資金調達の際、どこから融資を受けたらいいのか迷ってしまった経験はありませんか?この記事では金融機関ごとの特徴や金利の違いを分かりやすく解説します。さらに、個人事業主が融資の審査をクリアするコツや、小規模事業者でも利用しやすい融資以外の資金調達方法なども併せて紹介します。
資金調達方法は大きく分けて5種類
資金調達は大きく「デッドファイナンス」「エクイティファイナンス」「アセットファイナンス」の3種類と、それ以外の2つに分類できます。
概要 | 例 | |
デッドファイナンス | 負債を増やすことで資金調達する方法。 主に融資を受けたり私募債を発行したりなどの方法がある。 まとまった資金を調達しやすいが、長期の返済が発生しやすく、経営圧迫のリスクがある。 | ・融資を受ける ・制度融資 ・私募債 ・社債 など |
エクイティファイナンス | 資本を増やすことで資金調達する方法。 主に株式を発行し資金を調達する方法で、VCによる出資もこれに含まれる。 | ・VCからの出資 ・エンジェル投資家からの出資 ・株主割当増資 ・第三者割当増資 など |
アセットファイナンス | 資産を売却することで資金調達する方法。 不要になった資産を現金化したり、売掛債権の譲渡により資金を調達したりする。 | ・資産の売却 ・リースバック ・ファクタリング など |
クラウドファンディング | インターネットで資金を援助してくれる支援者を募る方法。 「こんなお店を作りたい」「新しい商品やサービスを作りたい」などの目的を決め、 それを応援してくれる人から資金を集める。 | - |
補助金・助成金 | 国や自治体による事業者の支援制度。 「雇用維持」「ITツールの導入」など、さまざまな目的の補助金・助成金があり、 そのための資金、かかる費用を助成してもらえる。 返済不要であり、まずは検討したい資金調達といえる。 | ・IT導入補助金 ・雇用調整助成金 ・キャリアアップ助成金 ・ものづくり補助金 など |
小規模事業者でも利用しやすい、資金調達に使える融資5つ
資金調達と聞いてまずは「融資」を思い浮かべる人は多いでしょう。法人や個人事業主の資金調達に使える融資にはどんな種類があるのか、特徴や金利について紹介します。
1.日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は事業者を支援するために設置された、公的な金融機関です。中小企業や個人事業主などの小規模事業者でも融資を受けやすい、金利が低く返済期間が長いなどの特徴があります。
たとえば創業時の資金調達に利用できる「新創業融資制度」では、3,000万円まで(内、運転資金1,500万円)の融資が受けられます。基準金利は2.40~3.50%、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が7年以内です。
2.銀行
銀行では個人向け・事業者向けの融資を提供しています。金利は1~3%が相場とほかの融資と比べても割安で、日本政策金融公庫と併せてまずは検討したい資金調達です。
銀行からの融資は返済期間が1年以内の「短期融資」と、1年を超える「長期融資」に分けられます。
長期融資の場合、返済期間はなるべく長めにした方がいいでしょう。たとえば銀行から10年の返済期間を提案されたが、「早く返してしまいたい」「もっと早く返せる」からと、5年の返済期間にしようと考える人もいるかもしれません。
しかし、事業では何が起こるかわかりません。返済期間を短くし、一度の返済額が大きくなると、経営が圧迫される恐れがあります。
3.信用金庫
信用金庫は地域密着型の金融機関で、その地域の事業者への融資にも積極的です。銀行では融資を受けられなくても、信用機関なら融資を受けられるということもあります。
ただ、金利は2~6%が相場といわれており、日本政策金融公庫や銀行と比べて割高です。まずはこれらの機関からの融資を検討し、難しそうであれば信用金庫をと考えるといいでしょう。
なお、信用金庫には対象地域があり、対象地域外の事業者は利用できません。
4.制度融資
制度融資とは自治体・金融機関・信用保証組合の3つの機関が連携して提供する融資のことです。自治体と信用保証組合の補助が入るため、金融機関から直接融資を受けるよりも審査のハードルが低いといわれています。はじめて融資を受ける事業者にとっても利用しやすい方法でしょう。
融資の条件は自治体ごとに異なりますが、金利は銀行融資と同じ程度になることが多いです。
ただし、3つの機関にそれぞれ申し込みをし、審査を受けなければならないため、資金調達までにかかる時間は長いです。申し込みから入金まで3ヵ月ほどはかかると思っておくといいでしょう。
5.ノンバンク
ノンバンクとは、クレジット会社や消費者金融などの預金を扱わない金融機関のことです。金利は最大20%と割高ですが、申し込みから入金までがスピーディなこと、審査のハードルがほかの機関よりも低いことなどのメリットがあります。
ほかの金融機関からの融資が難しそうな場合、とにかくすぐに資金調達をしなければならない場合に適した方法です。なお、「まとまった資金がすぐに必要」という場合には、後述する「ファクタリング」もおすすめできます。
個人事業主が融資を受けるときの2つのポイント
融資を受けるには、融資を申し込む金融機関の審査をクリアしなければなりません。審査の内容は金融機関ごとに異なりますが、返済能力や信用度が問われるため、法人に比べて個人事業主は不利といわれています。
そこで、個人事業主が融資の審査をクリアするためのポイントを2つ紹介します。
1.開業届を提出する
個人事業主として事業をはじめたら、なるべく早く開業届を提出しましょう。融資の審査の際に開業届が必要になることもありますが、開業届の提出は法律で義務付けられています。未提出でも罰則はありませんが、書類として必要になることもあり、提出していないことで信用を失ってしまうことにもなりかねません。
2.確定申告をする
融資の審査で確定申告の書類や決算書などが必要になることは多いです。これらの書類をもとに、融資の可否や限度額などが判断されるためです。
なお、年間の所得が48万円を超える事業主には確定申告が義務付けられています。これを下回る場合でも、確定申告をすることは控除を受けたり融資の審査で必要になったりします。
小規模事業者でも利用しやすい、融資以外の資金調達方法3つ
中小企業や個人事業主などの小規模事業者でも利用しやすい、融資以外の資金調達方法を紹介します。融資の審査に落ちたとしても、これらの方法なら資金調達ができるかもしれません。
1.補助金・助成金
「補助金・助成金」は国や自治体による事業者の支援制度です。設備やシステムの導入、人材の採用・育成・維持などにかかる費用を支援してもらえます。助成金・補助金として受け取った資金は返済不要なので、融資のように返済が経営を圧迫するというリスクはありません。
手続きはやや煩雑で手間と時間がかかりますが、審査をクリアすれば返済不要の資金が手に入るだけでなく、社会的な信用度も高まります。助成金・補助金の審査をクリアするということは、国や自治体などの公的機関が、その事業を認めたことになるからです。
ただし、補助金・助成金は基本的に後払いです。たとえば設備投資のために100万円の支援を受けられることになっても、まずは自力で100万円を用意し設備を購入した後で、支援金を受け取ることになります。
手続きに時間がかかること、手元にある程度の資金が必要になることから、補助金・助成金を利用する際は早め早めの行動を心がけましょう。まずはどんな支援制度があるのか、自社で利用できそうなものがあるのかを調べることからはじめるといいでしょう。
2.クラウドファンディング
クラウドファンディングはインターネットのプラットフォームから支援者を募る方法です。「こんなお店を作りたい」「面白い商品・サービスを作りたい」といったプロジェクトを起こし、それを応援してくれる支援者を広く募ります。
クラウドファンディングで集めた資金は返済不要ですが、支援者への見返り「リターン」を提供しなければなりません。リターンは自由に設定できますが、そのプロジェクトで作った商品やサービスを提供したり、会社HPや店舗に支援者の名前を掲載したりするのが一般的です。
3.ファクタリング
ファクタリングは売掛債権を譲渡し、本来の支払期日よりも早く現金化する方法です。たとえば翌月末が支払期日の、100万円分の請求書が手元にあるとしましょう。これをファクタリングすることで、翌月末の支払期日を待たずに、100万円のうちいくらかを現金化できます。
ファクタリングで調達した資金は、本来の支払期日がきて取引先から自社に振込みがあったら、ファクタリング会社に支払わなければなりません。
一見すると融資の返済のようですが、ファクタリングはお金の借り入れではなく債権の譲渡であるため、バランスシート上の負債は増えません。そのため、近い将来融資の審査を控えている場合も、安心して利用できるでしょう。
ファクタリングの詳しい仕組みや適したケース、おすすめのサービスなどはこちらの記事で紹介しています。
小規模事業者でも利用しやすい融資や融資以外の資金調達を活用しよう
融資による資金調達では綿密な準備が大切です。融資の審査をクリアするには必要書類を不備なくそろえることはもちろん、きちんとした事業計画書を作り、資金の使途や返済ができることを金融機関に示さなければならないからです。
準備を整えたうえで、まずは金利が低い日本政策金融公庫や銀行、制度融資などに申し込むといいでしょう。
融資の審査に落ちてしまった場合におすすめなのが「ファクタリング」です。ファクタリングの審査項目は融資と異なり、自社の信用度よりも、譲渡する債権の売掛先(取引先)の信用度が重視されます。そのため、融資の審査に落ちた場合でも、ファクタリングなら利用できるというケースは多いです。
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