YouTubeは今からでも集客に使えるか?
出典:令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書|総務省情報通信政策研究所
YouTubeを知らない人は今やほとんどいないでしょう。YouTubeの利用率は全年代で87.9%、ソーシャルメディアの利用率が低い70代においても33.8%も使われています。LINEと同じく、年代を問わず私たちの日常に根差したサービスといえます。
だからこそライバルも多く、「今からYouTubeをはじめて集客に使えるのか?」と、チャンネル開設をためらう企業・お店も多いでしょう。
結論から言うと、今からでもチャンネル開設は遅くありません。先駆者が多いためベンチマークも多く、成功例を真似しやすい環境が整っているからです。YouTubeを集客に使うメリットは多く、SNSやオウンドメディアなどとの連動もさせやすいです。
集客にYouTubeを使う6つのメリット
今からでもYouTubeを始めるのは遅くありません。むしろ、YouTubeが社会に浸透した今だからこそ始めるべきです。その理由を、YouTubeを集客に使う6つのメリットと併せて解説します。
ターゲティングの精度が高い
YouTubeを集客に使う1つ目のメリットは、「ターゲティングの精度が高い」ことです。
YouTubeのホーム画面には、そのユーザー(アカウント)が好きそうな動画が並んでいます。これまでの検索や視聴の履歴から、ユーザーの好みを分析しているからです。
ユーザー側からすると「自分好みの動画が並んでいて見やすい」というこのメリットは、集客する側からすると「自社・自店に興味をもちそうなユーザーに動画を表示しやすい」という集客上のメリットになります。
ターゲティングの精度が高いYouTubeでは、狙った層を効率よく集められるでしょう。
お店や商品の雰囲気を伝えやすい
YouTubeを集客に使う2つ目のメリットは、「お店や商品の雰囲気を伝えやすい」ことです。
お店や商品の雰囲気を伝える1番の方法は、それを実際に見てもらうことです。「まずはお店に来てもらいたい」「そして商品を実際に手にとってもらいたい」、このような想いが、集客を考えるオーナー・担当者の根底にあるでしょう。
そして、お店や商品の雰囲気を伝える2番目の方法が「動画を観てもらうこと」です。テキストよりも画像が、画像よりも動画が、イメージを伝えるうえで効果的です。
お店に来てもらうのは難しくても、動画を観てもらうくらいならそう難しくありません。動画で雰囲気が伝われば、視聴者は実際にお店に来て商品を手に取りたくなるかもしれません。
検索エンジン(Google Chrome)対策にもなる
YouTubeを集客に使う3つ目のメリットは、「検索エンジン(Google Chrome)対策にもなる」ことです。
Google Chromeの検索結果にYouTubeの動画が表示されることも増えました。検索結果の上部には「動画タブ」があり、そこにはYouTubeのものを含めたさまざまな動画が並んでいます。
YouTubeの動画はSNSなどと比べ、検索結果に表示される割合が高いといえます。
ちなみに、YouTubeは2006年にGoogleに買収されました。YouTubeを運営しているのはGoogleなのです。このことからも、YouTubeに力を入れることがGoogle Chrome対策にもなることがわかるでしょう。
親しみを感じてもらいやすい
YouTubeを集客に使う4つ目のメリットは、「親しみを感じてもらいやすい」ことです。
先ほど「テキストよりも画像が、画像よりも動画が、イメージを伝えるうえで効果的です。」と書きましたが、親しみの感じやすさについても同じことがいえます。
動画では実際のお店や商品、そこで働く人々の様子をリアルに写せます。このような視覚的な要素は画像でも伝えられるかもしれませんが、動画には画像にない「声」も入れられます。
心理学の世界には「メラビアンの法則」というものがあり、これは人間のコミュニケーションにおいてどんな情報がどのくらいの割合で影響を与えるかを表すものです。
情報源 | 情報源の例 | 影響を与える割合 |
言語情報 | テキストや会話の内容 | 7% |
聴覚情報 | 電話や動画、対面での会話 | 38% |
視覚情報 | 画像や動画 | 55% |
これらの3つの情報をすべてまとめて伝えられる動画は、視聴者の心を動かす力が強く、記憶にも残りやすいのです。
ECサイトなら商品ページに動画を埋め込める
YouTubeを集客に使う5つ目のメリットは、「ECサイトなら商品ページに動画を埋め込める」ことです。
YouTubeの動画はWebサイトに埋め込めます。ECサイトの商品ページに動画を埋め込めば、その商品の風合いやテクスチャーなどをよりリアルに伝えられるでしょう。特にアパレルのような雰囲気が大切な商品、ガジェットのような実際の使用シーンが大切な商品では、このメリットが大きいです。
もちろん、オウンドメディアに動画を埋め込むこともできます。オウンドメディアはテキスト主体のメディアですが、テキストで伝えづらいことは動画を埋め込んでしまった方が伝わりやすいでしょう。
オウンドメディアの記事をネタにすれば動画も作りやすくなり、記事冒頭に「まずは動画でザックリ理解しよう」のような動画を設置することもできます。
動画・チャンネルが資産として残る
YouTubeを集客に使う6つ目のメリットは、「動画・チャンネルが資産として残る」ことです。
オウンドメディアやSNSアカウントなどと同じく、YouTubeのチャンネルや動画は自社の資産として残ります。動画を作るのは大変ですが、一度作ってしまえば、そこから継続的に集客ができるのです。
集客にYouTubeを使う3つのデメリット
YouTubeを使った集客は効果的ですが、いくつかのデメリットもあります。これらを知っておかないと成果が出る前にYouTube運用を断念してしまうかもしれません。
ターゲティングの精度が高すぎて認知拡大がやや難しい
集客にYouTubeを使う1つ目のデメリットは、「ターゲティングの精度が高すぎて認知拡大がやや難しい」ことです。
先述の通り、YouTubeはターゲティングの精度が高く、ホーム画面には「そのユーザーが好きそうな動画」が並びます。
しかし、裏を返せば「ホーム画面にはそのユーザーが好きそうな動画しか並ばない」ということです。「こんな動画も観るかも?」と、閲覧や検索の履歴とは全く関係のない動画が実験的に表示されることもありますが、基本的には好みに合った動画ばかりが表示されます。
ターゲティングの精度が高すぎるがゆえに、YouTubeだけで認知拡大をするのは難しいです。Twitterをはじめとする認知拡大に強いメディアと組み合わせて使うといいでしょう。
労力または費用がかかる
集客にYouTubeを使う2つ目のデメリットは、「労力または費用がかかる」ことです。
「撮影、デバイスへの取り込み、編集、アップロード」と、動画は画像やテキストに比べて制作の工数が多く、時間と手間がかかります。動画を作った後は概要欄のテキストも書かなければなりません。動画が増えてくれば再生リストの作成や整理も必要になるでしょう。
動画制作や概要欄の執筆にはそれなりのスキルやセンスも求められます。
自社で行うには労力がかかり、外注するにしても記事コンテンツに比べて高い費用がかかります。
効果が出るまでに時間がかかる
集客にYouTubeを使う3つ目のデメリットは、「効果が出るまでに時間がかかる」ことです。
広告は別として、Webを使った集客は効果が出るまでに時間がかかります。特にYouTubeは一つひとつの動画を作るコストも大きく、他メディアよりも集客効果が出るまでに時間がかかるかもしれません。
これが理由でYouTubeを始められないという企業・店舗も多いでしょう。
ただ、始めるのが遅くなるほど効果が出るのも遅くなります。まずは短い動画を、7割ほどの完成度でアップしてみてください。いきなり完ぺきを目指すと挫折しやすくなります。
YouTubeはほかの集客施策と比べても時間と手間がかかるため、SNSのような少ない負担で続けられる施策と平行で進めるのも大切です。
YouTubeの集客効果を高める11のコツ
YouTubeは一つひとつの動画を作るのに時間と労力がかかります。だからこそ、コツを押さえて効率よく運用していきたいです。
YouTubeの集客効果を高める11のコツを紹介します。どれも簡単に取り組める内容なので、まずはこれらを意識して、チャンネルを作ることからはじめてみましょう。
- ターゲットを明確にする
- チャンネルのコンセプトを決める
- キーワード戦略を立てる
- タイトルとサムネにキーワードを入れる
- 概要欄ではSEOを意識する
- 動画の時間は10分以内
- 動画ではできるだけ顔出しする
- 定期的に更新する
- コミュニティも活用する
- 他チャネルと連動させる
- 動画の最後に「起こしてほしいアクション」を提示する
ターゲットを明確にする
YouTubeの集客効果を高める1つ目のコツは、「ターゲットを明確にする」です。
どんな人を集めたいのか、年齢や性別、職業などのイメージを明確にしましょう。
「広く集客するために、万人受けする動画の方がいいのでは?」と思うかもしれませんが、たとえば20代男性と60代女性では、考え方も生活スタイルも全く異なります。万人受けを意識しすぎた動画は、結局誰の心にも刺さらないことが多いです。
チャンネルのコンセプトを決める
YouTubeの集客効果を高める2つ目のコツは、「チャンネルのコンセプトを決める」です。
そのYouTubeチャンネルはどんな人をターゲットにしているのか、どんな目的で運営するのかを踏まえて、チャンネルのコンセプトを決めましょう。
一つひとつの動画の質が高くても、コンセプトが定まっていないと、チャンネルの動画一覧を見たときに「観たい動画はあまりないな」と思われてしまいます。これでは、チャンネル登録も通知登録もしてもらえません。
キーワード戦略を立てる
YouTubeの集客効果を高める3つ目のコツは、「キーワード戦略を立てる」です。
キーワードとは、その動画の内容を端的に表した単語群、検索窓に入れる単語群のことです。これはユーザーのニーズやウォンツにも密接に結びついています。
たとえば「在宅ワークで使うデスクが欲しいんだけど、どんなものがいいんだろう」と考えているユーザーなら、「在宅ワーク デスク」「在宅ワーク 部屋 インテリア」などと検索するでしょう。
キーワードを軸に動画を作っていくことで、ユーザーのニーズやウォンツを満たせるYouTubeチャンネルが作れます。このあたりの考え方は「コンテンツSEO」と同じです。
タイトルとサムネにキーワードを入れる
YouTubeの集客効果を高める4つ目のコツは、「タイトルとサムネにキーワードを入れる」です。
先述の通り、キーワードはユーザーのニーズ・ウォンツを端的に表した単語群です。タイトルやサムネなどの目に付く部分にキーワードを入れることで、これらを見たユーザーに「この動画は自分に関係ある動画だ」と思ってもらいやすくなります。
概要欄ではSEOを意識する
YouTubeの集客効果を高める5つ目のコツは、「概要欄ではSEOを意識する」です。
SEOは「Search Engine Optimization」の略称で、日本語で「検索エンジン最適化」です。Google Chromeの検索結果にWebページを上位表示させるための施策で、多くのオウンドメディアやブログがこれを意識して運営されています。
YouTubeでもSEOは重要で、概要欄を作り込むことでGoogle ChromeやYouTubeでの検索順位(検索結果に表示される順番)を高められます。
普段、自分がGoogle ChromeやYouTubeで検索をするときのことを思い出してみてください。Google Chromeで2ページ目や3ページ目に移動することは稀で、YouTubeもとりあえず目についた動画を開くのではないでしょうか。
検索してすぐ目につく部分、つまり検索結果の上の方に動画を表示させることは、閲覧数に直結します。
動画の時間は10分以内
YouTubeの集客効果を高める6つ目のコツは、「動画の時間は10分以内」です。
動画のベストな長さはジャンルや内容により異なりますが、一般的に、長時間の動画ほど観られづらくなります。そのチャンネルのファンのような人は長時間の動画も観てくれる(むしろ観たがる)かもしれませんが、いわゆる一見さんはそうではありません。
自分がYouTubeで動画を探しているときのことを思い出してみてください。時間が長すぎる動画は「今時間がないから」「面白いかどうかわからないのに、こんなに長い動画は観たくない」と避けているのではないでしょうか。
YouTubeでは短時間の動画で興味付けし、チャンネル登録を経てファンになってもらってから、長時間の動画を観てもらうのが基本です。
いわゆる切り抜き動画が流行ったのもこのためです。まずは短い動画を観てもらうことで、その動画に出ている本人に興味を持ってもらい、本人のチャンネルや元動画を観てもらいます。切り抜き動画のアップロード者には再生数を稼げるメリットが、元動画のチャンネル主には宣伝・集客のメリットがあります。
ちなみに、2023年6月現在、YouTubeでは以前ほど切り抜き動画が表示されなくなっています。切り抜き動画は「コンテンツの再利用」であり、Googleはオリジナルコンテンツを重視しているためといわれています。
最近では企業や店舗の集客にYouTubeを利用するケースが増えてきました。このような知識・考え方を身につけておくと、競合との戦いを有利に進められるでしょう。
動画ではできるだけ顔出しする
YouTubeの集客効果を高める7つ目のコツは、「動画ではできるだけ顔出しする」です。
先述したように、動画ほど親しみを感じさせられる媒体は多くありません。視聴者に親近感を与えることは信頼獲得にもつながり、来店や購入、問い合わせなどにも結びつきやすいです。
より高い親近感・信頼感・安心感を与えるために、動画ではできるだけ顔出しをしましょう。
定期的に更新する
YouTubeの集客効果を高める8つ目のコツは、「定期的に更新する」です。
YouTubeでは一つひとつの動画の再生数も大切ですが、再生数を安定させるためにも、自社のファンを増やすためにも大切なのがチャンネル登録者数です。
たまたま見つけた動画が気に入り、チャンネル画面に来てくれたユーザーがいたとしましょう。「ほかにはどんな動画があるのか見てみたい」「自分の好きそうな動画が多かったらチャンネル登録しよう」などと、意識的にしろ無意識的にしろ考えているはずです。
しかし、動画の数が少なかったり投稿頻度が低かったりすると、このユーザーの期待は裏切られてしまいます。せっかくのチャンネル登録のチャンスを逃してしまうことになるでしょう。
また、登録チャンネルが増えてくるとホーム画面が見づらくなるため、登録を整理するユーザーも少なくありません。このとき、「動画の更新頻度が低い」「最近更新されていない」などの基準で登録解除するチャンネルを決めるユーザーもいます。
定期的に更新することは、チャンネル登録を増やすためにも維持するためにも大切なのです。
コミュニティも活用する
YouTubeの集客効果を高める9つ目のコツは、「コミュニティも活用する」です。
コミュニティはYouTubeチャンネルのメニューのひとつで、SNSのように画像やテキストを投稿できます。
YouTubeのメインコンテンツはあくまで動画ですが、テキストメインのコミュニティは更新がしやすいです。企業や店舗のアカウントならお知らせにも使いやすく、動画を更新する余裕がないときに、代わりにコミュニティを更新するアカウントも少なくありません。
他チャネルと連動させる
YouTubeの集客効果を高める10個目のコツは、「他チャネルと連動させる」です。
先述の通り、YouTubeはSNSやオウンドメディアと比べて労力のかかるメディアです。動画は外出先ではやや見づらく、テキストや画像メインのコンテンツにもまだまだニーズがあります。
YouTubeの集客効果を最大化するためには、他チャネルと連動させることが重要です。
認知拡大にはTwitter、ファン形成にはInstagram、確度の高い見込み客を集めるにはオウンドメディアがそれぞれ適しています。SNSからオウンドメディアやYouTubeに誘導したり、オウンドメディアにYouTubeの動画を埋め込んだり、工夫しながら運用していきましょう。
動画の最後に「起こしてほしいアクション」を提示する
YouTubeの集客効果を高める11個目のコツは、「動画の最後に「起こしてほしいアクション」を提示する」です。
チャンネル登録や通知登録、SNSでの拡散、概要欄に貼ったリンクのクリック・タップなど、視聴者にどんなアクションを起こしてほしいのか呼びかけましょう。この呼びかけがないと、「面白い動画だったな」で終わってしまい、集客という目的から遠退いてしまいます。
動画やチャンネルを気に入ってくれたユーザーの中には、そのチャンネルに対して「何かしてあげたい」と感じる人も少なくありません。動画の最後に呼びかけをすることで、このような心理に訴えかけられるでしょう。
ちなみに、YouTubeの動画の最後にはチャンネル登録のボタンやおすすめ動画のサムネイルなどを表示できます。これを活かし、チャンネル登録ボタンを指差しながら「チャンネル登録はこちら」のような伝え方をすると、アクションを起こしてもらいやすくなるでしょう。
通知登録を促すときは「動画を気に入っていただけたら、ベルマークの通知登録もお願いします」のような言い方がおすすめです。
通知登録ボタンはやや見つけづらく、ボタンが見つからないことで登録を諦めてしまうユーザーもいます。「ベルマーク」とつけることで、このような機会損失を防げるでしょう。
YouTubeの動画は資産になる!早めに始めてコツコツ続けることが集客につながる
オウンドメディアやSNSの公式アカウントと同じく、YouTubeの動画は資産になります。オウンドメディアに動画を埋め込んだり、SNSで動画を紹介したりといったこともしやすく、YouTubeは他メディアとの相乗効果が高いです。
ただ、YouTubeで集客をはじめてから効果が出るまでにはそれなりの時間がかかります。少しでも早く効果を出すために、とにかく早めに始めること、一つひとつの動画で完ぺきを目指すよりもコンスタンスに動画を投稿し続けることが大切です。
本記事で紹介した運用のコツは、どれも簡単に取り組めるものです。ターゲットとコンセプトは慎重に考えなければなりませんが、途中で方向修正することもできます。
本記事を読み返しながら、まずはチャンネル開設、1本目の動画投稿からはじめてみてください。
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