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ファクタリング契約の流れと、悪徳業者を見抜くための契約書チェックポイント

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そもそもファクタリングとは?

ファクタリングとは売掛債権をファクタリング会社に譲渡(売却)し、本来の支払期日よりも早く現金化するサービスです。

たとえば手元に100万円の売掛債権があり、支払期日は翌月末だとしましょう。しかし、自社には1週間後に30万円の支払いがあり、そのための現金はないものとします。

この場合、100万円分の売掛債権のうち30万円をファクタリング会社に売却することで、本来の支払期日である翌月末よりも早く現金化できます。ファクタリングでは最短即日に入金されることも珍しくなく、1週間後の30万円の支払いに間に合うよう資金調達ができるでしょう。

その後、本来の支払期日になり売掛先から自社に100万円が振り込まれたら、ファクタリング会社に「30万円+手数料」の金額を支払います。

このように、ファクタリングは突発的な資金調達に適しています。

2社間ファクタリング

資金調達に使えるファクタリングは「買取型ファクタリング」といい、その契約は「2社間」「3社間」に分かれます。

2社間ファクタリングとは、利用者(自社)とファクタリング会社の2社で結ぶ契約です。売掛先に債権の売却を通知することなくファクタリングができます。そのため申し込みから入金までがスピーディで、取引先から「資金繰りが悪いのでは?」と悪印象を持たれる心配もありません。

ファクタリングは日本ではまだあまり一般的ではないため、イメージ悪化を恐れ、2社間での契約が選ばれることが多いです。

ただし、手数料は3社間ファクタリングよりも高くなりやすいです。

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社の2社に、売掛先(利用者にとっての取引先)を加えた3社で結ぶ契約です。

利用者は取引先にファクタリングの利用を通知し、承諾を取らなければならないため、「ファクタリング利用を知られる」「入金までに時間がかかる」などのデメリットがあります。

しかし、取引先を加えた3社での契約はファクタリング会社にとって「買い取った債権の未回収リスク」が低く、そのため手数料は2社間での契約よりも安くなるでしょう。

なお、3社間ファクタリングでの「ファクタリング会社への支払い」は、利用者ではなく売掛先が行います。

【7ステップ】ファクタリング契約の流れ

ファクタリング契約の流れを利用者の目線から、7つのステップに分けて解説します。スムーズに契約するコツ、自社に合ったサービスの選び方も簡単に紹介するので、ぜひ参考にしてください。

STEP1.ファクタリング会社選び

ファクタリング契約の最初のステップは「ファクタリング会社選び」です。ファクタリングの手数料は2社間契約で8~18%、3社間契約で2~9%ほどが相場といわれています。

しかし、ファクタリング会社ごとに手数料の上限や目安はもちろん、審査の流れや必要書類も異なります。調達したい金額や手数料率、必要書類などを比べ、自社にとって利用しやすい会社を探しましょう。

どんなケースにどのファクタリング会社がおすすめなのかは、こちらの記事で紹介しています。

STEP2.事前相談・見積もり

ファクタリング契約の2ステップ目は「事前相談・見積もり」です。自社にとって使いやすそうなファクタリング会社を見つけたら、まずは見積もりを依頼しましょう。

「そもそも自社はその会社を利用できるのか」「いくら分の債権から買取してもらえるのか」「見積もり前におおよその手数料額を知りたい」など気になることがあれば、問い合わせ・相談をするのも大切です。

手数料率の低いファクタリング会社は、こちらの記事で紹介しています。見積もりを取る前に、手数料が安くて使いやすいファクタリング会社を探してみましょう。

STEP3.申し込み

ファクタリング契約の3ステップ目は「申し込み」です。情報収集や見積もりの結果、「ここにファクタリングを依頼しよう」と決めたら、申し込みをしましょう。

申し込みの方法には「電話」「窓口」「郵送」「オンライン」などがありますが、基本的には電話かオンラインでの申し込みがおすすめです(電話の場合、申し込みや相談を電話でした後、オンラインで契約を結べるものがおすすめ)。

オンラインで契約が完結するサービスは手間がかからず、手数料も抑えられる傾向にあります。ファクタリング会社にとっても契約の手間が少ないこと、オンライン契約では印紙代がかからないことなどが理由です。

STEP4.審査

ファクタリング契約の4ステップ目は「審査」です。申し込み後にファクタリング会社による審査が行われ、それをクリアするとファクタリング契約が結べます。

審査内容や何を重視するのかはファクタリング会社により異なりますが、どんな会社でも、おおむね次のような項目が重視されます。

  • 売掛先の信用度
  • 売掛先との取引履歴
  • 売掛債権の支払期日(支払期日が遠すぎないか)
  • 利用者に税金の滞納や差し押さえなどの問題がないか

ファクタリングでは利用者(自社)よりも、売掛先の信用度が重視される傾向にあります。なるべく取引期間が長く、支払いが遅れたことのない、法人の売掛先を選ぶと審査に通りやすいでしょう。

STEP5.契約

ファクタリング契約の5ステップ目は「契約」です。審査に通ったらいよいよファクタリングの契約を結びます。契約書はこの時点で発行されるため、自社にとって不利な内容でないか確認し、控えを保管しておきましょう。

契約書の具体的なチェックポイントについては後述します。

STEP6.入金

ファクタリング契約の6ステップ目は「入金」です。契約書にサインし、契約が締結されたら、ファクタリング会社から利用者(自社)に入金されます。

入金額は最終的に自社がファクタリング会社に支払う金額から、手数料や諸費用を差し引いた金額です。たとえばファクタリング会社に支払う金額が40万円、手数料が5万円なら、自社には35万円が入金されます。

STEP7.支払い

ファクタリング契約の7ステップ目は「支払い」です。売掛債権の支払期日が来て、売掛金が自社に振り込まれたら、「STEP6.入金」でお伝えした「最終的な支払い金額」をファクタリング会社に振り込みましょう。

ファクタリングは債権の譲渡であり融資ではないため、適切な表現ではありませんが、いわゆる「返済」をするわけです。なお、ファクタリング会社への支払いは原則一括であり、分割払いはできません。

ファクタリングの契約書の雛形

出典:売掛債権譲渡契約書|国税庁

画像は国税庁が作成・公開している「売掛債権譲渡契約書」の雛形です。ファクタリングは売掛債権の譲渡契約なので、契約書の内容もこれに近いものになります。

ファクタリングの契約書のチェックポイント

自社にとって不利な契約を結んでしまわないよう、ファクタリングの契約を結ぶ前に、契約内容をよく確認しましょう。ファクタリングの契約書のどこを確認すべきか、重要なチェックポイントを8つ紹介します。

債権譲渡通知の有無

ファクタリングにおける契約書の1つ目のチェックポイントは、「債権譲渡通知の有無」です。

債権譲渡通知とは、ファクタリングの利用(債権の譲渡)を売掛先に通知することです。3社間での契約は通知あり、2社間での契約は原則として通知なしとなります。

ただし、2社間の契約における「原則として通知なし」は「問題が何も起こらなければ通知なし」ということであり、「絶対に通知されない」ということではありません。具体的にどんなときに通知されるのか、契約書をよく確認しておきましょう。

債権譲渡登記の有無

ファクタリングにおける契約書の2つ目のチェックポイントは、「債権譲渡登記の有無」です。

債権譲渡登記とは、債権の譲渡を法務局に記録することです。この記録は法人番号のように一般に公開されるため、誰でも閲覧できます。主に売掛債権の二重譲渡(ファクタリング済みの売掛債権を、別のファクタリング会社で再度売却すること)を防ぐ目的で行われます。

そのため、債権譲渡登記ありの契約では、2社間ファクタリングであっても売掛先にファクタリング利用を知られる可能性があります。ただ、売掛先がわざわざ債権譲渡登記をチェックすることは考えにくく、この点はあまり気にしなくていいでしょう。

しかし、債権譲渡登記には手数料や司法書士への報酬がかかり、利用者がファクタリング会社に支払う手数料に上乗せされます。金額をはじめとする条件によっては債権譲渡登記が必須となることもありますが、できれば登記不要のファクタリングを選びたいものです。

償還請求権の有無

ファクタリングにおける契約書の3つ目のチェックポイントは、「償還請求権の有無」です。

償還請求権とは、売掛先の倒産などにより売掛金の回収ができなくなったとき、ファクタリング会社から利用者に請求をする権利のことです。

償還請求権なし(ノンリコース)の場合、売掛先が売掛金を支払ってくれなければ、利用者からファクタリング会社に支払いをする必要はありません。ファクタリングは売掛債権の譲渡であるため、売掛金の回収義務も未回収リスクも、ファクタリング会社が負うことになるからです。

このように、ファクタリングは基本的に償還請求権なしです。償還請求権ありの契約は利用者にとって不利なうえ、「ファクタリングを装った違法サービス」の可能性も高く、避けた方がいいでしょう。

報告義務の有無

ファクタリングにおける契約書の4つ目のチェックポイントは、「報告義務の有無」です。

報告義務とは、売却した売掛債権の売掛先に何かあったとき、利用者からファクタリング会社に報告する義務のことです。

たとえば売掛先の経営悪化を知った場合、利用者はこれをファクタリング会社に報告しなければなりません。報告がないとファクタリング会社は未回収リスクへの対策が取れず、契約がファクタリング会社にとって不利になってしまいます。

契約に報告義務が含まれているのか、報告を怠った場合にどんなペナルティが課されるのか、契約書をよく確認しましょう。

手数料

ファクタリングにおける契約書の5つ目のチェックポイントは、「手数料」です。

事前見積もりと契約書で手数料が変わっていないか、内訳は明確かを確認しましょう。

契約期間

ファクタリングにおける契約書の6つ目のチェックポイントは、「契約期間」です。

基本的に、ファクタリングの契約は利用者からファクタリング会社への支払いが済んだ時点で終了します。再びファクタリングを利用するとしても、都度契約を結ぶのが普通です。

しかし、中には契約期間が設定され、その間は毎月手数料が発生するサービスもあります。このような契約は毎月ファクタリングを利用するケースでは便利ですが、そうではないなら「なるべく多くの手数料を取ることを目的に、利用者にとって不利な契約を結ばせる悪質なサービス」と考えた方がいいでしょう。

契約解除

ファクタリングにおける契約書の7つ目のチェックポイントは、「契約解除」です。

ファクタリングに限らず、利用者が契約に違反する行為を行った場合、その契約は強制解除されてしまいます。どのような行為が契約違反になるのか、契約違反のペナルティはどんな内容なのか、契約書をよく確認しておきましょう。

損害賠償・違約金

ファクタリングにおける契約書の8つ目のチェックポイントは、「損害賠償・違約金」です。

契約違反により損害賠償や違約金などが発生することもあります。ファクタリングの場合、利用者からファクタリング会社への支払いが遅れた場合に、これらが請求されることもあります。

利用者からファクタリング会社への支払期日はいつなのか、売掛金の振り込みか支払期日間での期間は妥当かなどと併せて、損害賠償と違約金についても確認しておきましょう。

ファクタリングの契約を結ぶ前に、特に確認すべきこと

ファクタリングは日本ではまだあまり浸透していません。この状況を悪用し、ファクタリングを装うヤミ金業者や利用者にとって不利な契約を結ばせようとする悪質業者もいます。

そのような悪質業者と契約を結ばないために特に確認しておきたいことを、4つ紹介します。

手数料が事前の見積もりと相違ないか

契約書に記載された手数料が、申し込み前の見積もりと相違ないか、相場や公式HPの目安とかけ離れていないか確認しましょう。

ファクタリングの手数料は2社間で8~18%、3社間で2~9%が相場といわれているので、まずはこれと照らし合わせることをおすすめします。

ファクタリング会社の中には手数料に上限を設け、公式HPに記載しているところもあります。公式HPに記載された手数料が「目安」ではなく「上限」であるなら、それを超えていないことも確認しましょう。

費用の内訳は明確か

手数料の金額だけでなく、内訳が明確であるかも要チェックです。ファクタリング契約では、基本的な手数料に加え「事務手数料」「債権譲渡登記費用」などの諸費用がかかります。

これらの諸費用の内訳を明確に教えてくれるファクタリング会社の方が、安心・信頼できる会社といえるでしょう。

契約は1回で終了するか

先述のとおり、ファクタリングの契約は1回の取引で終了するのが普通です。毎月ファクタリングを利用したいという場合を除き、契約期間の定めがあるサービス、契約が1回で終了しないサービスは避けましょう。

契約書の控えをもらえるか

ファクタリングに限らず、契約書の控えがもらえないサービスは避けましょう。契約書の控えがないと、業者側が契約違反をしていても、利用者にとって不利な契約であっても、利用者はそれを指摘することができません。

契約書の控えを渡さないということは、指摘をされると困るから、何か隠したいことがあるからと考えた方がいいでしょう。

ファクタリングの審査・契約に必要な書類と資料

ファクタリングの契約を結ぶには、次のような書類・資料が必要になります。

書類・資料提出タイミング備考・具体例
請求書毎回取引期間が長く支払い遅れがない、
法人が売掛先の請求書が審査に通りやすい。
通帳毎回売却しようとする債権の売掛先からの、
直近3ヵ月分の入金が記載された通帳が好ましい。
取引のエビデンス毎回取引が本当に行われていることを証明するために必要。
ビジネスチャットやメールのやり取りを
スクリーンショットするなどして用意する。
本人確認書類初回代表者の顔写真付きの本人確認書類。
運転免許証が使いやすく、
次点でマイナンバーカードがおすすめ。
各種証明書初回・売掛先との基本契約書
・納税証明書
・印鑑証明書
・直近の決算資料(法人)
・登記簿謄本(法人)
・直近の確定申告書(個人事業主)
・開業届(個人事業主) など
ファクタリングの必要書類

実際の必要書類はファクタリング会社により異なるため、公式HPをよく確認し、わからない点がある際は問い合わせをしてください。

これらの必要書類について詳しく知りたい方、ファクタリングの審査をスムーズに進めたい方には、こちらの記事もおすすめです。

ファクタリングを装った悪質サービスを見抜くために、契約書をよく確認しよう

ファクタリングは日本でまだあまり浸透していないサービスで、ファクタリングを装った悪質なサービスもあります。

しかし、「すぐに現金が必要で、融資の審査を待つ時間がない」「融資を受けるほどではないが、まとまった金額を調達しなければならない」というとき、ファクタリングはとても便利です。

最近ではファクタリングを利用する事業者も少しずつ増え、有名なファクタリング会社、良心的なファクタリング会社も見つけやすくなりました。

安心して利用できるファクタリング会社を知りたい方、自社に合ったサービスを探している方は、「状況・目的別のおすすめファクタリング会社」を紹介したこちらの記事をお読みください。

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この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社に入社し、事業企画として業務を担う。また、兼務でグループ会社であるマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月よりこれまで副業で経営していたステップ・アラウンド株式会社を独立させる。
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