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入金消込とは?関連用語や仕訳の方法・消込業務の課題と解決策を解説

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入金消込(にゅうきんけしこみ)とは?

入金消込(にゅうきんけしこみ)とは、企業が取引において受けた入金と未収金を一致させる作業です。特に企業間取引においては「掛取引」が多く、顧客からの入金がどの売掛金に対応したものなのかを確認し、相殺させなければなりません。入金消込により財務上の収支を正確に記録し、未収金を減らしていきます。特にBtoB取引やEC事業などにおいて、入金消込は会計業務において欠かせない重要なプロセスとなっています。

入金消込と併せて覚えておきたい用語

入金消込は企業にとって重要な作業ですが、そのプロセスには複数の用語や概念が関わっていて複雑です。入金消込を理解するうえで覚えておきたい用語を紹介します。

  • 掛取引
  • 売掛金
  • 買掛金
  • 支払消込

これらの用語の意味と関係性を把握することで、入金消込の効率性と正確性を高められるでしょう。

掛取引

掛取引とは、商品やサービスの販売において、支払いが商品の受け渡し後に行われる取引形態です。つまり、企業は商品を提供した後に代金を支払ってもらいます。入金消込では、顧客から入金を受け、それを売掛金と相殺させることで処理します。

この方法は顧客との信頼関係のうえで成り立っており、特にBtoBでは一般的です。掛取引の流れは次のようになります。

  1. 注文を受け商品やサービスを提供する
  2. 請求書や納品書を発行する
  3. 支払いを受ける
  4. 入金を確認し、入金消込を行う

複数の支払いを1回にまとめられる掛取引は、販売促進や業務の流動性確保につながるでしょう。

ただし、企業は資金を回収するまでに時間がかかり、未回収リスクも存在します。顧客の信用状況や支払い遅延のリスクを適切に評価することが重要です。

売掛金

売掛金とは、企業が顧客に提供した商品やサービスに対する代金として請求する金額のことです。掛取引の販売側に発生するお金がこれにあたり、入金消込においては、売掛金に対する顧客からの入金を相殺していきます。

買掛金

買掛金は、企業が仕入先に対して支払いを行うべき金額のことを指します。掛取引においては、企業が商品やサービスを受け取った後に支払わなければならない金額のことで、支払いの金額や期限は請求書に記載されています。

支払消込

支払消込は、買掛金と支払いを行う金額を相殺させる作業です。取引先への支払金額と請求書の金額を照らし合わせ、一致していることを確認し、帳簿に登録されている買掛金を消していきます。

消込業務

消込業務は、売掛金や買掛金といった債権債務関係を一致させるための作業全般のことです。入金消込や支払消込は、この消込業務の一環として行われます。

正確な消込業務の実施によって、企業は未収金や未払金を減らし、財務の健全性を確保できるでしょう。

ただ、消込作業は取引の相手や数が増えるほど増え、金額の突き合わせも複雑になっていきます。お金を扱う業務であるため、企業としての信用や資金計画にも大きく関わってきます。

入金消込と勘定科目・仕訳

入金消込を行う際に使うのが、企業のお金の流れを記録する「帳簿」です。帳簿には「資産」「純資産」「収益」「費用」「負債」の5つの勘定科目に分けて取引を記録します。

勘定科目概要
資産自社が持つ財産や、将来的に収益をもたらすであろうもの商品/現金/土地/借地権/前渡金
純資産原則として返済不要の、出資を受けたり事業を通して蓄積したりした資産資本金/利益剰余金/自己株式/新株予約権
収益事業を行うことで得たお金売上/売掛金/雑収入/固定資産売却益/助成金
費用収益を得るために使ったお金仕入費用/人件費/交通費/支払利息
負債支払いや返済をしなければならないお金買掛金/借入金/支払手形
勘定科目の5分類

この5分類はそれぞれ、資産が増えるものを「借方」、負債が増えるものを「貸方」として仕訳します。

入金消込においては、発注を受け発生した売掛金は資産として借方に記帳。同じ金額を売上(収益)として貸方にも記帳します。

その後、入金を受けたら勘定科目を変更。借方が普通預金(資産)、貸方が売掛金(資産)になります。

このように、受けた入金が帳簿に登録されたどのデータにあたるのかを確認し、勘定科目を仕訳していくことが入金消込です。

入金消込(消込業務)の課題・注意点

入金消込は帳簿に登録されたデータと実際の入金を突き合わせ、勘定科目の仕訳をしていく作業です。取引先や取引数が増えるほど作業量は増え、複雑になっていきます。

入金消込の課題や注意点、よくあるトラブルについて紹介します。

作業に時間がかかる

入金消込は取引の数や規模に応じて作業量が増加するため、事業の成長にともないどんどん煩雑になっていきます。特に大量の入金データがある場合や複数の取引先とのやり取りがある場合は、効率的な処理が求められるでしょう。

人的ミスが起こりやすい

入金消込は細かな計算やデータの照合をともなうため、人的ミスが起こりやすいです。作業量が増えるほど、金額の打ち間違いやデータの見落としなどが発生しやすくなるでしょう。

正確性を確保するために、業務負荷の軽減や確認作業の徹底が求められます。作業量がある程度の規模になったら、システムを活用するのもいいでしょう。

ミスが信用低下に直結する

消込業務におけるミスは、企業の信用低下に直結します。入金消込のミスは「二重請求」「請求額の間違い」などに、支払消込のミスは「支払い遅延」「支払額の間違い」などにつながるからです。

このようなお金に関するミスは信用低下につながりやすく、「管理が行き届いていない企業」「お金にルーズな企業」という印象を与えかねません。信頼関係を損なわないようにするためにも、消込業務の品質管理は重要です。

入金消込(消込業務)の課題を解決する3つの方法

入金消込の課題を解決するための3つの方法、「Excel活用」「システム導入」「仮想口座」を紹介します。

事業規模が小さいうちはExcelを、規模が拡大し手作業に限界を感じたらシステムを活用するといいでしょう。取引数が膨大になるケースでは仮想口座の活用も検討したいです。

Excelを活用する

事業規模が小さく消込業務にかかる負担が少ないうちは、Excelの活用がおすすめです。Excelは導入コストが低く、多くの人にとって慣れ親しんだツールです。

データの一括処理や関数、フィルタなどを活用することで作業時間を短縮できます。関数やマクロに詳しい人材がいれば、ある程度の作業は自動化できるでしょう。

ただし、Excelではあくまで目視で作業を行うことになるため、人的ミスをゼロにするのは難しいです。

また、「セルにデータを入力していく」くらいのことは誰でもできるかもしれませんが、関数やマクロなどを扱うにはある程度のスキルが求められます。業務の属人化が起こりやすく、担当者の退職により帳簿用のシートが使えなくなってしまうケースもあります。

システムを導入する

会計ソフトのような専用システムを導入することで、消込業務を大きく効率化できるでしょう。ほとんどの作業が自動化されるため、必要な人員数も、人的ミスが起こるリスクも抑えられます。

具体的には自動でのデータ照合や相殺計算、エラーチェックなどの機能が挙げられます。最近は直感的に操作できるシステム、手厚いサポートを受けられるシステムも多く、業務の属人化も防ぎやすいでしょう。

仮想口座を活用する

同額の入金や固定の取引先が多いケースでは、仮想口座の活用もおすすめです。仮想口座は実際の銀行口座とは別に、振込専用の仮想的な口座で、バーチャル口座とも呼ばれます。

仮想口座は顧客または取引ごとに一つひとつ専用の口座を振り分けます。たとえばA社からの入金はA口座に、B社からの入金はB口座にというイメージです。これらの仮想口座は自社の銀行口座に紐づけられており、振り込まれたお金は自社口座にそのまま入金されます。

仮想口座を活用することで、どの入金がどの取引(売掛金)に対応しているのかがわかりやすくなり、入金消込がしやすくなるでしょう。

ただ、仮想口座を開設するには費用がかかり、通常の振込手数料とは別に決済手数料も生じます。仮想口座はどんなビジネスモデルに適しているのか、どんなメリット・デメリットがあるのか気になる方は、こちらの記事もぜひお読みください。

バーチャル口座(仮想口座)とは?お金の流れ、適したビジネスモデルを解説

取引の内容や量に応じて、自社に合った方法で入金消込を進めよう

入金消込は自社の信用を保つためにも、財務上の収支を正確に把握するためにも大切です。

しかし、事業規模が大きくなるほど業務が煩雑になり、人的ミスも起こりやすくなります。消込業務のミスは収支を正確に把握できなくなるだけでなく、二重請求や請求間違いにもつながりかねません。

消込業務は正確に、効率よく進めていく必要があります。Excelや専用システム、仮想口座の活用など、取引の内容や量に応じて最適な方法を選び、消込業務を進めていきましょう。

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この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社に入社し、事業企画として業務を担う。また、兼務でグループ会社であるマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月よりこれまで副業で経営していたステップ・アラウンド株式会社を独立させる。
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