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GIS(地理情報システム)とは|使い方と機能、商圏分析ツール・ソフト比較9選

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GIS(地理情報システム)とは

GISとは「Geographic Information System」の略で、日本語に訳すと「地理情報システム」です。

地理情報システムとは、コンピューターで地図上のさまざまな地理情報を可視化することで、地理ごとの傾向や特徴を把握するシステムです。地図上のさまざまなデータのビジュアル化が可能なため、多くの数値を分析し「商圏データ」としてビジネス活用もされています。

GIS(地理情報システム)の主な利用分野

では、そういったGISデータを用いることで、ビジネスにどのように役立てられるのでしょうか。

GISデータを活用できるのは主に次のような分野や内容です。

  • 店舗・小売:出店計画や営業エリア分析
  • 販売促進:顧客データを活用した最適な来店誘導
  • 交通機関:タクシー配車や道路の維持管理
  • 行政:都市計画や固定資産税
  • 公益サービス:ガス設備の管理、発電施設の選定
  • 教育:地理教育や野外調査

これらの分析や調査の多くが、人間の手で管理しようとすれば莫大な労力を必要とする内容です。

しかし、GISデータを用いれば、こういった分野の情報を分かりやすく具体的に管理・運用することが可能になります。

GIS(地理情報システム)の4つの機能

GISでは具体的に次のようなことができるようになります。

1.地図上データの可視化

GISは地図上にデータを可視化できます。目的に応じて地図データにどんなデータを表示するか、チェックしたいエリアを拡大しミクロな視点で分析したり、縮小表示でマクロな視点からエリアの位置関係を確認したりできます。

2.統計データの相関関係

さまざまなデータの可視化を地図上に照らし合わせ、相関関係を含めた分析を実施できるのがGISの特徴です。統計データを表やグラフで見るよりも、地図上で、データごとの相関関係を見ながら確認した方がより不快分析ができるでしょう。

3.位置情報と掛け合わせたデータの統合分析

複合的な情報を地図上にマッピング、ビジュアル化することでこれまで気づかなかったことも発見が可能です。また、位置情報と掛け合わせた分析もできます。

4.各種分析レポートの作成

GISでは分析作業の一部を自動化したり、レポートを作成したりできます。見やすいレポートを、ノースキルで時間をかけずに作成できるようになれば、分析そのものにあてられる時間も増えるでしょう。

GIS(地理情報システム)活用4つのメリット

つづいて、GISを活用すべき4つのメリットを解説します。

1.業務効率化とコスト削減

地図上データや統計データといった莫大なデータを管理・統合するには、人の手では多くの時間やコストが必要となってしまいます。

それに特化したGISを用いて情報を取得・運用することで、必要な労力とコストを大きく削減することができます。

2.より最適な意思決定

視覚的・数値的に具体的なGISデータを用いることで、感覚や勘に頼ることない具体的かつ最適な意思決定が可能となります。

配送ルートの計画や避難場所の検討など、正確に地理情報を把握することで重要な意思決定の参考材料となります。

3.幅広い業務・用途で活用できる

新規出店や販売計画、従業員の業務内容の見直しと、販売業だけに絞っても、使用できるデータの範囲はとても広いです。

多くの情報を統括し、手軽に利用できるようになる点も、GISを導入するメリットと言えるでしょう。

4.豊富な種類のマップデータ

また、自社でデータを集める場合と比べ、既存システムやデータを活用することで取りこぼしなく多くの情報を取得することが可能です。

具体的に言えば、国勢調査による統計情報や、チェーン店の所在マップなど、自社で行おうとすれば不可能か、莫大なコストの必要となるデータを手軽に利用することが可能になります。

「GIS×データ」の新たな活用方法

GISと様々なデータを掛け合わせることで、さらに広く活用することが可能です。

AI活用による膨大なデータ解析

GISデータと自社の業務データを掛け合わせる作業は、会社の規模が大きくなればなるほど人の手に負えない作業となってしまいます。

しかし、AIを活用することで、莫大なデータの数値化が容易になります。例えば、運送業の配送ルート選択など、リアルタイムでのデータ活用ができるようになり、より業務を効率化できます。

見込み顧客の分析・広告の最適化

地理情報と広告の効果を掛け合わせることで、見込み顧客が眠っているエリアや、それに適応した広告を出すことが可能になります。

コストをかけ、とにかく広くばら撒くよりも、反響の期待できるエリアと内容を絞って広告を出すことで、低コスト・高リターンを狙えるようになるのです。

デジタル×地理データ活用の事例4選

では、そうしたGISを活用した実際の事例をご紹介しましょう。

京浜急行電鉄:位置情報を活用した顧客誘導

京急電鉄では、品川や横浜といった7駅において実証実験をしました。

リクルートグループが提供するアプリユーザーに対し、位置情報を基に沿線のお得な情報を通知するというもので、「ホットペッパー」ユーザーに対し近隣の飲食店のクーポンを配布するなどし、リアルタイム性のある販促活動を行いました。

詳細はこちら: http://www.cerebrix-sampling.jp/pages/column/columndetail04/

アドダイセン:自社顧客データを使ったパーソナライズのDM

「アドダイセン」では、「TerraMap」というシステムを用いることで、エリアごとの顧客シェアを号単位で把握。

結果、顧客となり得る範囲を絞ってダイレクトメールを送付することで、通常よりも高い成果を挙げたそうです。

詳細はこちら: https://www.mapmarketing.co.jp/donyu/adodaisen

ハローデイ:会員データを使ったドミナント戦略

「ハローデイ」では、会員データをエリアデータと合わせる事によって、競合店による影響などを把握。また、隣接する自店舗の情報をまとめて管理することによって、複数店舗の影響を合わせて把握し、単店舗だけでなく会社としての商圏を把握し、ドミナント戦略に生かしています。

詳細はこちら: https://www.mapmarketing.co.jp/donyu/pdf/d_hallow.pdf

カーセブン:顧客分析による販促戦略

「カーセブン」では、ネットを通した証券分析や査定依頼データを元に、顧客データを管理・活用しています。ファミリー層が多いエリアであればミニバンのような車、単身女性が多いならばコンパクトカーといった形で特性に合わせたポスティング戦略を練ることで、より高い効果を発揮しています。

詳細はこちら: https://www.mapmarketing.co.jp/donyu/pdf/d_car.pdf

GIS活用で必要なもの

GISを活用して分析をしたり出店計画を立てたりするときは、「データ」と「GISソフト」が必要です。ベースとなる地図データ、その地図データの上に可視化する統計データ、これらのデータを活用するためのGISソフトが必要です。

どのようなデータベースからデータを得られるのか、どんなGISソフトがおすすめなのか、それぞれ次から紹介します。

企業や政府・国が提供する無料で使える地理情報・マップデータ7選

GISデータを活用するためには、まず地理情報やマップデータを取得する必要があるでしょう。そこで、企業や政府が無償で提供しているデータを7つご紹介いたします。

基盤地図情報

  • 提供機関:国土地理院
  • データ形態:ダウンロード
  • 主なデータ:行政区画の境界線、道路縁、建物の外周線、数値標高モデル

「基盤地図情報」とは、文字通り測量や海岸線といった地図の基準となる情報をまとめたものです。汎用性と正確性が高く、様々なデータに活用できます。

詳細はこちら:https://www.gsi.go.jp/kiban/

国土数値情報

  • 提供機関:国土交通省 国土政策局
  • データ形態:ダウンロード
  • 主なデータ:河川、避難施設、鳥獣保護区、鉄道 など

「国土数値情報」は、国交省が提供する国土に関する情報データです。

基礎的な国土・交通のデータを取得することが可能です。

詳細はこちら:http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/index.html

位置参照情報

  • 提供機関:国土政策局
  • データ形態:ダウンロード
  • 主なデータ:行政区域、学校、鉄道など

「位置参照情報」では、市区町村やその番地に関する情報と、基準となり得る行政や学校などの位置データをまとめたものです。

詳細はこちら:http://nlftp.mlit.go.jp/isj/index.html

総務省統計局 e-Stat

  • 提供機関:総務省統計局
  • データ形態:ダウンロード
  • 主なデータ:国勢調査、経済センサスなど

「総務省統計局 e-Stat」では、各種国勢調査などの情報を取得することが可能です。

サイト上では地図情報に合わせて統計情報を表示することも可能です。

詳細はこちら:https://www.e-stat.go.jp

地理院地図

  • 提供機関:国土地理院
  • データ形態:オンライン(閲覧のみ)
  • 主なデータ:標準地図、淡色地図、白地図、航空写真

「地理院地図」では、複数形態で日本の地図を確認することが可能です。

複数の地図を重ねて表示するなど、閲覧だけではありますが分かりやすく見る事が可能です。

詳細はこちら:https://maps.gsi.go.jp/#5/36.104611/140.084556/&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1

ArcGIS Online 背景地図

  • 提供機関:Esri
  • データ形態:オンライン(閲覧のみ)
  • 主なデータ:地形図、道路地図、衛星画像、ラベル付き衛星画像、海洋図、オープンストリートマップなど

「ArcGIS Online 背景地図」でも、背景地図を閲覧することが可能です。

海洋図や世界各地の情報も確認可能で、「ArcGIS Desktop」を利用している場合、ベースデータの追加が可能です。

詳細はこちら:http://www.arcgis.com/home/webmap/viewer.html

ESRI 全国市区町村界データ

  • 提供機関:ESRIジャパン株式会社
  • データ形態:ダウンロード
  • 主なデータ:全国市区町村界データ

「全国市区町村界データ」は、前述のArcGIS の利便性向上のため、ESRIジャパン株式会社がサンプル として無償提供しているデータです。

ArcGISと合わせることで広く活用することが可能です。

詳細はこちら:https://www.esrij.com/products/japan-shp/

無料GIS・商圏分析ソフト&ツール5選

次に、GIS情報を用いた、商圏分析に使える無料ツールを5つ紹介します。

jSTAT MAP

jSTAT MAP

●特徴

  • 総務省が公開
  • レポート出力可能
  • 国勢調査の数値も出力可

「jSTAT MAP」は、総務省が公開している政府統計の総合窓口「e-Stat」で公開されているツールです。

国が公開しているものなので、安心して使用することができます。

詳細はこちら:https://jstatmap.e-stat.go.jp/trialstart.html

地域経済分析システム「RESAS」

地域経済分析システム「RESAS」

●特徴

  • 地方創生支援
  • ビッグデータの集約
  • 人の移動の可視化

地域経済分析システム「RESAS」は、地方創生を支援するために、経済産業省と内閣官房が提供しているシステムです。

時間帯ごと人の移動なども確認することができます。

詳細はこちら:https://resas.go.jp/#/13/13101

QGIS

QGIS

●特徴

  • オープンソース
  • ブラウザ使用可能
  • 多機能

「QGIS」は、完全無料でありながら有料のシステムに近い機能や操作性を備えたソフトウェアです。

オープンソースとなっており、機能の追加等は無料のプラグインでインストール可能。

ブラウザで稼働できる点が魅力です。

詳細はこちら:https://qgis.org/ja/site/index.html

ロケスマ

ロケスマ

●特徴

  • チェーン店マップ
  • アプリで使用可能
  • データの別途購入も可能

「ロケスマ」では、全国各地のチェーン店情報をマップで知ることができます。

無料アプリでの利用が可能で、競合となり得るチェーン店の情報を気軽に得る事が可能。データを別途で購入し、自由に活かすことも可能です。

詳細はこちら:https://www.locationsmart.org

e-Stat

e-Stat

●特徴

  • 政府統計の総合窓口
  • 業種や地域ごとに様々なデータを閲覧可能
  • 内容はほぼ全ての国勢調査

「jSTAT MAP」を公開する「 e-Stat」では、地図情報以外にも多くのエリア情報を得られます。

統計データ量は政府サイトだけあって多岐に渡り、様々な観点から戦略に繋げることができます。

詳細はこちら:https://www.e-stat.go.jp

有料GIS・商圏分析ソフト&ツール比較4選

商圏分析ソフト・ツールには、より高機能な有料のものも多く存在します。

そのツールの中から、厳選5点をご紹介します。

MarketPlanner

MarketPlanner

●特徴

  • スマホ・タブレット・パソコンでの利用に対応
  • 人流データ、年収や貯蓄、将来人口など最新の統計データを利用した商圏判定が可能
  • 長年業界に精通しているパスコ独自の候補物件評価ロジックを搭載

「MarketPlanner」では、初めてGISシステムを利用する企業も安心できるように、問い合わせに対応する専任のデスクや情報の集まるユーザーサイトが開かれているほか、操作アドバイスをする機能を搭載し、マニュアルがなくても安心して操作が可能です。

価格初期費用無料トライアル
変動(要問合せ)変動(要問合せ)なし

詳細はこちら:https://biz-pasco.jp/service/market-planner/

Market Anlyzer

Market Anlyzer

●特徴

  • 直感的に使える操作性
  • 高い機能の拡張性
  • 豊富なデータラインナップ

「Market Anlyzer」では、直感的なインターフェースによって多様なデータを扱うことが可能です。

「出店余地エリアランキング機能」といった、営業戦略に活かせる機能が多くそろえられている他、スタンダードな導入版から必要に応じて追加の機能を購入して行けるシステムのため、最適なコストで運用可能。

価格初期費用無料トライアル
15000円(月額)550000円なし

詳細はこちら:https://www.giken.co.jp/products/marketanalyzer/

MAP-STAR LTⅡ

MAP-STAR LTⅡ

●特徴

  • 幅広いデータに対応
  • 自由度の高い四則演算機能
  • 追加オプションアリ

「MAP-STAR LTⅡ」では、国勢データやコンビニ、スーパー、学校などといったポイントのデータといった幅広いデータに対応。

システム上に四則演算を入力するだけで様々な比較を手軽に行う事も可能です。

価格初期費用無料トライアル
変動(要問合せ)変動(要問合せ)なし

詳細はこちら:http://www.ybco.co.jp/product_lt2.html

楽商地図

楽商地図

●特徴

  • 国勢データ標準搭載
  • 自社データも簡単に導入可能
  • 簡単な基本操作

「楽商地図」でも、国勢データは標準搭載。

自社データの活用なども簡単な操作で実行可能なので、扱いやすいソフトです。

費用に関しても通常ライセンス版、期間限定ライセンス版とどちらも低価格なので、他に比べ気軽に導入することが可能です。

価格初期費用無料トライアル
41040円(3か月限定ライセンス)162000円(通常ライセンス)なし

詳細はこちら:https://www.mapquest.co.jp/rakushochizu

GIS活用で効果的な出店・販促戦略を実現しよう

GIS情報は、今後のビジネスでも活用できる情報といえるでしょう。

出店候補地の情報や、出店後の販売データなど、より多くのデータを取得・活用することで、これまで以上に効果的な営業戦略を実現することが可能となるはずです。

これまでGISを用いてこなかった企業も、分析ツールを用いる事でこれまでと違ったデータを発見できるかもしれません。

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この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社に入社し、事業企画として業務を担う。また、兼務でグループ会社であるマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月よりこれまで副業で経営していたステップ・アラウンド株式会社を独立させる。
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