コンビニフランチャイズは、知名度やブランド力の高さ、ノウハウの蓄積など、多くのメリットがあります。本記事では、コンビニフランチャイズのメリットとデメリット、各社の特徴を解説します。加盟金とロイヤリティも一覧表で比較しているので、ぜひ参考にしてください。
他業種と比べたコンビニフランチャイズのメリット
コンビニフランチャイズは、日本国内で最も人気のあるフランチャイズのひとつです。その理由は、他業種のフランチャイズと比べても圧倒的な知名度とノウハウ、多店舗展開のしやすさにあります。
コンビニフランチャイズは全国に数万店舗以上が展開されている、誰もが知っているブランドです。マニュアルやルールが他業種のフランチャイズと比べても細かく、店舗ごとの差もほぼありません。
お客さまは店舗単位ではなくブランド単位でお店を見る傾向が強く、そのため集客に困ることが少ないです。
コンビニフランチャイズ本部には、長年の経営経験と膨大な店舗のサポート経験・データに基づくノウハウが豊富に蓄積されています。他業種のフランチャイズと比べてもノウハウが充実していて、未経験者でも開業後の経営を軌道に乗せやすいでしょう。
また、コンビニは比較的低コストで開業できます。資金力に余裕があれば、複数店舗の経営を目指すこともできます。
他業種と比べたコンビニフランチャイズのデメリット
コンビニフランチャイズのデメリットは大きく分けて2つ、「他業種と比べて高いロイヤリティ」と「細かなルールときつい縛り」です。
フランチャイズに加盟するには加盟金とロイヤリティを支払わなければなりません。コンビには他業種と比べて加盟金や開業資金は抑えやすいものの、ロイヤリティは割高です。ロイヤリティ10%以下、そもそもロイヤリティがないという業種もあるなか、コンビニのロイヤリティは粗利益の半分ほどが一般的です。
フランチャイズには本部が決めたルールがあり、加盟店はそれを守って店舗を運営しなければなりません。これはどの業種でも同じですが、コンビニは特にルールが細かく、縛りがきついと感じるかもしれません。
しかし、裏を返せば「成功法則が確立されているからこそ、ルールが細かく厳しい」ともいえます。本部のルールを細かく守らなければならないとネガティブに捉えるのではなく、成功への道がはっきりと示されていると捉えることもできるのです。
コンビニ4社のフランチャイズの加盟金・ロイヤリティを比較
ここからはコンビニ大手3社(セブンイレブン・ファミリーマート・ローソン)にデイリーヤマザキを加えた4社について、加盟金やロイヤリティなどの費用を比較していきます。それぞれのチェーンの特徴や強みも紹介するので、加盟チェーンを選ぶ参考にしてください。
ドミナント戦略とセブン銀行が特徴の「セブンイレブン」
セブンイレブンの強みはドミナント戦略とセブン銀行にあるといえます。
ドミナント戦略とは、特定のエリアに集中して店舗を展開する戦略です。セブンイレブンはこのドミナント戦略を徹底していて、地域によっては1km圏内に複数の店舗を展開しています。これにより顧客の利便性を高め、競合他社との差別化を図っています。
ただし、同じ地域に店舗が多いということは、自店の近くに新しくセブンイレブンができるリスクも高いということです。他ブランドならまだしも、セブンイレブン同士でお客さまの取り合いになるのは、精神的にも差別化の難しさから見ても痛いでしょう。
また、セブンイレブンは自社の銀行「セブン銀行」を提供しています。セブン銀行はセブンイレブンのATMはもちろん、他の場所でも利用できます。もちろん、セブンイレブンのATMから他口の口座を利用することもできます。セブン銀行のATMは対応した金融機関が多く、お金を下ろしたり振り込んだりするついでに、コンビニで買い物や食事をする人も多いです。
セブンイレブンの加盟金
セブンイレブンの加盟金は比較的高い部類です。土地・建物をオーナーが提供する場合でも260万円が必要なので、開業資金をしっかり貯めておきましょう。
契約タイプ | 加盟金 | 備考 |
Aタイプ(土地・建物所有者) | 315万円 | 土地・建物はオーナーが所有 |
Cタイプ(土地・建物提供者) | 260万円 | 土地・建物はセブンイレブン本部が提供 |
セブンイレブンのロイヤリティ
ロイヤリティは売上総利益に応じ、一定の割合で支払います。土地・建物をオーナーが用意するAタイプでは、ロイヤリティ率は売上総利益の43%(非24時間営業なら45%)です。本部から土地・建物を提供してもらうCタイプでは、売上総利益に次の表の「スライドチャージ率」をかけて計算します。
どちらのタイプでも満5年経過した開店月の翌月から、最大3%チャージ率が減額されます。
Aタイプ | Cタイプ | 24時間営業 | 非24時間営業 | |
24時間営業 | 43% | 250万円以下の部分 | 54% | 56% |
非24時間営業 | 45% | 250万~400万円の部分 | 64% | 66% |
400万~550万円の部分 | 69% | 71% | ||
550万円を越える部分 | 74% | 76% |
他企業との提携が特徴の「ファミリーマート」
ファミリーマートは、他企業との提携を積極的に進めています。ファミリーマートでの宅配サービスを開始したり、クレジット機能付きのファミマTカードを提供したり、コンビニだけでは提供できない新しい価値を創出してきました。
これらの取り組みは、ファミリーマートの顧客満足度の向上と、新たな収益源の創出につながっています。
最近ではレジ上に設置されたデジタルサイネージ(デジタル広告)が目を引きます。ほかにもam・pmやサンクスなどのコンビニを買収したり、ドン・キホーテと提携し商品を共同開発したり、新しい取り組みを次々に行っています。
ファミリーマートの加盟金
ファミリーマートは加盟金の代わりとして、元入金を支払います。商品の代金や両替金の一部としてのお金で、金額は土地・建物の有無にかかわらず150万円です。
ほかにもスタッフ募集や研修時の交通費・宿泊費などを用意できることが契約条件として定められています。
ファミリーマートのロイヤリティ
ファミリーマートのロイヤリティは、内装工事費を負担するのかどうかで異なります。オーナーが負担する場合は開業時の負担が大きくなりますが、ロイヤリティは低くなります。
ロイヤリティは月額営業総利益に次の表のチャージ率をかけて計算します。オーナー負担のプランでは月額営業総利益が高くなるほどチャージ率が低くなっていくため、モチベーションの維持がしやすいでしょう。
内装工事費オーナー負担 | 内装工事費本部負担 | ||
300万円以下の部分 | 59% | 300万円以下の部分 | 59% |
300万~450万円の部分 | 52% | 300万~550万円の部分 | 63% |
450万円を超える部分 | 49% | 550万円を超える部分 | 69% |
他ブランドと異なるターゲティングに強み「ローソン」
ローソンは健康・高級志向のターゲティングを強みとしています。野菜や果物の品揃えを充実させたり、健康食品やオーガニック食品の販売したり、高級感のあるブランドイメージの構築に力を入れています。
これらの取り組みにより、他ブランドとは異なる客層の獲得に成功。「コンビニはローソンがいい」というファンも多いです。
100円ローソンやナチュラルローソンなど、幅広い業態を展開しているのも特徴です。他業種と比べて自由度の低いコンビニですが、地域や顧客層に合わせて、最適な業態を選択することができます。
ローソンの加盟金
ローソンの加盟金は土地・建物を本部が用意する場合で310万円、オーナーが用意する場合で210万円です。ただし、条件を満たすことで転居支援金として110万円が支援されます。
契約タイプ | 加盟金 |
土地・建物を本部が用意 | 310万円 |
土地・建物をオーナーが用意 | 210万円 |
ローソンのロイヤリティ
ローソンのロイヤリティは総粗利益高に対して、次の表のチャージ率をかけて計算します。粗利益が高くなるほどチャージ率は低くなり、特に粗利益600万円を越える部分のチャージ率は21%と群を抜いた低さです。
600万円を超えたらロイヤリティが21%になるわけではなく、600万円超えの部分にかかるロイヤリティが21%という計算方法ですが、売上が高くなるほどチャージ率が低い部分の割合が増えていきます。そのため、利益率も高くなっていきます。
土地・建物を本部が用意 | 土地・建物をオーナーが用意 | ||
300万円以下の部分 | 45% | 300万円以下の部分 | 41% |
300万~450万円の部分 | 70% | 300万~450万円の部分 | 36% |
450万円を越えた部分 | 60% | 450万~600万円の部分 | 31% |
※非24時間営業の場合 | 各部分に3%加算 | 600万円を超えた部分 | 21% |
※非24時間営業の場合 | 各部分に3%加算 |
リピーター獲得、地域密着に強み「デイリーヤマザキ」
デイリーヤマザキは、地域密着を重視しており、地域の顧客のニーズに合わせた店舗づくりを行っています。たとえば地域の特産品を使った商品やご当地名物をイメージした商品の開発に力を入れたり、地域の催事やイベントへの参加したりといった取り組みが挙げられます。
「コンビニなんてどこでも一緒」という消費者が多い中、地域密着のホッとするコンビニとして、他チェーンとは一線を画すブランディングを成功させたといえます。ブランドとしての方向性は違うものの、ローソンに近い戦略といえるでしょう。
もうひとつの特徴として、デイリーヤマザキでは焼き立てパンやできたてお弁当など、店内で調理した商品を販売しています。オーナーは自分(お店)で商品を作り、販売するというやりがい・楽しさを味わえるでしょう。これもまた、他のコンビニにはない魅力です。
デイリーヤマザキの加盟金
デイリーヤマザキの加盟金は、デイリーホットの有無で変わります。デイリーホットとは、パンやお弁当を店舗内で製造し、できたての商品を提供するシステムで、デイリーヤマザキならではの売りといえます。
店舗タイプ | 加盟金 |
デイリーホットあり店舗 | 220万円 |
デイリーホットなし店舗 | 180万円 |
デイリーヤマザキのロイヤリティ
デイリーヤマザキのロイヤリティは大手3社と比べて低いといえます。ロイヤリティは売上総利益に対し、次の表のチャージ率をかけて計算します。
土地・建物を本部が用意 | 土地・建物をオーナーが用意 | ||
250万円以下の部分 | 40% | 500万円以下の部分 | 30%(非24時間営業なら32%) |
250万~360万円の部分 | 55% | 500万円を越える部分 | 23%(非24時間営業なら25%) |
360万円を越える部分 | 65% | デイリーホット商品 | 18% |
デイリーホット商品 | 27% |
縛りが多いコンビニだからこそ、どのフランチャイズに加盟するかは慎重に
コンビニフランチャイズは知名度やブランド力の高さ、圧倒的なノウハウとサポート力など、他業種のフランチャイズに比べて多くのメリットがあります。
その一方で、ロイヤリティが他業種と比べて高い、本部のルールが厳しく自由度が低いなどのデメリットもあります。
だからこそ、コンビニを開業するときは加盟するフランチャイズを慎重に選ばなければなりません。消費者として利用しているときは「コンビニなんてどこも一緒でしょ」と思っていた方も、本記事を読み、認識が変わったと思います。
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