フランチャイズの選び方を業種選び、加盟する本部選びに分けて解説します。ロイヤリティのタイプやスモールスタートしやすい業種なども紹介するので、リスクを抑えてフランチャイズに加盟したい人にもおすすめです。
フランチャイズの選び方
フランチャイズでの開業は「業種選び」と「加盟する本部選び」の2段階に分けて考えましょう。フランチャイズを選ぶ流れを4ステップに分けて紹介します。
STEP1.まずは業界・業種を決めよう
加盟する本部を選ぶ前に、まずはどんな業界・業種で開業するのかを決めましょう。業界・業種選びでは開業エリアのニーズや社会の流れ、自分がその仕事をやりたいのかなどを考えます。
STEP2.その業界のフランチャイズを比較しよう
開業する業界・業種を決めたら、その業界のフランチャイズを洗い出し比較しましょう。加盟金やロイヤリティなどの費用面、提供されるサポート、チェーンの知名度といったビジネスの成否に直結する要素はもちろん、「そのチェーンに共感できるか」も大切です。
STEP3.説明会に参加しよう
気になるフランチャイズや特徴的なフランチャイズを見つけたら、そのチェーンの説明会に参加しましょう。なるべく多くの説明会に参加することで比較材料が増えるのはもちろん、その業界の動向も見えてきます。
STEP4.興味のあるチェーンの個別相談会に申し込もう
特に興味のあるチェーンでは、説明会だけでなく個別相談会にも申し込みましょう。開業に関する悩みや迷っているチェーンなど、気になることや不安なことは何でも聞いたり相談したりしてみてください。社長自らが相談に乗ってくれるチェーンもあります。
フランチャイズで開業する業種の選び方
フランチャイズで開業する業界・業種を選ぶ3つのポイントを紹介します。
スモールスタートできるか
リスクヘッジを重視するなら、スモールスタートできるかどうかで業種を選ぶのも手です。たとえばキッチンカーや家事代行のような業種は店舗を構える必要がないため初期費用を抑えやすく、1人でも運営できるため人件費もあまりかかりません。加盟するフランチャイズによっては土日のみ仕事をすることもでき、副業からはじめることもできます。
まずはコストを抑えて副業として取り組み、軌道に乗ってきたら本業にすれば、リスクを抑えて開業できます。
その業種の加盟金・ロイヤリティ相場をチェック
フランチャイズでは加盟金やロイヤリティがかかることが多いです。これらはそのチェーンの看板を掲げる権利、ノウハウやオリジナル商品の提供など、本部から加盟店に提供されるサポートの対価です。
その業種のフランチャイズの加盟金やロイヤリティをチェックし、相場をつかみましょう。
地域との相性や社会の流れを考える
開業したい地域でそのビジネスに対するニーズがあるか、社会の流れを踏まえて追い風なのか向かい風なのかを考えましょう。
たとえばキッチンカーはコロナ禍が追い風になった業種ですが、2023年3月に政府がマスク不要の呼びかけをしたこともあり、追い風は弱まったといえます。地域のニーズで考えると、キッチンカーはイベント会場でのニーズが高く、地域で開催されるイベントの規模や頻度についてよく調べるべきです。
フランチャイズで開業しやすい業種
「スモールスタートしやすい」「社会的にニーズが高まっている」の観点から、フランチャイズで開業しやすい業種を3つ紹介します。
キッチンカー
固定の店舗を構えず小さなトラックで移動販売をするキッチンカーは、飲食業のなかでもコストを抑えて開業できる業種です。初期費用は200万円ほどと低く、ロイヤリティがかからないフランチャイズも多いです。1~2人で運営できるため、人件費もあまりかかりません。
固定の店舗を持たないため、立地選びが原因で経営難に陥るリスクは低いです。加盟するフランチャイズによっては集客力の高いイベント会場を紹介してもらえます。イベントのある土日だけ副業として運営することもできます。
キッチンカーの詳細やおすすめのチェーンはこちらの記事で紹介しています。
ハウスクリーニング・家事代行
ハウスクリーニングや家事代行も副業として取り組みやすい業種です。固定の店舗を構えずに開業できるチェーンが多く、初期費用は低くて50万円ほど、高くても200万円前後に収まることが多いです。
社会的にニーズが高い業種でもあります。1人暮らしの高齢者や共働き世帯などからのニーズが高い業種であり、少子高齢化や不景気の影響でこれらの世帯は今後も増えていくでしょう。
ハウスクリーニング・家事代行の詳細はこちらの記事で紹介しています。
コインランドリー
先述の2つの業種と異なり、コインランドリーの開業には1,500万~3,000万円ほどとかなりの費用がかかります。ただ、基本的に無人運営できるため、開業後のランニングコストは抑えやすいです。コインランドリーの運営費は水道光熱費とテナント料が主で、一般的に1ヵ月で30~70万円ほどといわれています。
時間に余裕があるならスタッフを雇わず、本業の合間や休日にオーナー自らが清掃やメンテナンスをすることもできます。このスタイルなら人件費を抑えやすく、副業としても取り組みやすいでしょう。
ただ、最初の1ヵ月はスタッフを常駐させたりオーナー自ら店頭に立ったりすることをおすすめします。スタッフを常駐させることには店舗の治安を維持する効果があり、お客さまに「安心して利用できる店舗」という印象を与えられます。オーナー自らが店頭に立つことで、客層やお客さまの流れを把握できるでしょう。
コインランドリーの詳細はこちらの記事で紹介しています。
加盟するフランチャイズ本部の選び方
フランチャイズ選びを成功させるには費用やサポートなどはもちろん、自由度の高さや本部のビジョンや理念などの「自分との相性」も重要です。どんなフランチャイズ本部に加盟すれば成功率を高められるのか、フランチャイズ本部の選び方を8つ紹介します。
チェーンのブランド力
フランチャイズ本部を選ぶ1つ目のポイントは「チェーンのブランド力」です。知名度の高いチェーンに加盟した方が集客は有利になります。「このチェーンは接客がいい」「商品の種類が豊富」など、チェーンに対するイメージと併せて知名度をチェックしましょう。
宣伝・広告の有無と費用負担
フランチャイズ本部を選ぶ2つ目のポイントは「宣伝・広告の有無と費用負担」です。本部がテレビCMや動画広告を打ったり、公式SNSアカウントや自社Webサイトを運用していたり、宣伝・広告の有無と内容をチェックしましょう。
テレビCMや動画広告などにかかる広告費は、本部がすべて負担してくれる場合と、各加盟店が数%ずつ負担する場合があります。宣伝・広告に費用がかかるかどうかも確認しておきましょう。
サポート体制
フランチャイズ本部を選ぶ3つ目のポイントは「サポート体制」です。開業前の研修や提供されるマニュアルの内容、開業後も定期的に研修をしているか、SV(スーパーバイザー、店舗運営のアドバイスをしてくれる本部社員)はどのくらいの頻度で回ってくるのかなど、サポート体制をチェックしましょう。
かかる費用
フランチャイズ本部を選ぶ4つ目のポイントは「かかる費用」です。加盟金とロイヤリティを確認し、予算内で開業できるのか、ロイヤリティが経営を圧迫しないか考えましょう。ロイヤリティには次のようなタイプがあります。
タイプ | 金額・計算方法 |
定額方式 | 売上や店舗規模にかかわらず、毎月決まった金額を支払うタイプ。 売上が高くなるほど利益率も高くなるが、 売上が低いと経費に占めるロイヤリティの割合が大きくなり、経営が圧迫されやすい。 |
売上高比例方式 | 売上高の何%かを支払うタイプ。 定額方式と比べて利益率を高めづらいが、 ロイヤリティに経営が圧迫されるリスクは低い。 |
粗利益分配方式 | 売上から原価を差し引いた粗利益に対して、一定の割合でロイヤリティを支払うタイプ。 売上高比例方式と同じく利益率は高めづらいが、 ロイヤリティが経営を圧迫するリスクは低い。 |
営業規模比例方式 | 客席数や店舗面積などの営業規模に応じてロイヤリティを支払うタイプ。 「1坪あたり何円」「1席あたり何円」とロイヤリティ額を計算する。 定額方式と同じくロイヤリティの額が固定なので、売上が低いと経営を圧迫されやすい。 ただ、営業規模が小さければ売上も、ロイヤリティも低くなりやすいので、定額方式よりは低リスクといえる。 |
担当者の知識レベル
フランチャイズ本部を選ぶ5つ目のポイントは「担当者の知識レベル」です。営業担当者やSVの知識レベルが低ければ、彼らに相談しても有用な答えはもらえません。加盟前にSVの知識レベルを把握するのは難しいので、営業担当者の知識レベルをチェックしておきましょう。個別相談会を申し込み、なるべく多く質問することをおすすめします。
口コミ・評判
フランチャイズ本部を選ぶ6つ目のポイントは「口コミ・評判」です。口コミサイトやSNSでフランチャイズの評判をチェックしましょう。評判の悪いフランチャイズに加盟しても、集客はあまり期待できません。
すでにそのチェーンに加盟しているオーナーによる口コミ、フランチャイズ比較サイトや加盟店募集ページに掲載されている「先輩オーナーの事例」も探してみましょう。
自由度の高さ
フランチャイズ本部を選ぶ7つ目のポイントは「自由度の高さ」です。どんなフランチャイズにもマニュアルがあり、加盟店はマニュアルに沿って運営しなければなりません。
しかし、オリジナルの商品やメニューを開発できるチェーン、店舗名を自由に付けられるチェーンもあります。自分らしいお店づくりがしたい人は、自由度の高さをよく確認しましょう。
本部のビジョンと理念
フランチャイズ本部を選ぶ8つ目のポイントは「本部のビジョンと理念」です。フランチャイズの加盟店は、本部の方針に沿ってビジネスを運営しなければなりません。本部のビジョンや理念に共感できないと、ビジネスに対するモチベーションが下がってしまうでしょう。
フランチャイズを選ぶときは「フランチャイズ比較サイト」がおすすめ
フランチャイズを選ぶときは「フランチャイズ比較サイト」がおすすめです。加盟金やロイヤリティ、事業の特徴や儲かる理由などをフランチャイズごとに詳しく紹介している比較サイトです。業界・業種やビジネスの特徴などからフランチャイズを検索したり、比較サイトから説明会や個別相談会に申し込んだりもできます。
フランチャイズに関するコンテンツやサービスを提供しているサイトも多いです。たとえばフランチャイズ比較サイト大手「アントレ」は、フランチャイズの選び方や運営を成功させる方法などのコンテンツを、記事や動画で配信しています。ほかにも専門家への相談や自分に合った働き方診断などのサービスを、無料の会員登録をするだけで利用できます。
こちらの記事ではアントレ以外のフランチャイズ比較サイトを紹介しています。比較サイトの加盟店募集を読んでいるだけでも、どんなビジネスモデルがあるのか、どんな業界・業種にニーズがあるのか見えてくるでしょう。