セルフレジでの万引きは、従来の有人レジとは異なる特徴があります。手口の巧妙化や故意と過失の判別が難しいなど、万引きの被害は店舗側にとって大きな課題です。
本記事では、セルフレジで起こる万引きの実態、その原因、そして効果的な対策について詳しく解説します。セルフレジの導入を検討している方、すでに導入していて万引き対策に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
セルフレジで起こる万引きの問題点
セルフレジは人手不足解消や顧客の利便性向上に大きく貢献しています。一方で、新たな犯罪を招く温床になっているという側面も持ち合わせています。
ここでは、セルフレジで起こる万引き特有の問題点について詳しく解説していきます。
ミスか故意か判断が難しい
セルフレジでの万引きは、操作ミスによるものなのか、意図的なものなのか判断が難しいという問題があります。例えば、商品をスキャンし忘れた場合、本当にうっかりミスだったのか、それともわざとスキャンしなかったのかを判断することは容易ではありません。特に、生鮮食品やバーコードがない商品の場合、スキャン漏れが起こりやすく、誤操作と万引きの境界線が曖昧になります。
法的には、窃盗罪が成立するには故意が必要となります。「うっかり忘れた」という言い訳が通じる場合もあり、店舗側は防犯カメラの映像などを元に慎重に判断しなければなりません。そのため、故意による万引きを立証することが難しく、泣き寝入りしてしまうケースも少なくありません。
万引きの仕方が多様化している
セルフレジの普及に伴い、万引きの手口も多様化しています。単純なスキャン漏れだけでなく、安価な商品のバーコードを使って高価な商品をスキャンする、いわゆる「バーコード詐欺」や、複数点の商品をまとめてスキャンして会計をごまかすなどの手口も見られます。
また、セルフレジは店員の目が届きにくい場所に設置されていることが多く、犯行が見つかりにくいという点も問題です。
セルフレジに万引きが多い理由
セルフレジは顧客自身が会計を行うという特性上、従来の有人レジとは異なるリスクを抱えています。その中でも特に深刻な問題となっているのが、万引きの増加です。
ここでは、セルフレジに万引きが多い理由を詳しく解説していきます。
簡単に「カゴ抜け」ができる
セルフレジでは、商品をカゴに入れたまま会計をせずに店外へ出てしまう「カゴ抜け」と呼ばれる万引き行為が容易に行えてしまう点が問題です。有人レジとは異なり、セルフレジでは常にスタッフが見張っているわけではありません。そのため、万引き犯にとってはリスクが低く、犯行に及びやすい環境となっています。
特に、セルフレジの台数が多くスタッフの目が届きにくい店舗や、監視カメラの設置台数が少ない店舗では、さらにカゴ抜けのリスクが高まります。このような状況を改善するためには、スタッフの巡回強化や監視カメラの増設、AIによる監視システムの導入などが有効です。
監視が少なく、心理的なプレッシャーが働きにくい
特にフルセルフレジは店員との直接的なやり取りが発生しないため、万引き行為に対する心理的なプレッシャーが働きにくいという側面があります。有人レジの場合、店員の目があることで、万引きをためらう心理が働きますが、セルフレジではそれが希薄になりがちです。
心理的なプレッシャーを高めるためには、スタッフの配置や「監視カメラ作動中」といった表示を目立つようにするなどの対策が大切です。
不慣れな操作で商品をスキャンし忘れる
セルフレジの操作に不慣れな人は、商品をスキャンし忘れるミスが発生しやすくなります。商品点数が多い場合や、バーコードが読み取りにくい商品の場合には、スキャン漏れが起こりやすくなる傾向があります。
このようなミスを減らすためには、操作性の高いセルフレジを導入したり、分かりやすい説明表示をしたりすることが重要です。また、スタッフが巡回して操作方法をサポートする体制を整えることも有効な対策となります。
セルフレジの万引き対策5選
セルフレジの導入は、人手不足解消や顧客の利便性向上に役立ちますが、同時に万引きリスクの増加という課題も抱えています。効果的な万引き対策を講じることで、安全な店舗運営を目指しましょう。
1. 死角を作らないように注意する
セルフレジの設置場所には、死角ができないよう注意が必要です。レジ全体を見渡せるレイアウトを採用し、通路を広く確保することで、万引き犯に心理的なプレッシャーを与えましょう。
また、高額商品や万引きされやすい商品は、レジから見やすい場所に配置したり、専用の棚を設けて防犯対策を強化したりするなどの工夫も必要です。
2. セルフレジエリアに従業員を配置する
従業員は顧客の行動を監視するだけでなく、操作方法の案内やトラブル対応などさまざまな役割を果たします。セルフレジエリアに従業員を配置することで、顧客に心理的なプレッシャーを与え、万引きを抑制する効果が期待できるでしょう。
また、従業員をセルフレジ全体を見渡せる場所に配置し、万引き対策や顧客対応に関する教育を徹底することで、より効果的に万引きを防げます。
3. マニュアルを従業員に周知徹底する
セルフレジ導入時には、万引き防止のためのマニュアルを作成し、従業員への周知徹底を図ることが重要です。マニュアルには具体的な万引きの手口や防止のためのチェックポイント、万引き発生時の対応方法などを明確に記載しましょう。
定期的な研修や情報共有の場を設け、従業員の意識向上を図り、新たな手口にも対応できる体制を構築することも大切です。
4. 防犯カメラを設置する
防犯カメラの設置も万引きの抑止に効果的です。カメラの存在を明示することで、心理的なプレッシャーを与えられます。「監視カメラ作動中」などの警告表示を設置すれば、さらに抑止力を強化できるでしょう。
高画質・高機能なカメラを選び、死角がないように設置しましょう。また、録画データを定期的に確認することで、万引き行為の早期発見に繋げることが重要です。
5. 信頼できるメーカーのセルフレジを導入する
信頼できるメーカーのセルフレジを導入することも、万引き対策として重要です。最新のセルフレジには、重量センサーや画像認識システム、顔認証システムなど、さまざまな防犯機能が搭載されています。
安全性の高いセルフレジは、商品のスキャン漏れや不正な操作を検知し、万引きを防止するのに役立ちます。導入コストだけでなく、防犯機能の充実度も考慮して、最適なセルフレジを選びましょう。
万引き対策につながるおすすめのセルフレジ7選
万引きを防ぐためには、安全性の高いセルフレジを選ぶことが大切です。ただ、安全性に特化したものを選んでも、自社のサービスや業種に合わなければ意味がありません。
そこで、ここでは万引き対策につながることはもちろん、さまざまな種類のセルフレジをいくつか紹介します。
ビジコム – BCPOS
- 価格:1,054,500円(税抜)
- 本体が2色から選べる
- スマホリーダー付き
BCPOSはセミセルフレジと、従来のレジ双方を販売していますが、セミセルフレジとの差額は約7万円です。アップグレードとして、差額を払っての入れ替えはできないため、これからBCPOSのレジ導入をするのであれば、セミセルフレジがおすすめです。スマホリーダーもついているため、電子マネー決済をすることも可能です。
寺岡精工 – HappySelf(ハッピーセルフ)
- 狭い店内でも安心の一体型あり
- セミセルフ・フルセルフレジ双方の運用が可能
- クラウド型のマルチ決済サービスに対応
HappySelfは、セミセルフとフルセルフ、どちらのレジにも対応できる点が最大のセールスポイントになるでしょう。状況に応じて使い分けられるため、導入し直しを余儀なくされることがありません。また、一体型とカウンタートップタイプを選べ、売り場の広さに合わせた導入が可能になっています。
東芝テック – セルフレジ WILLPOS-Self(ウィルポス・セルフ) SS-900
- 割引シール認識ができる
- 小銭用のトレーの特許を取っている
- 青果対応可能なスキャナに対応予定
WILLPOS-Selfの特徴は、数々の特許を取っているフルセルフレジである点です。小銭投入口は1枚ずつ入れるのでなく、大きなトレーで枚数を確かめてから入れられる特許を取ったトレーから流して入れられ、割引シール認識にも対応する特許も取っています。また、今後青果の認識にも対応するスキャナに対応予定であるため、スーパーでは特に活躍するでしょう。
アルファクス・フード・システム – セルフショット
- モバイルオーダーシステムと連動する
- 機器の組み合わせが自由
- 自動発注システムとの連動も可能
飲食サービス業に最適なのが、フルセルフレジのALPHAX FOOD SYSTEMです。モバイルオーダーシステムと連動させることで、テイクアウトはもちろん、機器の組み合わせによっては割り勘にも対応が可能になっています。また、各種クレジットカードや電子マネー決済もそろっているため、精算時に行列になってしまう心配も減ります。
詳細はこちら:https://www.afs.co.jp/category/products/pos/selfregi.html
パナソニック – 完全自動セルフレジ機「レジロボ®」
- 完全自動のフルセルフレジ
- 待ち時間が最小限で済む
- もの珍しさの買い物も見込める
レジロボは、バーコードの読み取りから袋詰めまで、完全に自動化されているフルセルフレジです。顧客は商品を所定の場所に置き、お金を支払い、袋詰めされた商品を受け取れば終了という、究極のレジになっています。待ち時間が最短で済む上に、「どのように袋詰めされるのか」もの珍しさの買い物も見込める画期的レジです。
詳細はこちら:https://www.panasonic.com/jp/corporate/wonders/prize/2017/regirobo.html
日本NCR – NCRセルフレジ スリム
- スリムなレジシステム
- キャッシュレス専用にもできる
- 他社のPOSとも接続できる
名前のとおりスリムNCR セルフレジ スリムは、他社のPOSシステムとも容易に接続が可能であるため、すべてのシステムを一新する必要性がありません。最小限のコストで導入が可能です。また、クレジットカードや電子マネー専用の、キャッシュレス専用フルセルフレジとしても活躍するため、キャッシュレス専用レジとして導入してもいいでしょう。
富士電機 – ECS-777(トリプルセブン)
- 非常にコンパクト
- 現金会計機能に特化している
- 一時保留機構がついている
ECS-777は、セミセルフレジで、現金決済に特化している非常にコンパクトなものです。現金決済に特化しているため、オプションには棒金ストッカーや薄型ドロアなど、現金を扱うために必要となることの多いものが用意されています。また、現金授受のトラブルが発生しても、一時保留機構があるため、預かり金に間違いがないか確認が容易です。
詳細はこちら:https://www.fujielectric.co.jp/products/currency_equipment/change_dispenser/