キッチンカーで始めるワクワクするような移動販売。自分の手で作り上げた料理を、多くの人に届けられる喜びは格別です。
しかし、開業前に乗り越えなければならない壁がいくつかあります。いざ開業しようとすると、必要な資格や手続きに戸惑ってしまうかもしれません。
そこで今回は、キッチンカーを開業するために必要な3つの資格について、それぞれの取得・申請の手続きなどをわかりやすく解説します。
キッチンカーの開業に必要な3つの資格
キッチンカーの開業に必要な資格は次の3つです。
資格名 | 概要 |
食品衛生責任者 | 食品営業に関わる全ての事業者に義務付けられている資格 |
飲食店営業許可 | 販売地域を管轄する都道府県から取得 |
運転免許 | 車両の総重量に応じて必要な免許を取得 |
ここからは、それぞれの資格の取得方法やかかる費用、注意点について解説します。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、食品営業に関わるすべての事業者に義務付けられている資格です。食中毒の防止など、安全・安心な食品を提供するための知識を習得できます。
食品衛生責任者の資格には有効期限がないため、一度取得すれば更新の必要はありません。
講座を受ければ誰でも取得できる
食品衛生責任者は、各都道府県が実施する養成講習会を受講し、修了試験に合格することで取得できます。講習会は1日または2日なので、すぐに取得できるでしょう。
全国共通の資格だが、取得費用は地域により異なる
食品衛生責任者の資格は全国共通で有効ですが、取得費用は地域によって異なります。大まかな費用は数千円~1万円ほどです。この費用には次のようなものが含まれています。
- 受講料:養成講習会を受講するための費用
- 教材費:講習で使用する教材の費用
- 試験手数料:修了試験を受けるための費用
飲食店営業許可
飲食店営業許可は、キッチンカーで食品を販売するために必要な許可です。販売地域を管轄する都道府県から取得することで、地域に根差した安定的な営業が可能になります。
都道府県ごとに営業許可が必要
キッチンカーで食品を販売するためには、販売地域を管轄する都道府県から飲食店営業許可を取得する必要があります。 つまり、複数の都道府県で営業する場合は、それぞれの都道府県から許可を得なければならないということです。
許可基準は都道府県によって多少異なるため、事前に各都道府県の担当窓口に確認する必要があります。
保健所ごとに要件が異なることも
飲食店営業許可の要件は、基本的には都道府県ごとに定められています。しかし、独自の基準を設けている保健所もあり、細かい部分が異なることもあります。
具体的には厨房設備や換気設備などの厨房設備、申請時に必要な書類、営業許可取得前に実施される検査などが異なることが多いです。
許可申請前に、管轄の保健所に確認しておきましょう。
取得までの流れ
キッチンカーで開業するためには、飲食店営業許可の取得が必須です。 許可取得までの流れは複雑と感じるかもしれませんが、事前にしっかりと準備しておけばスムーズに進められます。
ここでは、飲食店営業許可取得までの流れをわかりやすく解説します。 各工程の詳細や必要書類、費用などについても説明するので、確認しながら手続きを進めましょう。
保健所への事前相談
飲食店営業許可取得の最初のステップは、管轄の保健所への事前相談です。
先述のとおり、営業許可の要件は保健所により異なります。事前相談をすることで、許可取得までの具体的な流れや必要な書類、設備基準などを把握できます。設備や書類の不備があると、営業許可が下りません。
事前に相談したうえで準備を整えること、不備を早めに修正することで、申請後の審査がスムーズに進み許可取得までの時間を短縮できでしょう。
申請書類の準備・提出
事前相談で確認した内容に基づき、必要な書類を準備し、管轄の保健所に提出します。主な必要書類は次の通りです。
- 飲食店営業許可申請書:保健所指定の書式
- 営業設備の大要:厨房設備や換気設備などの詳細
- 平面図:厨房や客席の配置
- 見取図:店舗の外観や周辺環境
- 食品衛生責任者講習会修了証:食品衛生責任者の資格取得証明
- 営業案内:販売する食品の内容、営業時間、定休日など
- その他、保健所が必要と判断した書類
書類はすべて正しく記入し、必要事項を漏れなく記載しなければなりません。申請書の書き方や必要書類の詳細については、管轄の保健所のホームページを確認するか、直接問い合わせてください。
移動販売車の確認検査
申請書類を提出した後、保健所の担当者が実際に移動販売車を確認する「確認検査」を受けます。
検査では、厨房設備や換気設備など食品衛生に関する設備が基準を満たしているかどうか、車内全体が清潔に保たれているかどうか、食品が適切な温度で保存されているかどうかなどがチェックされます。
検査に合格すれば、営業許可証が交付され、晴れて営業開始となります。 一方、不合格の場合は、指摘された箇所を改善し、再検査を受ける必要があります。
営業許可の交付
移動販売車の確認検査に合格すれば、晴れて営業許可証が交付されます。営業許可証は、飲食店営業許可取得の最終ステップであり、営業開始の証です。
交付方法は保健所によって異なりますが、窓口での受け取りまたは郵送が一般的です。 申請時に発行された受領書を持参し、手数料を支払えば、許可証を受け取れます。
5年ごとの更新が必要
飲食店営業許可は5年ごとに更新が必要です。有効期限が切れる前に更新申請を行うことで、許可を継続できます。
更新手続きは営業許可取得時と同様の手順で行います。 必要書類を準備し、管轄の保健所に提出してください。
更新を怠ると営業許可が取り消される可能性があるので、必ず期限内に手続きを行うようにしましょう。
運転免許
意外と知られていないのが「運転免許」の問題です。実は、キッチンカーの運転には、通常の自動車免許では足りない場合があります。
ここからは、キッチンカー開業に必要な運転免許の種類や注意点について詳しく解説します。
基本的に普通運転免許があればOK
キッチンカーの開業に必要な運転免許は、車体の大きさによって異なりますが、基本的に普通自動車免許があれば問題ありません。
多くの場合、キッチンカーのベースとなる車両は普通自動車に分類されるため、普通自動車免許で運転できるのです。
免許の「車両総重量」は要チェック
同じ普通自動車免許でも、取得時期によって運転できる車両総重量が異なるため、うっかり運転すると違反になる可能性があります。取得時期ごとの運転できる車両総重量は次のとおりです。
免許取得時期 | 運転可能な車両総重量 | 注意点 |
2017年1月19日以降 | 3.5トン以下 | |
1996年4月1日~2017年1月18日 | 4.5トン以下 | 2027年1月18日以降は3.5トン以下に制限 |
1991年3月31日以前 | 8トン以下 | 2022年3月31日以降は4.5トン以下に制限 |
開業前に自分の運転免許を確認しておきましょう。
手間とリスクを抑えてキッチンカーを開業するならフランチャイズがおすすめ
キッチンカー開業は、自由度の高い魅力的なビジネスですが、同時に多くの課題も存在します。 許可申請手続きの複雑さ、運転免許の種類、初期費用の負担など、個人で開業するには不安要素が少なくありません。
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