販売促進(販促)とは
販売促進とは、商品の売り手側が顧客の購買意欲を刺激し、商品を購入してもらうための一連の活動を指します。一般的にセールスプロモーションや販促と呼ばれることが多くチラシやポスターなどは販促品と言います。
販売促進・マーケティング・営業(販売)の違い
販売促進と似た概念で、マーケティングやPRといったものがありますが、それぞれの位置づけや目的は下記のように異なるものとなります。
役割 | 特徴・目的 | 部門 | |
マーケティング・PR | 認知・集客 | 情報発信と潜在顧客のニーズ喚起 | マーケティング・広報部門 |
販売促進 | 購買行動の誘発 | 顕在顧客への動機づけ | 営業企画・マーケティング部門 |
営業・販売 | 製品の購入・クロージング | 動機付けされた顧客の契約・販売 | 営業・販売部門 |
マーケティングという言葉には宣伝や販売促進という言葉も含む、一連の活動を指し概念としては広範囲です。販売促進はその中の購買のきっかけを作るものであり、売上増加を目的にしたキャンペーン施策がイメージしやすいです。
無料キャンペーンやクーポンなど購入のきっかけを作ることで、営業が販売しやすくするのが販売促進となります。
販売促進が必要な理由
(1)商品の多様化で増え続ける新商品
消費者ニーズに合わせて多くの商品が出回っている現代では、本当は違う機能もっていたとしても何となく似ているなという商品は必ず出てきてしまいます。
そうなると今までの販売方法では顧客の購買意欲を刺激できなくなり、誤った商品購入を避けるようになります。そのため、他社と「差別化」できる最適な手法を模索していく必要があります。
(2)インターネットの普及
加えて、現代はスマホなどで簡単にインターネットにつながる時代になりました。何か調べものをするだけでも、インターネットを使用する場合が多くなっています。
消費者行動もネット広告・SEOコンテンツ・SNS・アプリなどさまざまなメディアに触れ、これまでの紙媒体だけに接点だけではカバー難しくなっています。
デジタル時代の販売促進では、消費者ニーズ・商品に合わせた顧客接点を持つことが重要なのです。
販売促進・マーケティングの原則
消費者視点の4C
4Cとは次の4つの文字の頭文字をとったもので、顧客価値に着目したフレームワークです。
- (1)Customer Value(顧客価値)
- (2)Customer Cost(顧客コスト)
- (3)Convenience(利便性)
- (4)Communication(コミュニケーション)
消費者の目線に立ち市場のトレンドと連動した販売戦略がなくては、最適なマーケティングの実現は望めません。
次に紹介する企業側の製品ターゲットと合致しているかを見る必要があり、ニーズに即してない場合は改善を検討する必要があります。
企業側視点の4P
次に4Pとは、次の4つの文字の頭文字をとった用語となります。
- (1)Product(製品)
- (2)Price(価格)
- (3)Place(流通)
- (4)Promotion(販売促進・手段)
目標と合致した4Pを構築するのが最善となり、目標と相違したものを構築してしまった場合狙った売り上げは得られません。
ここでのポイントは、前述したとおり製品が複数存在する場合です。複数の場合はターゲットも異なるため、ブランドイメージとのすり合わせをした状態で製品毎の4P検討が必要です。
販売促進は5W1Hにそって最適化する
次は5W1Hという考え方を意識しましょう。
5W1Hとは次のそれぞれの頭文字をとった用語となります。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰に)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのような方法で)
5W1Hに沿って販売促進を行うことで具体的なプロセスを作成することができ、計画をたてやすくなりますので必須となります。
また5W1Hを明確化しておくことにより、他のものにも伝えやすくなるので出来るだけ明確化しておきましょう。
販売促進の目的と5つのステップ

(1)新規顧客の開拓
1つ目は新規顧客の開拓となります。文字通りですが、これまで商品を購入していない顧客に購買行動を促します。
顧客を獲得するために様々な方法で販売促進をする店舗と、何もせずに運に任せて経営をしている店舗では、後者にはよほどの差別化がなければ集客をすることはできません。
販売促進の役割は購買検討の意欲が高い顧客に対して実施するため、ニーズのある見込み客に対して「今購入する理由」を提示していくことが重要です。
(2)顧客単価のアップ(クロスセル)
2つ目は顧客単価の引き上げです。
販売促進を行うことによりクロスセル(他の商品を併せて購入してもらえる)などの効果が望め、顧客単価がアップします。
例えば「この商品を買った人はこのような商品を購入しています」というような販促を行うことにより、 顧客が1人でも購入数が多ければ売上の最大化が期待できます。
(3)リピートの促進
3つ目はリピートの促進です。
新規顧客を獲得することができてもリピート率が悪ければ新規顧客を獲得し続ける必要があり、売上の安定が難しくなります。
イメージしやすものでいえば、クーポンやポイントカードの配布です。成長市場の場合でも競合は次々に出てくるため、顧客が選ぶ理由がなくなれば購入率や来店頻度は下がってしまいます。
一定の顧客開拓ができている場合には、既存顧客に対する販売促進も非常に重要といえます。
(4)紹介顧客の促進
4つ目紹介顧客の促進です。
紹介顧客とは、既存の顧客から商品を紹介してもらい新規の顧客となることを指します。
既存の顧客にうまく販売促進を行うことができれば「ここの商品は他よりもいい」ということを他の顧客となりうる人に紹介してくれます。
商品のファン・支持者を増やす仕組みができれば、マーケティングコストを投下しなくても売上が立つ状態となり、安定した売上が期待できます。
(5)休眠顧客の掘り起し
最後は休眠顧客の掘り起こしとなります。
休眠顧客とは既存の顧客ではあるが現在は利用をしていない顧客であり、さまざまな企業の課題ではないでしょうか。
休眠状態になっている理由は1つではないかもしれませんが、既に接点があるため新規顧客の獲得コストよりは低くなるのが通説です。
具体的な手法・アイディア
それでは実際に具体的な手法、アイディアを紹介します。
インターネット活用(HP・グルメサイトなど)
まずはインターネットを用いた手法です。
●主な手法一覧
- ホームページ
- アフィリエイト
- グルメサイト掲載
こちらはすでにやっている店舗が多いかと思われますが、先ほども述べたようにインターネットの普及が進んだ現代では重要な方法となります。
来店する前にホームページなどで情報を集めてくる顧客はたくさんいますので、まだ作成していないのであれば初めに取り掛かるようにしましょう。
また飲食店であれば「食べログ」などの検索結果が上位にくることが多く、露出の面を増やすことが可能なため掲載を検討しましょう。
SNSの活用
- Line@
SNSの利用も大きな効果を得られます。
スマホを利用している方はほとんど何かしらのSNSを利用している場合が多く、その場に公式のアカウントとして店舗を紹介すると目につきやすく新規の顧客の獲得につながります。
店舗の情報だけではなくお得な情報を定期的に掲載することができれば、更に大きな効果を得られるでしょう。
クーポン配信
- DM
- アプリ
- SNS
クーポンの配信も顧客獲得に大きく効果があり、方法によってはクロスセルを狙った顧客単価のアップにも有効です。
とくにアプリなどでしたらプッシュ通知ですぐにクーポン配信の事実を伝えることができますのでオススメです。
紙媒体などのオフライン施策
- チラシ
- 看板
- カタログ
昔から行われている方法ですがチラシなどのオフライン施策もまだまだ効果があります。
直に顧客となる人の目につくことができるため、商品の購入までのプロセスを促進してくれます。
ただ配るだけではなくクーポンなどもつけて配ることができれば、高い効果が期待できることに加えて、施策結果の効果検証も可能となります。
販売促進の事例
手法などを紹介してきましたが実際に行ったものはどのようなものがあるのでしょうか?
(1)飲食業界の事例
飲食業界の場合、あえて調理の工程を顧客の目につきやすいようにして興味を持ちやすくする匂いを出すことによって、食欲に訴えかけるなどの方法をとっています。
また品数が少なくても「丹精込めて作り上げています」などと一言を添えることもよく使われている手法です。
一見品数が少ないと選ぶ楽しみがなくなってしまうためデメリットのように思われますが、たった一言添えるだけでメリットに変えています。
(2)アパレル業界の事例
アパレル業界は、店舗の中を迷わないようになどの方法もありますがインターネットの普及に乗じてオンラインショップなども開設しています。
これにより実際の店舗にはサイズがなかったとしてもオンラインショップになら在庫がありますと言って顧客を引き留めることができますし、実際の店舗に行かなくても購入できますので売上アップにつながります。
(3)EC・通販業界の事例
EC・通販業界の場合「店舗よりも安く購入できる」、「ボタン一つで家まで届く」などの販売促進手法がとられています。
とくに楽天やアマゾンの取り扱い商品はかなり多く、家にいながら日常品から電化製品まで全てを家で購入できるという方式があります。
プロモーション施策は目的に合わせた実施がポイント
販売促進について紹介してきましたが、一番重要なことは目的に合わせた手法をとることです。
顧客ニーズと違った手法を取っていたとしても、促進していくことはできません。顧客に目を向けオンライン・オフラインを組み合わせた販売促進を実施していきましょう。