- Amazon転売の通報方法と手順|違法行為・ポリシー違反の正しい判断軸
- 無在庫販売(ドロップシッピング)の通報基準とAmazonポリシー違反の考え方
- Amazon転売を通報する際のリスクと注意点|通報側が不利にならない進め方
Amazonの転売行為は通報できるがリスクがある
Amazonの転売は通報できますが、やり方を誤ると通報した側が不利になるリスクがあります。転売そのものは原則違法ではないため、明確な根拠(規約違反・法律違反)を示さずに動くのは危険です。通報前に、どんなリスクがあるのかを理解しておく必要があります。
- 通報が取引先とのトラブルに発展するリスク
- 転売業者との直接トラブルに発展するリスク
- Amazonからペナルティを受けるリスク
- 通報対応が一時的対処に終わるリスク
通報が取引先とのトラブルに発展するリスク
正規の卸先や小売店を誤って転売業者として通報すると、大切な取引関係を損なう可能性があります。流通経路が複雑な場合、出品者が正規ルートかどうかの見極めが難しく、事実確認を怠ると不要な摩擦を生みます。通報前に出品者情報や価格設定、販売実態を丁寧に確認することが重要です。
転売業者との直接トラブルに発展するリスク
転売業者は「転売自体は違法ではない」と理解しているケースが多く、通報をきっかけに強硬な態度や嫌がらせに発展する可能性があります。特に直接連絡を行う場合は、感情的なやり取りを避け、証拠に基づいた冷静な対応が求められます。
Amazonからペナルティを受けるリスク
根拠が不十分な通報は、虚偽申告や権利の濫用と判断されるおそれがあります。知的財産権侵害の申告は強力な手段ですが、裏付けが弱いと通報機能の制限やブランド登録権限の停止など、重いペナルティにつながることがあります。規約条文や事実関係を明確に示すことが不可欠です。
通報対応が一時的対処に終わるリスク
個別出品の通報を続けても、転売業者は次々に現れ、いわゆる「モグラ叩き」になりがちです。結果として時間と労力を消耗し、本来注力すべき商流管理やブランド保護が後回しになることがあります。通報はあくまで手段の一つと捉え、持続的な対策と併用する視点が重要です。
Amazonの転売は「違法行為」と「ポリシー違反」の2つに分けて通報できる
Amazonの転売通報は、法律に違反しているか、Amazon独自のルールに違反しているかの2軸で考えるのが基本です。どちらに該当するかを整理することで、適切な通報先・通報方法を選べるようになり、通報側のリスクも下げられます。
どちらで通報すべきか判断するポイント
判断の基準は、客観的な証拠が何かに尽きます。法律違反の証明は難易度が高い一方、ポリシー違反は比較的通報しやすいケースがあります。まずは以下の観点で切り分けましょう。
| 通報の種類 | 内容 |
| 違法行為 | 国の法律に違反している可能性がある転売行為を指摘する方法。Amazonの規約以前に、法令違反が問題となるケースが対象。立証のハードルが高く、客観的な証拠や権利者としての立場が求められる。 具体例:偽ブランド品を本物として販売している、古物商許可を持たずに中古品を継続的に転売している、個人輸入と偽って営利目的で商品を輸入・転売している、商標権・著作権を侵害している。 |
| ポリシー違反 | Amazon独自のルールに違反している転売行為を指摘する方法。法律違反でなくても対象になり、一般の購入者や出品者でも通報しやすい。 具体例:希望小売価格や市場価格を大きく上回る高額転売、無在庫販売(ドロップシッピングポリシー違反)、中古品や開封済み商品を新品として販売しているケース。 |
法令違反が明確でない場合は、まずポリシー違反として通報するのが安全です。特にamazonの無在庫販売は、ドロップシッピングポリシー違反は根拠を示しやすく、実務的にも対応されやすい傾向があります。
Amazonで転売業者を通報する具体的な方法
Amazonの転売通報は、立場(購入者・出品者・ブランド登録者)や違反内容に応じて窓口が異なります。適切な通報経路を選ぶことで、対応される可能性を高め、無用なトラブルも避けやすくなります。
商品詳細ページから通報
高額転売などの価格面の問題は、商品ページからの通報が最も手軽です。購入者・非購入者を問わず利用でき、出品者に直接通知されにくい点もメリットです。
商品ページ下部の「不正確な製品情報を報告」から、価格に問題がある旨と根拠(希望小売価格との乖離など)を簡潔に記載します。
カスタマーサービスへ通報
購入者として被害を受けた場合はカスタマーサービスが有効です。特に無在庫販売の疑いがあるケースでは、配送情報や出品者情報が確認できないなど、購入後に判明した事実を基に通報できます。
証拠を示せるため、ドロップシッピングポリシー違反の通報と相性が良い方法です。
セラーセントラルから通報
自社商品を販売している出品者が不正転売を確認した場合は、セラーセントラルから通報します。
「アカウント健全性」内の「不正または違反を報告」から、どの規約にどう違反しているかを論理的に説明することが重要です。感情的な表現は避け、事実と証拠を整理して伝えます。
ブランド登録者の画面から通報
ブランド登録(Amazon Brand Registry)を行っている場合は最も強力な手段です。
「権利侵害の申告」から、商標権などの侵害を理由に通報できますが、「転売している」という理由だけでは通りません。規約違反や法令違反を裏付ける証拠を添えることで、対応される可能性が高まります。
Amazonで転売業者を「違法行為」として通報する
Amazon上の転売の中には、単なる転売を超えて法律違反に該当するケースがあります。これらはAmazonの規約違反という枠を超え、法令違反の疑いとして通報・指摘できる対象です。ただし、違法性の立証は難易度が高いため、客観的な事実や証拠がある場合に限定して検討することが重要です。
無許可での古物転売による古物営業法違反の疑い
中古品を継続的・反復的に仕入れて転売しているにもかかわらず、古物商許可を取得していない場合、古物営業法違反に該当する可能性があります。
個人・法人を問わず、営利目的で中古品を扱う場合は許可が必要であり、許可番号の記載がなく、明らかに中古転売を繰り返している出品者は注意が必要です。ただし、許可の有無を外部から断定するのは難しいため、確実な情報がある場合に限って通報を検討しましょう。
個人輸入を偽った営利転売による関税法違反の疑い
海外からの商品を個人利用と偽って輸入し、それをAmazonで転売する行為は、関税法違反(虚偽申告・関税ほ脱)に該当する可能性があります。
特に、同一商品を大量・継続的に販売しているにもかかわらず、明らかに個人輸入扱いと思われるケースでは、営利目的の輸入とみなされる可能性があります。輸入経路や販売実態が確認できる場合は、違法性を踏まえた指摘が可能です。
偽ブランド品販売による商標法違反・詐欺罪の疑い
偽ブランド品を本物として販売する行為は、商標法違反に加え、購入者に対する詐欺罪に該当する可能性があります。
正規品と異なる仕様、極端に安い価格、公式画像の無断使用などが見られる場合は要注意です。ブランド権利者であれば商標権侵害として、購入者であれば詐欺被害として通報できるケースがあります。
知的財産権侵害(商標権・著作権・特許権)として通報
Amazonには知的財産権侵害を申告する専用フォームがあり、商標権・著作権・特許権の侵害が疑われる場合に利用できます。ただし、この手段は非常に強力な反面、根拠が不十分だと通報者側が不利になるリスクもあります。
権利者本人であること、侵害内容を具体的に説明できることが前提となるため、慎重に判断する必要があります。
Amazonで転売業者を「ポリシー違反」として通報する
法律違反の立証が難しい場合でも、Amazon独自のポリシーに違反していれば通報できるケースは多くあります。実務上は、ポリシー違反としての通報の方が現実的で対応されやすいことも少なくありません。
高額転売は価格設定に関するポリシー違反
Amazonでは「適正な価格設定に関するポリシー」により、市場価格や他チャネルと比べて著しく高い価格設定を問題視しています。
メーカー希望小売価格や一般的な販売価格を大幅に上回る出品は、消費者に不利益を与える行為として通報対象になります。価格差が明確な場合は、商品ページから根拠を示して通報しやすいのが特徴です。
無在庫転売はドロップシッピングポリシー違反
無在庫販売そのものが即禁止されているわけではありませんが、Amazonでは正しいドロップシッピングの条件が定められています。
購入者に届く商品に出品者情報が記載されていない、返品対応を行わない、第三者から直接発送されているといった場合は、ドロップシッピングポリシー違反に該当します。
「amazon 無在庫販売 通報」を検討する際は、配送伝票や同梱物などの事実確認が重要です。
コンディションガイドライン違反としての通報
Amazonでは「新品」として出品できる条件がカテゴリごとに定められています。中古品や開封済み商品を新品として販売している場合は、コンディションガイドライン違反となります。
特に、新品以外が認められていないカテゴリでは、状態不備が確認できれば通報対象になりやすいです。ただし、正規条件を満たしている転売品は違反にならないため、事実確認を行った上で判断しましょう。
Amazonの転売対策を外部に任せるメリット
Amazonの転売問題は、通報だけで完全に解決するケースは多くありません。通報には限界があり、商流管理やブランド保護まで含めた中長期的な対策が必要になるため、専門の運用代行会社を活用する選択肢も有効です。
転売対策を専門会社に任せる最大のメリットは、リスクを抑えながら継続的な対策を進められる点にあります。
Amazonの規約や法的観点を理解したうえで、どの通報手段を使うべきか、どこまで踏み込むべきかを判断してもらえるため、担当者の負担も軽減されます。
また、通報対応だけでなく、
- 正規販売ルートの整理
- 価格統制や表示設計の見直し
- ブランド登録の活用
- 転売が起きにくい商品ページ設計
といった根本的な再発防止策まで含めて支援を受けられるのも特徴です。
「通報しても改善しない」「無在庫販売や高額転売が繰り返される」と感じている場合は、場当たり的な対応から脱却する一つの手段として検討する価値があります。
まとめ|Amazonではリスクを知って正しい方法で転売を通報しよう
Amazonの転売は、正しい根拠と手順を踏めば通報が可能ですが、やみくもな対応は通報者側のリスクを高めてしまいます。転売そのものは原則違法ではないため、「違法行為」と「ポリシー違反」のどちらに該当するのかを見極めることが重要です。
法令違反が明確なケースでは違法行為として、判断が難しい場合は高額転売や無在庫販売などのポリシー違反として通報することで、安全かつ現実的な対応ができます。また、通報はあくまで一時的な手段であり、継続的な転売対策には商流管理やブランド保護を含めた視点が欠かせません。
転売被害を最小限に抑えるためにも、リスクを理解したうえで、根拠に基づいた正しい方法で通報を行うことが、Amazon運用を安定させる近道と言えるでしょう。




