動線分析とは
動線分析とは店舗内での顧客の動きを取得し、店舗レイアウトやフロア全体の収益効率を上げることを目的とした分析手法です。通路分析やヒートマップ分析を行うことで、接客改善やOne to Oneアプローチにも繋げていくこも可能です。
今回は動線分析が注目される理由やメリットについて解説しながら、おすすめツールを紹介します。
動線分析ツールが注目されている理由
約60%は来店時には購入を決めてない
実は来店した顧客の57%は、来店時点では明確な商品購入を決定していません。つまり半数以上の顧客が「商品の情報を手に入れ検討するため」に来店しているのです。
80%以上が気になっている商品の仕様や活用シーン
また、顧客が店舗に行く理由は上図のとおり意思決定に必要な情報を集めにきているというアンケート結果もあります。
これまで店舗内での行動データを可視化するという発想は少なかったかもしれませんが、動線を意識した商品陳列や商品情報を説明する人員配置を行うことで、意思決定の後押しができるようになります。
これまで見えなかった購買に至るステップを可視化
動線分析を行うことで、次のようなデータを得る事が出来ます。
- 店舗入口立ち寄り数
- 入店数
- 通路通行人数
- 売り場通行人数
- 売り場への立ち寄り数
- 商品を手に取った数
- 実際に買われた数
これまでの店舗での数値分析は、来店数に対する購入数がほとんどでした。
しかし、動線分析を行うことで購入にいたるまでの細かなプロセスを分解し、データとして把握することが可能になります。
売上が低いから、陳列を変えてみようといった闇雲な改善ではなく、どこの部分に課題があるかを明確にしフロア全体の最適化をはかる取組みができるようになります。
動線分析の3つのメリット
(1)入店からの顧客行動を可視化
動線分析ツールを用いれば、来店人数や顧客の性別・年齢データ・立ち寄りエリアの分析などが可能です。
つまり、「どのような顧客が店に興味を持ったか?」「顧客が店内のどこに興味を示したか?」といったデータを数値化することが出来るのです。
こういった具体的なデータを用いることで、陳列や入荷商品の傾向など、需要に合わせた施策実施が可能となります。
(2)デジタルとかけ合わせたOne to One施策
具体的な顧客データをデジタルで取得することで、顧客一人ひりの属性に合わせたOne to One施策を行うことが可能です。
身近な例で言えば、駅のカメラ付き自動販売機では、販売機前に立った顧客に合わせおすすめ商品を提示するなどの施策を行っています。
店舗運営で言えば、顧客情報に合わせたメールやアプリでの販促行動のようなより効果的な個に合わせたマーケティングができるようになります。
(3)接客対応の改善・リアルタイムな顧客支援
また、動線分析は従業員の接客面でも役に立ちます。
接客が必要となる顧客がいれば、通知によってその位置を知ることが出来ますし、来店客の多いエリア・時間帯を知ることによって、人員配置やレジ待ちの改善といった効率的な動きの実現が可能です。
おすすめの動線分析ツール15選
では、そんな動線分析を行うためには、どのようなツールを用いればいいのでしょうか。ここからはおすすめの動線分析ツールをご紹介します。
ABEJA Platform for Retail
●特徴
- 年齢性別推定機能
- リピート推定機能
- データ活用支援もアリ
「ABEJA Platform for Retail」は、顧客一人ひとりの年齢や性別を推定可能で、更にはリピーターであるかどうかを推定することも可能という優れものです。
データ活用に関してもアドバイスしてくれるので、安心して導入することが出来ます。
詳細はこちら:https://www.abejainc.com/
トリノ・ガーデン
●特徴
- Wi-Fi による行動分析
- 低い導入コスト
- リピーターの確認も可能
「トリノ・ガーデン」は、Wi-Fiを設置することによって、顧客の動線や滞在時間を測るシステムです。
センサーを使用するツールに比べて導入コストが低く、またリピーターを確実に見分ける事が可能なので、顧客属性も把握しやすいと言えます。
RETAILNEXT
●特徴
- 多数の視点によるデータ確保
- データの視覚化
- 従業員行動の明確化
「RETAILNEXT」では、ビデオカメラやPOSシステム、Wi-Fiなどといった様々なデータを統合することで、顧客データを確保・管理することが出来ます。
従業員の行動などに関しても確認できるため、より効率的な作業を目指す事が可能となります。
アロバビュー
●特徴
- 500機種以上の対応カメラ
- 操作性の高いインターフェース
- 高い効果実績
「アロバビュー」は、ネットワーク監視カメラを用いた総合ツールの名称です。
中でも「アロバビューコーロ」と呼ばれるシステムによって、顧客層の詳細なデータを確認することが出来ます。
多くのカメラに対応しているため、新規でカメラを購入する必要は無いと言って良いでしょう。
詳細はこちら:https://www.arobaview.com
FLOW
●特徴
- 小売店、商業施設、オフィス・施設それぞれに特化したサービスをもつ統合プラットフォーム
- データ収集からスタッフのアクション提案まで可能
- 充実したアフターサービス
「FLOW」は、店舗や商業施設、オフィスでの動線分析からデータ活用に至るまで、全面をカバーするソフトウェアです。
複数店舗で同時に展開出来る他、マシーンラーニングによって現場スタッフの次のアクションを提案してくれるなど、意思決定を支援する様々なサービスが盛り込まれています。
AIBeacon
●特徴
- スマホユーザーの特性取得
- アプリ連動が容易
- O2Oマーケティングに強い
「AIBeacon」はスマホを利用した分析ツールです。
アプリ連動を行い、近接度に応じたアクションを行うなどといったOne to One施策に特に強く、デジタル面からの販促を効果的に行いたい場合おすすめのツールです。
詳細はこちら:https://www.aibeacon.jp/
Diversity Insight for Retail
●特徴
- カンタン設置
- 専門知識不要
- トップクラスの分析項目
「Diversity Insight for Retail」は、小型カメラを置くか、店内の防犯カメラに繋ぐだけで使う事が可能なツールです。
管理画面が分かりやすく、専門的な知識を有していなくともデータを確認・活用することが出来ます。もちろん、分析項目も多岐に及んでおり、導入しやすいツールです。
RICOH – 360Analysis
●特徴
- 電源だけで設置可能
- 一台で360℃カバー
- エクセルによるデータ提供
「RICOH – 360Analysis」は、カメラを電源に繋ぐだけで簡単に設置が可能な分析ツールです。
一台で 360 ℃見渡す事が可能で、入手したデータはWebから閲覧可能。測定したデータはExcelファイルで提供されます。
詳細はこちら:https://360analysis.ricoh
SkyREC
●特徴
- 分かりやすいダッシュボード
- POSデータ連携
- 設置プラン項目容易
「SkyREC」では、図面と現地調査によって設置場所を検討することが出来ます。
導入後は視覚的に分かりやすいダッシュボードによって情報の確認が可能、POSデータとの連携も可能で、確実なデータ収集ができます。
OPTiM AI Camera
●特徴
- カメラ画像の解析
- 低価格導入
- 監視体制強化
「OPTiM AI Camera」では、ネットワークカメラを用いた顧客の分析が可能です。
特徴的といえるのは、顧客の不振挙動検出機能。万引き・窃盗などの危険性を判断しアラートを送ることが可能です。
Prism
●特徴
- 既存カメラで導入可能
- 直観的なダッシュボード
- データの共有可能
「Prism」では、既存のカメラに接続することでデータを取得することが可能です。
ダッシュボードはグラフなどを用いた直観的で分かりやすい設計となっており、データの共有も可能なので、チーム間でのデータ活用が行いやすいです。
詳細はこちら:https://prism.com
POCTAS
●特徴
- 低コスト
- 工事不要
- 体温によるデータ検出
「POCTAS」では、温度データを元にして顧客の数値分析を行うことが出来ます。
他のカメラシステムと比べ、光による影響を受けづらいのが特徴です。
工事も不要かつ導入コストが低めなので、リスクを抑えてデータ活用することが可能です。
Location Data Analyzer
●特徴
- 工場に強い分析システム
- 工数管理可能
- リフトやAGVの活動状態も確認可能
「Location Data Analyzer」は工場や倉庫といった現場で活躍するツールシステムです。
作業員の動線確認はもちろん、機材や台車、リフトといった業務に必要な諸々の位置や稼働率を確認・管理して効率やコスト削減につなげることが出来ます。
詳細はこちら:https://www.panasonic.com/jp/business/its/dousen.html
RaFLOW(ラフロー)
●特徴
- 3Dによる再現機能
- 車両や出荷品の位置把握
- 各作業員の動線確認
「RaFLOW(ラフロー)」も工場や倉庫、病院といった現場で活躍するツールです。
収集ログを用いる事で実際の動きを3D再現可能なほか、車両や出荷品の位置を管理し、効率的な動きが可能。作業員ごとの動線を確認することで、新人教育などに活かす事も可能です。
売り場の科学で「つい買いたくなる」お店づくりを
来店した顧客は、店内の陳列やPOPなどフロア情報を元に商品を購入するか検討しています。
裏を返せば、その検討に用いる情報や構造を改善すれば、顧客の購入行動を後押しができます。
動線分析ツールを用いることで、フロアデータを可視化し肌感覚に頼らない科学的な運営施策を取ることが可能です。
ただやみくもに商品の広告を打ったりするのではなく、来店した顧客が「つい買いたくなってしまう」ようなお店づくりを心掛けましょう。