越境ECサイトとは
越境ECサイトとは海外に向けて商品を販売するネットショップを指します。中国やアメリカでは日本製品の売り上げが高く、これから参入を考えている企業におすすめです。
越境ECの3つのメリット
- 商圏を拡大し新規顧客の獲得による売上アップが見込める
- 実店舗を海外に持つよりもECの方がハードルが低い
- 多言語対応で多くの国で取引ができる
越境ECを利用するメリットとして上記の3つがあります。海外に向けて販売することによって、売上や顧客層を一気に拡大できることもあります。多言語対応ができれば多くの国で取引でき、加速度的に売上を伸ばしていけるでしょう。
越境ECサイトを始める5つの方法
越境ECサイトを始める方法は大きく5つに分けられます。ビジネス規模や出品する商品によって適した方法は異なるので、下記を参考に自社に合った方法を考えましょう。
方法1.越境ECモールへの出店
日本国内で「Amazon」や「楽天市場」のようなECモールに出店するように、海外の越境ECモールに出店をする方法です。最小限のコストで運営を始められるため、まずはスモールスタートしたい場合に向いています。
方法2.越境ECの自社サイト構築
自社で越境ECサイトを構築する方法です。日本にサーバーを置いて、海外に向けて販売している企業が増えています。ECモールに出店しようと思っても、基準が厳しい場合は出店ができないこともあります。越境ECモールへの出店が難しい場合、単品通販をしようと考えている場合に向いています。
方法3.越境EC事業者への販売委託
越境ECをすでに行っている場合、ほかの越境EC事業者に販売を委託する方法もあります。商品に合った委託先、集客力の高い委託先を選ぶことで、加速度的に売上を伸ばせるでしょう。
方法4.現地のパートナー・輸入業者への卸売り
アメリカや中国など現地の販売業者にパートナーとして卸売りをする方法があります。しかし、販売したい顧客層とは違う所に商品を販売してしまうこともあり、ニーズがわかりにくいのが欠点といえます。
方法5.法人化をせずオークションなどのCtoCサイトへ出品
越境ECサイトを開かず、オークションサイトへ商品を出品する方法があります。法人化せずに個人のオークションサイトで販売することで、販売にかかる費用を抑えられます。小規模ビジネスやスモールスタートに向いています。
越境EC・海外通販サイトの市場規模とランキング
越境ECサイトを運営していくうえで、越境EC・海外通販サイトの市場規模やランキングを知っておくことは重要です。越境ECの市場規模と、国ごとの越境ECの成長率を紹介します。
109兆円市場へ、2020年の世界EC市場規模
上図は経済産業省が実施した市場調査と予測です。世界のBtoCECの市場規模は右肩上がりの状態で、今後もそれが続いていくと予測されています。
その理由としてスマホの普及により、手軽に購入できるようになったからだといわれています。日本でも同様にスマホが普及したことによって、EC市場規模は拡大化していますが、越境ECはそれよりも大きな規模で拡大化しています。
越境ECにおける中国の重要性
グラフは2022年度のBtoC ECの市場規模を表したものです。中国一ヵ国だけで世界全体の過半数を占め、アメリカと2倍以上の差をつけています。越境ECを考えるうえで、中国は欠かせない存在といえます。
図は日本・中国・アメリカ間の越境ECの市場規模を表しています。日本の越境ECの市場規模は3,954億円、そのうち3,561億円がアメリカからの購入によるものです。中国から日本への購入は392億円、割合にすると約1割しかありません。対中国の越境ECはまだまだ発展途上であり、大きなチャンスがあることがわかります。
中国は「爆買い」をする傾向にあり、日本の商品を多く購入することもあるため、消費者のニーズに合わせることができれば売上を伸ばすことが可能です。
主要国の海外EC市場規模ランキング
ランキング | 国 | 市場規模 | 利用者数 | EC化率 |
1位 | 中国 | 410兆円 | 8億6,620万人 | 45.3% |
2位 | アメリカ | 146兆円 | 2億1,470万人 | 15.0% |
3位 | イギリス | 27兆円 | 2,430万人 | 35.9% |
4位 | 日本 | 23兆円 | 8,210万人 | 12.9% |
5位 | 韓国 | 19兆円 | 不明 | 30.1% |
主要国のEC市場規模ランキングは上記のようになっています。なお、EC化率の計算式は「EC市場規模/全商取引の市場規模=EC化率」です。
中国は圧倒的な人口とインターネットの急激な普及により、2位のアメリカと3倍近い差をつけています。イギリスや韓国と日本の間には市場規模(金額)の差はそう大きくないものの、EC化率では2倍以上の差があります。
【中国】おすすめ越境ECサイト比較5選
ここでは中国に製品を販売したい企業に対して、おすすめのECサイトを5選で紹介します。中国のEC市場規模は圧倒的であり、世界全体の過半数を占めています。
しかし、「日本→中国」の流通額は、日本の越境EC市場規模の1割弱しかありません。対中国の越境ECはまだまだ発展途上の市場であり、中国の消費者は爆買いをする傾向もあります。ここをいかに攻略するかが、越境ECの成否に大きく影響するでしょう。
Tmall (天猫)
●特徴
- 中国ユーザーから高い信頼性を持っている
- 厳しい審査を通った法人のみ出店可能
- ECモール型
Tmall (天猫)の特徴は、中国では1番に利用されているサイトです。また中国のユーザーから高い信頼性を持っているECモール型のサイトです。さらに厳しい審査を通った法人のみが出店することが可能で、日本国内ではユニクロやパナソニック、ソニーなどの大手企業も出店をしています。
詳細はこちら:https://www.tmall.com/
JD.com(京東)
●特徴
- 家電製品に強いECサイト
- 中国ECでシェア率31.3%
- 全体の売上50%以上が家電製品
JD.com(京東)の特徴は家電製品に強いECサイトです。Tmall (天猫)では、さまざまな企業が出店をしていますが、JD.com(京東)では商品だけを販売する「Amazon」のような販売形式です。また全体の売上50%以上が家電製品で、家電製品を取り扱っている企業におすすめです。
詳細はこちら:https://www.jd.com/
拼多多(pinduoduo)
●特徴
- 低所得者層をターゲットにしたECサイト
- 中国EC市場第3位
- SNSの拡散力
拼多多(pinduoduo)の特徴は低所得者層をターゲットにしたECサイトで、中国EC市場 第3位です。最大の特徴は販売数とシェア数によって、値引きができる仕組みとなっており、ユーザーを多く獲得することができます。またユーザーがSNSで拡散することで値引きをできるシステムとなっているため、販売者側は拡散されるため、さらに売上を伸ばすことが可能です。
詳細はこちら:https://m.pinduoduo.com/home/
蘇寧易購(Suning)
●特徴
- 1,600以上の店舗展開
- 家電製品に強いECサイト
- 中国で信頼性が高い
蘇寧易購(Suning)の特徴は、「蘇寧電機」と呼ばれる中国で1,600以上店舗展開をしている企業が運営をしており、中国では信頼性が高いECサイトです。また家電製品に強いため、家電製品を販売したい企業に向いている越境ECです。
詳細はこちら:https://www.suning.com/
唯品会 (vip.com)
●特徴
- ファッションアイテムに強いECサイト
- 会員数2億人以上の大手越境EC
- 女性ユーザーをターゲットにした企業におすすめ
唯品会 (vip.com)の特徴はファッションアイテムに強いECサイトで、会員数が2億人以上の越境ECです。また女性ユーザーをメインとしているため、アパレルやアクセサリーなどを販売したい企業に向いています。さらに非正規品が含まれないように直接企業から取り寄せており、ユーザーから大量購入される可能性が高く、売上を伸ばすことが可能です。
詳細はこちら:https://www.vip.com/
【アメリカ】おすすめの越境ECサイト比較3選
アメリカでの商品販売におすすめの越境ECサイトを紹介します。日本の越境EC市場において、流通額の約9割が対アメリカです。中国に比べると飽和気味の市場ではありますが、安定市場であるともいえます。
また、アメリカのEC化率は約15%と、中国・韓国・イギリスに比べて低いです。EC化率約13%の日本と同じく、今後EC化率が上昇する余地が残されている国であり、越境ECの要となる国といえます。
Amazon(アマゾン)
●特徴
- アメリカEC市場 シェア率No.1
- 手軽に出店が可能
- アメリカへ越境ECを展開する企業におすすめ
Amazon(アマゾン)の特徴は、日本でもEC市場1位になっているように、世界中で利用されています。手軽に出店することが可能で、アメリカEC市場ではシェア率48%で1位です。そのため、アメリカへ越境ECを展開したい企業におすすめです。
詳細はこちら:https://www.amazon.com/
Walmart(ウォルマート)
●特徴
- 世界最大のスーパーチェーン
- 実店舗を所有している
- 越境ECの出店者に力を入れている
Walmart(ウォルマート)はAmazonに次いで、アメリカEC市場では2位です。同様に世界最大のスーパーチェーンですが、実店舗を所有しており、越境ECの出店者が増加するように越境ECに力を入れているのが特徴です。なので新規参入を狙っている方はおすすめです。
詳細はこちら:https://www.walmart.com/
eBay(イーベイ)
●特徴
- 世界最大のインターネットオークションサイト
- 世界30ヵ国に拠点を持っている
- 低価格で購入したいユーザーを対象にしたい企業におすすめ
eBay(イーベイ)の特徴は世界最大のインターネットオークションサイトで、利用しているユーザーがとても多いです。また世界30ヵ国に拠点を持っているため、アメリカを初めとしたさまざまな国に出店をしたい方に向いています。さらに低価格で購入したいユーザーを対象にしたい企業に向いています。
詳細はこちら:https://www.ebay.co.jp/
【韓国】おすすめの越境ECサイト比較3選
韓国での商品販売におすすめの越境ECサイトを紹介します。韓国のEC化率は約30%と高いです。インターネット利用率やスマートフォン所有率も9割超えと高く、ECが身近な国といえます。
韓国はモバイル決済のシェア率が45.6%と中国(87.3%)に次いで高く、決済方法が充実したECサイトを選んだり構築したりすることも重要でしょう。
G-Market
●特徴
- 月間訪問者数約2,200万人
- さまざまなジャンルの商材を取り扱っている
- 日本語対応をしていない
G-Marketの特徴は月間法も者数が約2,200万人となっており、さまざまなジャンルの商材を取り扱っています。そのため、ニーズに合った商品を販売すれば売れ筋となり、売上を伸ばすことができるのが特徴です。しかし、日本語に対応をしていないため、英語や韓国語がわからない企業には難しいです。
詳細はこちら:http://www.gmarket.co.kr/
11番街
●特徴
- モール型ECサイト
- 割引が多く、爆買いするユーザーが多い
- 月間訪問者数約2,100万人
11番街はモール型ECサイトで、月間訪問者数がG-Marketに次いで2,100万人です。11番街の特徴は割引が多く、安くなっているタイミングで爆買いするユーザーが多い傾向にあります。安価に出品をすることができる製品を販売したい企業に向いています。
詳細はこちら:https://www.11st.co.kr/html/main.html
Tmon
●特徴
- 急成長を遂げているECサイト
- モール型ECサイト
- 食品配達に対応している
Tmonは、現段階では月間訪問者数が600万人程です。しかし急成長を遂げているECサイトで、11番街同様にモール型ECサイトです。またTmonの最大の特徴はUber Eatsのように食品を配達することに対応をしています。
詳細はこちら:https://www.tmon.co.kr/
【台湾】おすすめの越境ECサイト比較3選
台湾での商品販売におすすめの越境ECサイトを紹介します。台湾は日本の製品に関心を持っているユーザーが多く、新規参入を考えている企業におすすめです。
Yahoo!奇摩購物中心
●特徴
- 日本製品を好むユーザーが多い
- お菓子・キッチン用具が売れ筋
- 24時間以内配送
Yahoo!奇摩購物中心は日本製品を好むユーザーが多く、既に日本でもなじみのある企業が出品をしています。その中でもお菓子やキッチン用具が売れ筋となっており、このジャンルの商品を販売したい企業にはおすすめです。また24時間以内に配送をしているのがYahoo!奇摩購物中心の特徴です。
詳細はこちら:https://tw.buy.yahoo.com/
PCHome
●特徴
- 24時間以内配送
- 170万以上のアイテムを取り扱っている
- ECサイトランキング第2位
PCHomeの特徴は、台湾ECサイトのランキング第2位です。特に170万以上のアイテムを取り扱っているのが最大の特徴であり、総合通販をしようと考えている企業にとっておすすめの越境ECです。PCHomeも同様に24時間以内に配送をしており、24時間以内に配送できなければポイントが付与される他の越境ECでは行っていない制度を取り入れています。
詳細はこちら:https://shopping.pchome.com.tw/
博客来
●特徴
- 1996年から販売をしている
- 隠れた名品を売ることを方針としている
- 実績がないジャンルの販売
博客来の特徴は1996年からネットショップがあるという点です。他の越境ECよりも歴史が長いため、ユーザーからの信頼は高いです。また他の越境ECとは違い、隠れた名品を売ることを方針としており、変わった商品を販売したい企業には1番おすすめの越境ECです。
詳細はこちら:https://www.books.com.tw/web/ovsjk
販売ターゲット・商品を決めて越境ECをはじめよう
越境ECは販売ターゲットと商品を決めたうえで始める必要があります。本記事で紹介したように対象としている国によって、おすすめの越境ECサイトは違いあります。各サイトの特徴を抑え、自社に合ったところを選びましょう。