発注管理システムとは?
本記事では工事管理システムの中でも発注管理システムをお探しの方へ向けて解説を行っています。
発注管理システムとは部材や原材料などの発注から納品までを一元管理できるシステムです。さらに業者の手配や購買依頼書、注文書の作成・保管等ができるものなど、さまざまなシステムがあります。
建設業向けの発注管理システムの特徴
発注管理システムの中には建設業向けのものがあります。建設業向けの発注管理システムでは工事に使う部材の購入や業者の手配、その他工事や仕入れをスムーズに進めるための機能が揃っています。たとえば在庫やスケジュールの管理、発注先の選定などの機能です。
ほかの業界に比べ、建設業はデジタル化が遅れているといわれています。見積書や注文書などの帳票、図面などをFAXでやりとりしている会社も少なくありません。
もちろん、FAXにはFAXの便利さがあります。特に図面に関しては、FAXなら紙に印刷された状態のものをそのまま受け取れます。一方メールやITツールはインターネット回線さえあればどこでも情報を確認できる便利さはあるものの、「メールに添付されたファイルやITツールのメニューから図面を開き、プリンターにデータを送り、印刷する」というプロセスがやや面倒です。
はじめから印刷されているうえ、送信日時や送信者などの情報が1枚の紙にまとまっているFAXの方が手間が少なく、確認漏れが起こりにくいといえます。手書きの書類をそのまま送れるのも便利です。
しかしITツールの方が便利な部分もあります。たとえば紙の書類は紛失のリスクが高く、量が大量になれば管理もしづらくなります。
アナログにもデジタルにもそれぞれ良い面があり、適切に使い分けることが大切です。発注管理システムには建設業の仕事や課題について理解し作られたものも多く、このようなシステムは現場で使いやすいです。Excelデータを連携したりスマホで管理業務を進めたり、今までのやり方を大きく変えることなく業務を効率化することが可能です。
発注管理システムとExcelの違い
建設業に限らず、発注管理をExcelで行っているという企業は多いでしょう。Excel管理と発注管理システムはどう違うのか、Excel管理のメリット・デメリットを紹介します。
Excelを使うメリット
Excelを使う主なメリットは次の通りです。
- 使える人、導入済みの企業が多い
- 費用がかからない、もしくは安価
- カスタマイズ性が高い
多くの企業のPCにはExcelやWordなどのMicrosoft Officeがインストールされています。この場合、新しく何かを購入したり設定したりすることなく、もともとあるExcelをそのまま発注管理に使うことができます。Excelを導入していない場合でも、Microsoft Officeは比較的安価でほかの用途にも使いやすいため導入しやすいです。費用をかけたくない場合には基本無料で使える「Googleスプレッドシート」という選択肢もあります。
広く利用されているツールであり、扱える人が多いのもメリットです。Excelに詳しい人なら関数やマクロを組んで業務をある程度自動化したり、セルの色や大きさを調整して自社にとって見やすく使いやすいデザインにしたりすることが可能です。
Excel管理のデメリットと限界
Excelは汎用性が高く、導入しておいて損はありません。しかし次のようなデメリットもあり、Excelだけで発注管理をするには限界があります。
- 使いこなすにはそれなりの知識が必要
- 専用システムと比べて自動化や効率化できる部分が少ない
- スマホやタブレットだと見づらく操作しづらい
Excelはカスタマイズ性の高いツールですが、関数やマクロを使いこなすにはそれなりの知識が必要です。社内にExcelが詳しい人材がいないと使いこなすのは難しく、その人材が退社してしまうと今までのように業務を進められなくなるリスクもあります。
また、カスタマイズ性が高く使い方次第でさまざまなことができるといっても、発注管理を専門とするシステムに比べると機能や扱いやすさは劣ってしまいます。何よりExcelはスマホの小さな画面では見づらく、スマホ・タブレットなどのモバイル端末では操作が制限されるのが難点です。
オフィスに常駐して管理業務をする場合は困らないかもしれませんが、移動中の社内や現場でのスキマ時間にスマホで作業をするとなると不便です。
建設業向け発注管理システムを導入するメリット
システムを導入することで業務がどのように変わるのか、建設業向け発注管理システムの3つのメリットと併せて紹介します。
発注業務の効率化
建設業向け発注管理システムを導入する1つ目のメリットは、「発注業務の効率化」です。
発注管理システムには発注書のテンプレートがあり、項目を埋めていくだけで発注書を作成できます。さらに作成した発注書をWebから送信することもでき、印刷や郵送にかかる時間と費用の削減が可能です。FAXと比べても送信用に印刷する手間が省けます。はじめは使いづらいかもしれませんが、慣れてしまえばシステムからWeb送信する方が圧倒的に早いです。
ほかにも以前入力したデータを自動で反映させたり、過去の発注書を電子データとして保管したりできます。電子データは紙と違って紛失の心配がなく、検索したり条件を指定して抽出したり、必要な書類をすぐに見つけられます。
人的ミスの防止
建設業向け発注管理システムを導入する2つ目のメリットは、「人的ミスの防止」です。
発注管理システムでは画面の項目を埋めていくことで発注書を作ります。入力に間違いや漏れがあればシステムが教えてくれるうえ、在庫データから発注数を自動計算できるものもあるため、人的ミスや何となくの発注管理による在庫の過不足が起こりづらくなります。
発注管理以外の業務へのメリットも
建設業向け発注管理システムを導入する3つ目のメリットは、「発注管理以外の業務にも使える」ことです。
システムの中には発注管理はもちろん、顧客管理や工程管理などの機能を備えたものもあります。このようなシステムを導入することで発注管理だけでなく、全社的に業務効率化を進められるでしょう。
建設業向け発注管理システムの選び方
建設業は建築と土木と土木に分かれ、同じ建築でも住宅・商業施設・マンションとさまざまな種類があります。建設業向けの発注管理システムなら何でもいいわけではなく、自社の業種に合ったものを選ばなくてはなりません。
業種に合ったシステムを選ぶのはあくまで最低条件であり、業務の効率化や人的ミスの防止などの効果を最大化するには、自社にとって使いやすいシステムが必要です。そのための選定ポイントを6つ紹介します。
どんな機能が必要なのか
建設業向け発注管理システムを選ぶ1つ目のポイントは、「どんな機能が必要なのか」です。
先述の通り顧客管理や工程管理など、発注管理以外の機能を備えたシステムもあります。発注管理以外にどんな機能が必要なのか、あると便利なのか、一度考えてみましょう。
発注管理機能については見積書や発注書などのテンプレートの保存・カスタマイズ機能、システム上で分割納品や配送便を指定する機能、進捗に応じた出来高設定に対応する機能などがあると便利です。
画面の見やすさ、操作のしやすさ
建設業向け発注管理システムを選ぶ2つ目のポイントは、「画面の見やすさ、操作のしやすさ」です。
発注管理システムはPCだけでなくスマホで開くことも多いです。端末に応じた見やすい画面を表示してくれる「レスポンシブデザイン」のシステムが使いやすいです。
ほかにも直感的に操作できること、目的の画面までスムーズに辿り着けるメニューなど、使用感にはこだわりましょう。トライアルやデモ画面で操作が確認できるとなお良いです。
現場での使いやすさ
建設業向け発注管理システムを選ぶ3つ目のポイントは、「現場での使いやすさ」です。
施工管理やスケジュール管理、図面共有などの機能を備えたシステムは、発注管理の担当者だけでなくさまざまな人員が使います。ITに明るくない人、機械の操作が苦手な人でも使いやすいシステムを選びましょう。
他システムとの連携
建設業向け発注管理システムを選ぶ4つ目のポイントは、「他システムとの連携」です。
会計システムや顧客管理システムなど、導入済みの他システムと連携できるものが便利です。システム間でデータが連携されるようになり、入力の手間が減ることで転記の漏れや間違いなどの人的ミスも防ぐことが出来ます。
これまでExcelで発注管理をしていたなら、Excelとのデータ連携がしやすいシステムがおすすめです。
サポート体制
建設業向け発注管理システムを選ぶ5つ目のポイントは、「サポート体制」です。
建設業界はデジタル化が遅れており、ITツールや機械の操作が苦手という人も少なくありません。どんな人にとっても使いやすいシステムを選ぶことはもちろん、わからないことや困ったことがあったときに問い合わせやすいこと、トラブルが起こったときにすぐに対応してくれることも大切です。
建設業向け発注管理システム5選
建て役者
- 18年の実績と690社以上に導入支援
- 定着率96.1%
- 平均継続年数9年
建て役者は建築業界の経営を見える化し、商談からアフターサービスまでを一元管理する工事管理システムです。建築・リフォーム業界の効率を向上させ、100社に100通りの業務管理を実現しています。
建築業界特化の一元管理システムとして、長年変わらない体制をとってきたからこそ、お客様のどんな要望にも対応できる技術とノウハウをご提供し続けており、カスタマイズの適用率は82.6%です。
総合管理システムなので、顧客に紐づく情報を「建て役者」1つで集中管理できるのが特徴です。またデータセンターの監視体制も24時間365日なので、安心安全のセキュリティ体制が整っているのもうれしい点です。
初期費用 | 月額料金 | 主な機能 | |
ライト | 30,000円~ | 4,000円~ | 顧客管理/商談管理/見積管理 契約管理/アフター管理/点検管理など |
スタンダード | 350,000円~ | 40,000円~ | 顧客管理/商談管理/見積管理/契約管理 工事管理/発注管理/原価管理/アフター管理/点検管理など |
プレミアム | 80,000円~ | 580,000円~ | 顧客管理/商談管理/見積管理/契約管理 工事管理/発注管理/原価管理/アフター管理 点検管理/操作説明会など |
SMAC工事管理
- 柔軟なシステム構築が可能
- 総合事業、職別工事業、設備工事業など幅広い業種に導入
- 専任スタッフによる丁寧なサポート
SMAC工事管理は業種・規模・業務形態に合わせた柔軟なシステム構築が可能です。総合建設業から土木、建築、舗装、造園、設備、電気、管工事や機械設備などの専門工事業まで多種多様な業務をサポートします。
見積書の作成から実行予算、発注、原価管理、支払、請求処理までの流れを一元化することで効率の良いシステム運用が可能です。また専任のスタッフが過去の導入ノウハウを活用し、最適な運用方法をご提案します。
初期費用 | 月額料金 | 主な機能 | |
基本ソフトウェア価格 | 100,000~150,000円 | 要問い合わせ | 見積管理/実行予算管理/発注管理/日報管理 労務機械管理/仕入管理/支払管理/請求管理など |
オプションソフトウェア価格 | 100,000円~200,000円 | 要問い合わせ | 会計システム連動/給与システム連動 実行予算見積/工事日報売上/出来高査定など |
ANDPAD
- 導入実績No.1
- 利用社数17万社
- 業務効率を大幅改善
ANDPADは、事業の成長を支えるクラウド型建設プロジェクト管理サービスです。施工管理から、顧客管理、営業管理、原価管理まで、現場と経営に必要な情報を一元管理して、現場作業の効率化だけでなく、経営指標をリアルタイムに見える化し改善をサポートします。
受注見込みや、着工・観光までの進捗状況を見える化し、正確な売上予測や入金予定が把握できるため、キャッシュフローを健全化し、黒字倒産のリスクを防ぎます。工程表の作成や受発注作業もオンラインで解決できるので、ペーパーレス化も期待できるでしょう。
初期費用 | 月額料金 | 主な機能 |
要問い合わせ | 要問い合わせ | 営業管理/売上・原価管理/チャット/写真・資料管理 工程表/オンライン受発注など |
AnyONE
- 導入企業3300社
- お客様継続率99.4%
- 建設業務がシンプルに
AnyONEは建設業務のあらゆる情報を蓄積して、シンプルに一元化できるシステムです。会社全体の業務が大幅に軽減され、利益率アップも期待できます。また業界に特化しているため使いやすく、運用までのサポートも徹底してくれるのが特徴です。
月額も16,000円~でありながら高い費用対効果を実現しており、導入実績は3,300社、継続率は99.6%です。機能も随時アップデートされるため、自社用にカスタマイズすることができたり、スマホにも対応しているので現場とのやり取りが最適に行えたりするでしょう。
初期費用 | 月額料金 | 主な機能 |
要問い合わせ | 要問い合わせ | 顧客管理/見積作成/原価発注管理 請求管理/書類・写真管理/帳票作成など |
Aippear
- 年間導入実績150社以上
- 年間新規ユーザー1,000以上
- 建設業務に必要な機能をまとめて搭載
Aippearは社内の情報を一元管理して、業務の効率・生産性の向上をサポ―トします。建築業務に必要な機能がまとめて掲載されているため、煩雑になりやすい進捗状況や書類、ファイルも一元化できるのが特徴です。
クラウドシステムなので、インターネットがつながる環境であれば、場所やデバイスを選ばずに利用でき、出張先でも見積書や顧客情報をチェックできます。
集計データの作成や帳票のカスタマイズなど、要望に合わせたカスタマイズを請け負っているので、ユーザーからの満足度も高いです。
初期費用 | 月額料金 | 主な機能 | |
ライト | 120,000円 | 10,000円 | 見積作成は引き続きエクセルで、 ひとまず顧客データを整理したい会社向け |
ベーシック | 420,000円 | 20,000円 | 見積作成は引き続きエクセルで、 ひとまず顧客データを整理したい会社向け |
プロフェッショナル | 510,000円 | 30,000円 | 一元管理に加え、機能の利用権限や申告承認を通じて 組織全体を効率化したい住宅事業者向け |
建設業向け発注管理システムを使って、DXを進めよう
建設業向け発注管理システムには顧客管理やスケジュール管理など、発注管理以外の機能も充実したものも多いです。このようなシステムを活用することで受発注の効率化だけでなく、全社的な業務効率化、業務の仕組み化を進めましょう。
そのためには自社に合ったシステムが必要です。現場の声を集めたりこれまでの業務を振り返ったりしながら、自社の課題を解決してくれるシステムを見極めることが必要です。
本記事で紹介したシステムの中に気になるものがあれば、まずは公式サイトをチェックしてみることをおすすめします。まずは公式サイトからどんな機能があるのか、画面は見やすいのかを確認してみましょう。公式サイトを見てわからないことがあったら問い合わせをして、不明点や疑問点をなくしておくことが大切です。
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