令和の集客のキーワードは「Z世代」と「SNS」
令和の集客のキーワードは「Z世代」と「SNS」です。これは飲食店に限った話ではなく、あらゆる実店舗はもちろん、ECサイトにもいえることです。
スマホ・SNSが当たり前の「Z世代」とは?
SNSとはいうまでもなく、TwitterやInstagramなどのSNSのことです。Z世代とは1990年代半ば~2010年頃に生まれた世代で、2023年現在では10~20代後半の若い世代を指します。彼らはデジタルネイティブ世代とも呼ばれ、物心ついた頃からスマホやSNSなどのデジタルが身近にあった世代です。
そんなZ世代にとって、コミュニケーションの中核を成すのがスマホとSNSです。特にInstagramは「インスタ映え」という言葉が2017年の流行語大賞に選ばれるなど、利用率が高いSNSです。
引用:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=29609
今ではInstagramに限らず、あらゆるSNSで商品の写真や感想をシェアするのが当たり前になっています。
Z世代が上の世代も連れてくる
Z世代はInstagramをはじめとするさまざまなSNSで、日常の出来事を発信し、仲間と共有し合っています。
飲食店でも、運ばれてきた料理やドリンクに口を付ける前に、写真を撮る人が多いでしょう。自分が食べた物や買った物を、写真付きでSNSに投稿し、仲間と共有するのがZ世代のコミュニケーションのひとつです。
ただ、Z世代の発信は上の世代にも届きます。よく撮れている写真や料理の感想について書かれたエモいテキストなどはZ世代の枠を超え、そのうえの中高年層にまで拡散されます。
Z世代が上の世代も連れてくるということが、世界中のさまざまなお店で起こっているのです。
少子高齢化の日本ではZ世代の数はそう多くありません。Z世代よりも、数の多い中高年層にアプローチしようと考えるお店も多いでしょう。
しかし、拡散力においてはZ世代が圧倒的です。中高年層を集めるために、Z世代の力を借りているお店も少なくありません。飲食店の集客を考えるうえでZ世代を無視できないのはこのためです。
SNSでの拡散を狙うなら、料理ではなく「食事体験」を売れ!
SNSで拡散してもらうために、SNS映えを意識したメニューを作っているお店も増えてきました。
これは半分正解です。令和の集客を語るうえでSNS映えは重要ですが、それだけでは足りません。
飲食店がSNSでの拡散を狙うなら、料理だけでなく「食事体験」を売ることが大切です。お店に入ってから、食事を終えて会計を済ませお店を出るまでの一連の体験、心の動きこそが大切なのです。
たとえば料理がどんなにおいしくて、SNS映えするものでも、それを提供する店員の態度が最悪だったらどうでしょうか。
「あのお店はおいしいけど、嫌な気分になるからもう行かない」「せっかくの料理が台無し」と感じるのではないでしょうか。
Z世代はお店を繁盛させてあげようという気持ちでSNSに投稿しているわけではないため、このようなお店でもSNSで拡散されることはあるかもしれません。ただ、そのSNS投稿には「味はいいけど態度は最悪」「もう行かない」のようなネガティブな口コミがついているはずです。
令和の集客において大切なのは、料理はもちろん店内の雰囲気から店員の態度まで、お店で得られるあらゆる「体験」です。具体的には、次のようなことを意識するといいでしょう。
【良質な食事体験をつくるには?】
- お店の雰囲気が、コンセプトや客層と合っている
- 料理がおいしく、見た目も楽しい
- 店員の態度が良い
- 注文がしやすい
- 注文から提供までが早い
- 会計がスムーズ
- 普段使っている支払い方法が使える など
取り組みやすくローコスト!飲食店がまずは始めたい集客方法
令和の集客のキーワードとして「SNS」と「Z世代」について紹介しましたが、この2つがすべてではありません。昔からある集客方法も、まだまだ十分な効果を発揮します。
取り組みやすくローコストで、飲食店がまずは始めたい5つの集客方法を紹介します。
チラシ・ポスティング
飲食店がまずは取り組みたい1つ目の集客方法は「チラシ・ポスティング」です。
Web集客が当たり前になった現代においても、チラシやポスティングは欠かせません。チラシ・ポスティングではお店周辺の住民に自店のことを認知してもらえる、効率的な集客方法です。
紙のチラシはWebのチラシと異なり物理的に手元に残るため、受け取り後も再び目に触れる可能性が高いです。何より、チラシ・ポスティングはWebに慣れていない層の集客に強いです。
店頭の看板・のぼり
飲食店がまずは取り組みたい2つ目の集客方法は「店頭の看板・のぼり」です。
集客の基本はやはり店頭の看板・のぼりです。そのお店がどんなお店なのかが伝わるようなデザインと内容の看板・のぼりを作りましょう。
特にのぼりはローコストで作れて入れ替えもしやすいため、季節や時間帯、曜日などに合わせて複数作っておくのがおすすめです。時間帯ごとの割引やランチについてののぼりを出しておくと、お客さんも入りやすくなるでしょう。
ポイントカード
飲食店がまずは取り組みたい3つ目の集客方法は「ポイントカード」です。
ポイントカードはリピーター獲得の基本です。スタンプが貯まり切ったら割引、ドリンクサービスのようなカードもいいですが、これはお客さんにとって、ハードルが少し高いかもしれません。
たとえば「スタンプ10個ごとにドリンクサービス、全部貯まったらメニュー1品無料」のような特典は、スタンプをコツコツ貯めようというモチベーションにつながります。実際、このやり方で10年以上経営しているケーキ店がありますが、その間に3回は店舗拡大の改装をしています。
また、はじめからスタンプを1個押しておくのも効果的です。
有名な実験で「ゼロからスタンプを10個貯めるのと、はじめからスタンプが1個押してあるカードで11個のスタンプを貯めるのと、どちらがリピーターを獲得できるか」というものがあります。
どちらも同じ10個のスタンプを貯めなければなりませんが、この実験でははじめから1個のスタンプが押してある方が、リピート率が高かったという結果が出ました。
SNS運用
飲食店がまずは取り組みたい4つ目の集客方法は「SNS運用」です。
まだSNSアカウントを作っていないなら、まずはTwitterからはじめましょう。Twitterは集客の第一フェイズ「認知拡大」に強いSNSだからです。投稿も短いテキスト主体なので、忙しいお店でも続けやすいでしょう。
SNSに慣れてきたら、Instagramもはじめてみてください。画像や短い動画主体のInstagramは、飲食店に最適です。ユーザーとのコミュニケーションも取りやすく、既存客のファン化にも適しています。
InstagramやTwitterに比べるとコストはかかりますが、リピーター獲得ならやはりLINE公式アカウントが強いです。
これらのSNS集客について、詳しくはこちらの記事で解説しています。各SNSの特徴や運用のコツについてまとめて解説しており、TwitterやInstagramの集客に関するさらに詳しい記事へのリンクも貼ってあります。
SNSで集客って本当にできるの?SNS集客を始める企業が増えた理由と、主要SNSの運用テクニック
Googleビジネスプロフィール
飲食店がまずは取り組みたい5つ目の集客方法は「Googleビジネスプロフィール」です。
Googleビジネスプロフィールは、Google提供の「ビジネス情報を掲載するプラットフォーム」です。たとえば「目黒区 居酒屋」と検索すると、検索結果の上部に目黒区の居酒屋一覧が表示されるでしょう。これがGoogleビジネスプロフィールです。
Googleビジネスプロフィールに登録すると、Google Chromeにお店の住所や営業時間などの基本情報が表示されるようになります。レビューも付けられるので、食べログやぐるなびの代わりに活用するのもいいでしょう。費用もかかりません。
コストはかかるが効果的!余裕があるときに試したい集客方法
ここまで紹介してきたのはローコストで取り組める集客方法でした。まずはこれらの集客方法に取り組み、少しずつお客さんを増やしていくのが王道です。
リピーターが増え、集客に使える資金やリソースも増えてきたら、「コストはかかるが効果的な集客方法」にも取り組んでみましょう。経営に余裕が出てきたら試したい、4つの集客方法を紹介します。
公式HP・ブログ
経営に余裕が出てきたら試したい1つ目の集客方法は「公式HP・ブログ」です。
お店の公式HPやブログは、口コミサイトやGoogleビジネスプロフィールなどと異なり、自由にデザインできます。メニュー紹介やお知らせなどのページを作りこむのもいいでしょう。
公式HP・ブログがあれば、SNSでのお店紹介もしやすくなります。お店の公式アカウントからの投稿に公式HPのURLを載せるのはもちろん、常連客がSNSで公式HPを紹介してくれることもあるでしょう。
路面広告・看板
経営に余裕が出てきたら試したい2つ目の集客方法は「路面広告・看板」です。
路面広告や看板はチラシ・ポスティングと同じく、周辺住民の集客に効果的です。周辺住民以外にも、通りがかりの人が、看板が気になってお店までくることもあるでしょう。
路面広告・看板にはお店の雰囲気やメニューが伝わるデザイン、看板からお店までの道筋がわかりやすく書かれていることが大切です。車の運転中に一瞬見るだけでも、お店まで辿り着けるようにしておきましょう。
そのため、看板はお店から遠すぎず、なるべく直線の位置に設置するのがおすすめです。
メルマガ
経営に余裕が出てきたら試したい3つ目の集客方法は「メルマガ」です。
先述のLINE公式アカウントと同じく、メルマガもリピーター獲得に効果的です。メルマガはLINE広告よりもコストを抑えやすく、店舗だけで取り組めるため、比較的はじめやすいでしょう。
メルマガに登録してもらうための工夫も大切です。メルマガ登録でクーポンやドリンクをプレゼントしたり、その場で割引したりといった特典をつけてみましょう。
広告出稿
経営に余裕が出てきたら試したい4つ目の集客方法は「広告出稿」です。
ここでいう広告は、主にWeb広告のことです。SNSのタイムラインや、Google Chromeなどの検索結果に広告を表示することで、認知拡大を狙います。
飲食店の場合は立地問題があり、「立地的にお店に来られない人」に広告を見てもらっても効果はほとんど得られないでしょう。次のような、ターゲティングがしやすい広告を使うのが基本です。
広告の種類 | 概要 |
リスティング広告 | Google ChromeやYahoo! JAPANなどの検索エンジンに掲載される広告。 「目黒区 居酒屋」などの検索キーワードを決め、そのキーワードでの検索結果に広告を表示する。 クリックされた数で料金が決まるため、費用対効果を算出しやすい。 |
SNS広告 | SNSに広告を掲載する方法で、主にユーザーのタイムラインに広告が表示される。 広告をどんなユーザーに表示するのかの「ターゲティング」の精度が高く、費用対効果が高い。 クリックや配信数、成果など、費用発生の条件はさまざま。 |
飲食店の集客の基本的な考え方・流れ
ここまで紹介してきた集客方法に取り組み始める前に、集客の基本的な考え方・流れについて知っておきましょう。飲食店の集客は大きく5つのプロセスに分けられ、これを意識することで効果を高められます。
- まずはターゲットを明確にする
- 市場の流れやトレンドをつかむ
- 目的ごとに集客方法を分ける
- 集客効果を分析する
- 分析を踏まえて改善する
Step1.まずはターゲットを明確にする
まずはどんな層を集めたいのか、集客のターゲットを明確にしましょう。ターゲット層により、適した集客方法は異なるからです。
たとえば若い世代を集めたいならSNSを使った集客が効果的でしょう。SNSアカウントの運用やSNS広告などの集客方法です。
反対に、スマホやWebに慣れていない中高年層を集めたいなら、チラシや路面広告などのアナログな方法がいいでしょう。デジタルな集客方法を使うとしても、SNSよりメルマガの方が、中高年層にとって親しみがあり使いやすいはずです。
Step2.市場の流れやトレンドをつかむ
集客において、市場の流れやトレンドをつかむことは大切です。
たとえばSNS運用でも、令和の時代にFacebookを使うのはおすすめできません。Facebookを使う若い層は少ないです。Facebookを使っている中高年層を集めるにしても、ビジネス用に使っているユーザーがほとんどで、飲食店の集客には向きません。
このように、市場の流れやトレンドについて知らないと方向性を間違えてしまいます。
特に広告を出すときはトレンドを意識したいです。たとえば2018~2019年頃にかけてタピオカブームが起こりましたが、2023年現在はもうブームが終わったといわれています(もちろん、ある程度の人気は残っています)。
タピオカメニューの広告を出すなら、ブームに乗れる2018~2019年頃に出すべきでした。「ウチのお店にもタピオカがあるよ!」と知ってもらうことで、ブームを見てタピオカが気になっている層の集客が見込めるからです。
広告出稿には費用がかかります。費用対効果を高めるために、社会の流れを知り、それに乗ることが大切です。
Step3.目的ごとに集客方法を分ける
本記事ではさまざまな集客方法を紹介しましたが、それぞれ集客のどのフェイズに適しているのかが異なります。どの方法がどのフェイズに強いのかを知り、目的ごとに使い分けることが大切です。
認知拡大 | 新規獲得 | リピーター獲得 |
・Twitter ・Web広告・SNS広告 ・チラシ・ポスティング ・店頭の看板・のぼり ・路面広告・看板 | ・Twitter ・Web広告・SNS広告 ・チラシ・ポスティング ・店頭の看板・のぼり ・路面広告・看板 | ・Instagram ・LINE公式アカウント ・メルマガ ・ポイントカード ・公式HP・ブログ |
Step4.集客効果を分析する
集客方法を実施したら、その効果を分析しましょう。その方法を取り入れる前後で客数や売上がどのくらい変わったのか、客層に変化は合ったのかを確認します。
Web系の集客方法なら、閲覧数や反応数、流入経路などを細かく分析できます。たとえばSNSなら投稿の表示数やクリック数が、公式HP・ブログならユーザーがどこからWebサイトに来たのか(検索結果なのか、リンクなのかなど)がわかります。
Step5.分析を踏まえて改善する
分析をしたら、それを踏まえて集客を改善していきましょう。
その集客方法でどんな層をどのくらい集められたのかを確認し、その層により刺さるよう、やり方を微調整してみます。異なる層を取り込みたいなら、違う集客方法を試してみるのもいいでしょう。
新しい方法を試し、分析と改善をくり返すことで、集客のノウハウが蓄積されていきます。
飲食店の集客効果は「施策同士を組み合わせ」で高くなる
本記事ではアナログ・デジタルのさまざまな集客方法を紹介してきましたが、ひとつの方法に固執するのは良くありません。これらの方法を組み合わせることで、集客の効果は高くなっていきます。
たとえばお店の公式HPやブログを開設したら、SNSの公式アカウントで宣伝するのが基本です。ブログやSNSへの投稿がたまってきたら、広告を出し、これらのメディアに人を集めるのもいいでしょう。
ただ、一度にたくさんのことを始めるのはおすすめしません。飲食店は忙しく、集客に使える時間は限られています。まずは気軽に始められて続けやすいSNSから始めること、最低限Googleビジネスプロフィールには登録しておくことをおすすめします。
集客というほどではありませんが、キャッシュレス決済に対応するのもおすすめです。
今はクレジットカードだけでなく、交通系や後払い式などさまざまな電子マネーがあります。これらのキャッシュレス決済はポイントが貯まるものも多く、普段使っている支払い方法が使えるかどうかでお店を選び人も多いです。
キャッシュレス決済を導入するには「決済代行サービス」を使います。こちらの記事では決済代行サービスとは何か、どのように導入するのかを解説しています。飲食店(実店舗)におすすめのサービスも紹介しているので、参考にしてみてください。
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