焼肉屋開業に必要な資金・費用
焼肉は日本にとってもポピュラーな食事です。最近は特に一人焼肉など様々な形態での展開もあり焼肉屋を開業したいと思っている方も多いのではないでしょうか。今回は焼肉屋に必要な資金・費用・ポイントをご紹介します。
焼肉屋の開業資金・初期費用目安
費用項目 | 目安金額 |
物件取得費 | 300~780万円 |
内装工事費 | 700~2800万円 |
厨房設備費 | 270~2800万円 |
資格取得費 | 3~6万円 |
広告宣伝費 | 20~40万円 |
合計費用 | 約1,300~5,000万円 |
焼肉屋に必要な開業資金は物件の立地や坪数にもよりますが、最低でも1,300万円、最大では5,000万円程度と幅があります。主な費用は、物件取得費、内装工事費、厨房設備費、資格取得費、広告宣伝費です。特に大きな割合を占めるのは物件取得費、内装工事費、厨房設備費です。焼肉屋の場合は冷蔵庫や調理台だけにとどまらず、ロースターやダクトの工事が必要になります。そのため居抜き物件を利用したり機器のリースも検討しましょう。また、フランチャイズに加盟することで初期費用が抑えられるものもあります。
焼肉屋の運営にかかる費用目安
費用項目 | 目安金額 |
人件費 | 90~255万円 |
賃貸料 | 40~80万円 |
食材費 | 140~370万円 |
広告宣伝費 | 10~20万円 |
リース・水道光熱費 | 10~30万円 |
合計費用 | 約290~725万円 |
焼肉屋運営に必要な運転資金は、1ヶ月あたり300万‐700万円程度と言われています。主な項目は人件費、賃貸料、食材費、広告宣伝費、リース代、水道光熱費です。人材は売上の20-30%といわれていますが、処理が大変なお肉を提供したり創作料理を出す場合には更に人件費がかかる場合もあります。
また、食材費も一般的には30%程度と言われておりますが、高級焼肉の場合など食材費用がより高額になる可能性もあります。もし、フランチャイズに加盟する場合は上記に加えて更にロイヤルティの支払いが発生する場合もあります。
焼肉屋開業での収益や資金調達
焼肉屋開業での収益や資金調達に関してご紹介します。
焼肉屋の平均的な売上規模
焼肉屋の売上はもちろん規模や立地で変動もしますが、例をあげてご紹介します。例えばリーズナブルな価格帯の炭火焼肉『牛繁』の場合は25坪の店舗で売上は月400万円くらいと言われています。一方大阪等の関西圏を中心にしたフランチャイズ「大阪焼肉 ホルモン ふたご」は30席で重滝立地の場合月690万円、46席の商業立地の場合は月1,180万円といわれています。
融資・借入で資金をどのように確保するか
開業をするためには資金面をどのように手配するのかも大事です。その資金獲得方法として融資や借入があります。資金の調達先としては、日本政策金融公庫と民間銀行という選択肢があります。特に日本政策金融公庫は、信頼度が高い上に審査の期間が短いということもあり多くの開業者が申請しています。
また、それ以外にも国や自治体から様々な補助金・助成金制度が準備されているので活用するのもおすすめです。
焼肉屋開業の2つの方法
焼肉屋を開業するためには個人で1から作る方法とフランチャイズに加盟するという2つの方法があります。
1から個人で店舗を作り開業する
個人で1から店舗を作る場合は、メニューやサービス内容、内装などすべての面において自分の思い通りの店舗が作れます。例えば、素材にこだわることで競合との差別化が明確になります。
一方、個人で物件の契約から仕入先の確保、スタッフの雇用をすべてこなさなければいけないため開業までの手間はかなりかかります。このような手間を乗り越えてでも自身のイメージ通りの店舗を作りたいという方におすすめです。
焼肉屋のフランチャイズに加盟する
焼肉屋を開業するもう一つの方法がフランチャイズに加盟することです。フランチャイズに加盟するとは、本部にロイヤルティを支払うことでブランド名やノウハウなどを活用して開業する形式です。本部からのサポートやすでに知られているブランドを活用できるため初めての開業でも安心です。
焼肉屋の開業に必要な資格・許可・手続き
焼肉屋を開業するためには資格や許可が必要になります。資格としては、食品衛生責任者・飲食店営業許可、店舗規模によっては防火管理者が必要になります。
食品衛生責任者
食品衛生責任者とは、飲食物を提供する上で衛生面を管理するための資格です。商品衛生責任者の資格を得るためには1日の講習を受講するだけで認定を受けられます。オーナーでなくても店員の誰かが持っていればいいのですが、オーナーが持っているケースが多いです。食品衛生協会の講習会ホームページをチェックして見ましょう。
飲食店営業許可証
焼肉屋を開業するためには飲食店営業許可を申請する必要があります。保健所に申請すると、店舗構造や衛生管理面などを保健所が確認した後に許可証が発行されます。申請から営業許可書が発行されるまで最短でも2週間ほどかかるため余裕を持って取得の準備をしておきましょう。
収容人数が30名を超える場合は防火管理者
店舗の収容人数次第では防火管理者の資格も必要になります。特に焼肉屋は火災への対策が重要です。店舗収容人数が30人以上を超える場合は、資格取得が必要です。防火管理者の資格も一日の講習を受講することで取得することが出来ます。日本防火・防災協会のHPから講習会の案内を確認しましょう。
焼肉屋の開業の3つのメリット
焼肉屋を開業するメリットをご紹介します。
ニーズ・需要が長く継続している
1つ目は、需要が長く継続していることです。焼肉屋は子供から大人まで、一人からファミリーまで幅広い層に求められている需要です。以前、焼肉屋は誕生日や打ち上げなどファミリー層が顧客の中心でした。しかし、近年は一人焼肉やランチなど利用シーンが増えています。このように多くのターゲットからニーズがあるという意味でも焼肉屋の開業は安定したビジネスと考えられます。
リピーターを獲得しやすい
2つ目はリピーターを獲得できるということです。一度お店に来てもらい、気に入ってもらえればリピーターになってもらえる可能性も高いです。特に焼肉屋は単価が高いこともありお客さんは失敗したくないと考えているため、気に入ったお店には繰り返し来店したいと思っている人が多いです。長期的に通い続けてくれる人がいれば、安定した売上が見込めます。
高収益を狙いやすい
3つ目は、高収益が狙えるという点です。焼肉屋ではラーメン屋や定食屋と違い、複数の品数を注文します。そのため、調理法を工夫したり、バラエティを増やしたりすることで簡単に客単価アップすることが出来ます。また、それ以外にも高級焼肉屋という形態で富裕層をターゲットにすることでも単価アップが狙えます。
焼肉屋の開業のデメリット
続いて焼肉屋を開業するデメリットをご紹介します。
仕込みや料理に手間と時間が発生する
焼肉屋は肉を調理するだけのため簡単なイメージもあるかもしれませんが、お肉の種類によっては筋を取り除いたり、臭みを抜いたりするなど手間が大変時間かかります。またお肉以外のメニューがある場合には、プラスアルファで手間がかかってしまいます。
もし手間を減らしたい場合は、フランチャイズに加盟したりメニュー内容を簡素化することが必要でしょう。
開業資金・初期費用が高額になる
2つ目は、開業資金・初期費用が高くなるということです。焼肉屋を開業するためには物件取得費や厨房・ロースターなどの設置費用がかかります。中古品を購入したり、リース契約を利用する事で初期費用を抑える方法もありますが、他の業種と比べても高額になることは間違いないでしょう。
焼肉屋の開業の5つのステップ
焼肉屋を開業するためのステップをご紹介します。
店舗需要があるか・市場調査
最初に行うのが市場調査です。自身が開業を検討しているエリアに、自身のコンセプトと需要が合うのかを調査しましょう。市場調査の際には、エリアの不動産価格を調べておくのはもちろんのこと、どのくらいの人通りがいるのか、どんな人達が住んでいるのか、どんな競合店があるのなどを調べましょう。
もしフランチャイズに加盟する場合は、フランチャイズ本部のプロが調査を代行してくれるため、もし自身で行うのが不安な場合には相談しましょう。
コンセプトメニューの決定
2つ目は店舗のコンセプトやメニューを決定させるということです。調査結果を元にファミリー層でも楽しめる、一人でも楽しめるお店等のコンセプトを具体化しましょう。
コンセプトが決まったらそれに合わせて、内装やレイアウト、メニューなども決めていきます。メニューを決める際の注意点として、お肉だけでは利益率上げるのが難しいため、サイドメニューやドリンクメニューも含めて検討しましょう。
店舗の選定・開業準備
コンセプトが決まったら、具体的な開業準備を進めましょう。開業準備をする際には厨房機器や空調、外装工事を行います。費用でもお伝えした通り内装や外装には費用がかかります。このような工事費用を抑えるためにも居抜き物件の利用も検討しましょう。
卸売業者など仕入れ先の確保
焼肉屋にとって重要なのは仕入先の確保です。卸売業者が市場から肉を買い付けてくるというのが一般的ですが、質の低い肉を買わされないようにオーナー自身がお肉の質を見極めるようにしましょう。値段だけでなく、品質、対応の速さ、供給の安定感なども含めて検討した上で仕入先を検討しましょう。
スタッフ採用・教育
最後に最も重要なのがスタッフの教育です。焼肉屋は一人で運営することはほぼ不可能です。開業前にはアルバイトの採用を進め、開業日までには教育を済ませましょう。教育としては、ホールやキッチンのオペレーションや衛生面の注意事項などを行います。
フランチャイズに加盟する場合は、オーナー自身で実施しなくても本部のサポートが受けられるため、未経験で不安があればフランチャイズ加盟も検討してみましょう。
焼肉屋の開業を成功させるためのポイント
最後に焼肉屋の開業を成功させるためのポイントをご紹介します。
競合店舗との差別化戦略
1つ目は、競合店舗との差別化を意識することです。以前までは美味しいお肉を提供するだけで人気を獲得できました。しかし、現在焼肉屋の数は増えてきており、美味しいお肉を提供するだけでは差別化が難しいです。
例えば、コンセプトで酒おつまみなども提供する大衆向け焼肉屋や独自ルートでの仕入れを進める高級焼肉屋と設定するなど、他の店舗の調査も進めた上で自店の強みを打ち出していきましょう。
ターゲットを選定し絞り込む
2つ目は、ターゲットを絞り込むということです。例えばファミリー層というだけでなく、4人家族(子供2人)や休日に来店する事が多いなど、より具体的に設定する事が重要です。具体化させることで、どのようなメニュー、サービスを提供したほうがいいのか、どのようなクーポンを発行すべきなのかなどの戦略が立てやすくなります。
立地条件の良いエリアで出店
3つ目は立地条件が良いエリアに出店するということです。近年、テイクアウトやデリバリーなど新たなビジネスモデルも定着してきていますが、立地が悪いと集客の難易度が上がり、売上にも大きな影響を及ぼします。ターゲットやコンセプトを設定した上で、それに適した立地選びを妥協なく行うようにしましょう。