飲食店の開業準備には12ヵ月ほどかかります。本記事では飲食店の開業準備で何を、いつまでにすればいいのかを解説。物件の選び方や事業計画書の重要性など、各工程のポイントも紹介します。
飲食店を開業するまでにかかる期間と流れ
飲食店開業までの大まかな流れは次のとおりです。
- 開業12ヵ月前:コンセプト作り
- 開業11ヵ月前:店名決定と商標登録
- 開業10ヵ月前:事業計画書作り
- 開業8ヵ月前:物件選び
- 開業6ヵ月前:資金調達
- 開業4ヵ月前:メニュー作り
- 開業3ヵ月前:内装・設備設計
- 開業3ヵ月前(2)内装工事
- 開業3ヵ月前(3):厨房設備の購入
- 開業2ヵ月前:什器や備品の購入
- 開業2ヵ月前(2):スタッフの採用・教育
- 開業1ヵ月前:資格取得・届出
- 開業1週間前:最終確認
- 開業1週間前(2):プレオープン
各工程で何をすればいいのか、どのようなことを意識すればいいのかを紹介します。
開業12ヵ月前:コンセプト作り
飲食店を成功に導くためには、独自のコンセプトが重要です。お店のテーマやスタイル、提供する料理や雰囲気を明確にしましょう。顧客層や地域のニーズを考慮した個性的なコンセプトが、集客につながります。
開業11ヵ月前:店名決定と商標登録
店名はブランドの象徴であり、商標登録はブランドの保護につながります。商標登録前に、同じまたは類似した店名が既に登録されていないか確認しましょう。独自性のある店名がブランドの差別化につながります。
店名が商標登録されていないか調べよう
商標登録された店名を使用することで、すでに登録されたブランドとの法的な紛争が生じる可能性があります。これには損害賠償や営業停止命令などが含まれます。後から商標問題が浮上した場合、急遽店名を変更する必要が生じ、これには広告や宣伝のリスク、費用が発生します。
法的トラブルに発展しなかったとしても、他の事業者と同じまたは類似した店名を使用することで、顧客や市場に混乱が生じ、自店のブランドイメージが損なわれる可能性があります。
店名の商標登録確認は、将来的なリスクを回避するために不可欠です。商標権の尊重はビジネスの基本です。事前の調査を怠らず、オープンに向けて法的な問題を未然に防ぎましょう。
開業10ヵ月前:事業計画書作り
事業計画書はビジョンや目標、財務計画を明確にした重要な文書です。将来の経営に備え、リスクやチャンスを見極め、事業計画書を作成しましょう。計画が具体的であれば、資金調達もしやすくなります。
資金調達における事業計画書の重要性
事業計画書は、開業に必要な資金の明確な見積もりを出すために必要です。内装工事、機器の購入、初期在庫、広告宣伝など、様々な項目ごとに必要な資金を洗い出し、具体的な金額を提示します。これにより、資金調達を行う際に必要な額を正確に把握し、調達先との交渉に役立ちます。
資金提供者は、事業計画書を通じて事業の計画や見込みを詳細に把握します。利益予測、返済計画、事業の成長戦略などを明示することで、投資家や融資機関を説得しやすくなります。説得力のある事業計画書は、資金調達の成功に直結します。
柔軟な事業運営のためには綿密な事業計画が必要
事業計画書は、開業後の目標や事業戦略を明確に設定する手助けをします。目標の設定は、具体的な方向性を示し、スタッフや関係者を一丸として目標達成に向けて動かせる基盤を築きます。
事前にリスクや変動要因を分析し、柔軟な対応策を計画に組み込むことで、予期せぬ課題にも迅速に対処できるでしょう。
開業8ヵ月前:物件選び
適切な物件の選定は、成功の鍵となります。内装や広さ、周辺の環境などを検討し、将来の事業展開に適した場所を見つけましょう。内装工事の業者と協力して物件を見学することで、具体的なプランを立てやすくなります。
立地の種類と選び方
【商業エリア】
商業エリアは通行量が多く、多くの人々が集まる場所です。特に飲食店にとってはランチやディナーの需要が見込めます。オフィス街やショッピングモール周辺などが代表的な商業エリアと言えます。
【住宅エリア】
住宅エリアは、近隣住民の利用が主体となります。ファミリー向けのレストランやカフェ、地域密着型の飲食店が成功しやすいです。周辺の住民構成やライフスタイルを意識することが重要です。
【観光地やイベント会場周辺】
観光地やイベント会場周辺は、観光客やイベント参加者が多く訪れるため、観光業態やイベント向けの飲食店が適しています。独自のアピールポイントで差別化を図りましょう。
物件選びのポイント
【交通アクセス】
アクセスが良く、車や公共交通機関での利便性が高い場所が望ましいです。駅やバス停からの距離や駐車場の有無を確認しましょう。
【競合店の有無】
周辺に競合店が多い場合、差別化が求められます。逆に競合が少ないエリアであれば、新しい需要を開拓しやすくなります。
【街の特性】
周辺の街の特性や傾向を理解し、それに合った業態を選定しましょう。例えば、若年層が多いエリアならばカジュアルでアットホームな雰囲気が受け入れられるかもしれません。
物件選びは、飲食店の成功に直結する重要なステップです。立地や周辺環境を検討しながら、ターゲット層に合った適切な物件を見つけることで、集客や収益の面で有利なスタートを切ることができます。
開業6ヵ月前:資金調達
事業計画書が完成したら、次は資金調達です。銀行融資や投資家からの調達など、適切な方法を検討しましょう。資金の使途を明確にし、リターンを示すことで資金調達の成功が見込まれます。
開業4ヵ月前:メニュー作り
お店の看板ともいえるメニューは、開業前にしっかりと考え抜く必要があります。ターゲット層や地域の特性に合わせ、バリエーション豊かな料理を提供することで、お客様の期待に応えられます。原価計算も忘れずに行い、適正な価格設定を心がけましょう。
開業3ヵ月前:内装・設備設計
店内の雰囲気やレイアウト、必要な設備などを具体的に計画します。おしゃれで居心地の良い空間は、お客様の心を引き寄せる重要な要素です。内装工事や設備の選定は、専門家と相談しながら進めましょう。
開業3ヵ月前(2):内装工事
計画が固まったら、いよいよ内装工事に着手します。施工業者とのスケジュール調整や進捗管理をしっかり行い、オープンに向けてスムーズに進めましょう。
開業3ヵ月前(3):厨房設備の購入
飲食店にとって厨房は中心となるエリアです。必要な厨房機器や調理器具を選定し、購入手続きを進めましょう。頻繁なメンテナンスや清掃を考慮した設計が、長期的な運営に役立ちます。
開業2ヵ月前:什器や備品の購入
お店の雰囲気を演出するために必要な什器や備品を選定・購入します。テーブルや椅子、照明など、おしゃれで機能的なアイテムを選ぶことで、お客様に快適な空間を提供できます。細部にこだわりながら、店内のイメージを整えましょう。
開業2ヵ月前(2):スタッフの採用・教育
経験豊富なスタッフの採用が成功への近道です。シェフやサービススタッフなど、各ポジションに適した人材を選び、必要ならトレーニングや教育プログラムを用意しましょう。スタッフ一人ひとりがお店の理念を理解し、お客様に良い印象を与えられるようにします。
開業1ヵ月前:資格取得・届出
食品衛生責任者や防火管理者など、開業に必要な資格を取得しましょう。また、営業の届出や法的な手続きもこの時期に行います。
開業1週間前:最終確認
開業直前には、全てのプロセスが順調に進んでいるか最終確認を行います。予定通りに工事が進み、什器や備品は揃っているかなど、細かな点も見逃さず確認しましょう。トラブルを最小限に抑え、オープンに備えましょう。
開業1週間前(2):プレオープン
開業前に一般公開するプレオープンを行い、地元の人々や関係者にお店を紹介します。フィードバックを受けつつ、最終調整を行うことで、正式な営業開始に向けて最良の状態を作り出します。
飲食店の開業は計画と準備の積み重ねです。スケジュール通りに進め、柔軟に対応しながら夢を実現させましょう。
飲食店の開業準備は12ヵ月を目安に、スケジュールどおりに進めよう
飲食店の開業は緻密な計画と慎重な実行が求められるプロセスです。全ての工程を12ヵ月のスケジュールに基づいて着実に進めることで、開業時のトラブルを最小限にし、お店の成功に大きく近づけます。
計画をしっかりと練り上げ、柔軟に対応しながら一歩一歩前進していきましょう。成功への道のりは長いかもしれませんが、計画通りに進めることで、夢の飲食店を着実に実現できます。