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ファクタリングってどんなサービス?仕組みや種類、ほかの資金調達との比較をわかりやすく解説

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ファクタリングは売掛債権をすぐに現金化できるサービス

ファクタリングにはいくつかの種類がありますが、ファクタリングとだけ言う場合、「売掛債権をすぐに現金化できるサービス」である「買取ファクタリング」を指すことが多いです。

買取ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却し、本来の支払期日よりも早く現金化するサービスです。

たとえば手元に100万円分の売掛債権(請求書)があり、翌月末に支払われるとしましょう。しかし、自社には1週間後に30万円の支払いがあり、そのための現金はないとします。

この場合、100万円分の売掛債権のうち30万円をファクタリング会社に売却することで、すぐに資金調達ができます。本来の支払期日になり、売掛先から自社に売掛金が振り込まれたら、「30万円に手数料を加えた額」をファクタリング会社に支払います。

このように、ファクタリングは主に「突発的な資金調達」に使われるサービスです。融資や出資などと比べて審査が緩やかで入金スピードも早く、運転資金やつなぎ資金の調達に適したサービスといえます。

3種類のファクタリングと、状況ごとのおすすめサービス

ファクタリングの種類は大きく3種類に分けられます。それぞれどんなサービスなのか、どんな状況に適しているのかを解説します。

買取ファクタリング

先述のとおり、ただ「ファクタリング」だけ言う場合、売掛債権の買取を行う「買取ファクタリング」を指すことが多いです。これは掛売で商品やサービス(役務)などを提供済みで、売掛金が確定しているときに、本来の支払期日よりも早く現金化できるサービスです。

一般的に、売掛金の振り込みは請求書の送付から1~2ヵ月ほどかかります。売上の大部分が売掛金という事業者にとって、この1~2ヵ月という期間は意外と長く、支払いのための資金が足りなくなることもあります。

そんなときに役立つサービスが買取ファクタリングです。主に取引先に送付済みの請求書を資料に、そこに記された売掛金を本来の支払期日よりも早く現金化できます。

注文書ファクタリング

一般的な買取ファクタリングは請求書を資料とし、そこに書かれた売掛金を現金化するサービスです。つまり、確定済みの売掛債権を現金化するサービスです。

一方、注文書ファクタリングは注文書や発注書を資料に、「納品前で未確定だが、受注済みの、将来発生する予定の売掛金」を現金化します。請求書を資料とする一般的なファクタリングよりも早く、将来入金される予定の売掛金を現金化できます。

注文書ファクタリングは、特にシステム開発会社やフリーのエンジニアなどにとって頼れるサービスでしょう。このような業界・業種では案件の受注から納品までに何ヵ月もかかることも珍しくありません。長期で大型の案件に集中する場合、ほかの案件にリソースが割けず、その間の経営が難しくなることもあります。

そんなときも、注文書ファクタリングで早めに現金化ができれば、大型の案件に集中しやすくなるでしょう。

保証ファクタリング

買取ファクタリングと同じく、保証ファクタリングも売掛債権を現金化するサービスですが、現金化のタイミングや目的が異なります。

買取ファクタリングが資金調達を目的に、サービスの申し込み後すぐに現金化するのに対し、保証ファクタリングの目的は「リスクヘッジ」です。保証ファクタリングは売掛先の倒産などによる不払いに備えるサービスで、このような事態に陥ったとき、その売掛金の一部をファクタリング会社が保証(現金として自社に振り込む)してくれます。

これは売掛金の額面が大きく回収にも時間がかかる業界・業種、たとえば建設業などでよく利用されるサービスです。特に、自社の売上の大部分を特定の取引先が占めている場合、不払いのリスクが大きく、保証ファクタリングが役立ちます。

買取ファクタリングの2つの契約形態

本記事では主に「確定済みの売掛債権を現金化するサービス」である買取ファクタリングについて解説します。

買取ファクタリングには「2社間」と「3社間」の2つの契約形態があり、それぞれ異なる特徴をもちます。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングの仕組み

2社間ファクタリングは、ファクタリングの利用者(自社)とファクタリング会社の2社で契約を結ぶサービスです。売掛先(売却する債権の請求先、自社にとっての取引先)に通知せず、ファクタリングを利用できます。

ファクタリングは日本ではまだあまり浸透していないサービスです。融資をはじめとする資金調達と比べて手数料率が高いこと、ほかの方法よりも早く資金調達ができるという特徴もあります。これらは利用者にとってはメリットですが、取引先に「そんな怪しいサービスを利用するなんて」「資金繰りが苦しいのでは?」といった悪印象を与えかねません。

2社間ファクタリングであれば取引先に知らせずにファクタリングを利用できるので、悪印象をもたれたり、それが取引に悪影響を及ぼしたりするリスクが低いです。

ただし、手数料は3社間ファクタリングに比べて割高です。

なお、2社間ファクタリングでは本来の支払期日になり売掛金が振り込まれたら、「売掛先→利用者→ファクタリング会社」の流れでファクタリング会社への支払いをします。

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングの仕組み

3社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社の2社に、売掛先を加えた3社間で契約を結ぶサービスです。

3社間での契約を結ぶことで、ファクタリング会社にとっての「買い取った債権を回収できなくなるリスク」が低くなります。そのため調達できる金額は大きくなりやすく、手数料は低くなりやすいです。

ただし、利用者はファクタリングをしたいことを取引先に通知し、承諾を取らなければなりません。先述のとおり、ファクタリングの利用は自社のイメージ悪化につながる恐れがあります。取引先から承諾を得るのにも時間がかかるため、入金スピードも2社間よりは遅いです。

なお、支払いが「売掛先→利用者→ファクタリング会社」の2社間ファクタリングとは異なり、3社間ファクタリングでは「売掛先→ファクタリング会社」へと直接支払いが行われます。

ほかの資金調達サービスと比べたファクタリングのメリット

資金調達をする方法やサービスはさまざまで、それぞれ適した状況が異なります。ファクタリングでの資金調達は、ほかの方法やサービスと比べてどんなメリットがあるのか、3つ紹介します。

まとまった資金をすぐに調達できる

ほかの資金調達サービスと比べたファクタリングのメリットの1つ目は、「まとまった資金をすぐに調達できる」ことです。

たとえば融資を受ける場合、そもそも審査に時間がかかるうえ、審査をクリアするために資料を作り込まなければなりません。出資なら出資者を探したりプレゼンをしたりするのにさらに時間がかかるでしょう。補助金・助成金も時間と手間がかかり、受給が決まっても支援金は基本的に後払いです。

一方、ファクタリングは申し込みから入金までのスピードが早いです。最短即日で入金されるサービスも珍しくありません。

売掛金の金額にもよりますが、ある程度まとまった金額をスピーディに調達できるサービスとして、突発的な資金調達でよく利用されています。

自社の信用度が低くても利用しやすい

ファクタリングの審査が緩やかな理由

ほかの資金調達サービスと比べたファクタリングのメリットの2つ目は、「自社の信用度が低くても利用しやすい」ことです。

ファクタリングでは自社よりも売却する債権の売掛先、つまり取引先の信用度が重視されます。設立間もない会社でも、いわゆるブラックリスト状態の個人事業主でも、取引先の信用度が高ければ審査をクリアできるでしょう。

これは、ファクタリングというサービスが貸し金ではなく「債権の譲渡」だからです。ファクタリング会社にとって利用者の返済能力はあまり重要ではありません。重要なのは、「買い取った債権を期日どおりに回収できるか」です。

バランスシート上の負債が増えない

ほかの資金調達サービスと比べたファクタリングのメリットの3つ目は、「バランスシート上の負債が増えない」ことです。

ファクタリングで調達した資金が、本来の支払期日になり売掛先から振り込まれたら、ファクタリング会社に「調達額+手数料」を支払わなければなりません。これは融資でいう返済とよく似ています。

しかし、ファクタリングは債権の譲渡であり融資ではありません。そのため、バランスシート上の負債も増えません。

バランスシートの内容は、融資の審査に響きます。ファクタリングは、近い将来融資の審査を受ける予定があっても安心して利用できるサービスといえるでしょう。

ほかの資金調達サービスと比べたファクタリングのデメリット

ファクタリングは急に現金が必要になったときに役立つサービスです。ほかにも近い将来融資の審査を受ける予定があるとき、取引先の倒産などによる不払いリスクがあるときなどにも便利です。

しかし、それ以外での資金調達にはあまり向いていません。特に「新しい店舗を開きたい」「新規事業をはじめたい」といった、長期目線での資金調達には使いづらいでしょう。

その理由を、ほかの資金調達サービスと比べたファクタリングのデメリットと併せて解説します。

手数料が割高

ほかの資金調達サービスと比べたファクタリングのデメリットの1つ目は、「手数料が割高」ことです。

ファクタリングの手数料は2社間で8~18%、3社間で2~9%ほどが相場といわれています。法律による制限もないため、これを超える手数料がかかることもあります。

融資の利率(低くて1~3%、最大でも20%)と比べて割高で、コスト面でやや利用しづらいサービスかもしれません。

分割払いできない

ほかの資金調達サービスと比べたファクタリングのデメリットの2つ目は、「分割払いできない」ことです。

ファクタリングは債権の譲渡であり貸し金ではありません。そのため、分割払いはできません。ファクタリングで調達した資金は、取引先から売掛金が振り込まれたら、すぐに一括で返さなければなりません。

ただ、裏を返せば「分割での支払い計画を立てずに済む」「長期の支払いで経営が圧迫されるリスクがない」ということでもあります。

ファクタリングを装う悪質サービスもある

ほかの資金調達サービスと比べたファクタリングのデメリットの3つ目は、「ファクタリングを装う悪質サービスもある」ことです。

ファクタリングは日本ではまだあまり浸透しておらず、比較的新しいサービスです。そのためファクタリングに対する理解度も低く、法整備も遅れ気味といえます。

残念ですが、これを悪用する業者もいます。ファクタリングを装ったヤミ金業者や、利用者にとって不利な契約を結ばせようとする悪質なサービスには気をつけなければなりません。

なお、このような違法業者への取り締まりは進んでおり、摘発された事例や判例も複数あります。ファクタリングを装う悪質サービスは今後少しずつ減っていくでしょう。

ファクタリングを装ったやばいサービスの見極め方

先述のとおり、ファクタリングを装ったヤミ金業者、規制が進んでいないことをいいことに悪質なサービスを提供する業者もいます。

このような「やばいサービス」を見抜くために、契約書の内容をよく確認しましょう。具体的には、次のような契約はファクタリングを装った違法業者や悪質なサービスである可能性が高いです。

【ファクタリングを装ったやばいサービスの特徴】

  • 契約書の控えを渡さない
  • 償還請求権ありの契約である
  • 契約期間の定めがあり、利用を1回でやめられない
  • 契約書の手数料が、見積もりや相場からかけ離れている など

ファクタリングの契約の流れや、契約書を具体的にどうチェックしたらいいのかは、こちらの記事で詳しく解説しています。

ファクタリングは個人事業主も利用しやすく、突発的な資金調達に適したサービス

ファクタリングは急に現金が必要になったときや売掛先の倒産リスクに備えたいときに役立つサービスです。主に突発的な資金調達に使われるサービスで、個人事業主でも利用しやすいです。

ただ、ファクタリングは長期目線での資金調達には適していません。手数料が割高なこと、実質的に売掛金の前借のようなサービスであることから、「ファクタリング会社への支払いで資金が足りなくなり、翌月もファクタリングをしなければならない」というループに陥るリスクもあります。このような「ファクタリングのループ」に陥ると、毎月割高な手数料を支払うことになり、経営が圧迫されてしまうでしょう。

このような事態を避けるために、手数料が少しでも安いファクタリング会社を選びたいものです。手数料が低くて利用しやすいサービスはこちらの記事で紹介しているので、サービス選びの参考にしてください。

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この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社に入社し、事業企画として業務を担う。また、兼務でグループ会社であるマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月よりこれまで副業で経営していたステップ・アラウンド株式会社を独立させる。
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