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勤怠管理とは?求められる理由と管理の重要性
勤怠管理とは、従業員の労働日数・時間・有給休暇の状況把握、データの集計による給与計算、シフト作成など、従業員の労働状況を適正に管理する業務です。
業務内容は多岐にわたるため、すべてを手作業で行うと担当者に負担がかかりますが、勤怠管理システムを導入すると管理がスムーズになります。
今回はアルバイト・パートの勤怠管理を効率化したい企業へ向けて、勤怠管理の重要性と課題、勤怠管理システムの主な機能と導入メリット、選び方を紹介します。
働き方改革 – 時間外労働の上限/従業員の過重労働防止
勤怠管理が重要視される理由の一つとして、働き方改革があります。これまでは時間外労働の上限がなく、過重労働が問題視されていました。
しかし政府は働き方改革として、大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月に時間外労働の上限を設定。従来とは違い、罰則付きで法律に規定されました。
法律を遵守するため、そして過重労働防止のため、勤怠管理によって従業員の稼働状況や残業時間を把握することが求められます。
労働基準法の改正 – 有給取得の義務化
労働基準法が改正され、2019年4月からは年次有給取得が義務化されています。企業は有給休暇が10日間ある従業員に対し、最低でも年に5日間の有給を取得させる義務があります。
有給取得の義務化も、時間外労働の上限と同じく罰則付きのため、これまでは勤怠管理が曖昧だった企業も正確に行わなければいけません。「有給休暇は取得しているのか」「残りは何日なのか」を従業員一人ずつ把握することが大切です。
管理監督者の勤怠管理 – 法改正による義務化
働き方改革では従業員だけではなく、管理監督者の勤怠管理も義務化されています。管理監督者とは経営者と同等の地位にあり、重要な職務内容を担う人のこと。従来、管理監督者の勤怠管理は企業の判断に任されていましたが、2019年4月に法律で義務化されました。
管理監督者は時間外労働や休日出勤などで過重労働に陥りやすいため、勤怠管理によって健康管理にも気を配る必要があります。
勤怠管理が抱える4つの課題
勤怠管理はどの業種でも欠かせませんが、従業員数が多い職場ほど管理が煩雑になります。ここでは勤怠管理が抱える課題として「シフトの作成・管理」「勤怠状況の集計」「ヒューマンエラーの発生」「不正打刻」の4つを紹介します。
1. シフトの作成/管理が大変
従業員のシフト作成も勤怠管理の一環です。曜日や時間帯によって勤務できる人数が異なる、特定の人しか担当できない持ち場があるなど、シフト作成は一筋縄ではいかないもの。特に、従業員の人数が多い飲食店は、アルバイトやパートのシフト作成・管理に時間がかかります。
2. 勤怠状況の集計に手間がかかる
勤怠データは従業員の人数分だけ集計が必要です。基本的に、正社員は固定の勤務時間に時間外労働分を足すだけで済みますが、アルバイトやパートの場合は勤務時間がバラバラのため、集計に手間がかかります。手作業で集計していると、他の作業に取り掛かる余裕もなくなるかもしれません。
3. ヒューマンエラーによる集計ミスが生じる
勤怠データの集計は、給与や有給休暇の計算などに関わる重要なものです。しかし、手作業で一人分ずつ集計していると、入力ミスや見間違いといったヒューマンエラーが起こりやすくなります。給与計算のミスは従業員とのトラブルに発展するだけではなく、法律違反に該当してしまう場合もあるため注意が必要です。
4. 従業員による不正打刻のリスクがある
アルバイトやパートの勤怠管理をタイムカードで行っていると、店長や責任者がいない間に不正打刻されるリスクがあります。
例えば、本来は17時に退勤しているにもかかわらず、17時30分に退勤の打刻をされると、働いていない30分の時給が発生してしまいます。不正打刻は気づきにくいため、従業員間で蔓延すると経営にも影響が及ぶかもしれません。
アルバイト・パートの勤怠管理で管理すべき4つの項目
従業員の勤怠管理では、「日々の労働時間」「時間外・深夜・休日の労働時間」「休日の日数」「有給休暇の日数・取得状況」を管理することが大切です。各項目の内容と管理の重要性を紹介します。
1. 出勤/退勤/休憩/労働時間
労働時間の把握や給与の計算時に必要な項目です。出勤・退勤・休憩時間は1分単位で管理することで、正確な労働時間を把握できます。遅刻や早退が多ければ面談をする、休憩時間が短ければしっかり休むことを促すなど、従業員一人ひとりの勤務状況をしっかり把握しておきましょう。
2. 時間外/深夜/休日の労働時間
規定の就業時間・曜日以外に働いていないか、深夜に残業していないか確認する項目です。時間外労働や休日出勤、深夜残業をした従業員に対しては、賃金を割増しで支払う義務があるため、正確に把握する必要があります。
また、時間外労働は前述したように上限が設定されています。オーバーしそうな従業員がいないか気を配ることも忘れてはいけないポイントです。
3. 出勤/欠勤/休日の日数
この項目では、勤怠データの「時間」ではなく「日数」を確認・管理します。従業員の出勤日と欠勤日を見て、しっかりと休日を取得できているか確認しましょう。休日出勤をしていた場合は、代休の有無も確認します。勤務時間や休日の把握は給与の計算時だけではなく、従業員の健康管理のためにも重要です。
4. 有休の日数/取得状況/残日数
冒頭で紹介したように、労働基準法の改正によって有給休暇の取得が義務化されています。有給休暇の日数は入社のタイミングや雇用形態によって異なるため、人によってさまざまです。そのため、有給休暇の日数と取得状況、残日数は従業員一人ずつ把握しておく必要があります。
勤怠管理システムとは?仕組み/主な機能6つ
勤怠管理システムとは、従業員の出勤・退勤・労働時間・有給休暇の管理や、シフト作成・管理まで、勤怠管理における業務を一元管理できるツールです。従業員と経営者の双方が使うため誰でも扱いやすく、幅広い機能が備わっています。
機能1. 打刻
従業員の出勤・退勤時間を管理する機能です。打刻方法はパソコン・スマホ画面上で行うもの、指紋認証、ICカードなど多種多様です。在宅勤務が多い職場の場合は、チャットや電話機能を使って打刻する方法が適しているでしょう。
機能2. シフト管理/作成
シフト管理機能は人件費の概算や従業員のスケジュール管理などが、作成機能ではシフトの自動生成や調整ができます。各従業員が働きたい日・時間を登録するだけで、システムが最適なシフトを作成してくれる便利な機能です。
システムで作成したシフトはスマホで共有できるうえ、集計データに自動反映されるため、給与の集計作業もはかどるでしょう。
機能3. 勤怠集計
打刻機能によって登録・管理された勤怠データを基に、勤務時間や出勤日数、時間外労働の時間などを自動的に集計できる機能です。従業員ごとに詳細なデータを表示できるため、勤務状況をより正確に把握できます。
機能4. 休暇管理
休暇管理は有給休暇や代休、半休など、通常の休日以外の休暇状況を管理する機能です。有給休暇は取得できているか、普段からしっかり休めているかなど、従業員の休息に関わるデータを確認できます。
機能5. 申請/承認
勤怠管理システムでは、従業員が各種休暇の申請を行うことも可能です。責任者が申請を受理すると、シフト表に休日が自動反映されます。その他、誤って打刻してしまった情報の修正も行えます。
機能6. 各種アラート
労働時間の超過が見込まれる場合や、有給休暇が未取得など、従業員の労働環境に変化・異変があった際にアラートが発せられる機能です。アラート方法は、メールやポップアップなどシステムによって異なります。
勤怠管理システムの導入メリット5つ
勤怠管理システムの導入によって得られる主なメリットは、勤怠管理・給与の計算に関わる作業時間の短縮、過重労働の防止、法改正への対応、不正打刻の防止です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 勤怠管理に関わる作業時間を短縮できる
勤怠管理システムを導入すると、今まで手作業で行っていた業務が自動化されます。特に、これまでタイムカードで打刻をしていた店舗であれば、システム上で出勤・退勤情報が管理できるようになるだけでも、集計作業が大幅に削減できるでしょう。
2. 勤務状況/給与計算を正確に管理できる
勤怠管理システムには各従業員の勤務データが蓄積されているため、給与計算も自動化されます。休日出勤や深夜残業に対する賃金の割増計算も自動で行ってくれるシステムであれば、給与計算がよりスムーズになります。
3. 従業員の過重労働を未然に防げる
勤怠管理システムでは従業員一人ずつのデータを抽出・表示でき、勤務状況をリアルタイムに確認できます。時間外労働の上限を超えそう、または有給休暇ができていない従業員はいないか、定期的にチェックすることで過重労働を未然に防げるでしょう。
アラート機能があれば、長時間労働が多い従業員や有給休暇が消失しそうな従業員が把握できるため、早急に対応できます。
4. 法改正にも対応できる
政府は現在も働き方改革を推進しています。2019年に施行された時間外労働の上限や有給取得の義務化のように、今後も何らかの法改正が行われるものと想定されます。
法律は遵守が必須ですが、細かいルールをすべて把握するのは難しいかもしれません。勤怠管理システムを導入していれば、法改正の前後にアップデートが行われ、新しい法律やルールに沿った内容に更新されるため安心です。
5. 従業員による不正打刻を防げる
打刻方式はシステムによって異なりますが、なかでも指紋認証や顔認証、静脈認証は不正打刻が難しく、セキュリティ面に優れます。従業員のスマホを使って打刻するシステムでは、位置情報を使うことで不正を防止できる機能もあります。
アルバイト・パート勤怠管理システムを選ぶポイント
勤怠管理システムを選ぶ際は、「自社の規模・就業規則との適合性」「他システムとの連携」「必要な機能の有無」に着目すると、自店舗にぴったりなものが見つかるでしょう。具体的にどんなポイントをチェックするべきか紹介します。
自社の規模/就業規則に適しているか
休暇の申請・承認方法や代休に関するルールなど、就業規則や勤務体系は店舗の規模によってさまざまです。一口に勤怠管理システムといっても得意とする分野は異なり、大企業向けのものから小規模事業者向けまで、幅広く展開されています。スムーズに使いこなすためにも、勤怠管理システムは店舗の規模や就業規則に適したものを選びましょう。
他システムと連携できるか
勤怠管理システムは単体でも便利ですが、給与計算や社労法務など他のシステムと連携することで、より利便性が向上します。他のシステムをすでに導入している場合は、既存のものと連携できる勤怠管理システムを選びましょう。
必要な機能は備わっているか
勤怠管理システムの主要機能は前述したとおりですが、実際に備わっている機能はツールによってさまざまです。システムの導入を考えたときは、自店舗の課題を洗い出しましょう。
例えば、従業員の不正打刻を改善したいなら位置情報を使った打刻管理機能があるもの、シフト作成の負担を軽減したいならシフト作成・管理に特化したものなど、課題解決に役立つ機能があるシステムを選ぶことをおすすめします。
アルバイト・パートの勤怠管理におすすめのシステム3選比較
最後に、アルバイト・パートの勤怠管理におすすめのシステム比較表を紹介します。初期費用や月額費用、主な機能はツールによって異なるため、導入時は比較検討することが大切です。
システム名 | 初期/導入費用 | 月額費用 | 特徴 |
ジョブカン勤怠管理 | 0円 | <無料プラン>0円 <有料プラン>200円~500円 | ・働き方改革法に対応 ・ICカード、指静脈認証、GPS、LINE、Slack打刻などが可能外国語表示 |
jinjer(ジンジャー)勤怠 | 300,000円~ | 400円/月 ※1ユーザー | ・法改正に自動で対応 ・担当による安心サポート ・人事情報の一元管理 |
マネーフォワード勤怠 | 要問い合わせ | <法人向け> ・スモールビジネス:2,980円 ・ビジネス:4,980円 ※その他、IPO準備中堅〜上場企業向けもあり | ・法改正に自動で対応 ・1ヵ月無料トライアルあり ・複数拠点の勤怠管理が可能 |
勤怠管理システムで働きやすい健全な労働環境へ
働き方改革が推奨される今、企業には健全な労働環境が求められています。勤怠データの集計やシフトの自動作成など、勤怠管理システムは経営者側の作業効率が向上するだけではなく、従業員の勤務状況の把握・健康管理にも役立つツールです。今後も行われるであろう法改正へ対応するためにも、勤怠管理システムを導入してみてはいかがでしょうか。