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ファクタリングのメリット・デメリットと適したケース

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そもそもファクタリングとは?

ファクタリングとは売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に売却(譲渡)し、売掛金を本来よりも早く現金化するサービスです。わかりやすさ重視で解説すると、ファクタリングは請求書(に記載された売掛債権)を使った資金調達のようなものです。

ファクタリングが役立つケース

たとえば手元に「取引先Aへの100万円分の請求書」があり、月末に振り込まれるとしましょう。しかし、自社は3日後までに取引先Bに30万円を振り込まなければならず、自社には現金が一切ないとします。この支払いは現金振込みのため、カード払いはできません。

このような場合に役立つのがファクタリングです。取引先Aへの請求書のうち30万円をファクタリングすることで、売掛金100万円のうちの30万円を早めに現金化し、取引先Bへの支払いに当てられます。翌月末、取引先Aから100万円が振り込まれたら、自社は「30万円+手数料」をファクタリング会社に支払います。

詳しくは後述しますが、ファクタリングはほかの方法と比べて「審査が緩やか」「申し込みから入金までが早い」などの特徴がある資金調達です。そのため、融資を受けるほどではない、融資の審査を待つ時間がないケースなどでよく利用されています。

ファクタリングのメリット

ファクタリングは「すぐに現金を調達したい」「自社の信用面に不安がある」といった場合に役立つ資金調達です。その理由を、ファクタリングの3つのメリットと併せて解説します。

メリット1.すぐに資金調達ができる

ファクタリングの1つ目のメリットは、「すぐに資金調達ができる」ことです。

ファクタリングは「入金スピード」を重視したサービスが多いです。最短即日や翌営業日の入金を謳ったサービスも多く、すぐに現金が必要なときに役立ちます。

ほかの資金調達と比べて圧倒的なスピードで入金できる理由は、「売掛債権の譲渡」というファクタリングの性質にあります。売掛債権(売掛金)は「すでに商品やサービスを提供してあり、支払いが約束されたお金」です。売掛先の倒産や不払いなどのリスクはゼロではないものの、売掛金は「ほぼ確実に支払われるお金」といえます。

ファクタリング会社が主に考えることは「支払期日どおりに売掛先が入金してくれるか」であり、そのため審査に時間がかかりません。

メリット2.自社の信用が低くても資金調達ができる

自社の信用が低くても資金調達ができる理由

ファクタリングの2つ目のメリットは、「自社の信用が低くても資金調達ができる」ことです。

先述のとおり、ファクタリングの審査において重要なのは「支払期日どおりに売掛先が入金してくれるか」です。融資と異なり、利用者の支払い履歴や事業計画、支払い能力などはあまり考慮されません。

ファクタリングの審査では、主に売掛先の信用や取引の履歴がチェックされます。売掛先の企業は問題なく支払いができるのか、これまできちんと期日どおりに支払いがなされてきたのかが見られます。

これらの観点で問題がなければ、自社の信用が低くても審査に通ることが多いです。設立して数ヵ月の会社やいわゆる「ブラックリスト状態」の個人事業主でも、ファクタリングなら資金調達しやすいでしょう。

メリット3.負債が増えずバランスシートへの影響がない

ファクタリングの3つ目のメリットは、「負債が増えずバランスシートへの影響がない」ことです。

売掛金が振り込まれたら、ファクタリングで調達した資金に手数料を加えた額を、ファクタリング会社に支払わなければなりません。この流れは融資に見えるかもしれませんが、ファクタリングはあくまで売掛債権の売却であり借入ではありません。

そのため、ファクタリングをしてもバランスシート上の負債は増えません。バランスシートは金融機関から融資を受ける際、審査に大きな影響を与えます。近い将来、金融機関から融資を受ける予定がある場合でも、ファクタリングは安心して利用できるでしょう。

ファクタリングのデメリット

ファクタリングは一時的な急場をしのぐため、突然現金が必要になった場合に有効な資金調達です。しかし、「新しい店舗や事業を始めるためにまとまった資金が必要」というような、長期目線での資金調達には適していません。

その理由を、ファクタリングの3つのデメリットと併せて解説します。

デメリット1.調達できる資金が限られる

ファクタリングで調達できる金額

ファクタリングの1つ目のデメリットは、「調達できる資金が限られる」ことです。

ファクタリングは売掛債権の売却であるため、売掛金以上の資金調達はできません。ファクタリング会社への手数料や掛け目(※)もあるため、売掛金の全額を売却することはできず、調達できるのは最大でも7~8割ほどになるでしょう。

※掛け目とは?利用者に提供した資金を回収できないリスクを踏まえ、ファクタリング会社は掛け目と呼ばれる買取率を設定しています。たとえば額面100万円、掛け目8割、手数料1割なら、全体の7割=70万円が調達限度額となります。

デメリット2.分割払いができない

ファクタリングの2つ目のデメリットは、「分割払いができない」ことです。

何度もいうように、ファクタリングは融資ではありません。そのため分割払いもできません。分割払いを認めると、債権の譲渡ではなく貸金の扱いになるからです。

ただ、分割払いができないことには「支払いが長期化しない」というメリットもあります。ファクタリングした現金は、売却した売掛金が振り込まれたら、ファクタリング会社にすぐに支払うことになります。融資の返済のように支払いが長期にわたることはなく、そのため資金計画も立てやすいでしょう。

デメリット3.「ファクタリングのループ」に陥る恐れがある

ファクタリングの負のループ

ファクタリングの3つ目のデメリットは、「”ファクタリングのループ”に陥る恐れがある」ことです。

ファクタリングの実態は、会社員でいう「給与の前借」に近いです。売上のほとんどが売掛金だという事業者が、売掛金の大部分をファクタリングした場合、「ファクタリングのループ」に陥る恐れがあります。

このリスクは資金に余裕がない会社やフリーランスにとって特に大きいでしょう。たとえばシステム開発の会社なら従業員の給与や経費を支払うために、フリーのデザイナーやライターなどなら生活のために、ファクタリング会社への支払いが済んだ翌月も、再びファクタリングを利用することになりかねません。ファクタリング会社への支払いで資金のほとんどがなくなってしまうからです。

こうなると、ファクタリングのループから脱するまで、手数料ばかりがかさんでいくことになります。ファクタリングの手数料は8~18%ほどになることが多く、これだけの手数料が毎月かかるのはかなりの痛手でしょう。

2種類のファクタリング

ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。それぞれの仕組みとメリット・デメリットについて解説します。

2社間ファクタリングのメリット・デメリット

2社間ファクタリングの仕組み

【主なメリット】

  • 取引先にファクタリング利用を知られずに済む
  • 審査や契約にかかる時間が短く、入金が早い

【主なデメリット】

  • 3社間ファクタリングに比べて手数料が高い(8~18%が相場)
  • 3社間ファクタリングに比べて調達できる額が低くなりやすい

2社間ファクタリングでは、ファクタリングの利用者とファクタリング会社の2社間で契約を結びます。取引先から現金が支払われたら、利用者はファクタリング会社に、売却した売掛金に手数料を加えた金額を支払います。

原則として、利用者は売却する債権の売掛先(取引先)にファクタリングの利用を知らせる必要はありません。

そのため、ファクタリングの利用が取引先に知られることもまずありません(債権譲渡登記により知られる可能性はあります)。「資金繰りが悪いのでは?」「融資を受けられない事情があるのでは?」といったネガティブな印象をもたれずに済むため、今後の取引への影響はないでしょう。

ただ、後述する3社間ファクタリングに比べ、ファクタリング会社にとっての「買い取った売掛金を回収できないリスク」が高いです。そのため手数料も割高になりやすいです。

3社間ファクタリングのメリット・デメリット

3社間ファクタリングの仕組み

【主なメリット】

  • 2社間ファクタリングに比べて手数料が安い(2~9%が相場)
  • 2社間ファクタリングに比べて調達できる額が高くなりやすい

【主なデメリット】

  • 取引先にファクタリング利用が知られる
  • 取引先とのやり取りに時間と手間がかかり、入金が遅くなりやすい

3社間ファクタリングは、ファクタリングの利用者とファクタリング会社に、「売掛金の請求先(取引先)」を加えた3社間で結ぶ契約です。利用者は取引先にファクタリングを利用したいことを伝え、債権売却の承諾を取ります。その後、利用者・取引先・ファクタリング会社の3社で契約が結ばれます。

売却した売掛金分の現金がファクタリング会社から利用者へ支払われるのは2社間と同じですが、ファクタリング会社への支払いは、利用者ではなく取引先から直接行われます。

ファクタリング会社にとっては「買い取った売掛金を回収できないリスク」が低く、そのため手数料も割安になりやすいです。

ただ、取引先にファクタリングを通知することで、自社の経営がうまくいっていないと思われるかもしれません。取引先への通知や承諾が必要な分、契約・入金までにかかる時間も長くなりやすいです。

そのため、ファクタリングでは2社間を選ぶのが一般的です。

ファクタリングはどんなケースに向いている?

ファクタリングはほかの方法に比べ、時間と手間がかからない資金調達です。自社の信用が低くても利用しやすく、バランスシートへの影響も小さいです。これらのメリットから、ファクタリングは次のようなケースでの資金調達に向いています。

【ファクタリングが向いているケース】

  • とにかくすぐに現金が必要
  • 金融機関の審査が不安
  • 調達したい額が小さい
  • 近い将来、融資を受ける予定がある
  • 納品から請求までの期間が長い など

ただ、融資と異なり分割払いができない、調達できる金額が小さいというデメリットもあります。場当たり的な利用の仕方だと、毎月ファクタリングを申し込むループに陥るリスクもあります。次のようなケースでは、ファクタリングの利用は避けた方がいいかもしれません。

【ファクタリングが向いていないケース】

  • 新しい店舗や事業を始めるための資金調達
  • 売掛金を超える額の資金調達が必要(ファクタリングでは十分な資金を調達できない)
  • 資金の余裕がなく、売掛金の合計とあまり変わらない額の資金が必要(ファクタリングのループに陥るリスクが高い) など

メリット・デメリットを踏まえ、ファクタリングを利用すべきか見極めよう

ファクタリングは突発的に現金が必要になったとき、納品から請求までの期間が長いケースなどに向いています。ただ、調達できるのは売掛金の範囲内であるため、大きな金額の調達には向いていません。

場当たり的なファクタリングの利用は、ファクタリングのループに陥るリスクもあります。慎重な判断と、手数料が少しでも低いサービスを選ぶことで、このリスクを抑えられるでしょう。

こちらの記事ではどんなケースにどんなサービスがおすすめなのか、ケース別のおすすめファクタリング会社を紹介しています。「ファクタリングの利用がはじめて」「いろいろな会社があってどこがいいのかわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社に入社し、事業企画として業務を担う。また、兼務でグループ会社であるマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月よりこれまで副業で経営していたステップ・アラウンド株式会社を独立させる。
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