クレジットカード決済では領収書は不要
クレジットカードを利用した決済では、一般的に領収書は不要です。クレジットカードの利用明細書やレシートなどが代わりとなるため、領収書を別途発行する必要はありません。
クレジットカード決済における領収書不要の理由はいくつかあります。
まず、領収書とは「代金を受領したことを証明する書類」のことです。そして、クレジットカード払いにおける代金の受領は支払い時ではなく、クレジット会社からの請求に支払いをしたときに発生します。
クレジットカードはクレジット会社を通した信用取引であり、加盟店(クレジットカード払いを受け付けた事業者)は、自社の顧客ではなくクレジット会社から代金を立て替えで受け取ります。顧客がカード利用分の代金を支払う相手もクレジット会社であり、店舗での領収書は必要ありません。
また、クレジットカード決済は電子的にデータが記録され、その情報が利用明細書やレシートとして提供されます。
クレジットカードの利用明細書には、支払った金額や利用日時、利用場所などの詳細な情報が記載されています。利用明細書はカード会社やインターネットバンキングなどを通じてオンラインで確認することもできるでしょう。
これらの書類は支払いの証明や経費精算などの目的に十分に使用できます。そのため、紙の領収書を発行する必要がないのです。
クレジットカード決済で領収書の代わりとなる書類
クレジットカード決済において領収書は不要です。レシートや利用明細書などが領収書の代わりとなるからです。これらの書類は、支払いの証明や経費精算などの目的にも使用できます。
レシート
クレジットカード払いでも現金払いでも、商品を購入したりサービスを受けたりした際、通常はレシートが発行されます。
レシートには利用金額や店舗名、日時などの「購入を証明するための情報」が漏れなく記載されており、領収書と同じく支払いの証明として十分に通用します。むしろ、手書きの領収書と違って記載の間違いや抜け漏れもなく、安心して利用できるでしょう。
ただし、感熱紙のレシートは日光があたることで印字が薄くなっていくことがあります。レシートを保管する場合は内側に折りたたみ、日光のあたらない場所に保管しておきましょう。
利用明細書
クレジットカードの利用明細書も、領収書の代わりとして利用できます。利用明細書にはレシートと同じく、支払った金額や利用日時、利用場所などの詳細な情報が記載されています。紙の質もしっかりしたもので、保管もしやすいでしょう。
利用明細書は商品と同梱されていることがほとんどです。インターネットショップやWebに会員ページを作れるサービスでは、Webから利用明細書を確認したり印刷したりできるケースもあります。
代わりにはならないが証拠となる「請求明細書」
クレジット会社から送られてくる請求明細書には、クレジットカードの利用に関する詳細な情報がまとめられています。
利用した年月日や店舗名などが記載されていますが、法律上の領収書にはあたりません。そのため、領収書の代わりとして利用することもできません。
ただ、請求明細書は支払いの証拠にはなり、経費計上のための証拠書類としては利用できます。
クレジットカード決済で領収書を発行する場合の注意点
クレジットカード決済では領収書は不要ですが、店舗のサービスの一環として、領収書を発行してもらうことはできます。
ただし、現金払いで発行される領収書とは性質が異なり、取り扱い方も違います。経費計上の際に困らないよう、次から紹介する注意点を覚えておきましょう。
カード決済では領収書が法的に有効な書類とならない
まず、クレジットカード決済で発行した領収書は、法的に有効な書類にはなりません。先述の通り、領収書は代金の受領を証明する書類であり、クレジットカード決済では支払い時に代金の受け渡しをしないためです。
そのため、クレジットカード決済に領収書を発行するかどうかもお店側の判断にゆだねられることとなります。無用のトラブルを避けるため、店舗側に領収書の発行義務はないこと、法的に有効な書類ではないことは覚えておきましょう。
但し書きに「クレジットカード決済」と記載
クレジットカード決済で領収書を発行してもらう場合、領収書に「クレジットカード決済」と記載してもらいましょう。
クレジットカード決済では収入印紙の貼り付けが不要ですが、この記載がないと印紙が必要になることもあります。その領収書が現金払いのものなのか、クレジットカード決済のものなのかがわからないためです。
収入印紙は不要
原則として、クレジットカード決済で領収書を発行してもらった場合、収入印紙の貼り付けは不要です。クレジットカードの領収書は法律上の領収書にはあたらないためです。
しかし先述の通り、領収書に「クレジットカード決済」と記載されていない場合、この限りではありません。クレジットカード決済の記載がない領収書が税務調査などで見つかると、印紙の貼り忘れと判断されることもあります。この場合、過怠税が課せれられることもあります。
過怠税は貼り付けるべき収入印紙の3倍の額となります。貼り付けるべき印紙の税額と、その2倍にあたる金額が徴収されるためです。
なお、領収書に貼り付ける収入印紙の額は、領収書の金額により変動します。
領収書の金額 | 収入印紙の金額 | 過怠税の額 |
5万円未満 | 非課税 | - |
5万円以上、100万円以下 | 200円 | 600円 |
100万円超、200万円以下 | 400円 | 1,200円 |
200万円超、300万円以下 | 600円 | 1,800円 |
300万円超、500万円以下 | 1,000円 | 3,000円 |
500万円超、1,000万円以下 | 2,000円 | 6,000円 |
精算時の二重計上に注意
クレジットカード決済で領収書を発行してもらった場合、経費精算時に二重計上してしまわないよう気をつけなくてはなりません。
たとえばクレジットカード決済の領収書に「クレジットカード決済」と明記されていない場合、その領収書が現金払いのものなのかクレジットカード決済のものなのかがわかりません。レシートや利用明細書などで計上済みでも、未計上の領収書として二重計上してしまうリスクがあります。
ネットでカード決済をした際の領収書について
クレジットカード決済には領収書が不要ですが、店舗側のサービスとして領収書を発行してもらうことはできます。
ネットショップなどでクレジットカード決済を行った場合、ショップに領収書発行のページが設けられていることもあり、そこから発行を申し込むことになるでしょう。
ただ、ネットショップで決済をした場合、商品と一緒に利用明細書が送られてくることがほとんどです。ほかにもマイページやメールなどで明細を確認できることが多く、領収書をわざわざ発行する必要性は低いでしょう。
二重計上を防ぐためにも、領収書の発行は申し込まない方がいいかもしれません。
クレジットカード決済では領収書は不要!ミスの可能性を考えると、発行しないのが無難
クレジットカード決済では法律上領収書が不要で、店舗に領収書の発行義務もありません。サービスとして領収書を発行してもらえることもありますが、この領収書には法的な効力はなく、経費計上の際はレシートや利用明細書を使うことになります。
クレジットカード決済で領収書を発行してもらう場合は、「クレジットカード決済」と忘れずに記載してもらうようにしましょう。この記載がないと収入印紙の貼り付けが必要になったり、間違えて二重計上してしまったりするかもしれません。
税務調査で過怠税が課せられ、その領収書に貼り付けるべき収入印紙の3倍の額が徴税される可能性もあります。
これらのリスクを考えると、クレジットカード決済ではそもそも領収書を発行してもらわない方がいいかもしれません。
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