決済代行会社を、どんなビジネスモデルに適しているかという視点から紹介しています。代行会社ごとの手数料や対応した決済手段はもちろん、業界別の選び方も解説しています。

決済代行サービス・会社おすすめ比較52選|業界別の選び方・シェア・手数料・メリット・仕組み

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著者
OREND編集部
OREND編集部
「OREND」は飲食店や小売業界・ネットショップに関する業界トレンドを図解・解説しながらツール紹介を行う専門メディアです。 キャッシュレス決済や予約管理システム・ネットショップ作成ソフトなど、店舗の効率化やECサイトの立ち上げに必要なツールの仕組みや機能・トレンド背景を解説します。
この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社で、事業企画として業務を担う。兼務でグループ会社のマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月にステップ・アラウンド株式会社を設立し、飲食店や小売業を中心とした店舗ビジネスのIT化やDXの推進に注力。現在は、店舗ビジネスの効率化や収益向上に役立つ情報を発信するメディア「OREND」を監修し、実務経験に基づいた具体的で分かりやすいコンテンツ作りに取り組む。
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