GISソフト・商圏分析ツールとは
GISソフトとは人口や地理データなどの統計情報を地図上にマッピングすることで、企業の出店戦略や販促戦略の検討を手助けする分析ソフトです。
具体的な活用方法としては、出店計画時の調査や商圏内でのシェア・販促分析、営業活動範囲のテリトリー分析などがあります。
本記事ではGIS・商圏分析ソフトの機能やメリット・価格について紹介します。
GISソフト・商圏分析ツールの主な機能
GISソフトや商圏分析ツールには、主に以下のような機能が存在します。
- 出店エリア分析
- 店舗別のクラスター分析
- ハフモデル分析
- 販促エリア分析
- 商圏シェア分析
- 営業テリトリー分析
地図上にさまざまなデータを統合し、人口や世帯情報を元に出店戦略や販促、営業戦略の作成に活用できる機能が豊富に揃っています。
マーケティングの観点では、エリア特性に合わせ販促施策を行った際の反響率の分析や商圏内での店舗シェアの算出、売上や需要の予測も可能です。
商圏分析の詳細についてはこちら。
GISソフト・商圏分析ツールの5つの活用シーン
上述のような機能を持つソフト・ツールは、主に以下のような状況において活用することが出来ます。
- 出店計画・店舗開発
- 販促戦略・分析
- 顧客分析による自社の強み
- 商圏別の売上予測・分析
- エリア別の営業戦略
エリア別の状況を把握したうえで、出店した際にどの程度のシェアが見込めるのか、エリアニーズを可視化し販促施策をどのように展開するのかといった各種戦略面に利用できます。
また、自社の顧客情報を活用し、商品がどの層に強い請求力を持っているのかを理解することで、最適なマーケティング戦略が可能になります。
出店後には各店舗ごとの売上状況、差異の可視化を行うことで、より適切な営業戦略の策定にも活用できます。
GISソフト・商圏分析ツールの3つのメリット
GISソフトや分析ツールを使用する場面に関しては説明しました。
では、実際にそれを行うことでどのようなメリットを期待できるでしょうか?
- 業務効率化とコスト削減
- より最適な意思決定
- 幅広い業務・用途で活用できる
さまざまデータを包括的に収集し、分析レポートを作成するには膨大な時間と人の手が必要になります。しかしGISソフト・商圏分析ツールを活用することで、データを地図上に集約し、分析や戦略検討に時間を割くことができます。
戦略に時間を割ければ、感覚などに頼らない再現性のある最適な意思決定にも繋がります。
またGISソフトなどから得られるデータは幅広く、本社だけでなく現場の販売員や配送ルートへの活用など多く場面で利用ができます。
活用事例の詳細はこちら。
無料のGISソフト・商圏分析ツール・アプリ10選
多くの点でメリットを期待できるGIS・商圏ツール。
では、実際に導入する場合、どういったソフトを用いれば良いのでしょうか?
まずは無料で扱えるツールやソフトを10選をご紹介します。
jSTAT MAP
- 総務省が公開
- レポート出力可能
- 国勢調査の数値も出力可
「jSTAT MAP」は、総務省が公開している政府統計の総合窓口「e-Stat」で公開されているツールです。
国が公開しているものなので、安心して使用することが出来ます。
詳細はこちら:https://jstatmap.e-stat.go.jp/trialstart.html
地域経済分析システム「RESAS」
- 地方創生支援
- ビッグデータの集約
- 人の移動の可視化
地域経済分析システム「RESAS」は、地方創生を支援するために、経済産業省と内閣官房が提供しているシステムです。
時間帯ごと人の移動なども確認することが出来ます。
詳細はこちら:https://resas.go.jp/#/13/13101
フリーウェアFalconEyeGIS
- 高機能GISの補完としても利用可能
- 全種の地理院タイルしよう可能
- 写真・付箋紙・吹出し等も編集可能
「フリーウェアFalconEyeGIS」は、地形情報に強い無償GISです。
既存高機能GISを補完するGISとしての使用も推奨されており、編集機能が多数取り揃えられています。
詳細はこちら:https://gisswlabo.com/index.html
地理情報分析システム「MANDARA」
- Excelで作成したデータの地図化に適している
- 塗りつぶし・記号・グラフなど
- 関連書籍も
地理情報分析システム「MANDARA」は、Excelとの連携力が強いシステムです。
手持ちのExcel情報を取り込む事が容易で、地図ファイルの編集も可能。有料関連書籍によって使い方を学ぶことも可能です。
詳細はこちら:http://ktgis.net/mandara/index.php
QGIS
- オープンソース
- ブラウザ使用可能
- 多機能
「QGIS」は、完全無料でありながら有料のシステムに近い機能や操作性を備えたソフトウェアです。
オープンソースとなっており、機能の追加等は無料のプラグインでインストール可能。
稼働もブラウザで行う事が出来る点が魅力です。
詳細はこちら:https://qgis.org/ja/site/about/index.html
ロケスマ
- チェーン店マップ
- アプリで使用可能
- データの別途購入も可能
「ロケスマ」では、全国各地のチェーン店情報をマップで知ることが出来ます。
無料アプリでの利用が可能で、競合となり得るチェーン店の情報を気軽に得る事が可能。データを別途で購入し、自由に活かすことも可能です。
詳細はこちら:https://www.locationsmart.org
e-Stat
- 政府統計の総合窓口
- 業種や地域ごとに様々なデータを閲覧可能
- 内容はほぼ全ての国勢調査
「jSTAT MAP」を公開する「 e-Stat」では、地図情報以外にも多くのエリア情報を得る事が出来ます。
統計データ量は政府サイトだけあって多岐に渡り、様々な観点から戦略に繋げることが出来ます。
詳細はこちら:https://www.e-stat.go.jp
おでかけマップ
- シンプル操作
- 複数マップ対応
- 無駄なく印刷
「おでかけマップ」では、GoogleマップやYahooマップの情報を基に、地図の確認と印刷が行えます。
操作はシンプルで、キレイにマップの印刷が可能です。
詳細はこちら:http://www.odekakemap.com/circle/
はんけい
- 軽い操作感
- メートル単位のサークル
- 距離を測る別機能も
「はんけい」では、地図上に精度の高い円を描く事が出来ます。
メートル単位での指定も可能など、細かく操作できるのがポイントです。
距離を測ることが可能な「きょりタン」というページも。
詳細はこちら:https://www.cloudwoods.jp/hankei/pc/
商圏スコープ
- iPhoneで使用可能
- 多数のデータ搭載
- 履歴機能アリ
「商圏スコープ」はiPhoneで使用可能な商圏アプリです。
範囲内の統計データなど、幅広いデータに対応。
履歴機能もあるので、指定したエリアを何度でも見返せます。
詳細はこちら:https://gisdesign.jp/products/shokenscope/
高度な分析におすすめの有料GISソフト・商圏分析ツール比較10選
上記のような無料ソフトだけでなく、GIS・商圏分析には高機能な有料ツールも多数存在します。
そんなツールの中から、11種ご紹介します。
MarketPlanner
- スマホ・タブレット・パソコンでの利用に対応
- 人流データ、年収や貯蓄、将来人口など最新の統計データを利用した商圏判定が可能
- 長年業界に精通しているパスコ独自の候補物件評価ロジックを搭載
「MarketPlanner」では、初めてGISシステムを利用する企業も安心出来るように、問い合わせに対応する専任のデスクや情報の集まるユーザーサイトが開かれているほか、操作アドバイスをする機能を搭載し、マニュアルがなくても安心して操作が可能です。
価格 | 初期費用 | 無料トライアル |
変動(要問合せ) | 変動(要問合せ) | なし |
詳細はこちら:https://biz-pasco.jp/service/market-planner/
Market Anlyzer
- 直感的に使える操作性
- 高い機能の拡張性
- 豊富なデータラインナップ
「Market Anlyzer」では、直感的なインターフェースによって多様なデータを扱うことが可能です。
「出店余地エリアランキング機能」といった、営業戦略に活かせる機能が多くそろえられている他、スタンダードな導入版から必要に応じて追加の機能を購入して行けるシステムのため、最適なコストで運用可能。
価格 | 初期費用 | 無料トライアル |
15000円(月額) | 550000円 | なし |
詳細はこちら:https://www.giken.co.jp/products/marketanalyzer/
MAP-STAR LTⅡ
- 幅広いデータに対応
- 自由度の高い四則演算機能
- 豊富な追加オプション
「MAP-STAR LTⅡ」では、国勢データやコンビニ、スーパー、学校などといったポイントのデータといった幅広いデータに対応。
システム上に四則演算を入力するだけで様々な比較を手軽に行う事も可能です。
価格 | 初期費用 | 無料トライアル |
変動(要問合せ) | 変動(要問合せ) | なし |
詳細はこちら:http://www.ybco.co.jp/product_lt2.html
楽商地図
- 国勢データ標準搭載
- 自社データも簡単に導入可能
- 簡単な基本操作
「楽商地図」でも、国勢データは標準搭載。
自社データの活用なども簡単な操作で実行可能なので、扱いやすいソフトです。
費用に関しても通常ライセンス版、期間限定ライセンス版とどちらも低価格なので、他に比べ気軽に導入することが可能です。
価格 | 初期費用 | 無料トライアル |
41040円(3か月限定ライセンス) | 162000円(通常ライセンス) | なし |
詳細はこちら:https://www.mapquest.co.jp/rakushochizu
SIS
- 拡張性とカスタマイズ性
- 高いデータ互換性
- Officeをモチーフとしたデザインスタイル
「SIS 」は、高い拡張性やカスタマイズ性を備えた有料ソフトです。
データ互換性も高く、300種以上の地図データの変換が可能。
デザインはOfficeをモチーフとしているため、扱いやすいソフトです。
価格 | 初期費用 | 無料トライアル |
23,000円(税別)(学生割引版価格) | 変動(要問合せ) | なし |
詳細はこちら:http://www.informatix.co.jp/sis/product/sis.html
統計てきめん2
- 簡単操作
- コンサルティング
- 使いやすい期間ライセンス制
「統計てきめん2」は、豊富なデータを搭載したGISソフトウェアです。
期間ライセンス制での購入が可能で、期間を限定することで他社よりも安く導入することが出来ます。
価格 | 初期費用 | 無料トライアル |
8023円(1か月ライセンス版) | 498000円(売切り版) | あり(1か月) |
詳細はこちら:https://sorb.co.jp/tekimen/
ArcGIS
- 充実したラインナップ
- 拡張性の高さ
- 無料のアプリ提供あり
「ArcGIS」では、デスクトップアプリ、モバイルアプリ、Webアプリなど、多数のシステム形態や用途に応じて導入可能なシステムです。
無償のオンライン地図サービスも提供しているため、導入が容易に行えます。
価格 | 初期費用 | 無料トライアル |
180,000円(365日限定ライセンス版) | 390,000円 | あり(3週間) |
詳細はこちら:https://www.esrij.com/products/arcgis/
ZENRIN GIS
- 地図データからシステムまでをワンストップで
- 必要なシステムを適切なコストで提供
- ピンポイントの業種特化型GISも提供
「ZENRIN GIS」では、全国の調査スタッフが足で集めた住宅情報をデータベース化。顧客情報などと合わせて詳細なデータの分析・管理が行えます。
ソフトウェアは使用内容に合わせてカスタマイズ販売してくれるので、コスト面でも安心です。
価格 | 初期費用 | 無料トライアル |
変動(要問合せ) | 変動(要問合せ) | なし |
詳細はこちら:https://www.zenrin.co.jp/product/category/gis/index.html
- 各種検索機能
- マルチデバイス対応
- 店舗情報発信
「Genavis店舗検索ストアファインダー」では、GIS機能に合わせて店舗情報の発信機能なども搭載。分析と宣伝を同時に行えるツールです。
PCやスマホといった複数デバイスに対応しています。
価格 | 初期費用 | 無料トライアル |
変動(要問合せ) | 変動(要問合せ) | なし |
詳細はこちら:https://biz.kkc.co.jp/software/gis/storefinder/
LmapⅣ
- 豊富な機能
- オプションカスタマイズ
- 明快な料金体系
「LmapⅣ」は、汎用的な機能を一つにまとめたパッケージ商品のソフトウェアです。
汎用的な内容に加え、追加で多数のオプションを購入したり、カスタマイズを受託してもらうことが可能。
料金形態は買い切りと月額性の二択で、HPに明快な料金体系が表示されています。
価格 | 初期費用 | 無料トライアル |
5000円~(月額使用版) | 150000円~(買い切り版)(別途サポート料金必須) | なし |
詳細はこちら:http://www.lmap.jp
無料ダウンロードできるGISデータ8選
GISデータは、ソフトウェア等で利用するほかに、無料ダウンロードできるものも存在します。
各所で配信されているGISデータの中から、8つのデータをご紹介します。
基盤地図情報
- 提供機関:国土地理院
- データ形態:ダウンロード
- 主なデータ:行政区画の境界線、道路縁、建物の外周線、数値標高モデル
「基盤地図情報」とは、文字通り測量や海岸線といった地図の基準となる情報をまとめたものです。汎用性と正確性が高く、様々なデータに活用できます。
詳細はこちら:https://www.gsi.go.jp/kiban/
国土数値情報
- 提供機関:国土交通省 国土政策局
- データ形態:ダウンロード
- 主なデータ:河川、避難施設、鳥獣保護区、鉄道 など
「国土数値情報」は、国交省が提供する国土に関する情報データです。
基礎的な国土・交通のデータを取得することが可能です。
詳細はこちら:http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/index.html
位置参照情報
- 提供機関:国土政策局
- データ形態:ダウンロード
- 主なデータ:行政区域、学校、鉄道など
「位置参照情報」では、市区町村やその番地に関する情報と、基準となり得る行政や学校などの位置データをまとめたものです。
詳細はこちら:http://nlftp.mlit.go.jp/isj/index.html
総務省統計局 e-Stat
- 提供機関:総務省統計局
- データ形態:ダウンロード
- 主なデータ:国勢調査、経済センサスなど
「総務省統計局 e-Stat」では、各種国勢調査などの情報を取得することが可能です。
サイト上では地図情報に合わせて統計情報を表示することも可能です。
詳細はこちら:https://www.e-stat.go.jp
地理院地図
- 提供機関:国土地理院
- データ形態:オンライン(閲覧のみ)
- 主なデータ:標準地図、淡色地図、白地図、航空写真
「地理院地図」では、複数形態で日本の地図を確認することが可能です。
複数の地図を重ねて表示するなど、閲覧だけではありますが分かりやすく見る事が可能です。
詳細はこちら:https://maps.gsi.go.jp/#5/36.104611/140.084556/&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
地理空間情報ライブラリー
- 提供機関:日本地理院
- データ形態:PDF等
- 主なデータ:各種地形図データ
日本地理院の運営する「地理空間情報ライブラリー」では、各種様々なサイトで公開されているGIS情報などについて、一覧で確認・閲覧することが出来ます。
必要な情報などがあれば、まずはこちらでチェックするのも良いかもしれません。
詳細はこちら:http://geolib.gsi.go.jp/taxonomy/term/81
ArcGIS Online 背景地図
- 提供機関:Esri
- データ形態:オンライン(閲覧のみ)
- 主なデータ:地形図、道路地図、衛星画像、ラベル付き衛星画像、海洋図、オープンストリートマップなど
「ArcGIS Online 背景地図」でも、背景地図を閲覧することが可能です。
海洋図や世界各地の情報も確認可能で、「ArcGIS Desktop」を利用している場合、ベースデータの追加が可能です。
詳細はこちら:http://www.arcgis.com/home/webmap/viewer.html
ESRI 全国市区町村界データ
- 提供機関:ESRIジャパン株式会社
- データ形態:ダウンロード
- 主なデータ:全国市区町村界データ
「全国市区町村界データ」は、前述のArcGIS の利便性向上のため、ESRIジャパン株式会社がサンプル として無償提供しているデータです。
ArcGISと合わせることで広く活用することが可能です。
詳細はこちら:https://www.esrij.com/products/japan-shp/
GISソフト・商圏分析ツールを活用しよう
いかがでしたでしょうか?
GISソフト・商圏分析ツールには様々な種類があり、その機能性や価格は様々です。
上手く活用することが出来れば、店舗や会社の売上を今以上にアップさせることが出来るかもしれません。
是非、こういったツールを活用して新たな営業戦略を練ってみてください。