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掛売りとは?関連用語や回収方法、メリット・デメリットを事例付きでわかりやすく解説

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掛売りとは?

掛売りとは、商品やサービスを提供した後に代金を支払ってもらう取引方法のことです。従来の現金取引とは異なり、売り手が顧客に対して一定期間内での支払いを要求します。この期間内であれば、複数回の取引の支払いを1回にまとめられることも多いです。

掛売りは企業間の取引や一部の小売業などでよく利用されています。支払いを期間ごとにまとめることで処理がしやすくなり、販促や業務効率化などにつながる方法といえます。

売掛や売掛金との違い

掛売りと似た言葉に「売掛」や「売掛金」があります。売掛金は掛売りにより発生した収益、つまり後から回収できる金額のことを差します。

掛売りと売掛には厳密な違いはありませんが、ビジネスシーンを見ていると、それぞれニュアンスが異なるようです。

売掛は、掛売りによって商品やサービスを提供した際に発生する債権や、未回収の代金を指すことが多いです。

掛売り取引の流れとしては、まず売掛が発生し、その売掛金が支払われることで収益が確定します。

わかりやすい掛売りの例

掛売りについて理解するためには、掛売りがどのように行われているのか、実際の例を見てみるのが早いでしょう。身近な掛売りの例を3つ紹介します。

飲食店や小売店の仕入れ

飲食店や小売店の仕入れでは掛売りが一般的です。仕入れ先の卸業者は店舗に商品を提供し、一定期間内に代金を支払うように請求します。

これにより、飲食店や小売店は商品を受け取りながら売上を上げられます。仕入れ費を売上の中から支払えるため資金繰りの改善につながるでしょう。仕入れの度に支払いをする必要がないため、請求回りの業務負荷の軽くなります。

アウトソーシングの料金(報酬)

企業が業務を外部に委託する際、アウトソーシングという方法があります。アウトソーシングは、専門的な業務を提供するパートナー企業に依頼し、その対価として報酬を支払う方法です。

たとえば、会計業務やマーケティング活動など、企業内で行うのには専門知識や経験が必要な業務をアウトソースすることがあります。パートナー企業(委託先の企業)はその業務を代行し、一定期間や成果に応じた報酬を受け取ります。

アウトソーシングの料金も、掛売りで支払われることが多いです。一般的には固定料金や時間単価、成果報酬などの形態があり、料金の支払い方法やタイミングは契約書に明記されています。

クレジットカード払い

掛売りの一つの形態として、クレジットカード払いがあります。これまでの例と異なり、BtoCのビジネスでよく見られる掛売りといえるでしょう。

顧客は即座に商品を手に入れることができ、支払いは後日一括または分割で行うことができます。

このような顧客にとってのメリットは、事業者にとっては「集客」「売上拡大」「未回収リスクの軽減」などのメリットにつながります。クレジットカード会社が代金回収やリスク管理を担当してくれるため、自社で売掛金の回収業務に時間やリソースを割く必要がありません。

クレジットカード払いは現代の商取引において重要な支払い手段のひとつです。顧客の利便性と事業者の収益増大に貢献するだけでなく、売上拡大やリスク管理の効率化にも役立ちます。

この例からも、掛売りがビジネスの成果を最大化する手段であるとわかるでしょう。

掛売りの関連用語

掛売りによる収益が確定するまでには次のような流れがあります。

  1. 売掛金(売掛債権)の発生
  2. 売掛金の回収
  3. 入金消込

また、自社が商品やサービスを提供する側ではなく受け取る側である場合、掛売りではなく「買掛」をすることになります。これらの関連用語についても覚えておきましょう。

売掛債権

売掛債権は、掛売りによって生じた「顧客からの支払いを受ける権利」のことを指します。売掛債権は企業の資産として扱われ、回収が行われることで現金化されます。

売掛金

売掛金は、売掛債権の金額を表します。つまり、掛売りによって生じた顧客からの未回収金額が売掛金です。

買掛金

買掛金は売掛金と対比される概念です。商品やサービスを先に提供し、後に支払いを受けるのが掛売り。それとは反対に商品やサービスを先に提供してもらい、後から代金を支払うのが買掛であり、その支払金額が買掛金です。

掛け取引において、商品やサービスを提供する側に発生するのが「売掛金」、提供される側に発生するのが「買掛金」です。

入金消込

掛売り取引においては、顧客からの入金を売掛金に相殺させるために「入金消込」が行われます。入金消込は入金されたお金と売掛金(請求書)の金額を突き合わせ、相殺していきます。これにより、未回収の売掛金が減少し、経理上の記録が更新されるのです。

入金消込の重要性や進め方、効率化の方法などはこちらの記事で解説しています。

入金消込(にゅうきんけしこみ)とは?関連用語や仕訳のやり方、消込業務の課題と解決策を紹介

売掛金の回収方法

売掛金の回収方法として一般的なのが「請求書払い」です。取引先に請求書を発行・送付し、内容に相違がないことを確認したうえで、口座振込や口座振替が行われます。

請求書払い

掛売り取引においては、請求書を発行して顧客に支払いを促すことが一般的です。請求書には支払い期限や振込先口座などの詳細が記載され、顧客はその期限内に代金を支払います。

口座振込・振替

請求書に記載されているのは支払いの金額や期限などの「支払いに必要な情報」だけです。公共料金の払込票のように、請求書をコンビニに持っていき支払うようなことはできません。

そのため、顧客は請求書に記載された口座への直接振込や振替(自動引き落とし)によって代金を支払うこととなります。

掛売りで取引をする3つのメリット

掛売りで取引をすることで、業務の効率化や売上アップなどのメリットが得られ、最終的に残る利益も大きくなるでしょう。その理由を、掛売りで取引をする3つのメリットと併せて解説します。

請求業務の効率化

掛売りで取引をする1つ目のメリットは、「請求業務の効率化」です。

掛売りを導入することにより、請求書の発行や回収作業を効率化できます。掛売りで一定期間内の支払いをひとつの請求にまとめることで、納品や注文のたびに請求書の発行やお金のやり取りをしなくて済むようになります。

これは商品やサービスを提供する側とされる側、双方にとってのメリットです。

機会損失の防止

掛売りで取引をする2つ目のメリットは、「機会損失の防止」です。

掛売りによって顧客の支払いを柔軟にすることで、「手元にお金がないけど今必要だ」「仕入れのたびに支払いをするのは面倒だ」といった顧客の悩みにアプローチできます。顧客が他社に流れる可能性を減らし、機会損失を防止できるでしょう。

特にBtoCのネットショップやコンテンツ販売などのEC事業では、「将来の支出を過小評価する」という人間心理が働きやすく、客単価アップが見込めます。クレジット払いやコンビニ後払いなどの支払い方法に対応することで、掛売り導入と同じ効果が得られるでしょう。

大きな取引がしやすくなる

掛売りで取引をする3つ目のメリットは、「大きな取引がしやすくなる」ことです。

掛売りを利用することで、取引先は売上の中から費用を支払えます。費用を即座に支払う必要がなくなるため、取引先は資金を効果的に活用でき、事業の運営や成長に余裕を持つことができます。

このような取引先の資金繰りの改善は、自社との大きな取引を促進する要素となるでしょう。取引先が資金を柔軟に管理できるため、自社との取引のリスクや負担が軽減されます。

自社にとっては一度の取引額が大きくなるメリットがあり、双方にとって有益な取引関係を築いていけるでしょう。

掛売りで取引をするデメリット

掛売りでの取引はバックオフィスの負担が大きいです。商品やサービスを先に提供するため、代金を回収できないリスクもあります。

掛売りで取引をする3つのデメリットを紹介するので、掛売りを取り入れるべきか、どのように取り入れるのかを考えてみましょう。

与信管理が必要

掛売りで取引をする1つ目のデメリットは、「与信管理が必要」なことです。

掛売り取引を行う際には、顧客の信用情報や支払い能力を適切に評価する与信管理が必要です。支払い遅延や不良債権のリスクを最小限に抑えるために、信用調査や与信限度額の設定などを行いましょう。

支払い遅延や未回収のリスクがある

掛売りで取引をする2つ目のデメリットは、「支払い遅延や未回収のリスクがある」ことです。

顧客が支払いを延滞したり、支払わなかったりする場合には、売掛金の回収に時間と労力がかかります。取引先の倒産や債務整理などにより、売掛金を回収できないこともあり得ます。

消込や督促などの業務負担が大きい

掛売りで取引をする3つ目のデメリットは、「消込や督促などの業務負担が大きい」ことです。

掛売り取引においては、売掛金の回収管理や入金消込の作業など、追加の業務負担が発生します。支払い遅延や未回収があれば、督促もしなければなりません。

掛売りのデメリットを解消する方法

支払い遅延や未回収のリスクがあること、消込や督促などの業務負荷が大きいことなど、掛売り取引にはデメリットもあります。これらのリスクや負荷は事業規模が拡大し、取引の相手や数が増えるほど大きくなっていきます。

これらのデメリットを解消する方法を解説するので、自社に合うものを探してみましょう。

請求代行サービスの活用

請求書の発行や回収業務を専門の請求代行サービスに委託することで、掛売り取引におけるリスクや業務負荷を軽減できます。信用調査や督促業務の代行、未回収補償などの付いたサービスもあります。

「督促業務にかなりのリソースを割かれている」「回収できなかった売掛金が多い」など、自社の抱える問題に合ったサービスを選びましょう。

ファクタリングの活用

ファクタリングは、売掛債権を金融機関に売却することで即時に現金化するサービスです。資金調達の方法として認知が広まっていますが、売掛金の未回収リスクに備えるための「保障ファクタリング」もあります。

売上が1社に依存している場合や、経営上の不安を抱える取引先がある場合などにおすすめのサービスです。

BtoBでは掛売りが当たり前!BtoCでも掛売り導入で収益アップが期待できる

掛売りはBtoB取引においては一般的な取引形態ですが、近年では一部のBtoC取引でも導入が進んでいます。特にコンテンツ販売やネットショップなどのEC事業では、コンビニ後払いへの対応により疑似的に掛売りを導入する企業が増えました。

「複数の支払いを1つの請求にまとめられる」「手元に現金がなくても支払いができる」など顧客にとってのメリットも多い掛売りを取り入れることで、購買意欲の刺激を刺激したり、客単価アップにつながったりするでしょう。

BtoCのビジネスに掛売りを取り入れたいなら、コンビニ後払いやクレジット払いに対応した「決済代行サービス」が便利です。こちらの記事では決済代行サービスとは何か、その選び方やビジネスモデル別のおすすめサービスを紹介しています。

決済代行サービス・会社おすすめ比較52選|業界別の選び方・シェア・手数料・メリット・仕組み

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この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社に入社し、事業企画として業務を担う。また、兼務でグループ会社であるマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月よりこれまで副業で経営していたステップ・アラウンド株式会社を独立させる。
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