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店舗改善に欠かせない”QSC”とは?上げる方法やメリット、併せて高めたい「VHA」の意味も解説

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QSCとは?

QSCのピラミッド

QSCは、品質(Quality)、サービス(Service)、清潔(Cleanliness)の3つの要素を指す言葉です。これらを向上させることで、飲食店やサービス業における顧客満足度を高め、リピーター獲得やブランドイメージの向上などが期待できます。まずは、それぞれの要素について詳しく解説します。

Q:Quality(品質)

Quality(クオリティ)は「品質」の意味で、提供される料理や商品の品質を指します。顧客は美味しい料理や高品質な商品を求めています。品質が高ければ高いほど、顧客のリピート率も客単価も高くなるでしょう。

S:Service(サービス)

Service(サービス)は、接客や提供されるサービス全般を指します。親切で心地よい応対、スピーディなオーダー対応など、顧客に良い印象を与えることは、リピーター獲得の土台となります。

C:Cleanliness(清潔)

Cleanliness(クリンリネス)は「清潔」の意味で、店内やトイレ、調理場などの清潔さを指します。清潔な環境はお客さまに信頼感や安心感を与えます。食事や買い物を楽しんでもらうためには、清潔で快適な空間をつくることが大切です。

顧客満足度をさらに高める、QSCと併せて意識したい「VHA」とは?

QSCが店舗(特に飲食店)運営の基本であるのに対し、「VHA」は顧客満足度をさらに向上させるために意識したい、プラスアルファの要素です。VHAは、Value(価値)、Hospitality(おもてなし)、Atmosphere(雰囲気)の3つの要素から構成されています。

V:Value(価値)

Value(バリュー)は「価値」の意味で、提供する料理・料理やサービスの価値を意味します。Quality(品質)に近い要素ですが、お客さまが店舗で得られるあらゆる体験に付加価値を与え高めることで、ライバル店との差別化ができるでしょう。

H:Hospitality(おもてなし)

Hospitality(ホスピタリティ)は「おもてなし」の意味で、お客さまに心地よい体験を提供すること、寄り添うことを指します。Service(サービス)に近い要素ですが、お客さまのことをより理解し、柔軟な対応をするための「ワンランク上の要素」といえるでしょう。

「お客さまに快適に過ごしてもらいたい」「笑顔になってもらいたい」というおもてなし精神をすべてのスタッフが持つこと、そのために一致団結して働くことが大切です。

A:Atmosphere(雰囲気)

Atmosphere(アトモスフィア)は「雰囲気」の意味で、店内の空間やデザインを指します。清潔であることは大前提として、ターゲット層やお客さまのニーズに合ったインテリア、リラックスできるBGM、スタッフが醸し出す雰囲気など、快適に過ごしてもらうために必要な要素全般を指します。

お客さまにとって居心地が良い、また来たくなる雰囲気づくりを心がけましょう。

QSC+VHAを上げるメリット

QSC・VHAを上げることは顧客満足度の向上につながり、売上に大きな影響を与えます。QSC・VHAを上げることで得られる3つのメリットを紹介します。

顧客満足度アップによるリピーター獲得

特に飲食店やサロンなどのお店において、お客さまのリピート率は極めて重要です。リピーターを獲得することは、売上を安定化させ、競争の激しい市場で生き残るために欠かせません。

お店に対する満足度の高いお客さまほどリピート率は高くなり、頻繁に来店してくれるでしょう。お店に対する信頼、応援したいという気持ちも強く、ワンランク上の商品やサービスを選ぶことも多くなります。

リピーターからのフィードバックを通じて、店舗の改善すべき点も特定しやすくなります。彼らの率直な意見や注文・購入データなどは、サービスやメニューの改善に役立ち、より良いお店づくりの土台となるでしょう。

口コミによる集客力強化

顧客からの口コミは飲食業、サロンをはじめとするサービス業において非常に重要です。良い口コミを広めてくれる顧客が増えれば、既存客が新規客を連れてきてくれる好循環ができあがり、大きなコストや労力をかけずに集客できるようになるでしょう。

特に若年層はお店選びにおいて口コミを詳しくチェックする傾向があります。第三者の評価である口コミは信頼性が高く、店舗発信の広告やSNS投稿よりも効果的であることが多いです。

従業員エンゲージメントの向上

QSCやVHAを高めるための取り組みはお客さまだけでなく、従業員の満足度やエンゲージメントを高めることにもつながります。

従業員エンゲージメントとは、従業員の組織に対する愛着や貢献心のことです。これを高めることで従業員の定着率やモチベーションも高くなります。社歴が長い従業員には「その従業員のファン」ともいうべきお客さまも多いです。

既存客のリピート率や客単価を高めるためにも、質の高いサービスで新規客にリピーターになってもらうためにも、従業員エンゲージメントは重要です。

QSCやVHA向上のための取り組みは「仕事に対するやりがい」を生みます。明確な目的をもち、チーム一丸となって仕事をするのは楽しいものです。

詳しくは後述しますが、QSCやVHAを高めるためには従業員の声を集めることも欠かせません。自分たちの意見がお店づくりに反映されれば、従業員の「自分たちでお店をつくっているんだ」という感覚も強くなるでしょう。

QSC+VHAを上げる方法

QSCやVHAを上げる方法を3つ紹介します。それぞれ具体的にどんな方法を取ればいいのか、何を意識して実施すればいいのかも詳しく解説するので、取り入れやすいものから試してみましょう。

顧客アンケートの実施

顧客アンケートはお客さまの声を直接聞くための強力なツールです。アンケートを実施することでお客さまの好みや不満に感じていることなどがわかり、改善点を特定しやすくなります。効果的な顧客アンケートを実施するためには、次のようなポイントを意識しましょう。

適切なタイミングで実施

意味ある回答を集めるためにも、回答率を高めるためにも、アンケートの実施タイミングは重要です。食事後やサービス提供後にアンケートをお願いすること、「答えてあげてもいいかな」と感じてもらうために、お客さまが最も満足しているタイミングを狙うことを心がけましょう。

簡潔な質問

お客さまにとって、アンケートへの回答は面倒です。お客さまに手間や時間をかけないよう、質問内容は簡潔に、質問数はなるべく少なくと心がけましょう。基本は選択式、内容によっては自由回答できるようにしておくことで、答えやすいアンケートを作れます。

匿名性の確保

個人情報を適切に管理することはもちろん、どのお客さまがどんな回答をしたのか、内容がスタッフにわからないようにすることも大切です。匿名性の高いアンケートほど、お客さまの率直な意見を得ることができます。

フィードバックの活用

アンケート結果を集計し、より多くのお客さまが感じている共通のテーマや問題点を洗い出しましょう。多くのお客さまが不満に感じているポイントほど、早急に改善しなくてはなりません。

顧客データの分析

顧客データの分析はお客さまの行動や傾向を理解し、商品やサービスを最適化するために欠かせません。どんなデータを分析すればいいのか、データをどう活用すればいいのかについて、詳しく解説します。

分析すべきデータ

分析すべきデータとしては、顧客それぞれの注文履歴や購買傾向などが挙げられます。これらのデータを年齢や性別といったお客さま属性と紐付けることで、どの層にどんな商品・サービスが人気なのか、何がリピート顧客を引き寄せているのかを特定できます。

顧客セグメンテーション

顧客を年齢や性別、客単価やリピート頻度などの要素で異なるセグメント(グループ)に分類しましょう。各セグメントごとにアプローチ方法を考えることで、異なる客層にそれぞれ効果的なアプローチができます。

ボトムアップ型組織へのシフト

組織は大きく「トップダウン」と「ボトムダウン」の2つに分けられます。トップダウンとは組織のトップから役員、マネージャー、一般社員へと、上から下に指示を出していくスタイルのことです。意思決定にかかわる人数が少なく、スピーディな経営判断ができます。

これに対してボトムアップ型の組織では、一般社員からも広く意見を集め、経営判断に活かします。意思決定に時間はかかるものの、現場の声をそのまま経営に反映できるメリットは大きいです。現場(店舗)を理解することが重要な飲食業やサービス業において、特に有効なスタイルといえるでしょう。

ボトムアップ型組織へとシフトすることで、現場で働くスタッフやお客さまの声を経営にフィードバックできます。先述の従業員エンゲージメントも高めやすくなるでしょう。

ボトムアップ型組織へとシフトするために意識したいこと、現場の声を経営改善に活かすためのポイントを紹介します。

アイデアを広く集める

従業員からのアイデアや意見を積極的に集めることは、ボトムアップ型組織の基本です。アイデアボックスを設置したり社内SNSを活用したり、より多くの「現場の声」を吸い上げるための工夫をしましょう。

改善プロジェクトの実施

現場から集めた意見を経営層で吟味し、具体的な改善プロジェクトを打ち出します。従業員は自分の提案が受け入れられ、店舗改善に活かされていることを実感し、エンゲージメントが高まります。

報酬や承認

コンテスト形式でアイデアを集めたり、アイデア採用者を表彰したりするのもいいでしょう。具体的な報酬があればアイデアや意見を出すモチベーションも上がります。

報酬よりも大切なのは、積極的に提案してくれたことを認めること、その姿勢を示すことです。人間には承認欲求があり、これを刺激したり満たしたりすることで、従業員エンゲージメントは大きく高まります。採用者だけでなく、積極的に提案してくれる従業員に承認を示すことも忘れないようにしましょう。

QSC+VHA向上は売上アップにもスタッフの定着にも効果的

QSC+VHAを高めることは、売上にもスタッフの定着率にも大きく影響します。これらは顧客満足度に直結する要素です。誰もが情報を発信できるようになった現代社会では、顧客からの評価や信頼はより重要になりました。

本記事で紹介した取り組みの中から、まずはできそうなものを試してみてください。一気にすべてのことをするのではなく、少しずつ取り組むことで、QSC+VHAを着実に高めていけるでしょう。

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この記事の監修
中島 崚
中島 崚
慶応義塾大学商学部卒業。新卒でフロンティア・マネジメント株式会社に入社し、メーカーの中期経営計画や百貨店の再生計画策定に従事。その後、スマートキャンプ株式会社に入社し、事業企画として業務を担う。また、兼務でグループ会社であるマネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社に出向し、アントレプレナーファンド「HIRAC FUND」でキャピタリスト業務に携わる。2022年7月よりこれまで副業で経営していたステップ・アラウンド株式会社を独立させる。
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